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タイトル戦情報

第26期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜最終日〜

(執筆:滝沢 和典)


3日目となり、現在のポイントは、瀬戸熊+76,5P、柴田▲15,1P、前原▲23,8P、板川▲39,6Pとなっている。

麻雀に限ったことではなく、なにかをきっかけに、心に大なり小なりブレが出てくるのは当たり前のことである。
身近な人間が亡くなった、時間や金に追われている、恋人にふられた。そんなとき、何も感じない人間はいない。

真剣な麻雀を長めに打ったことがある人であれば、その日の最初の1回戦目と数時間打った後では、まったく違う気持ちになっているのがわかるだろう。
いくら麻雀を平面的にとらえ、機械的に打つことができる人でも、そこに大きな負荷がかかれば、焦りや不安を感じてしまうのは当然のことだ。
だから麻雀は生きている。勝負に重みがあればあるほど人間の感情は動き、その感情が打牌を左右し、勝敗を左右する。

鳳凰戦は3日間に渡って行われるが、マイナスしている者、特に自分が納得いかない内容でマイナスを背負ったものにとっては、
一晩寝ただけで(あるいは寝つけないかもしれない)精神を最高の状態に回復させることは容易ではない。

とはいえ、ダントツトップを走る瀬戸熊には、数年前、鳳凰位をほぼ手中に収めながら寸前で逃してしまった苦い記憶がある。
ポイント的にも、精神的にも有利に見える瀬戸熊には、過去の記憶との戦いが残されている。





13回戦(起家から、前原、柴田、板川、瀬戸熊)

起家は前原。前原の脅威はとにかく親番である。


前原 雄大

トップ・瀬戸熊との点差は約100ポイント。
100ポイントを叩き出さなければならないのではなく、点差を100ポイント縮めるのだから、それほど無理な話しではない。
それは、柴田、板川の両者にも同じことが言える。瀬戸熊が安全に勝とうとしても、必ず追っ手が現れるのだ。
一体誰が瀬戸熊に迫っていくのだろうか・・・

東1局は、前原の仕掛け、板川のリーチの2人テンパイで流局。

 チー ドラ

 リーチ

静かに局が進み東3局4巡目、西家・前原は、上家である瀬戸熊からをポンして1シャンテン。

 ポン ドラ

發を打った瀬戸熊は、

この前原の仕掛けで、と引き込み6巡目にリーチ。 

 リーチ

同巡、前原はツモでテンパイ。ツモで待ちかえ、を勝負。と危険牌を押し切り、400・700。

 ポン ツモ

前原の打牌には一切の迷いが感じられない。

南2局。



板川はテンパイ取らずの合わせ打ち。柴田の捨て牌、ドラの時点で反応している様子だ。


板川 和俊

すると、前原のソーズ、柴田のマンズでチンイツ同士の一騎打ちになるかと思った矢先、流れるように板川のツモアガリで500、1,000。

 ツモ ドラ

逃げる瀬戸熊にとっては願ってもないアガリ。好展開だ。

南3局、南家・瀬戸熊は、

 チー ポン

これを、親番・板川から出アガリ浮きにまわって半荘終了。

13回戦成績

前原+13,2P  瀬戸熊+5,8P  柴田+3,6P  板川▲22,6P

13回戦終了時

瀬戸熊+82,3P  前原▲10,6P  柴田▲11,5P  板川▲62,2P 供託2,0P



14回戦(起家から、前原、瀬戸熊、板川、柴田)

東1局。


この前原のが、柴田のチンイツに放銃。

 チー ポン ロン

東4局は、柴田の親番。3巡目、

 ツモ ドラ

ここから打とすると、次巡にもう一度ツモ
この巡目に上家が2枚目のを打ち、柴田はを手に残し合わせ打ち。
その後、がトイツになってまたしてもをツモ。

 ツモ

柴田は打。リャンメンターツの選択は若干場に安いソーズ残し。


柴田 弘幸

柴田の強みは手順の良さだ。メンゼンでの手組みが実に丁寧で、選択するスピードも速い。
ツモをポンしてホンイツ一直線。周りの捨て牌によって自然な形で作られた河は読みにくい。

