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第28期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜初日〜

(執筆:藤崎 智)


2月4、5、11、12日の4日間で第28期鳳凰戦が行われた。
プロ連盟の最高峰のタイトル戦であり、前年度のチャンピオンである瀬戸熊直樹七段に、
A1リーグの上位3名、荒正義九段、望月雅継六段、右田勇一郎五段が挑戦するという形式である。(以下敬称略)

毎年もはや紹介の必要もないメンバーでの戦いにはなるのだが、簡単に藤崎の個人的な観点で出場選手を紹介したい。



瀬戸熊直樹。数年前までは次世代のエースと呼ばれていたが、今はプロ連盟の完全なエースに成長した。
プロ野球に例えるなら、キャンプインの前にすでに開幕戦の先発を監督から言い渡されるくらいの絶対的なエースでありプロ連盟最強と言っても過言ではない。
デビュー前に「鳳凰位をとる」と宣言した有言実行を素でいく男である。鳳凰位を連覇した昨年は、前人未到の鳳凰位5連覇を目指すと宣言している。
ちなみに、藤崎にとっては1年後輩にあたるので、日本一可愛くない後輩といっていいだろう。
今年度はご存知のとおり、十段位まで獲得している。ちなみに、連盟員の間では今鳳凰戦の大本命にあげられている。


荒正義。プロ連盟の生きる伝説。獲得したタイトルを全て調べるだけでも丸1日はかかりそうなので省略するが、
プロリーグ開始から28年間ずっとA1リーグに在籍しており、藤崎がデビューした15年前は亡くなった安藤満九段と並び、荒、安藤時代と呼ばれていた。
当時、藤崎を含め若手プロの間で目標とするプロは?というアンケートを受けた事があるのだが、ほとんどが荒か安藤と答えていた記憶がある。
十段位を獲得すれば、史上初のグランドスラム達成となり、藤崎個人としては是非グランドスラム達成の歴史的瞬間をこの目で見てみたいと思っている。
ちなみに、鳳凰戦は8年ぶり8回目の出場で、20年ぶり2度目の鳳凰位を目指す。
今鳳凰位、ファンの皆さんの優勝予想ではダントツの1番人気にあげられている。


望月雅継。静岡支部支部長。地方在住というハンデは経験した者にしかわからないだろう。
藤崎もデビューは仙台だった。1年間東京に通ったのだが、考えた末に東京本部移籍を選んだ。
仕事を辞めて上京したのだが、初めの数年は生活面も大変だった。
彼は地方在住のままプロ活動を選んだのだが、それもまたかなりの苦労であろう。
だが、東京移籍を選んだ私も地方在住のままを選んだ望月も後悔はしていない。彼はプロ連盟の地方支部在住の代表格まで登りつめている。
ちなみに、望月も藤崎からみると1年後輩なのだが、実は私と同じ年にプロテストを1度失敗している。
これからプロテストに挑戦しようと思っている方には面白いエピソードだと思う。1度失敗してもまだ諦めなかった望月の雑草魂に敬意を表したい。
望月は瀬戸熊と同期になるのだが、1度失敗した望月とプロテスト補欠合格の瀬戸熊。ともにデビュー当時は同期の中でも格下であったはずである。
彼らの情熱と熱意が今日の2人を作ったのだろう。まさに良きライバル関係だと思う。鳳凰戦は4年ぶり3回目で5年ぶりの鳳凰位を目指す。


右田勇一郎。こちらは鳳凰戦の決勝どころか、初のタイトル戦決勝の舞台である。
あまりファンの皆さんには馴染みがない名前であろう。彼を語るにあたって避けては通れない事件が2つある。
まずは、2年前のプロリーグ。彼は前半戦から快調に首位を独走していた。終盤に少し陰りがみえたのだが、それでも3位までに入れば鳳凰戦には進出できる。

