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タイトル戦情報

第33期 王位戦 準決勝

( 文責:西川 淳)

2007年11月24日(土)
ここ新橋じゃん亭Nobuに、第33期王位戦準決勝を闘う精鋭達が集まった。

B級予選→A級予選→A級本戦→A級決勝と続いた長い道のりを戦い、勝ち上がってきた15名である。

開始は正午から。
一時間前の開場からまもなく、続々と選手が会場の扉を開ける。
皆、さほど緊張の様子もなくリラックスした印象。
各自が距離を置き、煙草を燻らせたり、書籍に目を通したり。

そんな中でただ一人、会場の外で音楽を聴きながら集中して準備体操をしている選手がいた。
現王位・滝沢和典(連盟)である。
この滝沢がシードでここから参加、合わせて16名で準決勝が行なわれる。

システムは連盟Aルール。ただし、順位点が5000点-15000点。
各自総当りによる5回戦終了時、下位4名が足切り。
そして残った12名によって最終6回戦が行なわれ、トータル上位5名が翌日の決勝戦の椅子に座ることができる。

5回戦目までは、先だって行われたA級決勝の得点によって、回り順で対戦相手が事前に決められている。

以下は準決勝の選手一覧とA級決勝時の成績である。




■準決勝進出者

橘 悟史
(麻雀協会)
+159.7
日吉 辰哉
(連盟)
+111.8
田中 巌
(最高位戦)
+106.4
松井 直文
(一般)
+92.8
田中 史孝
(連盟)
+86.7
松崎 良文
(連盟)
+82.3
林 俊宏
(連盟)
+78.2
森脇 幸生
(連盟)
+74.2
猿川 真寿
(連盟)
+72.1
小川 尚哉
(連盟)
+72.0
福島 直次郎
(一般)
+70.2
右田 勇一郎
(連盟)
+69.1
掛水 洋徳
(連盟)
+68.8
亀山 亜土
(一般)
+67.7
刀川 昌浩
(連盟)
+65.7



総じて若手中心のメンバー構成となったが、
どこを見渡しても、どこかで名を見たことのある実力者揃いである。

そびえ立つ王位戦の頂を目指す長くて厳しい道のりの上でも、やはりここが最大の難所といえるだろう。







■1回戦




[1卓]松井 直文・滝沢 和典・森脇 幸生・右田 勇一郎

南家スタートの現王位・滝沢の、王位戦始動の第一打はを重ねて打であった。

 ツモ 打 ドラ


対して西家、森脇の手、



ここから自風のを躊躇なくポン、打

対して滝沢、河に放たれたを見ても微動だにせず。
積極的な森脇と、じっくり行く滝沢。この対比がとても興味深く映る。

同局6巡目の滝沢、ここからの打ち方が面白い。




2度テンパイを崩し、再びテンパイ復活を果たした後、15巡目にツモ切りリーチに踏み切った。
このとき、西家・森脇がようやくテンパイを入れたのだが、その際に待ち選択に少考しており、それを受けての決断であったように思われた。

なぜそうしたのか、この感覚は本人でないと説明できないことであろう。やはり、こういう手順を辿る人の割合は大きくはないはずである。人によっては「それで間に合うのか?」と感じるかもしれない。

ただ、はっきりと感じ取れたことが二点あった。

1)いつもこのような麻雀を打ち、それに自信を持っていること
2)この局、この半荘、だけを見ているわけではないということ

この局は、滝沢と森脇の二人テンパイで流局。


東1局1本場、森脇が9巡目に会心のツモで先制パンチ。

 ツモ

ここで滝沢は満貫の親カブリをする。ただ、滝沢の顔色に全く変化はない。
あごに少々無精ひげが伸びた顔をぐっと固定させ、力みが全くない自然体でこの先も一日を通して摸打を繰り返していた。

「ゴールはもっと先にある、自分のペースで一歩一歩着実に登る。」
そういう声が聞こえてくるかのようだった。

滝沢 和典



この半荘は森脇がトップ。
プロ連盟元Aリーガー、第13期マスターズ以来の晴れ舞台を目指し、森脇は2回戦も連勝を果たすのであった。

森脇 幸生






[2卓]田中 史孝・猿川 真寿・橘 悟史・掛水 洋徳

猿川 真寿の調子が良いようだ。
東3局、すでに43000点持っている状態からリーチ!

