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タイトル戦情報

第25期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜初日〜

(文責:望月 雅継)

鉛色の重々しい空から滴り落ちる雨。
地元浜松を出たときには雨だったのに、会場の神楽坂に着いた時には、その雨も霙から雪に。
記録的暖冬と言われた今年の冬、この悪天候が鳳凰位決定戦と相重なるとは、何か大きな波乱が巻き起こる予感を感じさせる。

『CHANGE』
100年に一度の大不況の中叫ばれているキャッチフレーズも、昨今の麻雀業界に当てはまる気がしてならない。
そして私たちプロ連盟もこの『CHANGE』を意識して改革を推し進めてきた。
採譜のPC化、モニター観戦等、時代のニーズに合わせて進化し続ける環境。

麻雀伝来からちょうど100年。
時代の変換と共にさまざまな変化を遂げ、文化として私たちの生活に根付いた麻雀。
我が日本プロ麻雀連盟の最高峰を決める鳳凰位決定戦も25期目を迎える。
25年というと、ちょうど四半世紀。
この25期鳳凰位決定戦を記すに当たり、この25年に渡る鳳凰位決定戦の歴史を調べてみた。

すると、大変興味深い事実が次々と浮かび上がってきた。

25期に渡る鳳凰位決定戦で、その頂点に立つことが出来たのは15名。
この数字が多いか少ないかは判断が難しいところであるが、その15名のうち今回の鳳凰位決定戦に出場する者が3名。

第12期鳳凰位 前原雄大  
第16、17、18期鳳凰位 古川孝次
第24期鳳凰位 朝武雅晴

今回の決定戦出場で、最多出場の荒正義に肩を並べたのが9回目の出場の前原。
第10期の初出場から15年で9度の出場は見事の一言。
しかし優勝は第12期での一度しかなく、是が非でも復位を成し得たい所。

最多優勝は、故安藤満の4度。
これに迫る勢いなのが7度目の出場で3度優勝の古川。
第16期からの3連覇は輝かしい成績である。

ここ数年の成績なら朝武も負けてはいない。
8年前の初出場から7回の決定戦進出。
昨年度は念願の鳳凰位も獲得。充実度なら一番か。

そして最後の紹介は初出場の柴田。
節目の25期の決定戦で25人目の決定戦進出。
延べ100名が出場している中で、過去24人しか決定戦を戦っていないとは意外である。
それだけ鳳凰位決定戦に進出するハードルが高いといった証明であろう。

朝武が連覇を果たすのか、
十段位・前原が併冠を遂げるのか、
古川が最多勝利に並ぶのか、興味は尽きることはないが、やはり注目は、
これだけの実績を持った3人に柴田がどう立ち向かうかという点だろう。

さぁ、降りしきる雪の中、第25期鳳凰位決定戦の幕が切って落とされる。





1回戦(起家から柴田、前原、古川、朝武)

定刻を前に一人卓に着く前原。その表情に一点の迷いも見られない。


前原 雄大


「調整はハードだった。」
と語るように、万全の準備をしてきたことが表情からも窺い知れる。
「どのような結果が待ち受けても、一点の後悔もないだけの稽古を積みました。」
そう語る現十段位前原の前に立ちはだかるのは、もはや自分自身だけなのだろう。


赤く目を腫らしながらの登場は、鳳凰位決定戦初挑戦の柴田。


柴田 弘幸


トップ通過での決定戦進出に、
「かなりうれしいです!」
と本音で語る柴田。
「連盟に入った時から、ここを目標に戦ってきました。」
と、夢の舞台への挑戦を心から楽しみにしている様子。
稽古を積んできた前原とは対象的に、いつもと変わらない過ごし方で決定戦を迎えた柴田。
「普段通り打てれば。体調も悪く無く、精神的にはベストの状態で挑めます。」
と語る柴田の目線の遠く先には、ずっと夢見続けた鳳凰の姿が見えているに違いない。


「先日、マーフィーの法則を買ったんですよ〜。私は優勝しますよ!・・・って暗示をかけてるんですけどねぇ。」
前日、取材の為に電話すると、いつもにも増して元気な声で答える古川。


古川 孝次


「最近はね、あまり麻雀を打てていないんですけど、中部本部の若手が調整に付き合ってくれましてねぇ。」
前原と同様、良い調整ができた事を嬉しそうに語る古川。続けて、
「体力的に一日半荘6回持つかは不安ですが、体調はいいですよ。打倒朝武ですから!」
普段は寡黙なイメージのある古川。
気合い十分のこの言葉から、今回の鳳凰位決定戦に向けてのかなりの自信が感じられる。


