日本プロ麻雀連盟
プロ連2
日本プロ麻雀連盟HOME 日本プロ麻雀連盟のご案内 牌譜データサービス ロン2のご案内 タイトル戦のご案内 インフォメーション プロ雀士情報 雀力アップ
ホームタイトル戦情報鳳凰位戦 > 第28期 鳳凰位決定戦

タイトル戦情報

第28期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜三日目〜

(執筆:藤崎 智)

 

2日目の激闘から1週間が経過していた。
トータルトップの荒と、2位の右田にとっては、明日の最終日勝負になるだろう。
その明日に、良い状態でつなげるための“今日という日”、という位置付けになるのであろう。

3位の瀬戸熊にとっては、荒との差の80ポイントはそれほど問題ではないのだが、荒のすぐ下に右田もいる。
2人を追いかけると考えると、最終日はせめて50ポイント以内の差に縮めておきたい。3連覇に向けて大切な1日だろう。

4位の望月は開き直ってくるだろう。もちろんポイント的にはまだまだ可能性は残しているが、過去の例から考えてもかなり苦しいポイントである。
普通ならば、半分諦めモードになってもおかしくはないが、今年はニコニコ動画で生配信されており、地元静岡を筆頭に、大勢のファンが応援しているはずである。
鳳凰位という目標は一時倉庫にしまったとしても、彼には応援してくれる大勢のファンに望月流のおもしろい麻雀をみせるという使命感があるはずである。
これが結果としていい方向にでればまだまだ最終日、鳳凰位の目標を倉庫に取りにいくことになる可能性は十分ありえるだろう。

この1週間の過ごし方は選手によってそれぞれだろうが、観る側からすれば待ちに待った1週間だったのではないだろうか。
それでは3日目からの4人の熱き闘牌を振り返ってみたい。




11回戦(起家から、荒・右田・瀬戸熊・望月)

東2局1本場(右田29,900・瀬戸熊32,100・望月28,500・荒28,500)
この11回戦は小場の半荘となった。誰1人決定打を繰り出せずに終わるのだが、その中でも右田がみせてくれた。
アガリこそ派手ではなかったが、3日目のスタートということで、他の3人が今日の自分の状態を探っていた中、
右田1人が、今日が勝負と言わんばかりに最初からアクセル全開である。

親番の右田の配牌。

  ドラ

ここからを切り出すと、南家・瀬戸熊がポン。
さらに3巡目、北家の望月からもポンした瀬戸熊の捨て牌は、

捨て牌は全て手出し。ソーズのホンイツにみえるが、そう決め付けるのは無理であろう。ちなみには1枚も見えていない。
一方、まとまった配牌をもらっていた右田は、ツモ切りが続いた8巡目に生牌のをつかみ、迂回を余儀なくされる。

さらに次巡をつかむ。普通ならこの時点でほぼベタオリになると思うのだが、が暗刻で雀頭のマンズ待ちなどがあったら諦めるとばかりに、
マンズやピンズの脂っこいところは全てノータイムで切り捨て、流局で瀬戸熊と共に2人テンパイで親権をキープしている。

東3局(瀬戸熊33,600・望月22,500・荒29,900・右田34,000)

7巡目にテンパイしていた右田が、荒の仕掛けに対してこのもノータイムでツモ切っている。
もちろん荒のドラ暗刻は読み易いが、もしかしたらホンイツもありえるし、荒が好形でテンパイしていた場合はカンされる可能性もある。
それで、リンシャンでツモられれば12,000の責任払いになる。よほど暗刻で、しかもカンされない自信がなければ切れないである。

南4局(望月22,700・荒30,200・右田30,000・瀬戸熊37,100)
荒と右田は浮きで終わらせたい。瀬戸熊ツモアガリなら1人浮きになる。そんな子方の3人の思惑を受けた親番の望月の12巡目。

もし場況が、関係無い何切る問題ならば切りも十分考えられるのだが、この点棒状況に3人共仕掛けているという状況。
ここは私も含めて、ほとんどの人が暗カンを選択するだろう。しかし、望月はあえてをツモ切っている。
これは、決して視野が狭いわけでも、場を見ていないわけでもない。

もちろん、この状況でを切れば、かなりの高確率で誰かに「ロン」と言われることは百も承知である。
また、もしこので振り込んだ時の、ニコニコ動画を見ているファンの人の評価も十分理解していることだろう。