 ツモ ドラ

あっさりツモで満貫。猿川の持ち味は、何と言っても打点力である。打牌リズムも軽快で小気味良く、打ち手としての艶を感じさせる。
マスターズ、十段戦共に準決勝を経験しているが、王位戦のそれは初めて。
まだタイトル戦決勝経験がない猿川、ここは是が非でも翌日への切符を手に入れたいところだろう。


猿川 真寿


一方、猿川の同卓相手は苦戦を強いられた。皆が持ち前の技量でなんとか踏ん張り、つばぜりあいが続く。
そしてオーラス、点棒状況は以下。

田中史 猿川 掛水
15600 45400 28700 30300

ラス目の田中史孝は、最近子供を授かった。また、妻で同じくプロ連盟の室伏理麻が今秋のチャンピオンズリーグで優勝。そこに、今回の自身の王位戦準決勝進出の機運。常に意志を強く表現するタイプに見えるが、今回は更に気合が入っていることだろう。

田中 史孝



その田中史にオーラスのこの状況でW南ホンイツのテンパイが入る。

 ポン ドラ

まだ一枚もマンズが余っていない。逆転の大チャンスである。
しかし、この三面張が一向に出てこないし、ツモれない。

対してラス親の掛水は、この田中史のホンイツに丁寧に対応する。しかし、ベタオリだとノーテン罰符で順位が逆転される可能性が高いのが厳しいところ。かなり苦しい牌姿だったが、終盤にテンパイを果たす。


 ドラ

「リーチ!」
この掛水、現在はプロ連盟の中部本部に籍を置くが積極的にタイトル戦にも参加し、真摯な姿勢で対局に臨む態度は誰もが好感を持つことだろう。
また、クレバーで冷静な打牌をするという評判を聞く。


掛水 洋徳


しかし、このリーチはどうか。
確かに、親のリーチツモドラ2はAルールでは決定的な爆発力がある。
だが、間違っても は他から出る状況ではない。故に、マンズの危険牌を引いても対応できるダマテンが得策であろう。
「今日は多少行き過ぎた局面が多かった。」と語った掛水。

結果は流局、この半荘は猿川トップ、田中史ラスで終了。





[3卓]亀山 亜土・小川 尚哉・松崎 良文・日吉 辰哉

南場に入ったところで小川尚哉がリーチ。

プロ連盟の22期生、イケメンで小柄な印象だが、フットワークの良さを摸打にも感じる。「躍動感」という言葉が似合う打ち手だろう。
このリーチも、その特性を伝える雰囲気を持っていた。


小川 尚哉


小川、ハイテイで軽快に高目の和了牌を手もとに手繰り寄せる。

 ツモ

この後も常に機先を制し、場を掌握する場面を多々目撃した。
また三色同順を何度も和了るなど、運気も高い。決勝進出を早くから予感させるものがあった。





[4卓]林 俊宏・刀川 昌浩・田中 巌・福島 直次郎

東4局に事件は起こった。

林 俊宏が先行リーチ。
ドラのが2枚のチャンス手で、場にが2枚切れている待ち。

しかし、一発で入り目のを親の福島に打たれたときに感じた嫌な予感が的中してしまう。
持ってきたを林が切ると、の1副露だった親が手を開く。

 ポン ロン

林、痛恨の48000点放銃。6回戦勝負とはいえ、決勝進出は絶望的となる。

この林も、中部本部に在籍しながらも東京のプロリーグに毎月参加する熱意のある選手である。
一昨年は準決勝進出寸前で涙を飲み、昨年は準決勝進出を果たすも一歩足らず、
今年こそは、のつもりで臨んだはずである。その落胆ぶりは想像に難くない。

しかしその後、一切のあきらめ色を出さずに淡々と取り組んでいる対局姿勢が印象的であった。
5回戦終了時点では、マイナスをかなり減らし、後一歩で足切りを免れるところまで持っていった。
残念ながら奮闘空しく足切りになるが、いつの日か大舞台に立つのではないか、という期待を抱いた。


林 俊宏


一方、この大三元を成就させたのは、一般参加の福島直次郎。
千葉の成田にて経営者として麻雀の普及活動もしており、つい先日も読売新聞の千葉版(11/15日付)で大々的にその活動が紹介されていた。
今年58歳になるらしいが、エネルギーを強く感じさせる人物である。
マスターズ準決勝進出の実績が示すとおり、和了りへの嗅覚が鋭く強い。
この半荘も、この大三元を皮切りに大物手を連発し、結果トップ。


