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タイトル戦情報

第20期 麻雀マスターズ 

決勝観戦記

(執筆:瀬戸熊 直樹)


昨年度のマスターズ決勝対戦カードは、荒正義・沢崎誠・瀬戸熊直樹・樋口新。
戦前の予想は、樋口以外の誰かが獲るが大多数を占めた。

しかし、樋口は大方の予想を覆し、無欲無心で戦いに臨み、見事に勝利を収めた。
そして、年度末に行われたグランプリMAXでも決勝に乗り、敗れはしたが、「経験」という何事にも変えがたい財産を得て、
一回り大きくなって2年連続でこのマスターズの舞台に戻ってきた。

今回の決勝メンバーである、樋口新・西川淳・奈良圭純・泉亮多の4名の顔ぶれを見た時、
昨年度、一番優勝に遠いだろうと言われた男が、今年度は優勝候補癸韻箸靴討海両貊蠅傍△辰討たと感じた。

「優勝した、タイトルを獲得した」この事実がもたらす意味は非常に大きい。
「タイトルを獲得した事のある人間」と「初タイトルに挑戦する人間」の心理を追いかけながら戦いを振り返りたい。



1回戦(起家から、西川・泉・奈良・樋口)

東1局、親・西川が12巡目にリーチ。 

  リーチ ドラ   

高め三色のドラ筋、-待ちのリーチ。
一発ウラドラのあるこのマスターズルールで、これ以上にない最もリーチの打ちやすい手牌。
西川にとっても今日を占う絶好の手牌。
この時点で、山にはが2枚、が1枚残りとなっていた。



 

<西川 淳> 18期生 38歳  

普段はカルチャーセンターを経営し、麻雀の普及活動に力を注いでいる。
意気込みを語ってもらうと、「一生懸命打つだけです。この日に向けて体調を崩さないようにしてきました。支えてくれている方々の為に頑張ります。
そして、この舞台に立てて嬉しいです」と、4人の中で唯一「勝つとか、勝ちたい」と言う言葉を使わなかった。
一番落ち着いたコメントにも受け取れた。その余裕がこの手牌に繋がったのではないかなとも思わせる。

17巡目、安めのツモ。裏ドラもで4,000オールの引きアガリ。最高の部類のスタートを切る。
逆に次局、最悪のスタートを切る者が現れる。

東1局1本場、9巡目、南家・泉がリーチ。 

 リーチ ドラ

その泉のリーチに対して、無筋のと連打している、西家・奈良もテンパイ。

 ポン

同巡、樋口の手牌は、

  ツモ

を切れば-待ちのテンパイ。ただし、がドラまたぎで、リーチの泉と仕掛けの奈良に切りづらいのか少考。
樋口の手牌は、確かに打点も安く、待ちもそこまでいいとは言えない。
しかし、昨年の樋口なら、間違いなくを切って追いかけリーチをしていたはずだ。
樋口は自分でも明らかに、「今回は俺が優勝候補」と思っているはずである。そこに隙が出る。

のスジを頼って打とし、泉の当たり牌がこぼれる。
泉のリーチも安いはずだったが、予選から勢いのままに突っ走ってきた泉。
8,000点のアガリで、泉にとっては良いスタートとなった。

 


<樋口 新> 22期生 27歳

開始前コメントを求めると、「連覇めざして頑張ります、自信もあります。自分の麻雀(門前重視)を貫きます」と語ってくれた。
中部本部所属で、普段は麻雀店勤務。


 


<泉 亮多> 26期生 30歳

「ここまで残れたら、優勝を目指します。挑戦者の気持ちで、ベストを尽くせればいいと思います。
トーナメントでは、ずっと先行逃げ切りだったので、今日も最初から走って逃げ切りを狙います」
瀬戸熊:「普段、牌を握っている?」
「いえ、あまり握っていません・・ネットで麻雀を覚えて、今もネットでプレイすることが多いです。リアルで麻雀を打つのはネットに比べると少ないです。」
僕らの世代では考えられなかった麻雀とのふれあい方。普段は山形県で会社員として働いている。

優勝候補と見ていた樋口のあまりに手痛い戦いへの入り方。のちに、この放銃が樋口の致命傷となって最後まで残ることになる。
南場に入り点棒は、 

西川43,900
泉 31,300
奈良33,000
樋口11,800

こうなっていた。
南1局、次に奈良が初決勝の緊張感からか、手痛い放銃をしてしまう。

 ツモ ドラ

奈良5巡目の手牌だが、が2枚切れていない状況であるなら、ツモ切りもあるだろうが、
この場合はどうしてもペンがネックになりそうなので、打の方がやや良いように思えたのだが、奈良は打
次巡、ツモと来て、打リーチ。

  リーチ

最近流行り?の愚形安手先行リーチ。全く悪いわけではないが、言える事は1つ。
「こういうリーチは、絶対に結果をださなければならない」という事。
9巡目、親の西川が追いかけリーチ。

  リーチ

この時点で、奈良のマチは山に残り2枚。西川のマチは残り7枚。
結果は、火を見るより明らかであった。
奈良が西川に放銃。裏ドラも乗り、12,000点の手痛い出費となった。


