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タイトル戦情報

グランプリ2009 

決勝観戦記

観戦記:瀬戸熊 直樹

グランプリも創設以来、5回となる今回、なんと2005年から2008年の優勝者4名が決勝に残るという事実。 
全員がA1 リーガーであり、4名とも一流の打ち手である。

一流の打ち手4名が揃った時、戦いは、常に先頭を走る者に対して楽をさせない、厳しい戦いとなり、誰一人をして抜ける事ができず、
最後の最後に、女神に微笑んでもらうために、一打一打、一局一局を最後の場面に合わせて行くことが大切となる。

その為の軌跡をここに書き記したい。

6回戦オーラス時、トータルポイント。

東家▲9.0P、南家▲0.1P、西家+0.9P、北家+6.2P、供託2,0。

となっていた。これほど四者に条件のある戦いは珍しい。
そしてここにいたるまでの過程が、まさに、超一流の4名の戦いであった。

1回戦  

東1局、親・藤崎。 

まず、上図を見ていただきたい。この終了図を見て、皆さんは何を感じるだろうか。
私は、前原の凄さと、荒の凄さを感じずにはいられない。

前原 雄大

 

「前原雄大」
私は前原に対し、10年ほど前の一時期、まったく口を聞かない時期があった。
私が、前原と言う人物を完全に勘違いしており避けていた。
しかし、ここ2年ぐらいの間、麻雀で行き詰まると、常に前原を頼るようになっていた。 

2年程前、前原は私に色々と話しかけるようになってきた。気のない返事を繰り返す私に、前原は根気よく語りかけてくれた。
ある日、前原のある一言に、小さな事にこだわる自分を恥じる事となる。
それ以来、私は前原に全幅の信頼をおき、連盟のこと、麻雀の事、色んな事を相談するようになると同時に、いつの日かこの人を超えたいと強く思うようになる。

冒頭の手牌、タイトル戦決勝でのオープニング。このに「ポン」の声はなかなか掛けられない。
もし、前原と同じように1,000点アガれたとしても、おそらく、前原とは見ているものが違うと思う。

終了後、前原に、「あのポンは相変わらず、さすがと思いました」と声をかけると、

「うーん、しかし結果がでなかったんだから、やはり戦い方が違っていたんだろうなあ」と言う答えが返ってきた。

前原は、常に勝たなければいけないという立場にいる事が感じられた一言であった。

荒 正義

 

「荒正義」
私が連盟に入った当初、最も打ちたかった人であり、最も憬れていた人。(現在も同じであるが)
A1に昇級した時の第1節、対面に座るは「荒正義」感動に心が震えた。

1年間戦ったあと、滝沢プロから「荒さんが、瀬戸熊さんは打てると言っていましたよ」と聞いた。
この言葉を聞いた時は、好きな女性に「好きです」と言われたことの、30倍ぐらいうれしかったのを今でも覚えている。

を打った荒。もちろん下家の親・藤崎に対しての打牌であり、前原の仕掛けが安いのは百も承知。 
開かれた前原の手牌を見て、己の位置を確認したであろう。

荒の凄さの1つに、上家と自分、自分と下家の間合いのとり方がある。この間合いが、常に絶妙であることがあげられる。
そして東4局、荒のこの日最初の親番。

私はいつも荒と対戦する時、荒の親番での第一打を切り出すフォームに注目する。というより楽しみにしている。
気合の乗っている荒の、開始を告げる第一打牌は、実に心気味いい音を立てる。
この日は実に素早く、美しいフォームで「パチン!」と音を立てた。荒、モチベーションマックスと見た。

ほぼ無風で迎えた南1局、ようやく、この日の隊列が出来始める。

まず親の藤崎が、8巡目、ピンフドラ1の-待ちをテンパイしダマ。
9巡目、前原が自風の-とのシャンポン待ちでリーチ。
11巡目、荒が-待ちのリーチ。15巡目234の三色となるを引き入れ、親・藤崎がリーチを入れ3軒リーチとなった。
そして、荒が前原から出アガり。

注目は藤崎、親番でこのファーストテンパイをダマにして、それを後々に活かしていけるは、おそらく藤崎ただ一人。
競技ルールで悩んでいる人がいるなら、是非、藤崎の後ろで見学する事をおすすめする。

藤崎 智

 

「藤崎智」
今から、十年程前、藤崎と十段戦のベスト16で対戦する。私は1回戦で8万点の大トップ。
続く2回戦でも浮き、ほぼ勝ち残りを確信した3回戦。
藤崎が100人中、99人リーチしそうな手牌をダマテンにして、9,600を私から直撃。
その一打で私はフラフラになり、2着通過。藤崎は余裕のトップ通過となった事があった。

長い競技人生で、トップ3に入る見事なヤミテン(場況、マチ、点数すべてそろった)だった。
藤崎が、今期からようやくA1リーグというのは、連盟の最大のなぞである。

ここまで、一度もツモアガリがないと感じていると、やはりこの人がツモアガり一番乗り。

沢崎 誠

 

