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タイトル戦情報

第33期 王位戦 決勝

( 文責:増田 隆一)

第33期王位戦 決勝観戦記

11月25日(日)、新橋の「じゃん亭」にて第33期王位戦の決勝が行われた。
王位戦はプロ連盟四大タイトルの一つで、若き日の荒正義や森山茂和が載冠を果たして後にトッププロとしての道を歩み始めたことでも知られる、歴史と伝統のあるタイトル戦だ。

今年の決勝戦進出者は、
滝沢和典(プロ連盟・A2・現王位)
猿川真寿(プロ連盟・B1)
小川 尚哉(プロ連盟・D1)
福島 直次郎(一般)
松井 直文(一般)

以上5名。

会場へと向かう途中、決勝を戦った昨年と、観戦記を書く今年では、テンションが全然違うなと考えながら、タイトル獲得に燃えた一年前の自分を想い返していた。

会場入りすると対局者や、記録者、立会人が揃っているのはもちろん、開始前にも関わらず、かなりの数のギャラリーが来ていて驚かされた。
滝沢にはプロ連盟の仲間が、猿川には静岡支部の仲間が、小川には若手プロや身近な友達が、それぞれ応援に駆けつけていた。
決勝戦において仲間の応援というのは本当に心強い。緊張がほぐれるし、ミスを指摘してもらうことで崩れたフォームを矯正することが出来る。
そして何よりも、目に見えない不思議な力を与えてくれる。

王位戦は5人打ちのため、一人一回の抜け番があり5回戦を戦う。その後一人が足切りとなり、残り2回戦を戦う。
抽選の結果、猿川、小川、松井、滝沢、福島の順番で抜け番が決まった。





一回戦 「王者の風格」


緊張気味の三者を尻目に、一人堂々としている滝沢が8巡目にノータイムで先行リーチを放つ。

 ドラ

の暗カン後、あっさりをツモり上げ2.000、4.000。
ツモって満貫、打点を求めるなら当然のリーチなのだが、決勝の大舞台で迷いなく普段通り打てるあたりが強さであろう。


滝沢 和典


次局も松井のポンテンをものともせず、あっさりリーチで2.600を討ち取り、後続を引き離す。

東三局一本場、ここまで緊張気味で受けに回っていた小川にチャンス手が入る。

 ポン ポン ドラ

10巡目にしてWは二枚、は一枚残っており大物手が炸裂するかと思われたが、ここは松井がリーチのみでかわす。

だが、この局を境に、戦いに参加していなかった感があった小川が、積極的に前に出るようになった。
私も昨年そうだったのだが、初めての決勝というのは「振込みできない」だとか「下手に思われたくない」などと、変な緊張がある。
小川の場合、大物手をかわされたことで、そんな思いが吹っ切れて、「自分の麻雀を打とう」と腹を括れたように見えた。

東四局、この半荘の勝負が決まる。
まず先手を取ったのは福島。

 ドラ

ここから6巡目にでチーテンを取り、打
今回の決勝の本命で現在トップ目の滝沢が親番だということ、を引いたら愚形の役なしテンパイになること、これまで自身がノー和了であることなどを考えれば、自ら雀荘を経営し毎日麻雀を打ち込んでいる福島らしい良い判断だと思う。
しかし、仕掛けの後、ドラをはじめ滝沢の手に三枚の必要牌が吸い込まれ、以下のテンパイが入る。滝沢は迷わずリーチ。



このリーチを受けた福島の次ツモは。これは切りづらいとテンパイを外すなら、打牌候補は。どちらもワンチャンス。
長考の末、福島が河に放ったのはだった。この11.600が決定打となり、5万点アップした滝沢のトップと、劣勢に立たされた福島のラスが決まった。

オーラス、松井との2着攻防戦を小川が制し、滝沢、小川、松井、福島の並びで初戦が終了。

一回戦終了時
滝沢 +37.2P 小川 +10.2P 猿川 ±0P 松井 ▲7.6P 福島 ▲39.8P




二回戦 「王者の煩悩」

ここから猿川が登場。
初戦抜け番の打ち手にとっての不安は、他三名が1回戦いを終えて「体が温まっている」状態なので、まずはテンションを合わせなければならないことにある。