最終節の最終戦、彼は鳳凰戦の椅子をほとんど手にしていた。そこからもう親番のない瀬戸熊に渾身の四暗刻をツモられ敗退している。
そして、もう1つがそのわずか1ヶ月後の同じ年のグランプリ。準決勝での最終戦。
彼はトータルダントツ。2位の沢崎誠と55.4ポイント差、3位の前原雄大に至っては96.4ポイント差をつけていた。
トータル2位までが勝ち上がりのために、プロ連盟の長い歴史にもここからの敗退はみたことがない。
しかし彼は敗れた。わずか1ヶ月ちょっとの間に2度も歴史的な逆転負けを喫している。

彼もまた藤崎からは後輩であり、昔藤崎が専属していたお店に遠くから毎週来てくれていたり、とにかく藤崎を先輩として慕ってくれている。
お互いA1になってからも、毎月のようにセットの誘いをくれる可愛い後輩であるが、ここからしばらくは声すら掛けられないくらい落ち込んでいた。
後に本人に聞いたのだが、やはり1ヶ月くらいは気持ちの整理がつかないくらいのショックであったらしい。

彼については誤解も多いようだが、本当に真面目な好青年である。
こと麻雀に感じては、真面目で私の知る限りでは1番研究熱心なプロである。時にはうるさいくらいに質問のメールがくる。
藤崎がよく彼に言うのは「右田はもう俺より強い。ただ、俺の方が長くプロをやってるから俺の方がちょっと格上なだけだよ。」という台詞なのだが、
彼からの質問メールが来なくなる事はない。
先輩としてはちょっと嬉しいのだが、彼のためになっているかどうかを考えるとちょっと複雑である。
右田の先輩としては、今鳳凰戦を頑張ってもらいたいが、右田が鳳凰位に着くにはちょっと早いかもという気持ちも少しあるのが正直な気持ちである。


今年度からプロ連盟のタイトル戦の決勝戦が大きく変わった。ニコニコ動画で生配信されるのである。
十段戦と女流桜花に続き3回目の生配信である。藤崎は両方とも解説者として会場にいた。
十段戦や女流桜花もプロ連盟のビッグタイトル戦なのだが、対局開始前はどこかテレビ対局特有の華やいだ印象があったように思う。
藤崎個人の勝手な印象なのだが、鳳凰戦の対局前はテレビ対局特有の華やかさは全くなく重苦しい空気に包まれていたように思う。
プロ連盟を代表する4人のトッププロの対局を、大勢のファンの方々に見せる責任感からなのか、
それとも鳳凰戦に勝ちたいという個人的な欲望からなのかは私にはわかるはずもないのだが、
ただ間違いなく言えることは、4日間半荘20回戦が終わった時点で、4人の中の1人が眩しいくらいに強く大きく輝いているはずである。
では、4日間の激闘を振り返ってみたい。



1回戦(起家から、右田・望月・瀬戸熊・荒)

東1局 (右田30.000・望月30.000・瀬戸熊30.000・荒30.000)
長い長い戦いの始まりである。この1回戦をどう位置付けるかはその人それぞれだろう。
トッププロの中でも意見は分かれるところではあるが、今回のメンバーであれば初めから激しい戦いにはならない事が予想された。
まずは自分の状態と、それから相手3人の状態をしっかり見るタイプが揃ったように思う。さほど先手にはこだわらないタイプと言っていいだろう。
観戦者として、全員の東1局の配牌に注目したのだが、4人合わせても右田に1メンツあるだけであり、嵐の前の静けさといったところか。

東3局1本場 (瀬戸熊30,400・荒27,400・右田29,900・望月31,300)
ここまでアガリは望月のタンヤオ・ツモの500・1,000のみで静かに進んでいる。ここで右田が早くも変則打ちの引き出しを開ける。
4巡目、右田の手牌。

 ツモ ドラ

は2枚切れの安全牌だが、がドラ表示牌ということもありここは打でマンズの伸びでタンヤオまでみるのが普通であろう。
しかし右田の選択は打。次巡、をツモって打。すぐをポンして2.000を荒からアガった。
右田という打ち手をよく知らなければ、はっきりいって意味がわからない牌譜であろう。このチャンス手を惜しげもなく捌き手にしている。
彼は手鳴きを多様するが点棒を稼ぐのはメンゼンで、というタイプである。自分の状態が良くないと思えばどんな形からでも鳴いてくる。
だが、この時点では確かに右田自身は好調ではないかもしれないが、他の3人はもっと良くないというのを見逃した気がする。
ここまで4局4人の手を見ながら観戦したが私の目からは、悪いながらも右田が一番まともな状態にみえていた。
もちろん結果はわからないが、この2,000のアガリがこの後展開をガラリと変えた。


