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第23期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜最終日〜

2月18日(日) 鳳凰位戦最終日 気温8℃ 雨

冷たい冬雨が、私を感動の最終章へと誘っていった。







13回戦(起家から朝武、前原、望月、古川)

東2局1本場、北家・朝武の先制リーチを受けた親・前原、

    ドラ

追いかける。すぐさま掴んだ牌を力なく河に置くと、朝武の手牌が開かれた。

非常に難解ではあったが6,000オールを逃した形、前原は4巡目に捨てた を悲しげに見つめた。

復調気配の朝武は南2局1本場で、

  ロン   ドラ

これをしっかりヤミテンで和了り切る。手変わり期待の が枯れていたことも幸いした。
もし朝武がリーチをしていると、 を放銃した南家・望月が、

場に2枚切れの を選択した可能性が高く、勝負は縺れていた。
朝武、日を跨いでの連勝で反撃の狼煙を上げた。


オーラス、手牌を倒した望月は和了ってラスも、前原を沈ませたままで、これで良し。
吹雪の中でギュッと奥歯を噛み、劣勢を受け止めた。

13回戦終了時
前原+35.2 望月24.4 朝武▲12.4 古川▲47.2







14回戦(起家から朝武、古川、望月、前原)

小刻みに点棒を積み重ねた古川が、南1局に勝負手をものにする。

  ツモ     ドラ

これで古川も復活。
前日に沈んでいた両者が、続けて一人浮きのトップを奪った。
終焉迫りて尚も、場は平たく、四者の距離が縮まってゆく。
それはまるで鳳凰が、己の分身を未だ決めあぐねているかのようであった。

14回戦終了時
前原+26.5 望月+7.7 朝武▲16.8 古川▲17.4







15回戦(起家から望月、古川、前原、朝武)

「実は、こっそりと昨年の鳳凰戦を観に行ってたんですよ。やはり、
どうしても獲り返したいという想いが、そうさせたんでしょうね。
最近やっと、打ち手として自分の麻雀を極めることに集中できるようになりました。
今は、充実してますよ。」

淡々とした中にも闘志を秘めた様子で、そう古川は語った。
そんな古川は、あの質問に何と答えるだろうか。

あなたにとって、鳳凰位とは何ですか?

「自分が獲った時は、3回とも同じ感覚でした。あぁ、自分が選ばれたんだなぁ、って。」

それは、前原と同じ答えだった。
私は驚くと同時に、鳳凰に対し改めて神聖なものを感じずにはいられなかった。

オーラス、古川の持ち点は、すでに6万点を越えていた。
南家・望月は6巡目で、

  ポン     ドラ

和了れば前原をかわして3着となるだけに、ツモってくる指にも力が入る。
しかし、12巡目引き放った は、不穏な河の古川の手牌に吸い込まれた。

  ロン




二日目を終えて最下位だった古川が、一躍先頭に立った。
一方、首位だった望月は雪崩に巻き込まれ、最下位へ転落。
残すは、あと3半荘。

15回戦終了時
古川+33.5 前原+9.9 朝武▲20.8 望月▲22.6







16回戦(起家から朝武、古川、前原、望月)

南1局の親番で、

  ポン   ロン     ドラ

これを前原から和了ってトップ目に立った朝武は、
南2局で をポンした親・古川と、ドラの をポンした南家・前原を警戒し、慎重に打牌を選んでいた。
その結果、真に警戒すべき男の待ち牌を河に置いてしまった。

西家・望月

  ロン   ドラ

そして、運命の南3局。
5巡目に を引いた親・前原は、

  ドラ

ここから打 とすると、次巡のツモが
ロスなく678の三色を見ながらの打 ならば、4巡後のツモ 待ちのリーチが打てていた。
さすれば、あの男の復活は、現実のものとはならず、夢物語となっていた。