しかし猿川は、周囲の心配をよそに東一局からリーチ。
これは不発に終わるも、東二局も南家で積極的に仕掛け、

 ポン ポン ドラ

これに、丁寧に対応しながらテンパイを果たした滝沢がリーチ。



2巡後、あっさりをツモり700、1.300。
王者にとって、すべてが順調にきている。そんな印象だった。

ときに、勝負の落とし穴とは、そういった場所にあるものなのだろう。
東三局、南家の滝沢は3巡目に、

 ツモ

ここから打
これを親番の猿川にポンされた14巡目、



このイーシャンテンからをツモ切りし、猿川に5.800の放銃となった。
二軒テンパイ気配に対してマンズを切れば安全ではあった。しかし、ここは果敢に攻めた滝沢、王位連覇の強い気持ちの表れであったが、結果とは言えこの放銃が二回戦マイナスの原因となった。

ここから福島が和了りを重ねてトップ、一回戦目のラスを挽回する形になった。
私は福島と数年前のマスターズベスト16のトーナメントで対戦したことがあるが、精神的に強く、へこたれないという印象を受けた。この半荘は、福島に印象どおりの力強さを感じた。


福島 直次郎


2着は猿川。不発も多かったが手数が多く、この決勝もどこかで爆発するのでは?と期待させてくれた。その期待は4回戦目に現実のものとなるのだが、それはまた後ほど。


二回戦結果
福島 +24.0P 猿川 +5.3P 松井 ▲8.0P 滝沢 ▲21.3P

二回戦終了時
滝沢 +15.9P 小川 +10.2P 猿川 +5.3P 松井 ▲15.6P 福島 ▲15.8P




三回戦 「王者の我慢」

三回戦目が始まる前、滝沢が、鎌田や石田ら、応援に駆けつけた仲間に呟いた。
やっちゃったかな。次もいいことないだろうな。」
何気ない一言だこれが滝沢の強さだと思う。

結果としての失敗を認め、甘んじて罰を受ける。口で言うのは簡単だが、七回戦という短期決戦の決勝で、これができる打ち手はなかなかいないのではないだろうか。

事実、再び訪れるであろうチャンスを信じて、王者は3回戦をきっちり我慢する 。


東一局、猿川が絶妙な牌の残しを見せ、7.700を和了り先手を取る。

のカンチャンからは外すが、両面のくっつきになるは外さずに、狙い通りの引きで、

 ドラ

このリーチを福島から討ち取った。
猿川は、的確に好形を作りながら、場に安い色に寄せて行く麻雀で、型にはまったときにはとことん加点してゆくので、見ていて心地よい。


猿川 真寿


次局も仕掛けて先手を取る。

 ポン ポン ポン ドラ

これを受けた滝沢は8巡目に、



この1シャンテンから1枚切れのを引き、打で1シャンテンを崩す。2巡後に、



この形でテンパイを入れなおすも、次巡ツモであっさりを抜く。結果、を暗刻にして、執念のテンパイを果たし流局。滝沢の苦悩が窺えた一局だった。

次局、親番の猿川が福島から7.700は8.000を和了り、持ち点を47.200点まで増やす。
これでほぼトップは決まりかと思ったが、ここから福島の大逆転劇が始まった。

東三局二本場、12.800点持ちの福島が、

 ツモ ドラ

これをリーチでツモ和了ると、続く次局もリーチで、

 ツモ ドラ

さらに、

 チー チー ロン ドラ

をリーチを掛けていた小川から討ち取る。

そして迎えた南二局の親番、

 ドラ

ペンを引き、リーチを掛けた瞬間に思わず、「これはツモったな。」と心の中でつぶやいたほど状態は仕上がっていた。
あっさりを手元に引き寄せた福島を見ても、さほどの驚きはなかった。

猿川の半荘かと思われた3回戦は、怒涛のラッシュで福島が制した。
オーラスの親番、やっと先手を取った滝沢が、これまでの鬱憤を晴らすような、

 ドラ

これをリーチ、高めのを手元に引き寄せた。
とにかく先手を取られたら受けに回り、ワンチャンスをものにして失点を最小限に抑えた。

三回戦結果
福島 +34.2P 猿川 +7.0P 滝沢 ▲8.1P 小川 ▲33.1P

三回戦終了時
福島 +18.4P 猿川 +12.3P 滝沢 +7.8P 松井 ▲15.6P 小川 ▲22.9P




四回戦 「王者の休息」

今回の抜け番は滝沢。
王者は何を思って、しばしの休息を過ごしたのだろう。
おそらく滝沢は、勝たなければならないという、一種の義務的なものを感じながら、次回以降の戦い方を考えていたのではないか。
決勝の舞台で本命を背負ったことはないが、そういう立場に置かれた人間の心理状況は、そんなもののような気がする。