迎え討つは、現鳳凰位朝武。


朝武 雅晴


「あんまり体調は良くないんだよねぇ。風邪が抜けないんだよ〜。」
前日のコメントでもあまり景気のいい話は聞けなかったのだが、
「普段と何にも変わらないよ。いつも通り戦うだけ。三日間、とても楽しみだよ。」
と、力強い言葉。
連覇に向けて、何も不安要素はなさそうだ。


注目の開局、最初の発声は前原。

 ドラ

このリーチは他家が丁寧に対応し流局するも、次局、

 チー ポン ロン ドラ

と、初めてのアガリをモノにする。
どのような形であれ開局でハナを切れることが気分が悪いはずはない。
十段位・前原、鳳凰位奪還に向け上々の滑り出しとなった。

先手を取りたい気持ちは誰でも同じ。
残された3人の中ではその気持ちが一番強いのは、やはり古川であろうか。
東2局、同一本場と好配牌に恵まれるもその手牌が成就することのなかった古川、続く東3局はその閉塞感からか、

 ドラ

ここからをポン。
この牌姿からポンの声が出る者は少ないのだろう。
いや、この牌姿からの一鳴きは古川らしいと言えるのではないか。
しかし、この仕掛けが古川にプラスに作用することはなかった。すぐに高目のを引き込みテンパイを果たすも、

 ポン

すぐに追いついたのは柴田。
10巡目、古川のアタリ牌を重ねてのリーチは、

 ツモ 打リーチ

待ち牌選択のない形、悩むことなくリーチを宣言した柴田。
時間はかかったものの、山に2枚残りのドラをリーグ戦での勢いそのままに力強くツモ。
大きな大きな倍満ツモで、オープニングゲームを一歩リードする。

その勢いに身を任せた柴田、南1局の親番でも4巡目リーチをあっさりとツモ。

 リーチツモ ドラ

このアガリで一人浮きの大トップ。
大舞台での初戦で好スタートを切ったことは、柴田にとっても大きな自信になったに違いない。

一回戦終了時
柴田 +32.8P 朝武 ▲6.1P 古川 ▲9.6P 前原 ▲17.1P




2回戦(起家から古川、朝武、前原、柴田)

打ち手にはそれぞれタイプがある。
そのタイプから、打牌選択も、局面選択も、それぞれが進むべき道順がきっとあることだろう。

強者は自分の長所をよく理解している。
よって、各々自分の状態が良いと判断した時のプロセスには絶対の自信を持っている。
また、追い込まれた時の対処方法もそれぞれ独自の解決策や打開策のオプションをいくつも用意しているため、対応に困らない。

また、他人の長所の研究にも十分な時間を割いている。
今回対戦する前原・古川・朝武の3人は対戦経験も豊富で、それぞれの長所も十分に理解した上での対戦となるため、
自分の長所を最大限に生かした攻撃をするべき局面なのか、また自分の良さを消してでも相手の長所を消す作業をすべきなのか、
その状況判断に迷いやブレが生じることは皆無に等しい。

だが、対柴田に関しては情報がほとんどない。
今期のリーグ戦での対戦しか無い故、各自対応に追われていると思いきや・・・、
前原と朝武は、「対戦相手は関係ない。」と。
唯一古川だけが、「柴田君が逃げる展開になることも十分に想定していますよ。」とのこと。

古川としては、ここで柴田に走らせるわけにはいかない。
古川の雀風から、常に自らの存在を他家に意識させることで、局面をリードしていきたいはずだからだ。

東1局、配牌ダブアンコの好配牌をもらった親・古川、4巡目、8巡目とドラを強打。
11巡目にリーチを打つものの、これは成就せず。

 ドラ

続く一本場、局面を牛耳りたい古川の7巡目、

ここは大きな分岐点。
いくつかの選択が考えられるが、古川は打
567の三色を見据えての極めてオーソドックスな一打。
これが受けを意識した打ち手であるなら打か。
リャンペーコーや七対子を見つつ、場にドラを下ろさないことで局面に制約を与える一打になるだろう。