福島 直次郎





■2回戦





[1卓]掛水 洋徳・松崎 良文・福島 直次郎・滝沢 和典

東1局から激しい攻防

北家、滝沢がドラ2枚使いの先制リーチ。

 ドラ

対して南家、松崎もドラ2枚のリーチ。

 

松崎にとって、自風のを叩かず、をツモっての手ごたえのあるリーチだったかもしれない。

しかし、この2軒リーチに絶好のカンを引き入れ、福島が割り込みリーチ

 

この追っかけリーチに同巡飛び込んだのは松崎。
福島は1回戦に続いて牌勢の良さを表し、対して松崎は、しっくりこない雰囲気がある。

この松崎良文は前年度の王位戦ファイナリストの一人、存分に存在感を示した決勝であった。
2年連続でこの場に居合わせるということは、まさに力の証明であろう。
いつも通り飄々と、けれんみの無い打牌を繰り返していた。


松崎 良文


この半荘は福島がトップで連勝。






[2卓]林 俊宏・小川 尚哉・橘 悟史・右田 勇一郎

小川の勢いが止まらない。
東3局には51200点の持ち点からリーチ。



高目があっさりと出るように、全てが上手く噛み合っている印象を受けた。

周囲も必死に抵抗する。

東4局、親の右田がリーチ。

 ドラ

南家、林も一歩も退かずに対抗。

 

ここを制したのは親の右田、 を力強くツモり上げた。

こうなると波に乗れそうなものだが、なぜかこの日の右田はなかなかそうはいかない。

右田は先日のA級決勝で、ほぼ目無しの状態から4連続トップで巻き返し、驚異的に準決勝進出を決めた。
今年からA2リーグに昇級し充実一途のはずなのだが、朝に会うなり「肩が痛いんです」との第一声。
1回戦では良いところなく大きなラスを引いてしまい、この2回戦は何とかしたいところであった。
着用していたネクタイを外し、何かを変えようとしていた。


右田 勇一郎


南3局1本場、18.000点と沈んでいる西家の林が浮上を目指し、 切りのツモリ三暗刻狙いのリーチ。

 ドラ

そこに、これもまた12.800点と大きく沈んでいる親の橘が2副露で抵抗を試みる。しかし、危険牌を持ってきたようで少考。対面から観ていた私の想像ではあるが「ここを落としたら負ける」、「しかしこの牌は・・・」という思考が垣間見える。顔が歪む橘。
結果、打で放銃。

橘はA級決勝をトップ通過してきたが、この日は運だけでなく、体調も悪かったようだ。
多分に影響があったのだろう。これがやはり決定打となってしまったようで、心残りな敗退となった。

橘 悟史



オーラス。先ほど和了った林がまたもやリーチ。

 ドラ

これに橘が放銃。この和了りで林が右田を200点逆転。
痛恨の3着転落で右田は大きく後退。
トップは6万点近い点数で小川。





[3卓]猿川 真寿・刀川 昌浩・松井 直文・日吉 辰哉

望月雅継(現鳳凰位)率いる静岡支部の若手は、望月の熱心な活動もあって、飛躍的に力を伸ばしていることがプロ連盟内では周知の事実となっている。
またマナー面でも指導が行き届いている様子であり、静岡支部の選手は対局していて非常に気持が良いと評判である。

猿川と日吉は、共に静岡支部所属ながら東京のリーグ戦にも参加し、順調にBリーグまで昇級を重ねている。
その二人が同卓となった。


東2局、流局となるが、親がテンパイ表示をしない。
マージャン競技では、親から順番にテンパイ表示・非表示をするのは当然のことだが、意外と守られてないことも多い約束事だ。
これに対して、無言で主張し促す静岡勢の二人。暫しの沈黙のあと、やっと察した親が事を前に進める。
毅然と「はい!」とテンパイ料を渡す日吉。
意識の高さ、そして絶対に勝つという決意が、その態度からも覗える。