 


<奈良 圭純> 22期生 29歳

「獲ります。」と一言だけ語ってくれた。
普段は麻雀店勤務。奈良はこの後、樋口にも追い抜かれラスとなる。


1回戦成績 

西川+38.7P  泉+12.9P  樋口▲16.6P  奈良▲35.0P

対局開始前、普段から打ち慣れている樋口と奈良が中心になる展開になると思っていたが、結果は真逆。
次戦以降、樋口と奈良が同じようなエラーをすれば、今回の決勝はそこで勝負がついてしまうような気がした。

ただ、実戦経験の少ない泉は、トーナメントのような3回戦では逃げ切ってここまで勝ち上がってきたが、
決勝は6回戦もあるだけに、勢いだけでは逃げ切れないだろうと思った。
そして、西川が次回もトップなら、7割くらいの確率で優勝するのではないかと思えた。

西川、泉、奈良の3名には、先頭に立った時、初めて味わう「初タイトル」の目に見えないプレッシャーが襲いかかることとなる。



2回戦(起家から 泉・樋口・奈良・西川)

東1局、前回の東1局と同じように親が先制リーチ。

 リーチ ドラ

そして、その親である泉がこれを簡単にツモリあげ、裏ドラも乗せて4,000オール。
親のピンフドラ1リーチが、異常に破壊力を生んでいる。泉の勢いは本物になりつつある。

東1局1本場、西川に突然の不幸が舞い降りる。

ドラがであるだけに、西川は打。これが奈良の高目に放銃。
よく見ていただければわかるが、奈良の待ち--は、手牌と河で11枚見えており、山にあと1枚。
完全に振り込み決着の構えとなっている。これが奈良の上昇のキッカケ。西川の下降のキッカケとなるような気がした。

しかし、西川も踏ん張る。東2局、西家で、

 リーチ 一発ツモ ドラ 裏ドラ

このリーチを、一発で高目をツモリアガる。
東3局は、復調気配の親番・奈良と、未だ上昇のきっかけすらつかめない樋口とのリーチ対決。

奈良

 リーチ ドラ

樋口

  リーチ

結果次第では、樋口の第20期マスターズがここで終わってもおかしくないリーチ対決。
軍配は樋口の高目を奈良が放銃。このあたりが樋口の強さであろう。
そして東4局は、放銃した奈良が今度は一発ツモ。

 リーチ 一発ツモ ドラ 裏ドラ

ようやく、マスターズ決勝に4人全員の気持ちが乗ってきた。若い人達はこういう麻雀こそが相応しい。
たとえ結果がどう出ようと、それが血となり肉となるからだ。

この半荘の決定打は、南1局1本場、親・泉。

この泉の仕掛けに放銃。
奈良は放銃にしても、を先に打って、テンパイして始めて打としなければいけない。今後の課題であろう。

2回戦成績 
  
泉+24.8P  奈良+14.7P  樋口▲10.7P  西川▲28.8P

2回戦終了時  

泉+37.7P  西川+9.9P  奈良▲20.3P  樋口▲27.3P



3回戦(起家から 泉・西川・樋口・奈良)

泉は宣言通り先頭にたった。しかし、ここはタイトル戦の決勝。
普段の稽古がものを言うのはここからである。
東1局、ようやく西家の樋口が先手を取る。8巡目にリーチ。

 リーチ 一発ツモ ドラ 裏ドラ

一発で高目をツモリ、2,000・4,000のスタート。
東2局、親・西川がリーチ。

 リーチ ドラ

愚形だが、親ならやや仕方なしか。同巡、北家・泉が追っかけリーチ。

 リーチ

しかし、勝ったのは西家・奈良。

 ポン ポン ロン

西川からが出て、8,000の出アガり。
泉、西川にかけている部分、稽古量の違いが顔を見せ始める。
そして、この半荘の決定打は意外な形で訪れる。

東4局、親・奈良。

配牌

僕は絶対にダブリーをしないが、奈良の選択はリーチ。
賛否両論あるだろうが、奈良がリーチをしてないと、アガリは恐らく西川。3巡目に、

この形になり、樋口のでロンの結果に。
しかし、奈良がダブリーを入れたために、西川はのトイツ落としへ。
そして7巡目、奈良がをツモリ4,000オール。奈良の積極性にツキも味方し始めた。

3回戦成績
   
奈良+44.7P  樋口+7.8P  西川▲13.1P  泉▲39.4P

3回戦終了時 
 
奈良+24.4P  樋口▲19.5P  泉▲1.7P  西川▲3.2P 



4回戦(起家から 樋口・奈良・泉・西川)