しかし、古川は七対子を好まない。場に主張した一打で圧をかける考えか。
同巡の柴田、

 ツモ ドラ

ここでをツモ切り。古川の挑発には乗らない。
朝武と前原のツモ切りを見て、まだが山にいると見たか。

私ならここで丁寧にを合わせる。
勝負はまだ長い。自分の都合より、場に即した牌を下ろしていくことに重点を置くためだ。
この選択が、今日一日の明暗を分けたとは、当の柴田も気づかなかったことだろう。

柴田、次巡ツモでテンパイを逃す。
すると、二人に遠く離れた牌姿だった前原に利が向く。と引き込み、12巡目に先制リーチを放つ。

 ドラ

前原のリーチを受けた柴田、が切れない以上オリを選択。
前原より先の10巡目に理想形のテンパイを遂げていた古川、

 ドラ

ここにツモでは放銃もやむなし。
麻雀にタラレバは禁物だが、もし柴田がTを合わせていたなら同じ結果にはならなかったであろう。
テンパイを果たした柴田がどのような選択をするかはわからないが、
二枚切れのドラを見て古川が先制リーチを放ったかもわからないし、少なくとも前原がリーチを打つことは考えにくいだろう。
ギリギリまで前原が攻めたとしても、古川からダマテンでの5.200。
リーチでの放銃ほど古川にダメージは残らない。
一番考えられるケースは、二枚目のに前原がを合わせてのアガリ逃し。
そうなれば、この後続く前原のビッグイニングはありえなく、古川の苦戦も無かった。

漁夫の利を得た前原、ミスがミスだと気づかない柴田、先手を取りながら被せられた古川との体勢の差は明らか。
しかしこの瞬間、この局が初日の明暗を分けたとは対局者自身誰もが気がつかなかったのだろうか・・・。

いや、この結果に敏感に反応した男がいた。そう、前原だ。
「古川さんの今回の稽古不足はすぐに感じ取ったよ。そんな古川さんの親番、ドラを切ってくるのだからテンパイは明白。だけど、この古川さんの親番だけはカブせなければいけないんだよ。例え柴田君がドラを合わせてが枯れたとしても、ここはリーチを打つ腹積もりでいたんだ。望月もそろそろわかるだろ?」

相手との僅かな間合いで、好不調を見極める。
それがプロなのだ。
この鳳凰位決定戦で、前原のこのような場面をしばし目にすることとなる。

たったこの一局でできてしまった体制の並びを、古川と朝武は跳ね返す事ができない。
続く東2局、ようやく訪れた親番でのチャンス手を育てあげることができずに終わる朝武。
朝武の気配を感じながらの打牌が柴田に捕まる古川。

 ドラ ロン

麻雀に目に見えない何かがあるとするのなら、前後に因果関係があるとするのなら、簡単に説明がつくはずなのに。
そんなことを感じさせるこの後の展開。それはまさに、二人でのマッチレース。

柴田が局を進め、二人の戦意を削ぐと、圧巻は前原の親番。
古川の先行リーチをしっかりと受け止め親権を維持すると、一本場、

お化け配牌に脅威のツモ。わずか3巡で以下のリーチに。

 ドラ

出アガリ24.000、ツモは12.000オール。
まさか三者共、こんなリーチだとは思うまい。
丁寧に進める柴田と朝武。しかし、古川だけは戦う姿勢を崩さない。

自風のドラを重ねると、前原がツモ切った牌をポン。
だが、この仕掛けがやはりと言っていいのだろう、凶と出る。

思ったより静かに牌を引き寄せる前原。
まるで500オールをツモったかのように自然に手牌を開ける。
そして、ゆっくりと、まるでギャラリーの驚愕の視線を楽しんでいるかのように点数を申告。

この一局が終わる間、局の進行がスローモーションのように感じられた。
王者の威厳、風格、いやそんなものではない。
局面と、麻雀との一体感は、それはまるで鳳凰の囁きを一人楽しむ大海原のように、はたまた大空から舞い降りる牡丹雪を受け止める大地のように、雄大なる大自然を感じさせる佇まいであった。