東4局 (荒24,100・右田33,200・望月31,300・瀬戸熊30,400)
ここまで1度もテンパイすらせず1人沈みの荒の親番。まずは5巡目リーチ。

 ドラ

これを11巡目にツモって3,900オール。
続く1本場でも、

  チー 加カン ドラ

これをリンシャンでツモって6,000オール。
決して美しいアガリではないかもしれないが、先行してきっちり計算したかのように僅差で逃げ切る戦法を得意とする荒が、
本人の予定通りというか希望通りというか、どちらが正しいかわからないがとにかく先行した。


荒 正義

 

東4局2本場 (荒55,100・右田23,200・望月21,300・瀬戸熊20,400)
荒に先行される展開はある程度は想定内であったと思うのだが、瀬戸熊・望月共にここまでは見ているだけの展開でつまらなかったであろう。

瀬戸熊・望月の同期2人は、タイプ的には似ていると思う。共に爆発的な攻撃力を最大の武器にしている。
しかし、爆発の仕方が少し異なる。望月は常に跳満を意識して一撃一撃に力を溜める代わりに、無理な勝負はあまり挑まない。

対する瀬戸熊は、子の点数で例えるなら3.900から8.000ぐらいをベースに、連続攻撃を仕掛ける。
この連続攻撃を武器にするため、自分の状態が上がってきたら他の人間のアガリを認めない。どんな形からでも勝負を挑んでくる。
これが俗にいう「暴君モード」「クマクマタイム」である。

望月はあまり対戦相手に対応しないのに比べて、瀬戸熊はきっちり対戦相手や点棒状況や場の状況に合わせてくる印象がある。
さて、この局2人同時に今鳳凰戦初めての好配牌が入る。

西家・望月

 ドラ

北家・瀬戸熊

 

麻雀の神様は時にこんないたずらをする。荒の爆発をただ指をくわえて見てきた2人を同時にやる気にさせる。
そして、次のいたずらが2人とも第一ツモが。これは望月に絶好の重なりで、瀬戸熊にとってはマンズのホンイツ狙いなのでとりあえず手に残る牌である。
2巡目のツモで望月がをツモってこの形。

 

瀬戸熊も有効牌のをツモってこの形。

何も条件がなければ役牌ではない切りなのだが、じつは南家の右田が2巡目に字牌をと1枚ずつ持ってから切り出していたため、
瀬戸熊も1枚切れのを選択。ここで右田がではなく、を切っていれば展開は全く違っていた。

もし右田がから切れば瀬戸熊もを切り、2枚目のを鳴いて望月はホンイツ・チャンタをめざしていたであろう。
右田がから切っていれば瀬戸熊はを切り、望月のシャンポン待ちのは1枚ずつ場に切れていただろう。
例えであっても、望月の雀風なら1枚目は鳴かないと予想できるからである。
荒が親で連荘していることを考えれば、普通の打ち手ならまずは荒の親を落とす事が最優先なのだが、状況にはあえて対応しないのが望月の強さだと思っている。

望月の3巡目ツモで、私の望月のへ期待が少し揺らいだ。ここは望月なら打として欲しかった。
ドラを引いてのテンパイ逃しは痛いかもしれないが、を引いての失敗はもっと痛いように思う。
もしこれが開局なら、望月もおそらく打であったろう。荒の連荘に対応してしまってを打ったように見えてしまった。