日吉 辰哉



しかし、対局は終始静岡勢に不利に展開する。

南4局を迎えて、

松井 日吉 猿川 刀川
36200 23100 24400 35300

逆転を期して、まず猿川が先行。ツモれば三暗刻の手でリーチを打つ。



苦しいのは日吉、このリーチを受けて、

 ドラ

ここにツモで、大事にしてきたドラを頭にするが、捌きが難しい牌姿となる。
日吉の打牌選択は。その後を引き入れに待ち変えて追っかけリーチ。
このをつかんでしまったのが猿川。
猿川にとっては痛恨のラス。日吉にとっては極上の手応えが有る大逆転トップとなった。






[4卓]亀山 亜土・田中 巌・森脇 幸生・田中 史孝

時間切れの打ちかけとなったこの卓は、大接戦。

田中巌 森脇 田中史 亀山
26400 35600 28600 28400

田中巌がペンを引き入れ、リーチを打つ。



この田中巌、開始前の牌確認を人一倍入念に行っていたことが印象的であった。
この日、会場内で最もリーチをかけたと思われるが、このリーチを含めて不発に終わることが多かった。


田中 巌



胃が痛くなるようなオーラス、接戦を制したのは亀山。

 ツモ

終盤になって、値千金の和了りを気配もなく静かにツモった様子に、普段の厳しい修練の様子が垣間見えたような気がした。

亀山 亜土



この回のトップは森脇が逃げ切り、亀山が2着。




■3回戦




[1卓]滝沢 和典・小川 尚哉・刀川 昌浩・田中 史孝

3回連続、同じ席に座る滝沢。
未だエンジンがかからないようで、▲0.9の2着。
小川は100点差で価値のある3着を拾う。
田中史が踏ん張りトップ、決勝への道を残す。





[2卓]福島 直次郎・松井 直文・橘 悟史・亀山 亜土

一般の選手が3名入ったこの卓、東1局に松井がカン待ちの役なしリーチ。
松井は、一日を通して何一つ目立った和了りを見せなかったが、
要所要所で価値のある押し引きを繰り返していた。

かつて番組内でマージャンを大きく取り扱ったことで有名なTV番組『11PM』、
その『11PM世代』だと自称する松井は、
「予選で小島先生(11PMに出演)と打てたのが何よりの良い思い出。」と、決勝戦云々は全く意識していない様子。
まるで無欲かのような自然体で対局する姿が印象的だった。

松井 直文


この半荘もトップ33.200点、ラス26.700点という激戦の中、松井はいぶし銀の打ち回しで2着をキープした。





[3卓]森脇 幸生・日吉 辰哉・林 俊宏・掛水 洋徳

日吉の息が荒い。
ここまで+33.5と、この半荘で良い数字が残せれば、決勝へと大きく前進できる。



南場での日吉の親番、

 ドラ ロン

ドラがトイツのチャンス手を最速の手順でテンパイし、リーチ後ロン、7.700点をものにする。
だが、その後に林へ満貫を放銃。オーラスに1.000点を和了って何とか3着を確保したものの、やや運気の下降を感じた。

トップは林。役満放銃の傷は未だ癒えぬも、まだ諦めてはいない。





[4卓]田中 巌・猿川 真寿・右田 勇一郎・松崎 良文

猿川が前回のラスを引きずることなく、オーラスでトップ目・松崎を微差で交わして逆転トップ。右田は致命的なラス。





■4回戦





[1卓]亀山 亜土・林 俊宏・猿川 真寿・滝沢 和典

初めて席が変わった滝沢がリーチ、しかしここは猿川が和了る。
東3局を迎え、猿川54.200点の断トツ。

ここで滝沢が踏ん張る。

 ツモ ドラ

おそらく滝沢にとって会心の待ちで納得のツモであっただろう。
猿川が跳満の親カブリ。

これでバランスを崩したか、猿川が急転落。
なんと南3局の時点では以下の点棒状況に。

猿川 滝沢 亀山
31100 34400 27400 27100

ここで畳み掛けるように滝沢がリーチ。

 ドラ

ここにマンズのホンイツを目指す林がを手放す。
しかし滝沢、手を倒さずに見逃し。

何故手を倒さないのか、理屈は誰でも理解できる。実際にそう打つ人も中にはいるであろう。
しかし、南3局で南家、この局面、この点棒状況、加えてここまでトップなしという現状。
何より、準決勝というこの舞台。

