
二次予選からは、既に戦って勝ちあがった者と、ここからのシードの者に分かれる。
「勢い」というものを考えると、勝ちあがってきた者のほうが、やや分があると思われる。十段戦等で、シード選手が敗退する理由は、この「勢い」にやられる場合が多い。
この辺りの戦いぶりから、この大会の「勢い」にのる選手を探ってみたい。
1卓:灘麻太郎 内川幸太郎 近藤久晴 勝又健志
1回戦、偶然にも昨日と同じ卓の同じ場所に座った近藤。3連勝を決めた場所である。
当然、本人も感じていただろう。初戦は気持ちよくトップを決める。ラスは勝又。
二人は今年度、同じリーグで何度も対戦した相手。
勝又がこぼしていた。「近藤さんに、勝てるイメージがありません」
相当苦手にしているらしい。
裏を返せば、ここが1つの山場であり、この相手を倒せば、「勢い」はつくというもの。
3回戦まで近藤にポイントで遅れをとっていたが、4回戦でついにトップラスを決めて、近藤を逆転。
そのまま内川と逃げ切り、ベスト16行きを決める。
勝ち上がり:勝又健志 内川幸太郎
勝又「初めて近藤さんに勝ちました」
敗れた近藤は、来期リーグ戦の抱負を語ってくれた。
近藤「やっと最上階(A1)にきたので、格の違いを見せつけられないよう、頑張ります」
2卓:魚谷侑未 山井弘 前原雄大 ダンプ大橋
前日、アガリまくった前原。今日もアガリまくるのかとおもいきや、この日は不運の連続でジリ貧となる。
同じく前日、僅差で森山をかわしたダンプが最終戦で粘りこみを見せ、最後は山井、ダンプの通過となった。
勝ち上がり:山井弘 ダンプ大橋
3卓:和久津晶 滝沢和典 古川孝次 藤崎智
屈指の好カード。和久津には、キツイ卓と思われたが、いつも通りの堂々とした自分の麻雀を展開。ハートが強い。
トーナメントのスペシャリスト藤崎、昨日苦戦したおかげか、今日は楽々逃げ切り。
最終戦、滝沢、和久津の着順勝負となる。
東2局、南家・和久津。ここで、和久津らしい一打が出る。
7巡目に以下の形。
          ポン  ドラ
単純に待ち選択なら、 単騎だが、 はすでに2枚切れ。
7巡目という巡目も考えると、打 の方が良さそうに思えたが、和久津の選択は当然とばかりに地獄マチを選択。
長引くかと思われたが、次巡、古川がつかみほどなく決着。
このアガリが引き金となり、和久津はアガリまくり滝沢を突き放す。金星をあげた。
勝ち上がり:藤崎智 和久津晶
4卓:伊藤優孝 望月雅継 白鳥翔 西川淳
最終戦を迎え、白鳥+59.9P、伊藤+1.8P、西川▲1.4P、望月▲60.3P。
白鳥は確定で、伊藤、西川の争いかと思われたが、白鳥がハコラス寸前となり、三つ巴に。
辛くも白鳥が逃げ切る。
勝ち上がり:伊藤優孝 白鳥翔
望月は、鳳凰戦からやや精彩を欠く結果に。
同期としてエールを送るならば、現在再放送されている、「第8回モンド杯」を見ることをお勧めする。
そこには、鳳凰位として出場している望月の姿があり、今ずれている場所が一目瞭然であらわれている。
彼の強さなくして、A1リーグの発展はないのだから。
5卓:樋口新 沢崎誠 猿川真寿 黒沢咲
もつれにもつれたこの卓。最終戦を迎え、ポイントは、
樋口+22.2P、猿川+10.5P、黒沢▲5.0P、沢崎▲27.7P
オーラスを迎えて、親は沢崎。
樋口、猿川は、この局を潰せば勝ち上がり。
黒沢は条件が満貫クラスのアガリ。沢崎は、とにかく連荘しなければならない。
ここから、沢崎の連荘が始まるから恐ろしい。
3本場まで積み、最後はノーテン宣言して通過を決めた。
樋口は、この悔しさと経験を生かして欲しい。
マスターズの決勝で、荒、沢崎、私をやぶって栄冠を掴んだあの時の麻雀を、そして気持ちを思い出してほしい。
少し辛い事を言うなら、今の樋口は構えている。もっと我武者羅にやって欲しい。チャンスを与えられた意味を今一度考えて欲しい。
樋口「最後あせって、自滅しました」
いよいよ、ベスト16。
ここからは、段々と、負けられない戦いとなってくる。
勝ち上がり:沢崎誠 猿川真寿
勢いを感じたのは、勝又、和久津の両選手。
果たして結果は如何に。

(レポート:瀬戸熊
直樹 文中敬称略)
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