古川の表情が曇る。
自らの仕掛けで導いてしまった最悪の結果。
しかし、まだ先は長い。これくらいのダメージで立ち止まるほどの男ではないだろう。

続く南3局2本場、いつものように古川が動く。
すると突然、柴田の手が動き出す。平凡な配牌が、一瞬にして以下の1シャンテンに。

 ドラ

程なくしてポンのテンパイ。テンパイを果たした古川がドラをぶつける。
迷うことなく柴田がポン、打で多メンチャンに。

こうなってしまっては結果は明白。
またもや古川の仕掛けがアガリを誘発。災いを呼び込む。

 ポン ポン ツモ

古川の仕掛けに精彩が無い。
いつもの切れのある仕掛けが影を潜める。
ここまでの戦い方は、果たして古川のゲームプランの範疇なのか。
それとも苦肉の策であるのだろうか。
良くも悪くも、今後の戦いは古川を中心として推移していくのであった。

2回戦結果
前原 +46.1P 柴田 +14.0P 朝武 ▲25.6P 古川 ▲34.5P

2回戦終了時
柴田 +46.8P 前原 +29.0P 朝武 ▲31.7P 古川 ▲44.1P




3回戦(起家から古川、前原、柴田、朝武)

現鳳凰位・朝武、ここまではひたすら我慢の展開が続く。
常に相手より2、3手後手を踏み、テンパイまでたどり着けないイライラする状態。

そんな中でも、朝武は決して顔を上げない。
3回戦開局、ようやく朝武にチャンス手が舞い込む。5巡目、

 ドラ

私なら図々しく我が物顔でリーチを宣言しそうなものだが、朝武は何事も無かったようにダマを選択。
まだ自分の時間ではないことを悟っているかのようだ。

そしてここから朝武は流局まで12巡ツモ切り。
テンパイ時、一枚しか残っていなかった当たり牌は、当然のように他家の手牌に吸収される。
朝武、まだまだ苦難の時が続く。

一方、変わらず好調を維持するのは柴田。
先手が取れ、当たり牌をつかまない。
捌き手は確実にアガリ、後手を踏む局面では他家の足も合わせて止まる。まさに絶好調。
そして本手はあっさりツモ。東4局

 リーチツモ ドラ

点数的にも、状態的にも、今の柴田は完全に三者を圧倒している。
このまま逃げ切れるとは思わないが、
エラーの少ない柴田が大きなミスを犯すとは考えにくく、この並びがしばらく続きそうな雰囲気だ。

特に心配なのが古川。
古川の仕掛けが全て柴田と前原にプラスに作用している。
自らのスタイルで局面打破したいのは良くわかるが、ここは足を溜めるのも一考だろう。

顕著なのがこの局。時は進んで南3局、柴田の親番。2巡目、

 ドラ

ここから前原の切ったにポンの声を掛ける。そして打
気持ちはわかるが、さすがの古川でもここはやりすぎであろう。
結果論になってしまうが、仕掛けなければ間もなくツモ、そして一発でツモ。
親の柴田に一太刀浴びせることができていたわけだ。

この必死の仕掛けもテンパイ止まり。
しっかりと前原もテンパイにこぎつけ、収入も1.500と仕掛けが失敗に終わる。
古川のような経験値を持った優れた打ち手であっても、先の見えないスパイラルに陥ることもある。
初日もちょうど折り返し。ここからどういった巻き返しがあるのだろう。

3回戦結果
柴田 +26.0P 前原 ▲2.5P 古川 ▲7.3P 朝武 ▲16.2P

3回戦終了時
柴田 +72.8P 前原 +26.5P 朝武 ▲47.9P 古川 ▲51.4P




4回戦(起家から朝武、柴田、前原、古川)

タイプと言うのは打ち手の個性である。
それぞれのタイプを分析してみると、
古川は、局面先手を取り場を常にリードし、支配していくタイプであり、
前原は、その豪快なイメージとは裏腹に、手順を忠実に守り、丁寧に摸打を繰り返す繊細なタイプの打ち手である。
柴田は、基本は門前主体だが手数も多く、機を見て切れ味良い深い踏み込みをするタイプと言えるだろうか。

対して朝武は、この4人の中では唯一の門前高打点タイプである。
思い切りの良さと、緻密で繊細な部分とを併せ持ち、バランスにも長けている。

そんな朝武であるが、今回の決定戦ではその良さを三者のスピードに消されてしまっていた。
ここまで我慢を続けてはいるが、このまま指を咥えて黙っているほどお人よしではないだろう。

東1局、5巡目の親番朝武、

 ドラ

この牌姿からをポン。
この仕掛けは、明らかに朝武のスタイルとは異なる。
このような朝武の仕掛けを私は見たことがない。
それくらい追い込まれていたのか、それともこのままではいけないと強く思ったのか、
その心中を窺い知る事はできないが、戦う意欲だけは伝わってきた。

