<最終節レポート:鈴木
郁孝>
まずは9節終了時までのポイントを御覧頂きたい。
首位
寺戸孝志 +325,6P
2位 鈴木秀幸 +221,7P
3位 杉村泰治 +154,1P
4位 越川清一 +139,4P
上位4名のポイント。
やはり、注目は優勝争い。寺戸がこのまま逃げ切るのか。それとも鈴木がひっくり返すのか。
2人には開始前、直前の心境を聞いた。
寺戸「今期は自分の麻雀が自然体で打てている、最後までこの調子で行きたい」
鈴木「本年度、決勝が4回目(新人王、王位、前回の静岡リーグ)スタートが課題、厳しい条件ではあるが、可能性がある限り最後まで諦めないで行く」
私には、2人から優勝するぞという思いが伝わってきた。
緊張感が漂う中、対局が開始された。
1回戦(起家から、鈴木・寺戸・越川・杉村)
開局は、越川の1人テンパイでスタートした。
動きがあったのは東3局、鈴木が8巡目にドラの を鳴いてテンパイ。これを親の越川からアガる。
         ポン  ロン
ドラ
スタートが課題と言っていただけに、この8,000は気持ちが少し楽になったのではないだろうか。
東4局、親の杉村が鈴木から3,900をアガると続く1本場、杉村が6巡目にリーチ。
            リーチ ドラ
これに、またしても鈴木が手詰まりとなり で手痛い12,000の放銃。
南場に入り、ここまでおとなしくしていた寺戸が、南2局の親で4,000オールをツモると、南3局に好配牌が入り6巡目にテンパイ。ダマテンを選択。
           
ドラ
しかし、9巡目に持って来たドラの をツモ切ると、親の越川へ七対子ドラドラの9,600を放銃。
続く1本場は、寺戸が400・700をツモる。
オーラスは、寺戸に国士無双のテンパイが入るも、ツモれず越川と2人テンパイで流局となった。
寺戸を追う立場の鈴木は、苦しいスタートとなった。
1回戦成績
杉村泰治+14,8P
寺戸孝志+9,2P 越川清一▲5,3P 鈴木秀幸▲18,7P
2回戦(起家から、寺戸・鈴木・越川・杉村)
東1局、1回戦ラスを引き出遅れてしまった鈴木が12巡目にリーチ。
            リーチ ドラ
13巡目に親の寺戸が追っかけリーチ。
            リーチ
さらに同巡、越川も追っかけリーチ。
            リーチ
このリーチ合戦に勝ったのは鈴木、寺戸から高目の で、5,200をアガリ反撃の狼煙をあげた。
2回戦は、このまま荒れるかと思いきや、ここからは互いに牽制しあい最後まで小場で進み終局。
鈴木はなんとか浮きを確保し、寺戸は痛恨のラスとなった。
2回戦成績
越川清一+11,6P
鈴木秀幸+4,2P 杉村泰治▲4,5P 寺戸孝志▲11,3P
2回戦終了時
寺戸孝志+323,5P
鈴木秀幸+207,2P 杉村泰治+164,4P 越川清一+142,2P
3回戦(起家から、越川・寺戸・鈴木・杉村)
2回戦にラス引いたものの、鈴木とは差が縮まらず貯金を活かし、思惑どおりに進んでいる寺戸。
一方、苦しい戦いが続いている鈴木、残すところ後2半荘となった。
東2局、鈴木の配牌。
            ドラ
これが10巡目に、
            
こうなり、同巡、杉村からでた をポンしテンパイを入れるが、テンパイ打牌の が越川に捕まり2,600の放銃となった。
東3局、前局のチンイツは空振りに終わってしまったが、ここから鈴木の反撃が始まる。
親で1,000オールをツモると、続く1本場の配牌。
             ドラ
5巡目にリーチ。
            リーチ
これを一発ツモで3,200オール。
続く2本場の配牌。
            ドラ
またも、5巡目にリーチ。
            
