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タイトル戦情報

第23期 鳳凰位決定戦

鳳凰位決定戦観戦記 〜初日〜

2月16日(金) 鳳凰位戦初日 気温11℃ 快晴

雲一つない青空、空気は澄みきっていた。
目の前にそびえ立つ山はあまりに巨大で、その全貌をまだ私に把握させてはくれない。
タイトル戦の決勝を戦うことと、山頂を目指して山に登ること。
この二つが極似していると思い始めたのは、一体いつの頃からだっただろうか。

鳳凰山、それは日本プロ麻雀連盟の最高峰。
毎年この時期、選ばれし四名のみが、この山への登頂を許されているのだ。
その頂には、鳳凰位という栄冠が置いてある。
「今年はどんなドラマが待っているのだろう。」
私はそう呟いて、高鳴る鼓動を抑えながら、会場への歩みを速めた。

会場に着き、カバンから一冊のノートを取り出した。
これから起こるあらゆる出来事を全て記そう、そう思って準備したノートだ。
既にその表紙には、昨夜書いた『第23期鳳凰位戦』の文字がある。
それを徐にめくり、最初のページに、今回鳳凰山登頂に挑む四名の男達の名前を刻んだ。



古川孝次
第16・17・18期鳳凰位 
鳴きを多用し、変幻自在に立ち回る、老練な尾張の雄。
虎視眈々と復位を狙う。

      

前原雄大
第12期鳳凰位
その風貌に違わぬ重戦車の如き猛攻は脅威。
強い前原の復活を願う人達の声援に応えられるか
     

望月雅継
鳳凰位決定戦初出場。
C兇ら5年でA気悄△泙神轍支部を旗上げた努力家。
その期待を一身に背負い、若き支部長の挑戦が始まる
 

朝武雅晴
2年ぶり5度目の出場。
我流の超高打点打法を礎にしている若手も多い。
タイトル戦決勝12回目にして、悲願の載冠なるか




決勝開始前、会場にヒリヒリとした緊張感は無かった。
意外だなと思ったが、
まだ初日だし、三日間あるわけだし、とりあえず今日は足慣らしの心持ちなのかな、
と考えると、妙に納得も出来た。

勝負ごとゆえ、『皆が敵』は当然だが、
共に最高の舞台で素晴らしい戦いを作る、という意味では『同志』といえるだろうか。
そんな甘い理想論に浸っていた私の目が、中央に位置する一卓を捉えた。
四者が席に着くと、会場全体の気が一点に集約されていくのが肌で感じ取れ、
いよいよ始まるんだ、と思ってすぐに、身震いをしている自分に気づいた。

古川と前原の顔には覇気があった。
二人は、この山の頂への道を知っている。
刻一刻と様相が変わる山の天候をどう進めば良いかをかつて体験した、これは強みだ。
しかし、忘れてはならないのは、頂への道に一つとして同じ道などないということ。
それは、今年とて例外ではなかった。

望月と朝武の顔には決意があった。
二人は、この山の頂への道を知らない。
ましてや、他の山の頂を極めた経験もなかった。
だからこそ、彼らの胸中を察した時、今回の登山に賭ける想いがいかに濃いものであるか。
それは、想像するに難しくなかった。

午前11時。
開始の合図と共に、四者が足並みを揃えて、頂上へ向けての第一歩を踏み出した。



1回戦(起家から望月、前原、古川、朝武)

古川一人テンパイでの幕開けとなった初局。
終盤、古川のチーで親・望月のタンヤオドラ2のテンパイ牌が喰い下がる。

続く東2局でも古川は仕掛けを入れ、早くも場に存在感を示す。
朝武の鳴きもあり、やや焦ったか親・前原、

  ドラ 

ここから、北家・望月の  をチー。
そして、本来なら前原が重ねるはずの  を手元に置いた古川「500・1000」。

迎えた東3局、親番は好流の古川。
連荘を予感させるも、先程の挽回とばかりに前原が意地のリーチで食い止めた。

  ロン      ドラ 

放銃の朝武はピンズの混一テンパイで悔いなどない。
しかし、次局の親番での、

  ドラ 

更にオーラスの親番での、

  チー    チー    カン     ドラ 

いずれも実らず、一人沈みのラススタート。

一方の前原は南1局の、

  ポン    ツモ      ドラ 

が決定打となり、幸先良く初戦を飾った。

1回戦終了時
前原+15.8  望月+4.3  古川+1.5  朝武▲21.6



2回戦(起家から望月、古川、前原、朝武)