四回戦は、東一局から激しい叩き合いになった。親・福島が13巡目にリーチ。

 ドラ

西家の猿川も、

 ポン チー

このテンパイで応戦するが、ここを制したのはテンパイ一番乗りだった北家の小川。

 ツモ

続く東二局、前局競り負けた猿川が7巡目リーチ。

 ドラ

力強くをツモり上げ、2.000、4.000。これに対し、小川も次局、

 ドラ

5.200を松井から討ち取る。

火花散る若手の争いは東四局一本場へ。

 ドラ

この猿川のリーチに、小川が攻めで飛び込んだ。

小川はこの後、南場で粘りの連荘を見せた福島に捲くられ、この半荘を3着で終えた。


小川 尚哉

四回戦結果
猿川  +27.6P 福島 +11.6P 小川 ▲5.4P 松井 ▲33.8P

四回戦終了時
猿川 +33.9P 福島 +30.0P 滝沢 +7.8P 小川 ▲28.3P 松井 ▲49.4P




五回戦 「王者の傍観」

トータルトップの福島が抜け番なので、皆ここでポイントを稼ぎたい所だ。
東1局、滝沢のリーチが不発に終わった一本場、ここまで良いところがなかった松井に大物手が飛び出す。
先手を取ったのは猿川、11巡目にリーチと出た。

 ドラ

場にマンズの下が安いと見ての決断、実際には山に二枚残り。このリーチを受けた松井の手順が光った。



ここにをツモり、七対子のイーシャンテンを拒否する打

イレブンPMを見て育ち、小島武夫に憧れていたという松井の三色狙いが見事にはまり、次巡ツモで追いかけリーチ。猿川から高めのを討ち取った。


松井 直文


点棒を支払いながら、じっと手牌を見つめる猿川。ここまで順調だっただけに、心中は穏やかではなかろう。

猿川が親番の東三局、ここまで静かだった西家・小川から10巡目にリーチの声。

 ドラ

きっちり高めをツモり上げ、3.000、6.000。
この親カブリで、猿川はついに6.200点まで点棒を削られてしまった。
しかし、猿川はここで終わってしまうような打ち手ではない。

東四局、自風のを暗刻にし、ドラ単騎の5.200を松井から討ち取った。
このとき、親の松井は、

 ドラ

この七対子ドラ2のテンパイから三枚目のドラを引き、手拍子でツモ切っての放銃。
イーペーコードラ3のテンパイにも取れたのだが、後味の悪い放銃となってしまった。

松井は南二局でも、ここまで激しい打ち合いを傍観していた親・滝沢の勝負手に飛び込んでしまう。

 ドラ

門前重視、手役狙いで戦ってきた松井だったが、残念ながら五回戦目をもって足切り敗退となってしまった。

五回戦結果
小川  +24.1P 滝沢 +11.4P 松井 ▲4.2P 猿川 ▲32.3P

五回戦終了時
福島 +30.0P 滝沢 +19.2P 猿川 +7.6P 小川 ▲4.2P 松井 ▲53.6P(足切り)




六回戦 「王者の失速」

これまでの5人打ちから4人打ちになり、ここからが本当の戦いとなる。
今回は全員に優勝の目が残されているので面白い。

東2局、トータルラスで後がない小川に大物手が入る。10巡目に、

 ポン ポン ドラ

そして次巡、猿川が渾身のリーチを放った。



テンパイした時点でが一枚、が一枚。猿川はが一枚と、どちらかの和了りが生まれそうであったが、は滝沢の手牌に吸い込まれ、は王牌に眠っていた。

東3局、滝沢がポンテンのタンヤオドラ3を福島から討ち取り、この半荘トップ目に立つ。
これまで歯がゆい思いをしながら観戦していた滝沢ファンも、そろそろ爆発を期待しているはずだ。