柴田捨て牌。


そして、手牌は、

  ポン

自分の河にあるを叩きテンパイ。
盲牌に力が入るが流局。やはり風向きは瀬戸熊か・・・

南2局、瀬戸熊の親番で南家・板川の配牌。

 ドラ

第一ツモで、両面に待ちかえてダブルリーチ。瀬戸熊は、

この1シャンテンで通っていない牌を連打。
相手はダブリ−で、もちろん読みようがないのだが、10巡目ツモで少考の後、安全牌の打
ここでなぜが止まるか?理論的には説明しようがない、偶然と捉えるのも自由であるが、それこそ経験則という日々の鍛錬によるものではないかと私は思う。
板川がをツモアガリ、2,000・4,000。

14回戦成績

板川+14,8P  柴田+7,3P  瀬戸熊▲8,8P  前原▲14,3P  供託1,0P

14回戦終了時

瀬戸熊+73,5P  柴田▲4,2P  前原▲24,9P  板川▲47,4P 供託3,0P



15回戦(起家から、柴田、瀬戸熊、板川、前原)

東2局2本場、柴田のホンイツと前原のリーチがぶつかる。

 ポン ドラ

前原は、

 リーチ

結果、柴田が前原から出アガリで12,000。

やはり、この局もそうだが、ダブ東を仕掛けさせた前原が仕掛けた柴田と勝負する。
責任、と言ったら表現がおかしいかもしれないが、勝負打牌をしたものが勝負手になっている、
これが読みの精度の高さであり上級者同士の戦い、つくづくそう思う。

この半荘は柴田の5万点の一人浮きトップで終了。瀬戸熊はきっちり2着。

15回戦終了

柴田+34,3P  瀬戸熊▲2,4P  板川▲12,4P  前原▲19,5P 

15回戦終了時

瀬戸熊+71,1P  柴田+30,1P  前原▲44,4P  板川▲59,8P 供託3,0P


会場の様子




16回戦(起家から、瀬戸熊、板川、前原、柴田)



瀬戸熊 直樹

今日の瀬戸熊は基本的に「静」だ。
「静」ではあるのだが「来るならこい、時が来たらいつでも戦うぜ」といったような決戦前の落ち着きのようなものにも感じられる。
あと、3回戦を残して迫ってきたのは柴田。そろそろ、出陣のときであろうか?

東1局、ダブ東をポンした起家・瀬戸熊が10巡目テンパイ。

 ポン ドラ

を打った北家・柴田もテンパイ。

しかし、前原の仕掛けに3,900放銃。

 チー ロン

東3局、瀬戸熊は以下のアガリ。


東4局、柴田の親番。柴田としてはなんとしても点差を縮めたいところだ。その柴田の手牌が、

 ツモ ドラ

このをツモ切りで瀬戸熊のホンイツに放銃。

 ポン チー ロン

親番で、瀬戸熊のホンイツ風の仕掛けからはテンパイ気配がムンムンである。
場に顔を見せてはいないがを打ち、目一杯に構えるのが柴田の形ではないかとも思うが、極限状態。
卓に座っている人間と、客観的に見ている自分とでは温度差がありすぎて頭から批判することはできない。

瀬戸熊はそのままの浮きで逃げ切り2着。
2番手に着けていた柴田がラス、トータル最下位にいた板川がトップと、瀬戸熊にとっては最高の並びで16回戦が終了した。

16回戦成績

板川+31,1P  瀬戸熊+5,0P   前原▲10,2P  柴田▲26,9P 供託1,0P

16回戦終了時

瀬戸熊+76,1P  柴田+3,2P  板川▲28,7P  前原▲54,6P 供託4,0P



17、18回戦

あと2回を残して瀬戸熊が考えることは、とにかく2番手につけている柴田を押さえつけておくこと。
そして、親の高い手に放銃しないこと。局が進めば多少の失点はなんてことはない。柴田の大物手に飛び込まなければ良いのだ。
柴田の立場としても、この後に及んで捌く手はあまり意味をなさないし、ブラフを打つ意味もない。
柴田に気配があるときのみ、慎重にオリていくのが瀬戸熊のやるべきことだ。

