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タイトル戦情報

第28期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜最終日〜

(執筆:藤崎 智)


いよいよ最終日を向かえる。残り半荘5回戦の勝負である。
荒と右田の差が約50ポイント。瀬戸熊は157ポイント離されているため、勝負の行方は2人に絞られた。と、誰もが思っていた。
しかし、本当に強い者が本当に開き直った時、ここまで強くなってしまうのかということをみせつけられることになる。



16回戦(起家から、右田・荒・望月・瀬戸熊)

東1局(右田30,000・荒30,000・望月30,000・瀬戸熊30,000)
右田の4,000オールから幕を開ける。9巡目リーチで、

  リーチ  ツモ  ドラ

このあと東場は右田がうまく荒を封じ込める。


南1局(右田42,600・荒20,300・望月21,600・瀬戸熊35,500)
ダブ南ポンの荒に、不用意に切った8巡目、右田がツモ切ったで荒の手が開かれる。

 ポン ドラ

南4局(瀬戸熊36,100・右田38,600・荒26,700・望月18,600)
南1局に7,700の直撃をくらったが、それでも荒の先手先手の攻撃をしのいで、右田優勢で向かえたオーラス。
とにかく今鳳凰戦、オーラスの荒は要注意であり、右田もそれは十分わかっていただろう。前に出てテンパイまでは荒に先着する。
南家の右田の6巡目。  

 チー ドラ

しかし9巡目に、西家の荒が追いつきリーチ。
ここは右田も勝負所であろう。しかし、右田の一発目のツモはドラ
ドラはさすがに切りきれず迂回と思ったが、右田の手には荒の安全牌は1枚もない。
それでも何とかオリを試みるのだが、13巡目に1枚切れのをつかんで荒に放銃となる。

 

荒の待ちは右田が一発目につかんだ、ドラとのシャンポンであった。
もし私が右田の立場なら、完全に終戦宣言となってしまいそうだが、右田という男、かなり諦めの悪い男である。


右田 勇一郎

 

16回戦成績 
瀬戸熊直樹+14.1P  荒正義+7.7P  右田勇一郎+1.6P  望月雅継▲23.4P

16回戦終了時 
荒正義+106.9P  右田勇一郎+50.5P  瀬戸熊直樹▲43.7P  望月雅継▲113.7P




17回戦(起家から、右田・望月・荒・瀬戸熊)

東2局(望月34,000・荒29,000・瀬戸熊29,000・右田28,000)
今鳳凰戦、荒と瀬戸熊はお互いを常に意識しながらの戦いであった。
しかし、相手を押さえ込むといった技術では、さすがに荒のほうが1枚上手だったようだ。
それが現在のポイント差そのものであろう。

ボクシングに例えるとわかり易いと思う。技術に勝る荒は、瀬戸熊のパンチをかいくぐり、手数で相手を圧倒して少しずつポイントを稼いでいく。
対するパンチ力で上回る瀬戸熊は、小さいパンチを捨てて大きく強いパンチで一発を狙う。
荒ほど防御力のある選手には、なかなか大きいパンチは当たらないが、一発当てれば流れを変えることができる。
17ラウンドまでかかって、ようやく荒をとらえた。

東3局(荒23,800・瀬戸熊34,200・右田28,000・望月34,000)

親番である荒の先制リーチを受けた瀬戸熊だったが、12巡目に追いつく。後日聞いた話なのだが、荒の待ちは-一本に絞っていたそうだ。
ならば、慌ててリーチと行かなかったのもうなずける。すでにこの時点では表現は悪いかもしれないが、荒のリーチを見下ろしていた。
2巡後、を引いて満を持してリーチと行く。これを一発目に荒から討ち取った。

 ロン ドラ

瀬戸熊台風が吹き荒れる暴風域の真っ只中、右田の粘り強さが光る。
粘りと根性なら右田が4人の中で一番である。

 