しかし朝武、テンパイを果たすものの、ここは前原に2.600の放銃。

続く東2局、朝武にとっては痛恨の一局となる。



ここから上家・古川の切ったをチー。
すると、この仕掛けで親・柴田にテンパイが入る。

テンパイを果たした柴田がをツモ切ると、これを古川がポン。

 ポン

門前が信条の朝武が仕掛けずにを見送ると、柴田にも古川にもテンパイが入る事無くツモ。そして以下の牌姿に。

こうなった後の結果はわからない。
しかし現実は、古川に2.600の放銃。
この2局続けての結果は、点数以上に朝武に重く圧し掛かる。

この半荘も最初にチャンス手をモノにしたのは柴田。
東3局、わずか3巡でリーチ。そしてあっさりツモ。

 リーチツモ ドラ

理想の高目とはいかなかったものの、状態の良さを感じさせるアガリに柴田の潤んだ瞳もさらに輝きを増す。

鳳凰位決定戦は半荘18回に渡る長き闘いである。
まだ4回戦。しかし朝武にとってこの半荘を落とすことは、連覇に向けて早くも黄信号が点ってしまいかねない。
ここで柴田に加点され、さらにリードを広げられると、現実的にもこの先苦しい戦いを強いられることであろう。

南1局、点数状況を確認すると、
前原36.100、柴田35.100、古川28.400、そして親の朝武は19.900。

ここの親番はなんとしても死守したいところだ。
そんな朝武に、本日最高のビックチャンスが訪れる。7巡目にをポン、12巡目にを引いた朝武は、

 ポン ドラ

これに捕まったのが前原。

ドラが暗刻の三色1シャンテンに不運にもツモ
放銃を回避する選択も多々あるだろうが、ここは真っすぐ打。11.600放銃。
この仕掛けが柴田のものなら前原も迂回を選択したのかもしれない。それくらい本日の朝武には精彩がなかった。
体勢的にも前原と朝武とは大きな離れがあると感じていただけに、前原にとっては大きな落とし穴となった。

これを境に、今まで順調に歩んできた前原に当たり牌が押し寄せてくる。
南1局に古川に放銃すると、南2局1本場には4巡目リーチの古川に

一発でを放銃。
対局後、「あのは酷かった!」と語るように、手詰まりとはいえ淡白な放銃には前原も顔を顰める。

しかし、転んでもタダでは起きないのが前原の良さ。
続く親番で前原は脅威の粘りを見せる。
一人テンパイ、2.000は2.300、一人テンパイ、1.300は1.500オールと細かく加点。
二度の大きな放銃で失った点棒を、たった一度の親番で原点まで戻す。

大幅な点棒移動を繰り返しても、オーラスを迎えてみれば結局は原点近くに収束する。
しかも並びが柴田→前原→古川→朝武となってしまうのが不思議なものだ。

ここで素晴らしい打ち回しを魅せたのは朝武。
南家・朝武の配牌は平和1シャンテン。

 ドラ

2巡目、ここにをツモってくると、なんと朝武は打
5巡目にをツモり平和のテンパイを逃すものの、次巡ツモ
迷う事無くリーチを宣言する朝武。

前原と古川の攻勢を掻い潜り、力強くツモる朝武。ここでようやく鳳凰の片目が開いた。

 リーチツモ ドラ

4回戦結果
朝武 +22.3P 柴田 ▲2.0P 前原 ▲5.2P 古川 ▲15.1P

4回戦終了時
柴田 +70.8P 前原 +21.3P 朝武 ▲25.6P 古川 ▲66.5P




5回戦(起家から前原、朝武、柴田、古川)

4回戦オーラス、素晴らしい手組みで逆転トップを飾った朝武。
その勢いのままに上位進出を目論む。
しかし皮肉にも、この5回戦は朝武を除く三者が持ち味を如何なく発揮する半荘となるのだった。