これまた一発ツモで3,900オール。
3本場では2,000オールをツモ。4本場では杉村から1,500を出アガリ、続く5本場の配牌。
             ドラ
  と立て続けに有効牌をツモり、5巡目にして四暗刻の1シャンテン。
6巡目に2枚目の を鳴いてテンパイ。
         ポン  
これもアガリきってしまうのかと思ったが、ここは杉村が意地をみせ2,000・3,900をツモり、長かった鈴木の親がようやく終わった。
南1局、ここまで苦しい展開のラス目の寺戸が5巡目に仕掛ける。
         ポン  ドラ
この仕掛けにより、杉村にテンパイが入り10巡目リーチ。
            リーチ
寺戸はしばらくツモ切りが続いたが、11巡目に を引きテンパイ。
3単騎に受けると、次巡杉村が を掴んでしまい3,900の放銃となった。
寺戸はこのアガリにより2着へ浮上した。
南3局1本場、越川がリーチ。
            リーチ ロン ドラ
これを鈴木からアガリ8,000。
オーラスは寺戸が越川から2,000をアガリ終局となった。
3回戦成績
鈴木秀幸+33,4P
越川清一▲3,5P 寺戸孝志▲11,4P 杉村泰治▲18,5P
3回戦終了時
寺戸孝志+312,1P
鈴木秀幸+240,6P 杉村泰治+145,9P 越川清一+142,2P
4回戦(起家から、寺戸・鈴木・杉村・越川)
半荘40回のリーグ戦も残すところ後1半荘、2人の差は71,5P。
一方で3位争いは、9節終了時5位だった林俊宏が、3回戦終了時トータル+149,2P、6位だった平岡理恵が、+146,7Pとなっており大混戦。
東1局、親の寺戸の配牌。
             ドラ
これが9巡目に、テンパイが入りダマテンを選択。
            
これを、次巡安めだが をツモり2,600オール。
東3局、寺戸の配牌。
            ドラ
これが6巡目テンパイが入りダマテンを選択。
            ロン
これを越川からアガリ12,000。
このアガリで、寺戸の優勝は私を含め観戦していたギャラリーも皆、間違いないと思ったに違いない。
ところがここから、鈴木が強烈な追い上げをみせる。
東4局に2,000・3,900をツモると、迎えた南2局の親番、鈴木の配牌。
             ドラ
これが12巡目にテンパイリーチ。
            リーチ
これをツモり6,000オール。
続く1本場、配牌で鈴木にドラ2枚のチャンス手が入る。
             ドラ
6巡目には、
            
こうなり、7巡目に対面からでた をポン、打 とする。
道中、越川からリーチが入るも、11巡目に を引いてテンパイとすると、越川のリーチに一歩引かず、ツモ で8,000オール。
このアガリで首位の寺戸に肉薄。これまで終始平静を装っていた寺戸だが、このアガリで顔色から動揺が伺えた。
南3局3本場、鈴木の配牌。
            ドラ
8巡目にテンパイリーチ。
            リーチ
この時、寺戸はオリるので精一杯。
鈴木がツモるのかが注目されたが、最後の親が残っている越川が仕掛け、鈴木のツモ筋にいた は杉村へと流れ、親を維持したい杉村が3,900を放銃。
オーラス、この時、寺戸の持ち点(30,300)鈴木(80,600)寺戸はアガればよい、鈴木は2,000・3,900以上をツモればよい。
2人の決着はどうなるのかが注目された。
鈴木の猛攻に苦しめられた寺戸だったが、最後まで冷静な闘牌をし越川から2,000をアガリ終局、優勝した。
4回戦成績
鈴木秀幸+43,6P
寺戸孝志+11,2P 杉村泰治▲24,5P 越川清一▲30,3P
4回戦終了時
寺戸孝志+323,3P
鈴木秀幸+284,2P 杉村泰治+121,4P 越川清一+111,9P
最終成績
優勝 寺戸孝志 +323,3P
準優勝 鈴木秀幸 +284,2P
第3位 林俊宏 +157,4P
一年を通して、終始安定した成績を残した寺戸孝志プロ、優勝おめでとうございます。
また、敗れはしましたが最後の最後までギャラリーを魅了した、鈴木秀幸プロ、感動しました。
この2人の優勝争いが、最後まで目が離せないものとなったのは優勝の目がなくなり、黒子に撤した杉村泰治プロの状況に応じた打牌があったからだと思いました。
第5期静岡プロリーグは、寺戸孝志プロの第2期以来、2度目の優勝で幕を閉じました。
私も彼に負けることなく準備をして来期のプロリーグに挑みたい。
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