これは私の推測だが、彼はまだまだ今鳳凰戦を諦めていなかったのであろう。
これだけ不利なポイント状況を逆転するためには、このを通して6,000オールに仕上げられるようでなければならないと考えたのだと思う。
彼の真摯な麻雀プロとしての性格が切らせただったと思う。

そして、望月に対して半分は諦めムードと思っていたことを謝らねばならないだろう。
そんな奥の深いの振り込みであった。この彼の真摯な姿勢が、あの大爆発につながったのではなかろうか。

11回戦成績 
瀬戸熊直樹+16.1P  荒正義+3.2P  右田勇一郎+1.0P  望月雅継▲20.3P

11回戦終了時 
荒正義+56.8P  右田勇一郎+45.8P  瀬戸熊直樹▲9.8P  望月雅継▲92.8P



12回戦(起家から、瀬戸熊・望月・右田・荒)

東1局2本場(瀬戸熊38,200・望月26,600・右田27,600・荒27,600)
親番の瀬戸熊が先行しての2本場。南家・望月の12巡目。

 ドラ

これを望月らしい手順でテンパイ即リーチといく。
ここまでは何度かみた光景なのだが、このあとが見た記憶がない光景だった。
このを気持ち良く一発目にツモった。

東2局(望月35,100・右田25,400・荒25,400・瀬戸熊34,100)
配牌には恵まれた親の望月。

  ドラ

前局の気持ちいいアガリと、この親番での好配牌。望月にとっては、今鳳凰戦最大の勝負所といっても過言ではあるまい。
望月自身もそう思っているらしく、第一打から小考する。

ドラがでなければ切りで簡単なのだが、ドラのの2枚を必ず使い切ると考えると、打牌候補はの3種類となる。
普段の望月ならといきたいが、この勝負所と読んだ局に保険もかけておきたい。

結局、手広く打としたのだがこれが大誤算。3巡目にを持ってくる。
こうなれば、せめて234の三色になってくればいいのだが、次の4巡目にをツモって三色も崩れてしまいこの形。

 

一応、1シャンテンではあるが、--を引いて即リーチといくのも少しもったいない気がする。
ちょうどそのタイミングで、上家の瀬戸熊から1枚目のが切られる。

「おっ、これでのフリテンをリカバーできる。鳴いてと切っていけばいい。」と、これが私を含め凡人の発想である。
だが、望月はこのに手が止まって長考に入る。鳴くか鳴かないかで考える望月を今まで見たことが無い。
いかにこの局を大事だと思っているかわかる。
そして数秒後、一言「すいません」と彼らしいはっきりした口調で対局者にお詫びしツモ山に手を伸ばした。

だが、これを考えた上に鳴かないのはかなりの決断である。
もはやが暗刻にならないかぎり、切り飛ばしていって-のフリテンリーチも辞さない構えにほかならない。

をポンすれば5,800の1シャンテンであるがために、--を引いてドラを切ってリーチでは意味がわからない。
それは、一発や裏ドラのない競技ルールで戦うプロの選択肢にはおそらく入っていない手筋のため、
を考えた上で鳴かない時点で、この手はフリテン含みの2シャンテンということになる。

我々に感動を与えてくれるか、それとも「もっち(望月)らしいや」で終わってしまうかどちらかだろう。
そしてわずか6巡後に、6,000オールをツモる男がそこにはいた。

 リーチ ツモ 

南場の親2本場の時点で、80,000点オーバーと望月が大爆発したのだが、とにかくこの半荘はニコニコ動画の書き込みがすごかった。
これだけ劣勢になっても、ずっと観てくれて応援してくれるファンが望月には大勢いたということにほかならない。


望月 雅継

 

この温かいたくさんの応援メッセージを解説しながら見ていて、プロとは何かを考えさせられた。
そして、これだけは一言コメントを入れておきたい。こんな半荘でも、最後に荒は浮いていた。やはりしっかり者である。

12回戦成績 
望月雅継+43.4P  荒正義+4.8P  右田勇一郎▲27.1P  瀬戸熊直樹▲27.1P

12回戦終了時 
荒正義+61.6P  右田勇一郎+18.7P  瀬戸熊直樹▲30.9P  望月雅継▲43.4P



13回戦(起家から、右田・荒・望月・瀬戸熊)