私ならこの局面、上家である右田の切った3巡目のを1枚目から鳴く。
荒の連荘に対応するために、役牌ではないからでも仕掛けて、真っ直ぐにホンイツに向かうだろう。

だが望月は、上家のに微動だにしない強さを持っている。荒に対応しないのであればを切って欲しかった。
実際、対局を観ていた私程度の力では、望月の今鳳凰戦の惨敗の原因は全く分からなかった。
改めて牌譜を見直してみて、必要以上に荒を恐れたせいかもしれないと思ってしまった。
そのために、普段通りの望月流の麻雀が打てなかったのではないだろうか。

さて長くなってしまったが、この局に関しては、4巡目ツモ切りの後5巡目にを引いてテンパイするので、
3巡目にを切ってもを切っても最終形は同じである。
ただし、瀬戸熊が荒の親を流すことを強く考えていれば、3巡目にを切れば鳴いて打となっていたようにも思うのだが、
結果的に好手順となったからよしというものではないであろう。


結果は、瀬戸熊には不運な1枚切れのを処理する間がなく放銃となってしまった。
瀬戸熊にとっては我慢の必要な出だしとなったのだが、この我慢というのが瀬戸熊の唯一と言っていい苦手分野ではなかろうか。

結局、南場に入っても確実に加点した荒が1人浮きのトップ目前だったのだが、オーラス望月の意地の跳満ツモで浮きをキープして1回戦を終えた。
右田も初めての決勝の舞台で、テレビ対局というハンデも背負っていたが、彼らしく伸び伸び打てているようでさすがに神経は太そうだ。
荒が若手3人を相手に、挑戦を受けるつもりは全くなさそうで、どんどん前に出て戦っている印象を受けた。
そうなれば、派手な打ち合いも十分期待できそうだと感じさせる1回戦だった。

1回戦成績 
荒正義+37.6P  望月雅継+5.8P  右田勇一郎▲11.8P  瀬戸熊直樹▲31.6P




2回戦(起家から右田・荒・望月・瀬戸熊)

東1局 (右田30,000・荒30,000・望月30,000・瀬戸熊30,000)
起家スタートの右田の9巡目、

 ポン ドラ

ここまではいたって普通の手順でテンパイした。ここに12巡目にを引く。

この形普通なら切りかツモ切りであろう。ここで右田の選択は打。後日、本人にたずねてみた。
荒に勝負気配を感じていて、テンパイはまだだとは思っていたが少し切りづらかった。は荒と望月の手にあると読んで、が山にあることに期待した。
とのこと。そこまで読めていたものか?と少し疑いたくなるが、そこまで読んでいなければ打てないであろう。

結果は上の牌譜を見てほしい。引き当てたのがではなくだったが、右田の読み通り、荒はタンピン三色の-テンパイを入れている。
もし12巡目に打としていれば、荒に打ち込みになっていたかもしれない。


右田 勇一郎


続く1本場と東2局は、瀬戸熊が2,000は2,300と3,900をたて続けにアガる。

東3局(望月26,400・瀬戸熊33,600・右田33,900・荒25,100)
親の望月が15巡目に高めツモで、大好きな跳満のリーチを打つ。しかも今回は親。

 リーチ ドラ

西家の右田も同巡、現物待ちで高めピンフ三色ドラ1のテンパイを入れるもここは流局。
ここから小場の展開となる。小場を得意とするのは誰だろうと考えてみたが、荒や右田が得意なような気がするが、瀬戸熊も決して苦手ではないだろう。
やはり望月が1人、小場の展開は望まない気がした。

南1局(右田41,900・荒18,100・望月26,900・瀬戸熊33,100)
右田が供託のリーチ棒など回収して、リードを広げて迎えた親番。
まず8巡目に瀬戸熊にテンパイが入る。

 ドラ

は右田と荒に切られておりすでに2枚切れで、当然、瀬戸熊も手変わり待ちでヤミテン。
次巡、望月からリーチが入る。

 リーチ

1回戦、大きめのラスで現在33,100点持ちの2着目。
さすがの瀬戸熊も、ここは勝負できないだろうと思ってみていたのだが、瀬戸熊は無スジのツモ切りから迎撃態勢。
15巡目にを引いて小考。ソーズが高く、もかなり切りづらい。さすがにやめるかと思いきや、打で3,900の振り込みとなった。