「いや〜、冴えないなぁ〜」と苦笑の表情を浮かべる朝武は、戦前にこんなことを言っていた。

「俺はもう一生タイトルを獲れないかもしれない、と思ったこともあった。周囲の人にもいろいろ言われたりしたしね。
でも、諦めるわけにはいかない。幸運なことに、またチャンスが巡ってきたわけだし、今回こそは本当に勝ちたい。」

そんな朝武に、一つの質問を投げ掛けた。

あなたにとって、鳳凰位とは何ですか?

「それはやっぱり、叶えたい夢だよね。皆の憧れでもあるし、是非とも欲しいよ。」

そんな想いが通じたか、突如として、朝武に追い風が吹いた。

東2局、西家・朝武、

  ポン   ロン     ドラ 

これに放銃は望月。
朝武の手が開いた瞬間、望月の表情に落胆の色はなかった。
むしろ、何か熱のようなものを宿したその顔を、私は見逃さなかった。

そして南1局1本場、親の望月は5巡目で、

    ドラ 

のテンパイを果たすも、次巡のツモ  で四暗刻へ渡って行く。
そして10巡目、  を引き入れ、渾身のリーチを放った。
大事な大一番で素晴らしい手順を魅せた望月のツモ和了りを、誰もが期待した。
しかし、この手牌が開かれることはなかった。
望月が一発目のツモ牌を虚しく河に置いた次の瞬間、息を殺していた朝武が指を震わせた。

    ツモ 

順風の朝武は、オーラスの親番でも、

  チー    ロン     ドラ 

を望月から討ち取る。
これで朝武は6万点を越えるトップ。
初戦で負ったマイナスという名の積荷を、そっくりそのまま望月に押し付け、トータルでも首位に立つ。
輝きを失っていた朝武を応援する観戦者達の瞳に、光が甦った。

2回戦終了時
朝武+18.8 古川+8.3 前原+1.6 望月▲28.7



3回戦(起家から望月、朝武、古川、前原)

東1局、重荷を背負った望月の親番で、前原が圧力を掛ける足止めリーチ。
結果、一人テンパイで流局。
してやったりの前原だったが、続く東2局で疑問手を打ってしまう。
一度は撤退した手牌から押し返して、親の朝武に放銃。

助けを借りた朝武にも、疑問手が生まれる。
南1局1本場、

  ロン     ドラ 

ヤミテンの朝武、望月からこぼれた  に手を倒す。
思うに、この手をヤミテンにした時、瞬間に得た2000点よりも大切なものを失ってしまうのではないか。
確かに伏線はあった。
東3局1本場で望月が、

  チー    チー    ツモ     ドラ 

1000・2000を引いた。
これは既に2巡目で鳴いていた古川の仕掛けに対抗し、

ここから動いたものだったが、この和了りに望月は、劣勢脱出へ相当な手応えを感じた、と後述している。
その望月が親番で二つ仕掛けたのが先ほどの局面、細心の注意を払ってのヤミテンであったのだろう。
であったとしても、やはり朝武にはリーチでかぶせてほしかった。
朝武という打ち手は、本来そういう男であるから。