しかし、この期待とは裏腹に、滝沢失速の一打が東四局。



17巡目、親・猿川のテンパイ打牌に、南家・滝沢の手が止まった。
そして、小川の手牌が開かれ、滝沢の背後から大きな溜め息が漏れた。

福島から出た3枚目のにチー聴をかけなかった小川の腰の重さは見事、

しかもテンパイ時、のテンパイに取らずカン待ちに賭けた小川会心の一局であった

ならダマ聴で福島から出ている。滝沢には最悪の放銃だった。


次局、親番を迎えた滝沢、七対子の単騎選択で、和了りを逃した。

この後、小川がダメ押しの2.000、3.900を和了り、ダントツでこの半荘を終えた。
残すは、あと一半荘。

六回戦結果
小川  +37.4P 猿川 +7.4P 福島 ▲16.9P 滝沢 ▲27.9P

六回戦終了時
小川+33.2P 猿川+15.0P 福島+13.1P 滝沢▲8.7P



最終七回戦 「王者の至福」

滝沢の応援者の中では、諦めムードすら漂っている。
最終戦トップが大前提。さらに小川とトップラスでも11.900点差が必要。
そうなった場合、必然的に猿川か福島が2着になるので、そことも最低10.000点差をつけなくてはならない。
条件としてはかなりきつい。さらに日本プロ麻雀連盟の規定により、トータルトップ目の小川がラス親になるように場決めを行なった結果、滝沢は起家になってしまう。
滝沢が親番を迎えた際、他三名に親番が残っているため、条件に縛られることなく自由に打たれてしまう。これは、点数が必要な滝沢にとって、かなり不利な状況といえる。

東1局、4巡目に滝沢が、

 ドラ

ここから一枚目のを仕掛ける。ポンして2シャンテン、普段の滝沢なら仕掛けないであろう牌だ。それだけ必死な思いが伝わってくる。タイトル戦の最終局面では、気持ちが強いほうが勝つことが多い気がする。そういった意味で、滝沢はまだ死んでいない。
しかし、先にテンパイを果たしたのは猿川。

 ドラ

7巡目リーチのこの手牌、競技麻雀では愚形の5.200はリーチをしないのがセオリーだと思う。そんなことは猿川だって分かっている。
だが、彼は戦う気持ちを全面に押し出すために、あえてリーチを選択したのだ。
この判断が功を奏し、後筋を追った福島から8.000の出和了り。

東2局、高い手が必要な滝沢が配牌からホンイツ一直線。

 チー ポン ドラ

終盤にをツモり1.300、2.600。好感触だ。

東4局、トータルで猿川に追い抜かれている小川の親番。果敢に仕掛ける福島にリーチで真っ向勝負を挑んだ。

 ドラ

小川もまた、逃げてばかりでは勝てないことを感じているのだろう。
結果は福島への2.600放銃となってしまうが、ここに来て小川も気持ちが乗ってきている。

南1局、滝沢最後の親番。
ここで連荘しなければ現実的に連覇は苦しくなる。こんな状況でも、滝沢は腰が重い。15巡目に、

 ドラ

ここで、上家から出たを見送る。後に滝沢に聞いてみた。

「親が流れてしまったら現実的に終わりですよね?」
引きで勝負手になる。ここで軽い和了りは意味がない。だから、まだ我慢するんだよ。」
実際は16巡目にチー聴を取るのだが、この1巡の差が私と滝沢の格の違いなのだろう。私はここで腹を括れない。

流局後の1本場、滝沢の7巡目、



ここのも仕掛けない。私ならここも仕掛けて、他家にプレッシャーを掛けに行ってしまう。ましてや、最後の親番で七対子なんて怖くて狙いに行かない。
9巡目にを重ね、勝負リーチ。

 ドラ


ツモればトータルトップまで突き抜けるリーチに、ギャラリーの空気が沸騰する。

14巡目、福島がチー。猿川に流れる
「あの鳴きで下がったと思った。」と滝沢本人が感じたほど、絶望的な空気が会場を包んだ。
「もうダメか」と誰もが思った16巡目、応援者の思いが通じたかのように、滝沢の手元にが踊った。
その瞬間、「おー!!」と今回の決勝初めて歓声が上がった。

2本場は、猿川の仕掛けに、しっかりオリを選択する。
トータルトップに立った滝沢は実に冷静だった。
しかし、その15分後、麻雀の神様はまたしても滝沢に試練を与える。

南2局3本場、猿川が親番で粘る。
滝沢とは対照的に、バックでも、安くても、とにかく仕掛けて局面をリードしてゆく。
しかし4本場、テンパイ料をもらった次局、ついに猿川の仕掛けが咎められる。
トイトイを見ながらの積極的な形式テンパイで仕掛けるも、西家・小川の、