普通の打ち手なら、批判の対象以外何ものでもないのだが、この振り込みこそが瀬戸熊の強さである。
こういう局面で真っ直ぐ勝負に行って振り込む分には、致命傷にはならないということを体で覚えているといったところだろう。
さらにこういう分の悪い勝負で引き勝つことができれば、そこから「暴君モード」の入り口になる可能性を秘めている。
こういう振り込みは、守備型やバランス型の打ち手には決して打てないものである。振り込みに対してベタ褒めするのもおかしいが、
プロでこの振り込みができるのは、攻撃型でかなり強い打ち手で、私の知っている限りでは瀬戸熊と朝武雅晴プロぐらいである。

結局、この半荘は右田が隙無く進めて1人浮きのトップで終わらせた。
瀬戸熊は2ラススタートとなってしまったが、しっかり打てている印象である。

2回戦成績 
右田勇一郎+29.0P  望月雅継▲3.2P  荒正義▲7.9P  瀬戸熊直樹▲17.9P

2回戦終了時 
荒正義+29.7P  右田勇一郎+17.2P  望月雅継+2.6P  瀬戸熊直樹▲49.5P




3回戦(起親から、瀬戸熊・望月・右田・荒)

3回戦は、良くも悪くも瀬戸熊中心の半荘となった。
まずは起家スタートの東1局。瀬戸熊の5巡目、

 ドラ

普段の瀬戸熊なら当然即リーチである。しかし、瀬戸熊といえども2ラススタートでいまだに今鳳凰戦ツモアガリゼロである。
慎重にヤミテンに構えるも、8巡目の右田のリーチにあっさりと捕まってしまう。

東2局(望月30,000・右田32,300・荒30,000・瀬戸熊27,700)
前局に引き続きこの局もひどい。とりあえず配牌から最後まで牌譜を進めて欲しい。

動画再生

まず、南家・右田の配牌がすごい。

 ドラ

ダブリーとはならなかったが、3巡目にを引き入れ四暗刻タンキの1シャンテンになる。
この形、三暗刻のくっつきテンパイと考えると簡単だが、四暗刻の1シャンテンと考えると意外と難しい。
横のつながりを無視して縦のみのくっつきを考えると、七対子の1シャンテンなら3種類待ちがあるが四暗刻の場合2種類しかない。

を引いて四暗刻タンキになればなったでタンキ選択が難しくなるため、できれば何かを重ねてツモり四暗刻のテンパイになってくれたほうが楽である。
右田も四暗刻1本で牌を残すのだが、なかなか重ならない。その間に瀬戸熊が難しい選択を何度かクリアして、13巡目に跳満確定のリーチを打った。
終盤、すでに受け気味だった右田も、最後のツモでカンのテンパイを入れる。
このを最後のツモでつかんでしまうのだから、瀬戸熊も笑うしかないくらいひどい。

東3局(右田36,500・荒30,000・瀬戸熊23,500・望月30,000)
この半荘、瀬戸熊本人もほぼあきらめモードだっただろう。3ラスまで覚悟したかもしれない。
この局は手なりで12巡目にリーチのみのリーチを打つのだが、皮肉にもこんな時に限って一発目にツモ。瀬戸熊にとっては微妙な気持ちであろう。
だが、この時荒にはが暗刻のメンホンのテンパイが入っており、荒の勝負手を潰す今鳳凰戦初のツモアガリで非常に有効なアガリであった。
このアガリから、熊が冬眠から目覚めることになる。

南1局(瀬戸熊28,700・望月28,900・右田34,800・荒27,600)
東4局、ピンフツモの400・700で2局続けてのツモアガリで迎えた親番。瀬戸熊の9巡目。

 ツモ ドラ

瀬戸熊自身も少しは良くなってきたのかどうか手探り状態であったと思う。入り目のもまた微妙。しかしとりあえずリーチと行くしかない状況。
瀬戸熊はよく、自分の麻雀で重要なアガリはメンピンツモ+1ハン(ドラ1やタンヤオやイーペーコー)の1,300・2,600や2,600オールと言っている。
おそらく「ツモれ」と心の中で念じていたことだろう。これを見事に15巡目にツモりアガる。