南2局(荒27,500・望月22,100・瀬戸熊38,400・右田32,000)
この局が瀬戸熊にとって痛恨の大きな1局となった。

東1局からのリードを守ってここまでこぎつけている。
前の半荘で荒が抜け始めた印象があり、ここは荒を沈めたままでトップをとりたい西家の瀬戸熊の8巡目。

 ポン ポン ドラ

ホンイツに向かう手もあるが、この局の最大のテーマは、荒の親を流す事にある。従って、瀬戸熊は打でとりあえずテンパイをとる事を選択する。
ちなみに、瀬戸熊自身もホンイツを目指していたので、捨て牌はマンズのホンイツにみえる。

親番の荒もドラドラをかかえているため、ただオリることを良しとせずに抵抗を始める。

 

ここから右田の切ったをチーして打とする。
この状況でこの仕掛けでは厳しいのを承知で、もし流局して親権をキープできれば儲けもの、といった仕掛けであろう。
だが、このリャンメンのチーが思わぬ展開を呼び込む。

この後の荒のツモもまたすごい。チーの後のツモがで12巡目にこの形。

 チー

は生牌。荒も瀬戸熊の仕掛けはホンイツで、当然テンパイしていると読んでいたそうだ。
なので、にくっついてもが瀬戸熊にポンされているため好形にはならず、の勝負はできないだろう。

2巡後に動きがある。まず瀬戸熊が12巡目にドラをつかむ。この時は荒のリャンメンのチーをみて、ドラは2枚以上のタンヤオだと読んでいたそうだ。
ここで打として迂回する。しかし荒からみれば打なら瀬戸熊の待ちかえの打牌にみえる。

そして13巡目の荒のツモはが切りきれないために、目をつぶっての勝負である。
立場は逆転した。荒の打をみて瀬戸熊の手牌には荒に対して打てる牌がないのである。
そして運命の19巡目。瀬戸熊の最後のツモでをつかんでの放銃となった。

瀬戸熊にとっては点棒の12,000よりも、精神的に大きなダメージをくらったようで、今日の残りの半荘2回にまで響いたようである。
本人も驚きの、最終日の大爆発があったのにもかかわらず、この後の2半荘に我慢しきれず、荒、右田にわずかに届かずという結果になってしまった。
この振り込みによる精神的ダメージが、今回の3連覇を逃した原因だろう。


瀬戸熊 直樹

 

南4局1本場(瀬戸熊43,100・右田35,400・荒26,300・望月15,200)
荒への12,000の打ち込みの後、1,000・2,000、3,900オールとツモって、完全に立ち直ったかにみえた瀬戸熊に対して、
今鳳凰戦オーラスに強い荒が三度みせてくれた。西家・荒の8巡目。

 ドラ

この時点で荒が浮くための条件は3,900のアガリである。このままでは足りないのでとりあえずヤミテン。
10巡目にを引いてタンヤオに変わり、これでリーチでツモれば条件クリアなのだがまだヤミテン。
ちなみに、場にはが1枚切られているだけである。

その後、12巡目に右田のリーチを受ける。これで、荒はリーチなら出アガリでも浮きとなった。
右田になら振り込んでもラスにはならないので、ツモ切りで追いかけると思いきやまだヤミテン。

13巡目にをつかんで打で迂回。しかし、も右田には通っておらず一歩間違えると非常に危険な迂回にみえる。
と、凡人達の心配をよそに、結局18巡目に、

 ツモ 

この2,000・3,900で右田をかわしてしまう。どうも我々とはみえているものが違うようである。


荒 正義

 

13回戦成績 
瀬戸熊直樹+17.1P  荒正義+8.5P  右田勇一郎+3.3P  望月雅継▲28.9P

13回戦終了時 
荒正義+70.1P  右田勇一郎+22.0P  瀬戸熊直樹▲19.8P  望月雅継▲72.3P



14回戦(起家から、望月・瀬戸熊・荒・右田)

南1局(望月22,300・瀬戸熊27,600・荒35,900・右田34,200)
望月はこの時本当に歯がゆかったであろう。12回戦であれだけの大爆発をみせたのに、次の13回戦は1人沈みのラス。
11回戦も1人沈みのラスだったので、今日の3回戦のトータルでいえば、ほぼゼロである。

この半荘の東場も、その歯がゆさに追い討ちをかける展開で、チャンス手は来るのだが早い段階の1シャンテンが全くテンパイすらしない。
さすがにこの半荘もラスで終わるようなら終戦であろう。そんな最後の親番なのだが、右田からダブリーが入ってしまう。