ここにきて瀬戸熊の過去の経験が活きる。
なんとも危なげない(本人に言わせれば全てが危なく見えていたそうだが・・)王道パターンで新鳳凰位に輝いた。

三者とも、決して諦めているわけではないのだが、親の役満でも飛び出さない限り、もうどうにもならないもなのだ。

美しい戦いの最後を観戦記者であることは忘れて見届けようと、大勢のいる観戦者の後ろに立った。
誰かの最初の「パチッ」という拍手の音をきっかけに、会場全体から一斉に拍手の嵐が起こった。
瞬間、瀬戸熊にはこみ上げるものがあっただろう。握手を求める相手の顔も見ずに会場奥へ一旦退いた。


優勝決定の瞬間


17回戦成績

板川+29,3P  柴田▲1,2P  瀬戸熊▲5,3P  前原▲22,8P  

17回戦終了時

瀬戸熊+70,8P  柴田+2,0P  板川+0,6P  前原▲77,4P 供託4,0P


18回戦成績

前原+21,6P  板川+8,5P  瀬戸熊▲10,6P  柴田▲19,5P  

18回戦終了時

瀬戸熊+60,2P  板川+9,1P  柴田▲17,5P  前原▲55,8P 供託4,0P







打ち上げ会場では、まず選手へのインタビュー。瀬戸熊を慕う若手は、早く本人に祝福の声をかけたくてうずうずしている様子だ。

板川は、紹興酒を片手に実に爽やかな顔でインタビューを受ける。
『魅せたところもあったけど、下手も見せたね(笑)我慢がきかないところがアカン。また勉強になりました』

柴田は麻雀のことで頭がいっぱいなのか、料理にも飲み物にも手をつけず、真面目な顔で他の選手のインタビューを聞いている。
『敗因はフォームが小さすぎたところかな?見ている人を楽しませることができなかったかもしれないです』

前原雄大(瀬戸熊に向けて)
『これから目指すところを高く持っていってほしい。そうでなければやってられないよ!鳳凰位をとったらとったで責任が生まれるんだから』


瀬戸熊は、私の箸や取り皿を用意してくれたりと、良く気がつくいつものお兄さんのままだ。
『とにかく取りたい気持ちが強かったことは間違いない。この結果に甘んじないよう精進します』


乾杯の音頭は伊藤優孝副会長。
『今でも覚えています。瀬戸熊君はプロテストの面接のとき、鳳凰位をとります!って言っておりました。今、念願が叶いました!!カンパーイ!!!』

インタビューが一通り終わると、増田隆一、吉田直が瀬戸熊の席へ・・

増田『瀬戸熊さん!おめでとうございます!2番目に握手したのはボクです!!それじゃ夜は長いんでまたあとで!!!』
瀬戸熊『夜は長いってオマエが長くしてんだろ!!!!』



2日目、瀬戸熊の腹のくくり方は見事であった。打牌内容はもちろん、表情や間の取り方が客観的に見ている私の立場からは素晴らしいものに思えた。
初日をトータル最下位で終え、2日目で勝負をかけるのはどれだけ勇気がいることなのだろうか?
積極策に出れば、上位陣に大きく突き放される可能性も存分にあり、3日目を優勝の可能性がない状態で迎えてしまうことにもなりかねない。

2日目の瀬戸熊を見て、あることを思い出した。

友人数人で始めた草野球チーム。
大雨の中行われた、区の公式戦で最終回の攻撃。1点差で負けている我がチームの3塁ランナーは瀬戸熊直樹。
相手キャッチャーがピッチャーに返球。キャッチャーの手からボールが離れようとしたその刹那、瀬戸熊はホームベースに突っ込んだ。
見事同点に追いつき、結果、チームは勝利。
いくら草野球とはいえ、ギリギリの場面でいきなりホームスチールを敢行したのである。

ロン2リアル大会で司会を任されたときには、首に赤いタオルを巻いてアントニオ猪木のものまねで登場し、会場を沸かせたこともある。
そのときは笑いの前に(お〜、瀬戸熊さんかっけーなー)と思わずつぶやいた。
瀬戸熊の普段からの構え、生き様が麻雀で表現されたかのような鳳凰位決定戦であった。

瀬戸熊が麻雀一本で突っ張っていくために、犠牲にしたものは数多い。今回の勝利はきっと人生の通過点に過ぎないはずだ。

これから先、麻雀とともに一生の付き合いとなるだろう鳳凰位・瀬戸熊直樹。
心から祝福し観戦記を終わりとしたい。








(執筆:滝沢 和典 文中敬称略)

                              

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