「沢崎誠」
麻雀に対しては辛口である。
十年程前、十段戦で対戦した時、私がダブ東のバックでアガった事があった。
沢崎は私に「瀬戸熊よ、A1に行きたいのなら(当時私はA2)あのダブ東は暗刻になってなきゃダメだ。」と言われた。

そして時は過ぎ、鳳凰戦の後、「瀬戸熊よく勉強したなあ」と言われた。
本当にうれしかった。沢崎に誉められたことは私の財産の1つである。

連盟内でツモアガりの多さは、この人が一・二位を争うのではないだろうか。
それ程、最終形を山に合わせるのがうまい。

南2局の親番、

 ツモ ドラ

これを引きアガリ、荒を逆転。トップ目に立つ。
しかし同1本場、荒が藤崎から5,200をアガりこの半荘をものにする。

1回戦成績

荒+19,6P  沢崎+12,0P  藤崎▲13,6P  前原▲18,0P



2回戦

この日のここまでの牌勢は、荒→沢崎→藤崎→前原の順。
これ位の打ち手となると、勢いをそのまま持続するのはまったく問題がない。
特に荒は、さまざまなタイトル戦で圧勝劇を何度も演じてきた。

東3局1本場の親番では、ついに待望のツモアガりが出る。

 ツモ ドラ

そのまま2連勝を決め、早くもマジックが点灯する。

2回戦成績

荒+21,9P  前原+8,6P  藤崎▲4,3P  沢崎▲26,2P

2回戦終了時

荒+41,5P  前原▲9,4P  沢崎▲14,2P  藤崎▲17,9P

しかし、今日の荒の相手3人は、それぞれが超一流の相手である。
3人の意識は荒を止める一点に集中する。こうなった場合の麻雀の恐ろしさが、次の3回戦にあらわれてくる・・・・。



3回戦

三者のマークにより、徐々に点棒を削られた南2局、ついに荒がつかまる。
そして、これぞプロの手順を見せてくれたのが沢崎。

沢崎の10巡目の手牌。

 ツモ ドラ

789の三色1シャンテンであるが、42,700点持ちのトップ目でもあり、親番を考えると、ツモ切ってもよさそうな場面。

実は、南家・前原が、

これをテンパイしていた。
沢崎打。その後、ツモときており、打としておけば、

こうなるが、このテンパイを組むとが前原への放銃となる。
針の穴を通すようなアガリであると同時に、値千金の荒からの直撃であった。

3回戦成績

藤崎+16,4P  沢崎+12,1P  前原▲5,3P  荒▲23,2P

3回戦終了時

荒+18,3P  藤崎▲1,5P   沢崎▲2,1P  前原▲14,7P

会場の様子

 

4回戦

四者の体勢、ポイントがほぼ横並びになり、オーラスを迎えて、荒32,100、前原34,600、沢崎32,300、藤崎21,000となっていた。
ここで藤崎が、

 ツモ ドラ

この6,000オールを決めてひとまくり。藤崎は本当に強い。しかも安い手でも、高い手でも、まったく表情にださない。
この男がA1に上がるのに、この年月がかかったのが本当に不思議である。

4回戦成績

藤崎+17,0P  前原+6,1P  荒▲7,9P  沢崎▲15,2P

4回戦終了時

藤崎+15,5P  荒+10,4P  前原▲8,6P  沢崎▲17,3P



5回戦

ここまで前原がおとなしすぎる。この半荘トップをとるのだが、前原らしいトップとは言えない。 
七対子が2回入っているが、両方とも出アガりである。
前原は調子のよい時はトイトイで決まる。七対子なら、必ずリーチツモ七対子である。
もしくは、七対子で出アガる時は必ずと言っていいほどドラドラがある。待ちは相手の心を折るような牌である。
今日は、なぜか今ひとつなのだ。

終了後前原に、今期の総括と来期の目標を聞いた。他の選手は簡単にその場で、コメントをくれたが、前原は「後でメールするよ」と言った。
そして、夜が明けてから数度メールが来た。
文面がそれぞれ微妙に違う。らしいと言えばらしいが、ちょっと気になった。
後日会った時、そこには勝利を義務づけられた、男の苦悩があった。

「上手くまとめてよ」と言われたが、王者の苦悩もファンや後輩たちにはいいものだと思い、ここに紹介する。

「グランプリに関しては、結果と言うことではなく、荒正義さんから学ばせて頂きました。
それは例えば、どん詰まりの局面の中で、本手を打つという事はどういう事か!麻雀を打ち続けるという事は何か!
対局中も、その在り方に震えさせて頂きました。敬愛して止まない偉大な先輩を持てた事を、改めて誇りに思わざるを得ない。」

「走っても、走っても、走り続けていても、何処に向かっているのか何に向かっているのか、そんなことさえわからない1年ではありました。
それは例えば、航海地図も持たずに出向する小船のように思われる1年のように。この程度しか麻雀が打てないのか!
そう思い、考え続ける日々としか言い様がありません。来年度は、具体的な目標は何もありませんが、一生涯マージャンプロで在り続けるために、
根元的な麻雀力を一から見直す年にするべく、精進を重ねる日々に致したく思います。また一から、原点からやり直しです。」