ここは開き直って真っ直ぐいく。ドラのも切りとばした6巡目。

 ドラ

ここで上家の右田の切ったには全く反応しないのはさすがである。次のをチーして、で右田から討ち取った。

 チー ロン

これでなんとか首がつながったが、まだまだ正念場は続く。
一方の右田は、首をかしげる展開であっただろう。しかし、ここからが右田の本領発揮であった。

南3局(荒39,800・右田19,300・望月34,900・瀬戸熊26,000)
7巡目、ドラを重ねてこの形の南家・右田。

 ドラ

しかしこの時、下家である望月がをポンしてピンズ模様。
が鳴けることは考えづらく、へたにピンズを下ろすわけにもいかないほぼ詰みに近い状態。
ここから右田らしい粘りで、ピンズを完全に押さえ込んでテンパイをいれて、1人テンパイを勝ち取る。

南4局1本場(右田22,300・望月33,900・瀬戸熊25,000・荒38,800)
この局が右田の真骨頂ではないだろうか。10巡目、親番の右田の手牌。

 ドラ

すでにドラのは2枚切られていてヤミテンへの放銃はあまり怖くないとみるや、ここから瀬戸熊の切ったをポンと仕掛ける。
この時点で浮いている荒と望月は、苦しい待ちではあるがテンパイをいれていた。

右田の仕掛けはほぼ形テン狙いであろう。
しかし、もし流局までいったとすれば、テンパイで連荘できるか、それともラスのまま終わるかでは大違いである。
2局続けてのこの粘りが、このあとミラクルを生む。ここからとたて続けに引き入れて17巡目に、

 ポン ツモ 

右田本人には怒られるかもしれないが、決して美しくはないこの泥臭いアガリが右田の持ち味であると私は思っている。


右田 勇一郎

 

14回戦成績 
右田勇一郎+13.6P  荒正義+9.3P  望月雅継▲4.2P  瀬戸熊直樹▲18.7P

14回戦終了時 
荒正義+79.4P  右田勇一郎+35.6P  瀬戸熊直樹▲38.5P  望月雅継▲76.5P



15回戦(起家から、右田・荒・瀬戸熊・望月)

さて、いよいよ3日目も最終戦をむかえたが、この半荘は右田ワールド全開の半荘となった。

東3局(瀬戸熊26,700・望月22,200・右田35,200・荒35,900)
誰のリーチも仕掛けもない9巡目、西家の右田の手牌。

 ドラ

これをヤミテンに構え、瀬戸熊からで2,600。
東4局1本場(望月25,100・右田38,800・荒35,900・瀬戸熊20,200)
今度は、5巡目と早いテンパイの南家の右田。

 ドラ

これもヤミテンで、ふたたび瀬戸熊から高目の5,200。
南3局(瀬戸熊22,700・望月24,100・右田39,300・荒33,900)
6巡目の西家・右田の手牌。

 ポン ツモ ドラ

ここから打として一番手広く受ける。そして9巡目、

 チー ポン ロン 

三度振り込みは瀬戸熊。最速のアガリ手順なのだが、競技ルールでこの2,000点は結果的に甘かった。
なんせ、右田の相手はプロ連盟の生きる伝説と呼ばれる男である。

南4局(望月24,100・右田41,300・荒33,900・瀬戸熊20,700)
4巡目、リーチは西家の荒。

 リーチ ドラ

これを一発目にでツモリあげ、またもやオーラスに存在感を存分にアピールしてトップをまくる。
こうなると、右田のヤミテンの攻めと、点数を落としての最速アガリが少し悔やまれるような気もするが、やはりアガった荒を賞賛すべきであろう。

しかしまくられた右田よりも、この三度の右田への振り込みによって、3日目2ラスで終わったことが、最終日に重くのしかかってこようとは、
この時は誰も、おそらく瀬戸熊自身さえも気付いていなかったであろう。

15回戦成績 
荒正義+19.8P  右田勇一郎+13.3P  望月雅継▲13.8P  瀬戸熊直樹▲19.3P

15回戦終了時 
荒正義+99.2P  右田勇一郎+48.9P  瀬戸熊直樹▲57.8P  望月雅継▲90.3P



 

 

 

 


(執筆:藤崎 文中敬称略)

                              

ページトップ
麻雀格闘倶楽部 好評稼働中!
GyaOバナー白
ALRAN
モンド21麻雀プロリーグ
麻雀格闘部呂倶
日本プロ麻雀連盟メールマガジン
トップページ牌画の利用について引用・リンクについて広告についてよくあるご質問お問い合わせサイトマップ
日本プロ麻雀連盟
Copyright 1997-2010 Japan Professional Mahjong League. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
ma-jan.or.jpの記事・写真等の無断転載はお断りします。