まずは東一局、親番・前原が閃光煌く一発ツモで5回戦の幕を開ける

 リーチツモ ドラ

しかし周りも黙っていない。
東3局2本場、古川がリーチを宣言すると、朝武の打に親柴田が静かに手を倒す。

 ドラ ロン

次は古川の出番だ。
いつものように積極的な仕掛けで今度は前原が捕らえられる。

 ポン ロン ドラ

このアガリを契機に、親番で2.900、1.000は1.100オールと加点すると、圧巻は、

 ツモ ドラ

ようやく飛び出した古川の本手ダマテン。これが出始めると、古川の復調も近いか。

そして最後はやはり前原。

 ポン 加カン ツモ

このアガリで三者ともキッチリと三万点越え。
逆に朝武は、ただ一人一万点を割り込む。

朝武唯一のチャンスは南3局、

 チー ポン ドラ

ここにツモで、さぁどうする?
表示牌がだけに、ここはひとまず打
するとツモ。顔色一つ変えずにツモ切ると、次の選択はツモ
これも朝武はツモ切り。
するとすぐにツモ。跳満のツモアガりを逃す。

これには朝武も苦悶の表情。
3.000・6.000をツモっているところが二人テンパイとは淋しすぎる。
紙一重の結果とはいえ、先ほどのAトップが全て水の泡に。
朝武にとっては厳しすぎる半荘となるのであった。

5回戦結果
古川 +18.7P 柴田 +11.1P 前原 +5.1P 朝武 ▲34.9P

5回戦終了時
柴田 +81.9P 前原 +26.4P 古川 ▲47.8P 朝武 ▲60.5P




6回戦(起家から柴田、前原、古川、朝武)

ここまで柴田がこれだけの大量リードを守っている要因はいったい何なのだろうか?
確かに、ここまでの柴田のゲーム回しの内容はほぼ完璧であった。
だがそれは予想できる範疇であろう。
外から見ている限りでは、個々が自身の利益を求めて自分の都合で局面を進めているといった印象が非常に強い。
三者がお互いを牽制し合っている間に、ノーマークの柴田が悠々と逃げているといった感じだろうか。

ここまでの戦いは、まだ序章に過ぎない。
しかし、並びがはっきりとしてきた今、各人の役割が明確になった状況下でまず最初に意識すべきは、
これ以上柴田に楽に逃げさせないこと。

「ストップ・ザ・柴田」
共通の目的意識の下、この半荘この決定戦で初めて、それぞれの思惑がリンクし始める。

ここまでで一番静かな立ち上がりとなった6回戦、大きく局が動いたのは東3局1本場。
4巡目に役無しテンパイを果たしていた朝武が、意を決してリーチと打って出る。

 ツモ リーチ打 ドラ

4メンチャンだが高目は純カラ。
今日の朝武の出来では流局なら御の字ではと思ったのだが、意外にもハイテイツモ。

現在ラス目の朝武が抜け出したことで、前原と古川の間に共通の意識が生まれる。
柴田には、これ以上加点させてはならない。
そしてできることなら柴田にラスを押し付けることで、明日以降の戦いに活路を見出したいところである。

互いが牽制しあう中、重い場況が続く。

朝武→柴田 1.500 +300
前原→古川 2.600 +1600
柴田→朝武 2.000

そして南3局、ラス目の前原がトップ目の古川から5.200をアガることで、小場ながらようやく柴田がラスへと追いやられる。

そしてオーラス、なんとかラスは回避したい柴田、いとも簡単に3.900のテンパイを果たす。

 チー ドラ

しかしこのピンチを古川が救う。
トータルトップをひた走る柴田から価値ある3.900。

 チー ロン

三者に広がる安堵感。
しかし、ラスを引き受けた形の柴田からも笑顔が見える。
何事もなく初日を終え、ホッとする気持ちも良くわかる。

しかし、この半荘での結果が明日以降の戦いの大きな布石となるとは、まだ誰にも分からない。

6回戦結果
朝武 +12.9P 古川 +6.9P 前原 ▲4.6P 柴田 ▲15.2P

6回戦終了時
柴田 +66.7P 前原 +21.8P 古川 ▲40.9P 朝武 ▲47.6P




初日を終え・・・、

柴田
「思ったより出来が良かったです。最初の3回戦は気持ちよく打てました。」

前原
「話にならない。出来が悪いし下手。欲に負けてやってはいけないことばかりやってるよ。」

古川
「ここまで苦戦するとは・・・、柴田君をツカせちゃったかなぁ?」

朝武
「アガれないなぁ〜。半荘一回に一回じゃ勝てないよね。明日はもっとたくさんアガるよ!」


各自色々な思いが交錯する。

この中で鳳凰に選ばれるのはたった一人。
険しい道程は、まだまだ続く。




 

 


(文責 望月 雅継 文中敬称略)

                              

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