17回戦成績 
瀬戸熊直樹+29.4P  右田勇一郎+5.9P  望月雅継▲15.5P  荒正義▲19.8P

17回戦終了時 
荒正義+87.1P  右田勇一郎+56.4P  瀬戸熊直樹▲14.3P  望月雅継▲129.2P




18回戦(起家から、瀬戸熊・荒・右田・望月)

瀬戸熊台風はさらに勢力を強めて近づいてきています。ご注意ください。といわれても何ともならないのがこの台風。


瀬戸熊 直樹


まさに天災だと思って諦めて、鍵をかけて家にこもっているのが一番の得策である。
他の3人も心得たもので、外を出歩く人の姿が見当たらない。

では、瀬戸熊のアガリをノーカットでお届けします。

東1局、東家。

 リーチ ツモ ドラ 

リーチでツモって4,000オール。東1局2本場、東家。

 リーチ ロン ドラ 

リーチでアガって3,900は4,500。東2局、北家。

 ツモ ドラ 

300・500。東4局・南家。

 ツモ ドラ 

リーチでツモって2,000・4,000。南2局、北家。

 ツモ ドラ 

リーチでツモって2,000・3,900。持ち点60,600で台風は去った。
荒・右田の対応も見事なものである。最小限の被害でくい止めた。

18回戦成績 
瀬戸熊直樹+42.6P  荒正義▲6.6P  右田勇一郎▲11.4P  望月雅継▲24.6P

18回戦成績 
荒正義+80.5P  右田勇一郎+45.0P  瀬戸熊直樹+28.3P  望月雅継▲153.8P



19回戦(起家から、望月・瀬戸熊・荒・右田)

瀬戸熊の3連勝でわからなくなってきた。逃げる荒に、右田は35.5ポイント差、瀬戸熊も52.2ポイント差まで追い上げてきた。
残り2半荘と考えると、52.2ポイント差も厳しいが、上に2人いるのは更に苦しい。
瀬戸熊が、奇跡の大逆転を演出するためには、トータルトップと30ポイント以内か、または1人をかわしてトータル2位に浮上しておきたい。

東3局1本場(荒34,600・右田25,400・望月33,900・瀬戸熊26,100)
荒が小さいながらも3連続でアガって向かえたこの局。
南家の右田の13巡目。

ダブ東とをポンしている荒の直前の手出しで、右田がこのを抑える。このの抑えが、鳳凰位をグッと引き寄せることになる。
次巡、を重ねると17巡目にを引き入れテンパイをはたすと、ハイテイで宝を掘り当てた。

 ツモ ドラ

南1局(望月33,800・瀬戸熊23,500・荒30,000・右田32,700)
今度は荒が瀬戸熊と勝負の局。瀬戸熊はこの半荘、少なくとも沈むわけには行かない。
まずは南家の瀬戸熊が9巡目にリーチ。

 リーチ ドラ

対する荒は、12巡目にをチーして追いつく。

 チー ドラ

お互い高目安目ともに1枚ずつ残っているシャンポン対決は、瀬戸熊が高目のをツモり決着。

南2局(瀬戸熊28,700・荒28,700・右田31,400・望月31,200)
瀬戸熊にとって、アガリが点で終わるか線で繋がるか大切な1局。10巡目、大きな意味を持つ親番での先制リーチを打つ。

 リーチ ドラ

この時点で、山には3枚残り。ツモリアガるようなら4連勝となり3連覇がみえてくる。
しかし無常にもツモれず。

南2局1本場(瀬戸熊30,700・荒27,700・右田30,400・望月30,200)
今度は右田にチャンスで、瀬戸熊には大ピンチとなる。
10巡目の西家の右田。

 ポン ドラ

これは右田にチャンスではあるが、瀬戸熊にとっての大ピンチというわけではない。
11巡目、北家の望月からいかにもピンズの一色手という捨て牌でリーチがはいる。


望月 雅継

 