分かっていても実行できる打ち手は、そうはいないであろう。

「隙になることは分かっている。だが、ツモれると思った。ひたすら、普段どおり打つことだけを心掛けた。」
対局後、そう滝沢は語った。


この後、だけでなくがパタパタと河に並べられ、林が追いついてくる。
ついには、も枯れてしまった。
しかし、残り数巡となったとき、滝沢は、最後の一枚のを力強くツモり上げた。

滝沢、念願の初トップ。





[2卓]森脇 幸生・橘 悟史・刀川 昌浩・松崎 良文

松崎が丁寧に形を作りにいく。
東3局も、場況を良く読みきって、唯一テンパイが取れる手順でリーチ。

 ドラ

「これがアガれれば!」という手が何度もあったが、これも不発。あと一牌が遠い。

それに対し、南場に入ってから刀川の調子が上がってくる。
南1局にドラのトイツでリーチ、カンを軽々とツモると、続いて南2局はまたもやドラのを暗刻にして4巡目リーチ。

 ドラ
これもあっさりとツモ。一気に噴き上がる。

刀川は新人ながら、先だってのチャンピオンズリーグでも決勝に残り、この王位戦もここまで勝ち上がってきた。その実力は疑いようがない。
更に、本来はこの準決勝にはボーダーラインに及ばず補欠だったのだが、辞退者が出たため繰り上がり出場となった強運も手伝っている。
このツモを見て「これはいけるかも」という雰囲気を感じた。

刀川 昌浩


この半荘は刀川がトップ。

オーラス、この回は何もできなかった森脇が、
「はい、ここまで!」とばかりにラス確定のホンイツをツモ和了る。
本人曰く「ここで無理をして大きなラスを引いたらダメなんだ」とのこと。
まさにその通りなのであろう。タイトル戦決勝進出経験者ならではの冷静な判断だ。

オーラス最後の親にも関わらず2枚目の役牌も慎重にスルーした松崎は、この森脇のツモにより400点差2着に留まった。
ここまで苦しい戦いながらも、決勝への布石をしっかりと打つ。




[3卓]日吉 辰哉・右田 勇一郎・田中 史孝・福島 直次郎

東1局、起家の日吉は、攻めるしかない右田からハイテイでロン牌が出てくる展開の有利さを享受。


南1局1本場、福島が早い段階からドラ暗刻でテンパイ。

 ドラ

待ちの選択で少考したが、打待ちにする。

しかし、あっさり出てきたのは
その後にチェンジした後、ツモ切ったで田中史の手に飛び込んでしまう。

 ポン 暗カン

これが響き福島は連続ラス。貯金を大幅に減らし、決勝進出へ黄信号が灯る。

ここは日吉が意地のトップ。






[4卓]掛水 洋徳・小川 尚哉・松井 直文・田中 巌




小川が引き続き好調でトップ、松井もしぶとく200点差で2着に残る





■5回戦

この回が終わると下位4名が足切りとなる。





[1卓]橘 悟史・日吉 辰哉・滝沢 和典・田中 巌

現王位が場所決めのサイコロを振ることができるように、滝沢の対面に着席する日吉。目を閉じ精神統一、そのせいか肩の力が抜けてリズムを取り戻している印象を受けた。


その日吉は南2局に、

 ドラ

ここにと勢いに乗り、打。次巡ツモ、リーチに行き、高目のをツモ。会心の4000オール。

この1本場、今度は田中巌がドラの暗刻のチャンス手、イーシャンテンから難しい雀頭候補選択を見事に成功させ、絶好の三面張でリーチ、満貫をツモ。


 ツモドラ

こうなると滝沢が苦しい。ツモられ貧乏で迎えた南3局、最後の親番。

滝沢 田中巌 日吉
23300 40300 25900 29500


ここでラスを引くようだと、決勝がかなり厳しくなる。

親、滝沢配牌。



苦しい。しかし、焦る様子もなく、全く無理をせず静かに流局。ノーテンで淡々と牌を伏せる滝沢。

オーラスは日吉が橘に打ち込み終了。

トップは田中巌。
滝沢はラス、トータルもマイナスに落ち込み、決勝進出争いから大きく後退する。





[2卓]田中 史孝・松井 直文・松崎 良文・林 俊宏

松井が5万点近い大トップ。5回戦目にて初めてのトップながらプラスを66まで伸ばし、ほぼ決勝進出は確定。

ここまで我慢の連続だった松崎は痛恨のラス、最終戦に全てを賭ける事となる。




[3卓]小川 尚哉・森脇 幸生・猿川 真寿・福島 直次郎

小川が起家の東1局から飛ばす。
カンチャンのでリーチ、ツモって2000オール。
続く1本場でも4100オールと勢いが止まらない。

その2本場、南家・森脇は、

 チー

ここにをツモってくると、ここでアガリを宣言せず、チンイツへ移行の打
その後、上家から場に一枚も出ていないが出たのだが、これに反応せず。
直後、北家の福島からリーチがかかった。
リーチの後、をチーして待ちのテンパイを果たす森脇。
しかし同巡、福島がツモの発声。

