<第5&6節レポート> レポート:加藤
博己
「君は余計な情報が多すぎる。もっと牌と向き合いなさい。」
その瞬間、まるで心を射抜かれた感覚に陥り、言葉を失ってしまった。
何か言い返そうと思ったが、何も言えなかった。
十段戦は三段戦で即負け。
特別昇級リーグでは、首位・大場との直接対決で大敗を喫し、私は失意のどん底だった。
自分への戒めの為に頭を丸め、気合を入れて望んだリーグ戦でも負け、全くと言っていいほど良いところがない日々をすごしていた。
そんな中で迎えた、特別昇級リーグ第5節。
対戦相手は、大場、岡田、安、私の組み合わせ。
開始前に、運営の藤原プロから、5節、6節で下位6名を足切りするとの話があり、皆一様に緊張の色がはしる。
これで、現在マイナスしている者は前に出なくてはならなくなり、浮いている者はその勢いに巻き込まれないようにしなければならない。
どの卓も荒れ場の様相を呈してきた。
麻雀プロが同じ相手に二度負けるわけにはいかない、と自分自身に言い聞かせ背水の陣で臨んだ。
結果、私は浮き、大場との差を100P縮めることに成功。
なんとか上位争いにくい込むことができた。
対局終了後、ただ黙って帰っていく大場の後姿がとても美しく感じた。
その背中はもう負けないと語っているようだった。
他の卓では、堀内、田代が着実にポイントを稼ぎ、上位に食い込んできた。
私にとって二人は、前回のチャンピオンズリーグの決勝で戦った相手である。
この二人と、そして大場とは、いずれ決着をつけなければならない時がやってくるであろう。
それを楽しみに、自分も上位争いにしがみついていきたい。
日は変わって、翌日の日曜に第6節が行われた。
組み合わせは、以下の通り。
1卓:大場篤(+192.7P)vs松岡昭彦(▲18.1P)vs岡田茂(▲57.1P)vs三輪正樹(▲86.0P)
2卓:相沢かおる(+86.7P)vs平尾昌邦(+4.8P)vs柚木正仁(▲33.6P)vs安乗参(▲75.8P)
3卓:堀内正人(+59.1P)vs多田邦洋(+20.7P)vs東幸宏(▲36.7P)vs井出康平(▲69.6P)
4卓:加藤博己(+45.3P)vs田代航太郎(+22.7P)vs内田美乃里(▲36.9P)vs土井悟(▲45.2P)
1卓は、後がない岡田が、+69.9Pをたたき出し戦線に踏みとどまる。
それとは対照的に、三輪は▲75.7Pと台風にのみこまれ、ここで敢え無く撃沈してしまった。
そんな中を、静かにやり過ごしたのが、首位の大場。
▲0.4Pと、失点を最小限に抑え、その守備力と安定感を感じさせた。
2卓は、これまで我慢していた新人王・平尾が大爆発!
8位から3位へと一気に順位を上げ、上位争いに食い込んできた。
ここでも、現在2位の相沢は一度箱下になるも、次の半荘で巻き返し、+4.0Pと手堅くまとめ2位をキープした。
3卓は、叩き合いに勝った東が生き残り、煽りをくらった井出が敗退。
現在3位の堀内も、+4.2Pと我慢の麻雀で粘りを見せた。
4卓は、私の卓で、田代、内田、土井と同卓。
1回戦開局、西家・土井のリーチ。
            ドラ
最低、2.000・3.900。
安目の でも、ツモれば跳満の手である。
この時点で、南家である私は、
            
ここから土井が一発目にツモ切った をポンして、打 とした。( が4枚切れで も2枚場に出ている為)
すると、次のツモが で、打 。
土井の ツモ切りの後、 、 とツモり、最終形が、
         ポン  
なんと、土井のアガり牌を3枚食いとってのテンパイ。
しかも、手牌全てが当り牌という珍しい形(危ない形)になった。
そして、なんとか二人テンパイの流局に持ち込むことに成功した。
このおかげで、1回戦目はトップを取ることができ、少しではあるが得点を重ねることができた。
4回戦では、田代が粘ってマイナスを最小限に抑え、次に望みを繋げた。
そして、残念ながら、内田、土井はポイントを伸ばすことができず、ここで足切りとなった。
いよいよ次節は準決勝、5人打ち2卓となり、特別昇級リーグも佳境に入ってくる。
目指すはもちろん優勝。
自分を信じて最後まで牌と向き合っていきたい。
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