 リーチ

このリーチ、ツモれば4,000・8,000で瀬戸熊は親カブリである。ツモられればほぼ終戦であろう。
この時点で右田の-は山に5枚、望月のは山に3枚で、右田が少し有利に思えるが、右田がピンズや生牌の字牌をつかめば迂回を余儀なくされる。
そう考えると望月が有利にみえる。

結果は、望月が一発目にをつかんで右田のアガリとなり、このままトップで逃げ切る。
荒が小さいながらもラスで、右田が荒に肉迫する。瀬戸熊もかろうじて浮きをキープして、最終戦に望みをつないだ。

19回戦成績 
右田勇一郎+14.1P  瀬戸熊直樹+4.9P  望月雅継▲7.7P  荒正義▲13.3P  供託2.0P

19回戦終了時 
荒正義+67.2P  右田勇一郎+59.1P  瀬戸熊直樹+33.2P  望月雅継▲161.5P  供託2.0P



20回戦(起家から、右田・瀬戸熊・望月・荒)

30時間を超える熱戦もいよいよ最終戦を向かえる。条件を簡単に確認しておく。
まず、荒と右田はほぼ着順勝負と思っていい。厳密にいえば少し違うのだが、それはまたオーラスの時点で。

瀬戸熊は、この半荘の順位の並びにもよるのだが、だいたい荒と右田の両方を沈めて大きめのトップをとるか、
荒・右田に素点で約30,000の差をつけるかがだいたいの目安である。
それでは波乱万丈だった20回戦を振り返ってみたい。

東1局(右田30,000・瀬戸熊30,000・望月30,000・荒30,000)
※連盟競技規定により、タイトル戦決勝の最終戦は、トータル2位が起家→3位が南家→4位が西家→1位がラス親となる。
親番の右田が11巡目に強烈な先制リーチを放つ。

 リーチ ドラ

何が強烈かというと、もちろん対戦している右田自身はわかるはずもないが、安目のが2枚、高目のは4枚全て山に眠っている。
11巡目のリーチで、山に6枚残りは私もあまりみた記憶がない。
これを17巡目にでツモって4,000オール。

東1局1本場(右田42,000・瀬戸熊26,000・望月26,000・荒26,000)

8巡目も七対子ドラドラのリーチ。
もう少しアガリやすい待ちになるまで待つ手もあるが、ここは即リーチで右田が躍動している。
この時の荒の手牌。

 ドラ

ここから一発でをつかみ迂回するのだが、安全牌は1枚のみ。の順でツモってきてと河に並べる。
もし荒が、右田のリーチを無視していけば9巡目に、

こうなり、次巡のでツモっていた。
最終日、ここまであまり状態が良くない荒に、親の右田のリーチを無視することはさすがにできないが、もし右田がヤミテンを選択していたら、
荒が2巡後にはツモアガっていたということである。

この時点で右田のテンパイ即リーチが正解だったようで、これは山に残り1枚のをツモリそうな雰囲気がしていた。
だが、思わぬ展開が待ち受ける。右田のリーチに1メンツ落とした荒に、12巡目手が高くなっての追いかけリーチがはいる。

 リーチ

この時点では、右田の2は1枚、荒の高目と安目ともに2枚ずつの計4枚。
枚数は荒が圧倒しているが、右田がツモか、荒からの直撃で勝負が決まりかねない。
息詰まるめくりっことなったが、2人の当たり牌合わせて5枚は、全て王牌に眠っていた。

東3局(望月23,900・荒22,500・右田40,800・瀬戸熊31,800)
右田にかわされた荒も、必死に右田を追いかける。12巡目リーチ。

 リーチ ドラ

これも不発で、1人テンパイで流局。
南1局(右田43,100・瀬戸熊30,800・望月20,600・荒24,500)
荒の東場の親番は、右田に軽く捌かれ、向かえたこの局。荒8巡目リーチ。

 リーチ ドラ

これも不発で、この半荘、早くも満貫級のリーチを3回からぶっている。
南2局1本場(瀬戸熊32,300・望月19,100・荒26,000・右田41,600 供託1,000)
荒、4度目の正直は8巡目のこのリーチ。