 ポン ポン ロン ドラ

このホンイツ仕掛けに飛び込み、3.900は5.100を献上。

南3局の親番で福島が小川から5.800を討ち取り、トータル成績は、

滝沢+ 30.8P 猿川+ 22.2P 小川+ 2.5P 福島▲ 2.9P

最も近いライバルだった猿川の親が落ちて、いよいよ滝沢の連覇が現実味を帯びてきた。

こんなときに、前述の試練が滝沢を襲う。10巡目に猿川が、




この捨て牌で、力強くリーチ。そして、ひときわ高いツモの発声。

 ツモ ドラ

自らの親を流され、苦しいところから「気持ちが楽になった」と猿川が語った会心の和了り。
4巡目の切りが秀逸で、チャンタと一気通貫を見ながら、丁寧に手役を狙った一打であった。
猿川もまた、「チャンスは何度も来るものではない。ここで安い和了りは意味がない。」そう感じていたのであろう。

そして、王位戦史上に残る、運命のオーラスを迎える。






もう一度点数状況を整理しておこう。

東家・小川 11.200点(▲0.6P)
南家・滝沢 51.400点(+27.7P)
西家・猿川 44.500点(+34.5P)
北家・福島 12.900点(▲19.0P)

小川は親なので、とにかく連荘を目指す。滝沢は1.600、3.200ツモか、3.900直撃条件。
猿川は和了るか、小川がノーテンで終了すれば優勝。福島は役満ツモ条件。






まずは0本場。



15巡目、南を仕掛けていた猿川が、にチーの声。ここで選択のとき。

 チー ポン

何を切っても聴牌のこの形、は現実的にありえないので選択肢は、打待ち、打待ち、打待ちの3パターンだ。
猿川はノータイムでを河に放った。この素早い打牌が猿川の強さである。
しかし、「ソバ聴を見せたくなかったし、福島さんが切っていたので。」と選んだで、猿川の手から優勝の2文字がこぼれ落ちる。
切りならをツモ、切りならの出和了りであった。

滝沢は絞りながらで手にならない。小川も聴牌が入りそうにない。猿川の優勝ムードが漂う。

しかし、神様は小川を見捨てない。12巡目のツモで自然と七対子に仕上がる。
最後の選択は17巡目。最終局面で少しでも足止めしたいところで、ノータイムでを選んでリーチ。1発でこれをツモり上げる。

一本場は九種九牌で流局し、二本場へ。

東家・小川 20.800点(+19.0P)
南家・滝沢 48.200点(+24.5P)
西家・猿川 41.300点(+31.3P)
北家・福島  9.700点(▲22.2P)

滝沢だけ状況が変化したので記したい。点差はそのままだが、二本場の分で1.300、2.600がOKになった。



やはり猿川が果敢に仕掛ける。勝負しなくてはならない滝沢が上家だけに、当然の戦略である。
絞れば手が遅れるし、何でも切ってしまえば自分のキー牌が出る可能性が高いからだ。

これに対し、1牌1牌慎重に打牌する滝沢が、1.300、2.600が確定する待望のを引いてリーチ。

親の小川はポンのバックで対抗するも、は滝沢に対子なので和了り目がない。
猿川も無筋が多すぎるので、受けに回っている。
1牌ツモるごとにギャラリーが息を呑む。は4枚残り。今度こそ長い戦いに終止符が打たれるのか?

しかし、待望のは小川にツモ切られた。条件を満たさないので当然の見逃し。しかし、はまだ3枚山に生きている。
小川と滝沢のツモ切りが続き、滝沢が最後のツモを河に置いた瞬間に、ギャラリーから大きな溜め息が漏れた。

三本場(供託1.000点)。

東家・小川 22.300点(+20.5P)
南家・滝沢 48.700点(+25.0P)
西家・猿川 39.800点(+29.8P)
北家・福島  8.200点(▲23.7P)

もはや滝沢は700、1.300でOK。



この局のターニングポイントは、猿川5巡目のチー。



ここからをチーするが、仕掛けなければその後のツモが、で、

 ツモ

この和了りがあった。

チーは早すぎる焦りとも見える。しかし、目の前の王位は余りにも大き過ぎた。勝てば猿川の麻雀プロとしての道は大きく開ける。どうしても身体は反応してしまうのかも知れない。猿川のアグレッシブな仕掛けが滝沢の手の進行を遅らせている事実もあり、作戦でもあろうか。