3つの力、前原と朝武の疑問手、そして古川の遠い仕掛けが一点に集約された南3局2本場の望月の和了は、
ある意味、必然のものであったように思えた。

  ツモ     ドラ 

これで望月は一人浮きのトップ。
さっきまで両肩に圧し掛かっていた重荷を、ゆっくりと地面に降ろした。

不思議だった。
一人沈みをくらった者が、次の半荘で一人浮きになる展開。
まるでこの山が、脱落者を生まぬよう場を平たく進めている、
そんな不思議な感覚だった。

そしてそれは、今日このあとも続いてゆくことになる。

3回戦終了時
朝武+3.4 古川+1.6 前原▲0.5 望月▲4.5



4回戦(起家から望月、朝武、前原、古川)

ここまでマイペースで地道に歩いてきた古川の打牌が、ついに捕まり始めた。
まずは東2局、親の朝武へ11600。

  ポン    ロン     ドラ 

これを皮切りに、2600、8000と放銃した古川の持ち点はハコ寸前へ。
この後、やや立て直すも、大きいラスのままこの半荘を終了。
古川のポイントを、朝武と望月が分け合う形となった。

やれやれ、と地面に置いてあった重荷を担ぐ古川の口元が、真一文字に結ばれていた。
脱落するはずがない、
そう思わせるような、印象的な表情だった。

4回戦終了時
朝武+21.4 望月9.1 前原▲6.8 古川23.7



5回戦(起家から古川、朝武、前原、望月)

東3局、事故発生。
失点の続いた望月が、崖から転落した。
ドラのポンから入った親・前原は  も鳴けて、

  ポン    ポン     ドラ 

ここから打  を受けての南家・望月の手牌が、

  チー 

前原の最終手出しから  もしくは   がトイツで固められた可能性が高いと読んだ時、
この  をペン  でチーしての  待ちに構えるのが善手であろうが、望月はこれをスルー。
そして、次のツモが 
少考の末の選択は、前原の18000を実らせ、自らの命綱に切れ目を入れてしまうものだった。

だが、やはり山は望月を見離さなかった。
オーラスの親番で、捨て身のリーチに出た望月。

  ツモ      ドラ 

それは、あまりに鮮烈な6000オールだった。
この和了で、危うく切れかけた自身の命綱を補強する。
離されるもんか、という望月の心の声が聴こえてきた。

5回戦終了時
朝武+15.2 前原+9.9 望月▲8.4 古川▲16.7



6回戦(起家から古川、望月、朝武、前原)

洛陽迫る初日最終戦、事件は東2局1本場に起きた。
犯人は西家・前原。

    ドラ 

ここから南家・朝武の切った  を鳴くと、すぐさま北家・古川が捨て牌を横に曲げた。
このとき前原は、自らの愚行を悔いた。
おそらく、この事態の結末を、誰よりもはっきりと想像できていただろう。
そして終盤、古川が軽快に高目の  を引き当てた。

    ツモ 

前原は目を細め、そして己に誓った。
この先、もう二度とこのような鳴きはするまい、と。

結局、トータル首位を走っていた朝武が一人沈みのラス。
こうして、遭難者なきまま、初日の幕は閉じた。

6回戦終了時
前原+12.1 望月+0.2 古川▲1.7 朝武▲10.6



初日を終え、四者が宿へと戻った。
戦いの最中というものは、常に孤独が付き纏うものだ。
それはまるで、小さいテントの中で体を丸め、極寒をしのぎ、たった一人で夜明けを待つようなものである。
そんな孤独に耐えながら、彼らは何を想うか。

朝武「感触は悪くないけど、和了りに結びつかない局面が多かった。でも、自分らしく打てたと思う。
    明日また、仕切り直しだ。」

古川「今日は60p浮くつもりでいたけどダメだった。爆発は明日にお預けだ。」

望月「危ない場面は何度かあったけど、どうにか踏み止まれた。気分良く明日に臨めます。」

前原「悪くはないが、もう少し、目先の和了りを捨てていったほうが良い気がする。
    そして、すべてにおいてもっと純粋にならないと。それが出来れば、もっと麻雀に、場面に溶け込めるはずだ。」


四者の想いが空で交錯し、雲をもたらせ、夜は更けていった。
頂は、まだ見えない。




 

 


(文責 松崎良文 文中敬称略)

                              

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