5回戦成績

前原+21.0P 沢崎▲3.1P 藤崎▲6.2P 荒▲13.7P  供託2,0P

5回戦終了時

前原+12.4P  藤崎+9.3P  荒▲3.3P  沢崎▲20.4P  供託2,0P



最終戦6回戦

ここに来て牌勢は、藤崎>前原=沢崎>荒の順。

荒のように、2連勝後抜きさされ、また逆転するというパターンはこれまで見た事がない。
日付が変わればあるかもしれないが、1日勝負の半荘6回戦。荒の優勝だけはないように思われた。
しかし、それを決めてしまうから、荒はA1で20年以上在籍しているのであるし、荒が「生きる伝説」となっているのだ。
そして、ついに運命の最終戦が始まった。

親は、沢崎→藤崎→荒→前原の順。

東1局、荒→藤崎3,200。
東2局、沢崎2,000・4,000ツモアガり。
東3局、前原1,000・2,000ツモアガり。
東4局、前原→沢崎5,200。

東場を終って、持ち点は、沢崎44,200、藤崎28,200、荒21,800、前原25,800となっており、順位点込みでトータルポイントまで出すと。

沢崎+5,8P、藤崎+6,5P、荒▲19,5P、前原+5,2P、供託2,0Pとなっており、三者が横一線。荒だけ若干苦しいか?

ただ、沢崎も1人として浮きにまわられるとダメなので、南場はアガり続けるしかない。
そして、南1局、荒スペシャルが炸裂する。荒、配牌。 

 ドラ

絶望的配牌である。
ツモときて、打とし、トイツ4組ができたときを1鳴き。トイトイに向かう。そして、

2軒リーチをかいくぐり、見事5,200をアガる。
荒の百戦錬磨の経験が、死中に活を見出した1局だろう。

これでまた分からなくなった優勝の行方。残り3局、沢崎は三者を沈めたままゴールへ行ければ勝ち。
他の3人はトップもしくは、浮きにまわり、他の2人を沈めたままなら勝ち。

南2局、沢崎700・1,300ツモアガり。ここまでのトータルポイントは、

沢崎+7,5P、藤崎+3,2P、荒▲6,0P、前原▲7,7P、供託2,0Pいよいよあと2局。

南3局。

ここでも荒が鋭く反応する。藤崎、前原ともにテンパイ。藤崎はまさに決定打となるテンパイ。そして、

アガりは荒。なんと言う胆力であろう。こんな素晴らしい牌譜はなかなかない。
荒、1,300オールのアガリで、トータルポイントは、沢崎+3,2P、藤崎+0,9P、荒+2,9P、前原▲9,0P、供託2,0Pとなった。

南3局1本場。

今度は、沢崎が決定打となるリーチを打つも、またしても荒のアガり。
これによりトータルポイントは、沢崎▲2,0P、藤崎+0,9P、荒+8,1P、前原▲9,0P、供託2,0P。

南3局2本場、荒→沢崎1,300+600。ようやく荒の親が終る。オーラスをむかえて、トータルポイントは、

沢崎▲0,1P  藤崎+0,9P  荒+6,2P  前原▲9,0P 供託2,0P

4人全員にチャンスがある。

オーラス。

テンパイ一番乗りは藤崎、8巡目リーチ。ただし、このリーチは条件がある。

荒との点差は5,3Pのため、は全員からアガれるが、は荒のみ。 
-はツモアガりOKだが、はツモアガれない。そして、の出アガりは全てダメである。

荒も1巡後、のシャンポンテンパイ。ただしは純カラ。
次巡、荒ツモで打。テンパイはずし、そして13巡目、親・前原テンパイ。

前原は親なので、取りあえずアガることが大事。
同巡、荒もツモでテンパイ復活。次巡、荒ツモツモ切り。
リーチ棒が出たが、300点届かない為、藤崎は出アガリ出来ない。まったく動かない藤崎。
この土壇場で驚くほど冷静である。そしてハイテイ・・・

藤崎の指先にはピンズの感触が・・・・・。







実に素晴らしい戦いであった。まさに漫画の1シーンをみているようであった。
来期この中の何人かの挑戦を受けるのかを思うと、気が重くなってしまった。

打ち上げの席で、来期の目標を聞いた。

藤崎「取りあえず、2年くらいA1で残留を目指し、3年後に鳳凰位をとりたい。あと、荒さんとの相性を解消したいね。」

沢崎「獲りたいのは王位。十段は決勝が目標。鳳凰戦はまず体調を整えてから考えるよ。」

荒 「やっぱり鳳凰位は狙っているよ。あと、タッキー(滝沢プロ)にグランプリは僕がもらうから、タッキーはトライアスロン狙ってねって言ったんだよね。」

ここに全ての闘牌シーンをのせられないのが残念です。是非、全局見て欲しいと思います。

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「荒正義」いつも僕の憧れの人です。
いい対局を見せていただき、本当にありがとうございました。



 

(観戦記:瀬戸熊 直樹 文中敬称略)

 

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