しかし、和了りを逃した可能性があるのも事実なのだ。最後は、バックのテンパイが入り、流局間際にチーテンを入れた小川との二軒テンパイとなるのだが、これだけ決めきれないと雲行きが怪しくなってくる。

四本場(供託1.000点)。

東家・小川 23.800点(+22.0P)
南家・滝沢 47.200点(+23.5P)
西家・猿川 41.300点(+31.3P)
北家・福島  6.700点(▲25.2P)

気づけば、小川が背後にぴったりとくっついている。この局、2.600オールを引き上がれば、次局は2軒テンパイまでなら手牌を伏せられる。
滝沢は条件がややきつくなり、再び1.300、2.600条件。



連荘を重ねるほどに、小川が調子を上げてきている。



このメンゼンテンパイが7巡目。手変わりが多いので当然のダマテンを選択する。
猿川は手牌がバラバラながら8巡目にチー。猿川の戦略は変わらない。
この好判断が功を奏し、滝沢はこの局を受け気味に進めることを余儀なくされる。

小川が待望のを引いたのは13巡目。小川、猿川共に模打に力が入る。滝沢は流局をひたすら祈る。
猿川がを河に置いた瞬間、ギャラリーから再び溜め息が漏れる。
局の途中は、誰もが息をすることにすら申し訳なさを覚えるほどの緊張感が会場を包んでいるのだ。

そして五本場(供託2.000点)。
長かった戦いは、ついに終わりを告げる。

東家・小川 24.300点(+22.5P)
南家・滝沢 45.700点(+22.0P)
西家・猿川 42.800点(+32.8P)
北家・福島  5.200点(▲23.7P)

滝沢の条件が厳しい。1.600、3.200ツモか3.900直撃、8.000の出和了り条件である。



小川、滝沢、猿川共に配牌が良い。小川が先手を取ってをポン、ホンイツ狙い一直線。
小川にとっても、ここは決めに行く局であろう。
滝沢も3巡目でWをトイツにし、配牌からドラも一枚、条件は整っている。
滝沢もこの局は絞らない。2局我慢し、ここがラストチャンスだと感じているのであろう。
親の小川のホンイツ気配にも、、生牌のとカブせてゆく。
その西を、小川がポンして積極的に押してゆく。
猿川もをカンして全力でテンパイを目指す。もはや、誰もが最終局面を感じている。
私も場の空気が変わったことを感じ、この局で優勝者が決まると思い、瞬きすらもせず卓上に見入っていた。

最速は小川。カンとカンの選択もノータイムで切り、は山に2枚残り。
2番手は猿川。のチーテンでカン、こちらは山に0枚。
そして、滝沢のおそらくラストチャンスになるであろうリーチが入った。山に2枚。
誰もが、流局での決着はないと思っている。
そして、猿川がを掴んだ。珍しく長考に入る。

比較的通りそうなを打てばよかったと、ある人は言う。
だが、私は違うと思う。猿川がここでを切るような打ち手なら、決勝の椅子にすら座っていないと思う。彼は自らの攻めの姿勢を崩さずに戦い抜いたのだ。「自分が(トータルトップなのに)関係ないところで決着はつけられたくなかった。悔しいけど面白かった」と笑いながら猿川は呟いた。

「カンはいると思っていた。3.200オールを和了れば勝てるって感じていました。」

小川は悔しそうに話すと、「明日は仕事なのでと」打ち上げの場から姿を消した。

 

が河に放たれた瞬間、堰を切ったように会場中に歓声が沸き上がった。


王位決定の瞬間

滝沢和典がシステム改定以降、初の連覇を果たした。

「自分らしく戦い抜いて、最高の結果を出せて良かった。」と滝沢は無邪気な笑顔を見せた。
それは、戦いを終えた勝負師が、一人の純朴な青年に戻った瞬間だった。

私は滝沢より1つ年下であるが、一年後、今の滝沢と同じ年になったとき、精神的・技術的にあれだけのレベルで打てる自信がない。
圧倒的な滝沢の雀力の高さを感じた決勝だった。

最終戦結果
滝沢 +42.2P 猿川 +8.3P 小川 ▲10.7P 福島 ▲39.8P

最終成績
滝沢+33.5P 猿川+23.3P 小川+22.5P 福島▲26.7P 松井▲53.6P










前列 優勝:滝沢 和典
後列 3位:小川 尚哉 2位:猿川 真寿 4位:福島 直次郎
5位:松井 直文

 


 

 

( 文責:増田 隆一 文中敬称略 )

 

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