16巡目、望月がリーチを放つ。
何が何でも親権を死守したい前原は、現物を抜き打った北家・古川の に救助を求め、形テンを取る。
次の瞬間、望月の手元で が踊った。

  ツモ   ドラ

戦後に古川は、この打 を悔いていた。
「あの局面、他にも打牌候補はあったんですけど、前原さんに選択肢を与えてしまう甘い一打でしたね。」

その古川とは比べものにならないほどの大きなダメージを負った前原は、
豪雪の中で、次第に身動きが取れなくなっていった。

16回戦終了時
古川+43.4 望月+7.1 前原▲24.9 朝武▲25.6







17回戦(起家から古川、前原、望月、朝武)

東1局、いきなり望月に大物手が飛び出す。

  ツモ   ドラ

当面の敵である古川に親カブりをさせての、価値ある和了り。

そしてオーラス、遂に脱落者が出てしまった。
親番の朝武は を鳴いて、

  ポン

13巡目に引いた を、朝武はツモ切った。
そして次巡、 ツモ 。4,000オールを逃す。
は完全安牌。 を狙いに行ったとしても、それはあまりにも消極的であり、
頂を極める者の選択ではない。

続く1本場、親・朝武は、

  ドラ

でリーチを打つも、先にリーチを入れていた西家・前原が、

  ツモ

これを実らせ、最終戦に向けて望みを繋ぐ。

急に、朝武が、厚い雲に覆われる。
観戦者たちは、そして私は、朝武の背中を見失った。

17回戦終了時
古川+37.1 望月+22.0 前原▲20.8 朝武▲38.3







最終18回戦(起家から望月、朝武、前原、古川)

奇跡の逆転を期す前原は東2局で、

  ツモ   ドラ

これをリーチでツモり上げ、まずは先制。
迎えた親番、東3局1本場で渾身の勝負リーチに出た。

  ドラ

高目を引き上がるようなことがあれば、逆転へのシナリオは一気に現実味を帯びて来る。
しかし、なかなかツモれない。
終盤に南家・古川が仕掛けを入れ、ハイテイ牌は前原へ。
握り潰してしまいそうなほどの力を籠めた牌は、前原が待ち焦がれたそれではなかった。
あぁ、流局か。
否、古川の手牌が倒れた。

  ポン   ロン

一瞬、前原の動きがピタリと止まった。
その事態を把握するまで、しばしの時間を要す。
放心状態のまま1,000点を払う前原の後ろで上がった溜め息も、まだ諦めるなという援念も、その耳にはもう届かない。
そして、前原もいなくなった。

勝負は、完全に二人の争いになった。

東4局、望月が

  ツモ     ドラ

これをリーチでツモると、続く南1局で古川が離されじと追いつく。

  ツモ     ドラ

両者、一歩も退かずに前進する。

そして、勝負所の南3局。持ち点は、古川32,300、望月31,500。
17回戦までの両者の差は、15.1P。
望月は、古川を沈める大きな和了りが必要だ。
追う望月は2巡目で、

  ドラ

ここから打 とし、5面張テンパイを取らず。
結果、この手牌が理想形で仕上がることはなく、流局。
望月は、勝負を諦めていない。だから、この手を諦めた。

そんな望月の執念が、次局の決定打を生んだ。

  ツモ   ドラ

歓声が起こる。いよいよ、あと1局。

沈んだ古川はラス親、ここはひとまず浮きに回らねばならない。
対する望月は中盤で、

  ドラ

このイーシャンテンになった。
15巡目、 を引き入れた望月の眼前に、頂が広がった。
その瞳は、鳳凰の姿を射貫いた。
そのとき私は、望月が戦前に語った、あの質問の答えを想い出した。

あなたにとって、鳳凰位とは何ですか?