こうなれば、結果はともかく一歩も引かないのが瀬戸熊流。ここから2局連続で1,300、2,600と打ち込むも、南3局に2,000・4,000をツモリアガる。
オーラスの荒の親番まで、ツモアガリ4回、放銃4回。ここまで派手なのはさすがに瀬戸熊らしいとはいいがたい気もするが、
とりあえず冬眠から目覚めて、眠い目をこすりながら餌を探す熊状態か。完全に目覚めるまであと少しといった感じがする。


瀬戸熊 直樹

 

3回戦成績 
瀬戸熊直樹+18.9P  右田勇一郎+9.1P  荒正義▲6.7P  望月雅継▲21.3P

3回戦まで 
右田勇一郎+26.3P  荒正義+23.0P  望月雅継▲18.7P  瀬戸熊直樹▲30.6P




4回戦(起家から、右田・瀬戸熊・望月・荒)

東2局(瀬戸熊28,700・望月30,000・荒31,300・右田30,000)
東1局、荒に1,300の振り込みで迎えた親番の瀬戸熊の8巡目。

ドラドラで1シャンテンである。西家はの手出しで明らかなソーズ模様。
しかし、北家の右田がマンズの染め手に見える捨て牌で、望月もマンズの下は固めていそうに見える全体的な捨て牌になっている。
そのために、ペンと心中とはいかず瀬戸熊の選択は打。しかしこの局は1人テンパイまで。
瀬戸熊には、まだまだ厳しい展開が待っていそうである。

東2局1本場(瀬戸熊30,700・望月29,000・荒30,300・右田29,000)
西家・荒がソーズのホンイツ気配から、7巡目にをポンして生牌のを切り出す。その1巡前にはも手出ししている。
巡目が早いので微妙ではあるが、一鳴きテンパイの可能性も十分に考えられる局面の11巡目の望月の手牌。

 ツモ ドラ

は生牌である。が荒にポンされているので、ここは打が望月のスタイルだろう。もしを引くようならを勝負する価値は十分ある。
を引く前にソーズをつかんでしまったらオリ。とまあそんなところであろう。とにかく今日の望月は手が入らない。ここまでずっと我慢の連続である。
よくトータルを小さいマイナスでおさえていると関心させられる。攻勢に出るチャンスは全くといっていいほどない。

しかしこの局は我慢の限界からなのか、何か勝算があったのか、それともはっきりとした形で自分の状態の悪さを知りたかったのかわからないが、
としテンパイをとってしまう。この時の荒の手牌は、

 ポン 

こうでは通るのだが、を勝負した以上、次巡のはとまらず、5,200の振り込みとなった。
振り込みも持ち味の1つの瀬戸熊と違い、望月にはもっと我慢してほしかった1局だった。

東4局1本場(荒35,000・右田35,400・瀬戸熊30,200・望月19,400)
東3局に、右田の三色ドラ1と瀬戸熊のメンホン一通のめくりっこは、右田がツモって2,000・3,900。
その後、迎えた瀬戸熊のドラドラの手。10巡目、

 ツモ ドラ

ここは条件があまりなく、こういう局面で瀬戸熊はほとんどシャンポン待ちを選択するように思える。ここも切りリーチとでるがこれも裏目。
ならツモっていたのだがこれは結果論。しかし、チャンス手のほとんどが選択ありで全て裏目になるのだから、
結果論であっても状態の良し悪しの判断材料にはなるだろう。

この局注目なのは望月。瀬戸熊のリーチを受けて、スジやワンチャンスなど危険な綱渡りで流局となり瀬戸熊と2人テンパイをとる。
ワンチャンスとはいえ、瀬戸熊の入り目を打つなどかなり危ない印象を受けたが、テンパイ料という結果は得られた。
この半荘から一歩踏み込みを厳しくしたようだ。この判断が身を結び、次局のリーチツモドラドラの2,000・3,900につながる。