 ツモ

高目ツモで満貫。
森脇には、一気通貫のみでの和了り、チーせず、チーと3つの場面でそれぞれ別の選択肢があり、どれを選んでいても結果は違ってたはずだけにこの局は強烈なアヤを残すこととなった。

次局から、満貫をツモった福島が大爆発。一気に小川を逆転してトップ、再び決勝への道を大きく拓いた。

小川は2着に転落したが、トータルでは+92.7。
安全圏を確保することになった。




[4卓]右田 勇一郎・刀川 昌浩・亀山 亜土・掛水 洋徳

東3局1本場、右田が仏頂面で「ツモ!8.000、16.000!」と手を開く。

 チー ポン ツモ

小四喜の成就だが、この時点で右田は大きくマイナスしており、役満を和了っても決勝は遥かに遠い。
本人も和了るかどうか葛藤した上で手を開いたそうだ。
絶望的な状況の5回戦でこの和了りが出ること自体、この日の右田の不調を物語っているだろう。

またこの役満ツモにより、刀川、亀山、掛水の3名も決勝進出がかなり厳しくなった。
刀川は一日2回も役満の場に立ち会ってしまい、こちらも不運だったといえるだろう。




5回戦が終了。
足切りは掛水、林、右田、橘の4名となった。

そして、気になる決勝進出へのボーダーは+8.7と発表された。
異例の低さである。
トータルマイナスの者にもチャンス有り、この瞬間に会場の空気が一瞬にして熱を帯び、ギュッと締まってゆく様子が肌で感じ取れた。




■6回戦(最終戦)





[1卓]滝沢 和典・田中 巌・森脇 幸生・小川 尚哉

この時点で、滝沢のポイントは▲3.9、森脇のポイントは+3.8。
ボーダーがかなり下がったことにより、両者ともにトップを取りさえすれば、決勝の可能性がある。

小川尚哉が安全圏にいることと、田中巌が大きくマイナスしていることもあり、ここは滝沢と森脇のマッチレースになった。

東3局で、森脇の力強い声が会場にこだまする。
「ツモ!2.000オールは2.200オール!!」
全てを吹っ切って前向きに進む森脇の強いイメージだ。力強く決勝に向けて前進する。

それに対してリーチ七対子ドラ2の和了りで応戦する滝沢。
この日は、何度か苦しい場面を七対子で切り抜けている。

そして南1局、ついに親・滝沢の強烈なパンチが炸裂する。

 ツモ ドラ

リーチをして高目をツモ、観戦者も唸りを上げる6.000オール。

こうなるとエンジン全開の滝沢、次局も満貫ツモ。

 ツモ ポン ポン ドラ


結局6万点を超える特大トップで終了。
本命を背負った現王位、堂々の決勝進出。





[2卓]猿川 真寿・福島 直次郎・刀川 昌浩・亀山 亜土

福島が東場の親で会心のリーヅモ七対子ドラ2で6.000オール。
無理せず流せば良いだけの福島が先制したので、さすがに決まったかと思われたが、こちらでもドラマは始まる。




南1曲、北家、猿川がわずか4巡目でメンホン四面張リーチ。



最後の親番となった亀山も良く食い下がり追っかけリーチを打つがを掴んで放銃。

次局、猿川がまたもやドラを暗刻にしてリーチをするが、これは不発。
ところが、断トツトップだった福島が一旦オリた後、最終巡にチーを入れ再テンパイ、そして連荘。これが猿川に良い方向に働く。

次局、猿川が全速前進。

 暗カン ポン ポン ポン

猿川、執念の裸単騎。力強い数巡のツモ切りの後、ツモってきたを柔らかく倒した。跳満。

この和了りが効いて、猿川も大爆発で6万点を超す大トップ。決勝への切符を手に入れる。






[3卓]日吉 辰哉・松井 直文・松崎 良文・田中 史孝

5回戦終了時トータルポイント4位だった日吉、浮けば念願の決勝が現実のものになろうとしていた。
しかし、36.000点まで点数を積み上げるが、東4局の松井への痛恨の満貫放銃によって脱落してしまう。

松崎も実に良く粘ったが、東4局の親番で、

 ドラ

ドラを重ねての勝負リーチが南家・田中のチーで交わされた後は、再びチャンスが来ることはなかった。

大トップ条件の田中は南3局でリーチを打ち、乾坤一擲のツモ!