「僕はね、鳳凰位を獲ることができたら、もう死んだっていいんです。そのためなら、何だってする。
それくらい、鳳凰位というものに対して、特別な想い入れがあるんです。」

そして、時は来た。
その熱き想いを知り、鳳凰がそっと微笑む。
望月の夢が叶った。





望月の背中を見守り続けるため、静岡から応援に来た仲間たちの目に、尊い光が宿る。
それを見た望月の目に、涙が溢れた。
絶大な感動とともに、素晴らしい戦いの幕は下り、皆が山を降りた。

最終成績
望月+46.0 古川+28.7 前原▲13.5 朝武▲61.2



戦い終わって





2月19日(月) 東京にて

朝武「またダメだった。今の自分には、何かが足りないんだろうね。」

前原「弱いから負けた。ただ、それだけのことなんじゃないかなぁ。」





2月23日(金) 名古屋にて

「もちろん悔しいんですけど、なぜが嬉しいっていう気持ちもあるんですよね。半々くらいかなぁ。」

一週間ぶりに逢った古川孝次は、相変わらず淡々とそう語った。

「本当に良くやった、と言ってあげたい。今回彼が勝ったことで、
そろそろ後の人たちのための道を作ることを考えようかとも思っています。
もちろん、自分のこともやりながらですけどね。これまでずっと、独りでやってきましたから・・・。」





2月24日(土) 浜松にて

「苦しかったけど、本当に楽しかった。そんな三日間でした。
特に、想い入れのある三人が相手だったので・・・。」

一週間ぶりに逢った望月雅継は、晴々とした顔でそう語った。

ここ数年、麻雀講師養成講座を受講していた望月に、朝武雅晴は伝えた。
人を育てるにあたっての姿勢や心構えを学び、望月は静岡支部牽引に役立てた。

「鳳凰位を獲れたら死んでもいい」と無邪気に言い放った望月を、前原雄大は諭した。
「それは違う。鳳凰位を獲ることが大事なんじゃない。本当に大事なのは、獲ってからどうするかなんだ。」
麻雀プロとしての在り方を学び、望月は己の将来の指針とした。

かつて中部リーグに参加していた望月を、古川孝次は鳳凰山へと導いた。
結果が出せず、もう辞めてしまおうかとまで苦悶していた望月に、
「東京へ行きなさい。このまま名古屋でやってても強くならない。東京に行かないとダメです。」
それでも望月は決心がつかなかった。時間的・経済的、そして精神的負担は計り知れない。
そんな時に舞い込んだ、一つの知らせ。
『古川孝次 鳳凰位獲得』
それを聞いた望月に、もう迷いはなかった。

「今回の戦い、自分としては、恩返しの気持ちもあったんです。こうして最高の結果を出せたことで、
改めて感謝の気持ちでいっぱいです。」
夢を成し遂げ、これから望月が目指すは、新たな頂。

「これまで以上に、良い人材を育てたり、麻雀普及に力を入れて行きたいです。
そして打ち手としても、新たなステージへの挑戦に全力で臨みたいです。」





2月25日(日) 東京行き新幹線車内にて

流れる景色をぼんやりと眺めながら、午前中に見た静岡リーグの光景を想い返していた。
静岡支部は活気に溢れていて、それは若き支部長の人間力によるものであると確信した。

やがて、突如として眼前に巨大な山が姿を現した。
圧倒的な存在感、上部に真っ白な雪化粧を纏い、ただ高く美しく在り続ける富士山の光景に、
しばらくの間、すべてを奪われた。
あぁ、綺麗だ。
車窓から見えるこの山がきっと、名古屋から、そして浜松から向かう男たちにとって、
頂への想いを再確認するのに重要な役割を担っていたことを知り、目頭が熱くなった。

俺にとって、鳳凰位とは・・・・・

そう呟いて目を閉じ、背もたれに身を預け、しばしの眠りに就いた。





魂が揺さぶられるほどの感動なんて、生きているうちにそう何度も味わえるものではない。
麻雀プロは、その瞬間のために牌と向き合い、そして自分と向き合っている。

そして私は夢に向かい、今日も牌に触れる。






 


(文責 松崎良文 文中敬称略)

                              

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