 リーチ ドラ

これを12巡目にツモって2,000・3,900。
この時点で、実質瀬戸熊は終戦となり、優勝争いは右田が荒をトータルで200点リードしているという状況となった。


荒 正義

 

南3局は、荒が流局寸前にテンパイを入れ、これで、逆に3,800点リードでオーラスを向かえる。
南4局1本場は流局し、右田はテンパイすることができなかったのだが、荒も右田がノーテンの確証がないので、ノーテンとはできず荒の1人テンパイ。

南4局2本場 (荒7,800リード)
右田の条件は7,700をアガるか、1,300・2,600をツモるか、または3,900を荒から直撃するかであり、もし流局なら荒はノーテンにできるので荒の優勝が決まる。
右田6巡目にをチーしてチンイツへ。そして14巡目にテンパイをいれた。

 チー ドラ

しかし、このは四暗刻狙いの瀬戸熊の手にも4枚。
流局後、荒は右田のテンパイを見て冷や汗だったであろう。
とにもかくにも荒の優勝が決まった瞬間だった。

20回戦成績 
右田勇一郎+18.5P  荒正義+14.2P  瀬戸熊直樹▲8.7P  望月雅継▲24.0P

20回戦終了時 
荒正義+81.4P  右田勇一郎+77.6P  瀬戸熊直樹+24.5P  望月雅継▲185.5P 供託2,0P



4位に終わった望月は、初日から状態が悪過ぎた。
そのため、自分の土俵で戦う事ができずに少しスピードを意識した麻雀を打った。それは、今鳳凰戦を最後まで諦めなかった証である。
自分のスタイルを最後まで貫けば、これ程の大差にはならなかっただろう。
最終的には大差の敗戦になる確率は高くなるかもしれないが、わずかでも奇跡の大逆転の可能性を求めた結果であろう。
本人も覚悟の結果だったと思う。

3位の瀬戸熊は、負けて尚強しの内容だった。3日目の最後の2ラスが悔やまれるが、最終日の猛反撃は見事であった。
この有言実行の男が5連覇を口にした以上、いつかは達成してくれるだろう。やぶれはしたが、私の連盟最強の評価は変わっていない。

そして、私の想像をはるかに超えていたのが準優勝の右田である。
スコア的にも荒にかなり離されて、もう終わったかなと思う局面が何度もあった。しかし、彼は最後まで諦める事をしなかった。
あの2度にわたる歴史的な逆転負けが、彼を大きく成長させたのだろう。自分がされたのなら、自分にもチャンスはあるはず。
最後まで歯をくいしばって戦った。その結果が、最終的にはテンパイ、ノーテンの差まで荒を追い詰めた。

鳳凰戦の長い歴史の中で、ここまで盛り上がったオーラスは記憶にない。
彼は近い将来、タイトルホルダーの仲間入りをするだろう。その時は、心からお祝いしてあげたい。

そして最後は優勝した荒。
彼に関しては、私ごときが今さら称賛する必要もあるまい。
私自身A1はまだ2年であるが、生きる伝説の荒とA1で真剣勝負ができたことを誇りに思う。
荒といえども人間である。いつの日か荒正義の名前がA1から消える日が必ず来る。
それがいつになるかは誰にもわからない。荒本人でさえもわからない。
しかし、それ程遠い未来ではないだろう。だから言いたい。

今プロリーグに参加している全ての若者達よ、荒正義とA1リーグで戦う事を1番の目標にしてほしい。
技術や精神論を後輩達に教えていくのも確かに先輩の仕事である。しかし、先輩達の伝説を後世に伝えていくのもまた大切な仕事であろう。
荒の伝説を後輩に伝えていく時、実際に体感した者とそうでない者では信憑性が違ってくる。
そのために残された時間は決して多くないはずである。


 

 


(執筆:藤崎 文中敬称略)

                              

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