南4局(荒26,100・右田29,800・瀬戸熊32,700・望月31,400)
いつもより一歩強く踏み込んで活路を見出した望月。ここは小さいながらもトップで初日の最終戦の5回戦につなぎたいところ。
しかし、その望月の前に立ちはだかったのは暴君・瀬戸熊。

 ポン ポン ツモ ドラ

2,000・4,000で1人浮きの2連勝を決める。これだけチャンス手をアガリ逃してもまだ手がはいる。
振り込みやアガリ逃しよりも手が落ちることに細心の注意をはらう瀬戸熊らしいといえるのだが、
自分の本来のスタイルを曲げてまで頑張っても、浮きすらとれなかかった望月の心中は穏やかではないだろう。


望月 雅継

 

4回戦成績 
瀬戸熊直樹+23.7P  望月雅継▲1.6P  右田勇一郎▲5.2P  荒正義▲16.9P

4回戦終了時 
右田勇一郎+21.1P  荒正義+6.1P  瀬戸熊直樹▲6.9P  望月雅継▲20.3P




5回戦(起家から、右田・望月・瀬戸熊・荒)

5回戦の東場は、早い先制リーチが入る展開となった。
東1局は、荒の7巡目リーチで1,300・2,600。
東2局は、荒が5巡目リーチで瀬戸熊から5,200。
東3局は、親の瀬戸熊が6巡目リーチで2,600オール。
その1本場で、右田が7巡目リーチ。これには望月が2フーロで2,000・4,000。
東4局、親の荒が11巡目にリーチで1人テンパイ。
こういう展開では望月が1人置いていかれやすい。望月の長所はその打点力である。局の終盤になれば望月の跳満べースの麻雀も間に合ってくる。
逆に、短所はスピードである。早い巡目の決着にはついていけないことが結構あるのだが、打点力重視の打ち手には致し方ない。
ここから1人取り残された右田が、変則打ちの引き出しを開ける。

東4局1本場(荒36,700・右田19,400・望月34,400・瀬戸熊26,200 供託1,000)
右田の9巡目、

 ツモ ドラ

これを打で迷わずリーチといく。は生牌。は1枚切れていて右田の目からは3枚見えているが、は2枚、は1枚しか切れていない。
もちろん良い待ちには見えるが、ドラもない七対子では危険極まりないのだが、テンパイ即リーチのこういう出アガリのあまり期待できない七対子をツモアガってこそ、
今後の展開にも期待できるという独特な理論を持っている。
右田という男、山読みにかけてはかなりのものなのだが、七対子に関しては山読みのもう一歩先をみているところがある。

私はプライべートでなんども彼と対戦しているので見慣れているが、この局は、荒と2件リーチとなり流局で、右田の手牌が開かれているのだが、
他の対戦者には意味がわからなかったであろう。ちなみに、私は見慣れているがやはりあまり意味は理解していない。

東4局2本場(荒38,200・右田21,200・望月32,900・瀬戸熊24,700 供託3,000)
右田の6巡目、

 ドラ

ここから荒の切ったを迷わず鳴いている。上家の荒がソーズの一色手で仕掛けたのに合わせたかたちだが、荒がソーズで右田にはソーズの受けが全く無い。
普通の感覚なら、満貫は簡単にみえるチャンス手にみえるのだが、あっさりと2.000点に仕上げて望月からアガった。
この辺の感性もまた彼特有のものだろう。

この右田の変則ぎみの麻雀に、完全に毒されてしまったのが望月。ここからテンパイはするものの、他の人の当たり牌が寄ってくる展開になる。
一方、右田は変則的な打ち方で流れをつかみ、そこからオーソドックスに戻して点棒を増やし、とうとうオーラスでトップ目の荒をつかまえて、
トータルトップで初日を締めくくった。

5回戦成績 
右田勇一郎+19.4P  荒正義+14.9P  瀬戸熊直樹▲6.9P  望月雅継▲27.4P

5回戦終了時 
右田勇一郎+40.5P  荒正義+21.0P  瀬戸熊直樹▲13.8P  望月雅継▲47.7P

⇒二日目観戦記

 

 


(執筆:藤崎 文中敬称略)

                              

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