 ツモ

超特大の感触があったことだろう。
6万点近くを手にして、最後の親番でテンパイも取れたが、敢えて伏せて終了。
トータル+28.7までポイントを伸ばした。


ところが、ここで田中に思いもよらないことが起こった。

なんと5回戦終了時のボーダー+8.7が、わずか半荘一回で+46.9まで跳ね上がったのだ。

項垂れる田中。
「まさか通過していないとは・・・」

もっとも、そう思うのも致し方ない。
想定したボーダーを大きく上回り、かつ6回戦開始時点で4位だった日吉との直接対決で勝ったのだから、決勝進出ラインをクリアしたと考えても何一つおかしくない。
しかし、ここが準決勝の戦い方の難しさでもあるのだろう。






こうして、数多くのドラマがあり、決勝進出の5名が決まった。

ポイント順に、
福島 直次郎(一般)
松井 直文(一般)
小川 尚哉(プロ連盟)
猿川 真寿(プロ連盟)
滝沢 和典(プロ連盟)

この準決勝の大きな山を登りきった5名。
いずれも決勝進出にふさわしい実力を持つ打ち手であり、決勝戦が非常に楽しみである。

最後に、決勝進出者の一言。

福島 「マグレだよ、マグレ。決勝戦もがんばるよ。」

松井 「もう十分楽しんだんだけどね。恥をかかないように、また楽しみながらやりたいね。」

小川 「最終戦で滝沢さんを残してしまったのが気になるけど、普段どおり打って優勝を狙います。」

猿川 「最後まで諦めなかったのがよかった。ここまで来たんで獲ります。」

滝沢 「相手は関係ないです。自分の麻雀をいつも通り打ちます。」





王位戦準決勝 全部成績 2007/11/24

    TOTAL 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 小計 6回戦
1位 福島 直次郎 107.2 75.2 24.1 -18.3 -22.8 29.3 87.5 19.7
2位 松井 直文 77.8 13.6 11.2 5.3 3.2 33.4 66.7 11.1
3位 小川 尚哉 58.9 21.0 44.5 -7.5 22.8 11.9 92.7 -33.8
4位 猿川 真寿 58.2 33.5 -34.2 28.2 -6.5 -12.3 8.7 49.5
5位 滝沢 和典 46.9 -1.7 -7.7 4.1 24.6 -23.2 -3.9 50.8
6位 田中 史孝 28.7 -28.4 -7.4 21.0 11.3 -11 -14.5 43.2
7位 日吉 辰哉 8.3 9.8 22.7 -16.5 24.2 -11.5 28.7 -20.4
8位 森脇 幸生 3.2 27.5 20.0 9.8 -24.6 -28.9 3.8 -0.6
9位 松崎 良文 -43.0 -8.7 6 15.4 0.6 -22.4 -9.1 -33.9
10位 田中 巌 -44.0 -0.2 -20.3 -12.9 -20.0 26.8 -26.6 -17.4
11位 亀山 亜土 -49.2 -22.1 7.7 18.2 3.7 -13.6 -6.1 -43.1
12位 刀川 昌浩 -53.4 -13.3 0.3 -17.6 33.8 -29.5 -26.3 -27.1
13位 掛水 洋徳 -42.1 5.8 -22.4 -27.7 -7 9.2 -42.1 0
14位 林 俊宏 -46.2 -62.7 3.9 34.4 -21.8 0 -46.2 0
15位 右田 勇一郎 -55.2 -39.4 -6.3 -30.7 -12.7 33.9 -55.2 0
16位 橘 悟史 -61.1 -10.9 -42.1 -6.2 -9.8 7.9 -61.1 0

 

 

 

( 文責:西川 淳 文中敬称略 )

 

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