持ち直して先頭に立った奈良。しかし、奈良に当然、初タイトルのプレッシャーがかかり始める。
その異変は、東1局から表れ始めた。

3軒リーチにはさまれた奈良。17巡目にをツモった段階で大長考。
確かに3人の現物牌は1牌もない。戦いの後、奈良は「地獄単騎もあると思った」と語っている。

その感性は間違ってはいないが、最後にリーチを掛けた樋口が、役アリのリーチだとしたら、地獄単騎でリーチにくる可能性は限りなく低い。
ましてそうだとしても、ドラのを2枚抱えての七対子ならヤミテンにするだろう。
なぜなら、次のツモで2人の無筋を持ってくれば、さすがに待ちを変えることができるからだ。

そう考えれば、西川が16巡目に切ったを切ればいいのだが、奈良はを選択。
地獄単騎を考えれば、西川のリーチにが通る保証もなく、樋口に対しても同じことが言える。奈良の思考が少し重くなっている。

そして、東2局 奈良・親番。

 ツモ

奈良はここから打。気持ちが守りに入っている。これでは、追いかける樋口の方が経験上うえにくる。
次巡ツモ。2巡後ツモときて、本来なら、

こうなっているはずが、

こうなってしまい、13巡目のツモで1,000オールのツモアガリとなりはしたが、なんとも先行きが不安になる手順であった。
そして、樋口がその奈良の弱気を捕らえる。

南1局の親番で、

 ツモ ドラ

この4,000オールを引きアガリ、3人を置き去りにして、ようやく初トップをものにする。

4回戦成績    

樋口+26.5P  奈良+14.9P  泉▲10.7P  西川▲30.7P

4回戦終了時  
 
奈良+39.3P  樋口+7.0P  泉▲12.4P  西川▲33.9P



5回戦(起家から 西川・樋口・泉・奈良)

泉・西川は後がなくなった。樋口は絶対に奈良より着順が上になる事が目標。奈良はトップならほぼ優勝が確定する。
天王山の5回戦が始まった。

小場で迎えた東4局、奈良が親番で、

 リーチ ツモ ドラ 裏ドラ

この手牌をリーチしてツモリ2,600オールで一歩リード。泉・西川はこれでほぼ戦いから退く。
そして、最大の山場、南2局、樋口の親番。

持ち点、奈良39,600、樋口29,400。奈良はこの親番をしのげば優勝がぐっと近づく。
だが、樋口にも意地がある。1,500をアガリ、1本場・樋口渾身のリーチ。

 リーチ ドラ

しかし、流局。3本場となり、奈良37,000、樋口34,400となっていた。
ここで、樋口に痛恨のミスが出る。

開始前に樋口は「自分の麻雀を貫きます」と言っていた。
僕が「自分の麻雀とは?具体的に言うと」と尋ねると、「門前の麻雀です」こう答えた樋口。
しかし、南2局3本場の場面。

この西川のにチーの声をかけてしまう。
ホンイツドラドラの2シャンテンで、七対子ドラドラの1シャンテン。
これを鳴くのはあまり良い結果が出ないし、ましてや樋口自身の麻雀ではないのではないだろうか。
結果は、奈良のロン牌を樋口自身がつかみ、痛恨の親落ち。奈良はこの半荘をものにして、第20期マスターズに王手をかける。

5回戦成績    

奈良+28.3P  樋口+1.6P  泉▲8.9P  西川▲21.0P

5回戦終了時   

奈良+67.6P  樋口+8.6P  泉▲21.3P  西川▲54.9P



6回戦(起家から 西川・泉・樋口・奈良)

第4位 泉 亮多

勢いとは言え、トーナメントで数々の強豪を破り、決勝戦に乗ったことに胸を張って欲しい。
しかし、実戦不足を解消しなければ優勝は難しい事も覚えておいて欲しい。
泉:「悔しいというより、実力的にまだまだと感じさせられました。途中逃げの体制に入ってもしかしてと思いましたが・・反省しています」

第3位 西川 淳

中堅選手らしく、精神的には一番落ち着いていた。しかし、人に教える時間が長かった為、やや感覚不足になっていたのが残念である。
西川:「力が足りませんでした」
瀬戸熊:「今後の目標は」
西川:「麻雀の普及活動です」
その情熱には頭がさがる。

準優勝 樋口 新

追い上げ、タイトル戦決勝へのアプローチはやはり群を抜いていた。
しかし、らしからぬ入りと、最後の鳴きは実に惜しい。
樋口:「くやしいです。また次の機会を目指します」

優勝 奈良 圭純

最初の挑戦と言う事で、いろいろミスはしたが、想いの強さと普段の稽古が栄冠をもたらした。
これからは、タイトルホルダーとして高みを目指して欲しい。
奈良:「嬉しいとしか言いようがありません。」

 
 

優勝決定の瞬間

 

6回戦成績   

奈良+26.7P  西川+12.5P  樋口▲8.1P  泉▲31.1P

6回戦終了時  

奈良+94.3P  樋口+0.5P  西川▲42.4P  泉▲52.4P



途中、4人にとって、負けた方が財産になるような気もした今回のマスターズ決勝戦。
全員がそれぞれ個々の想いを込めた戦いは実にさわやかだった。
次の目標に向かって、それぞれが歩んでいって欲しいと思う。

 

 

 

 

 

(執筆:瀬戸熊 直樹 文中敬称略)

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