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タイトル戦情報

グランプリ2007 

決勝観戦記

(文責:松崎 良文)
日本三大随筆の一つ『方丈記』の作者である鎌倉時代の歌人・鴨長明は、世の諸行無常な様を、せせらぐ川の水に例えて、こう記した。

『ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず』

それから約800年が経った西暦2005年、いにしえより脈々と流れゆく時の川べりに一本の祭木が植えられた。

その名を、『グランプリ』。

今年も16の花々が我咲き誇らんと己の技を存分に見せつけ、そして散りし12の花たち。



残るは、四名。

荒正義(昨年度覇者)

前原雄大(現十段位)

沢崎誠(現マスターズ)

小川尚哉(王位戦三位)



歴戦の猛者三名に囲まれたプロ入り二年目の小川へ向けての想いは、ただ一つ。
「小川はよく戦った。でも、いかんせん相手が悪かった。」
願わくばこの言葉を掛けられぬよう、若武者の善戦を祈るばかりである。

立会人・藤原が卓へと歩み寄り、定刻の合図。
こうして今年度最後のタイトル戦決勝が始まった。





一回戦(起家から小川、前原、荒、沢崎)

開口一番は東一局7巡目、南家スタートの前原。

 ドラ

ここから北家・沢崎の北に「ポン。」の声、そして最終形は以下。

 ポン ポン

初局に門前を崩したこと、自身の河にを二枚並べて仕掛け倒れたこと、きちんと対応した荒がテンパイを入れたために収入が1.500だったことを考慮すると、上々の立ち上がりとは程遠い。

案の定、前原は次局の親番で再びホンイツの仕掛けを入れるも、南家・荒のリーチに飛び込む。
点数は2.600点と値張りしなかったが、やはり危うさは払拭できない。

「この二局を見て、前ちゃんは後半崩れると思ったよ。」と沢崎は後述する。


さて、その沢崎。懸念された指の負傷は大分回復したようだ。
和了らず振らずで迎えたオーラスの親番、南家・小川が13巡目にをカンすると、次巡ツモ切りリーチに踏み切る。

 ドラ

このときの宣言牌は
このタイミングでのツモ切りリーチは、のカンが入った故の理由ありリーチと他家には映るため、と入れ替えたほうが一見得なように思えたが、ときには三枚切れ。
もしここで沢崎がを切っていると、結果が少し違っていた。

 アンカン ツモ

2.000を和了れば浮きの小川、二枚切れのとは心中できず手替わり待ちのヤミテンに構えていた。
ここにワンチャンスのを引いてテンパイを崩したのだが、沢崎がを切っているとはノーチャンスとなり、小川がテンパイを維持していた可能性が高い。


木目細かいファインプレーで一人テンパイとなった沢崎、次局オーラス一本場に勝負手を入れる。11巡目に、

 ドラ

一方の小川は6巡目にテンパイ、そして次巡に選択を迫られる。

 ポン ポン ツモ

7.700を和了ればトップの小川であったが、ここは打点よりも枚数と柔軟性を優先させての打。このメンバーでは、もはや出和了りは期待していないだろう。

手牌を縮めた小川は同時に寿命も縮めたか、沢崎が三色へと手替わりを果たした14巡目に高目を掴んで痛恨の枝折れ。

 ロン

初和了りの沢崎は一撃必殺でトップ目へと浮上。

沢崎 誠



オーラス二本場、沢崎と5.800点差の西家・前原は早々にドラを手離し、8巡目テンパイ。

 ドラ

1シャンテンの沢崎からヤミテンできっちり仕留め、二着確保。
この沢崎の放ったは、なんとラス牌。
もし前原がリーチの場合、もちろん沢崎は打つはずもなく、それどころか28.200点持ちの北家・荒がほぼ和了りを拾っていたように牌譜からは見受けられる。

前原 雄大



強引にトップを狙わず、ひとまずの並びを確定させた前原。
冷静な判断でありながら、どこかで我流に背いたようにも思えたが気のせいか。

ともあれ、まずは沢崎が一勝。幸先良いスタートを切った。

一歩出遅れた荒は、静かに風が吹くのを待つばかりか。
荒の我慢は、もう一半荘続くこととなる。

そして、いきなり強烈な洗礼を浴びた小川は未だ和了り無し。
周囲の哀れんだ視線を感じて目容を揺らすも、己に沈着を求めた。

一回戦成績
沢崎 +17.0P 前原 +12.4P 荒 ▲5.8P 小川 ▲23.6P







二回戦(起家から前原、小川、沢崎、荒)

東一局、西家・沢崎が11巡目にリーチ。

 ドラ


2巡後にラスを引き当て、2.000、4.000。
前原が親っかぶりのこの和了り、その因果は一回戦オーラス二本場にあるように思えて仕方ない。
ならば次局は、小川に不利な出来事が起こるか。


これが御名答の東二局、小川は6巡目にメンツ手のドラ単騎リーチを掛けるも、終盤で北家・前原に競り負け。

 ポン ツモ ドラ

いよいよ苦しくなった小川だが、東三局一本場で待望の初和了りが生まれる。

小川 尚哉




 リーチツモ ドラ

安目ツモと迫力に欠けるが、沢崎の純チャンドラ3テンパイを掻い潜っての和了りだけに、その価値はなかなかに大きい。


ホッと一安心の小川、これで気を尽くしたか、点棒を仕舞ってものの一分で疑問手を打ってしまう。
東四局の初巡、

 ドラ

ここから一枚目のに飛び付いたが、これはどうか。
苦しいながらも門前で和了りを得た次局、ならばここはじっくり構えるべきだった。
この後のツモでピンズを一枚も引けない小川、悪手と山が告げているかのような仕打ちの果てにテンパイも入れられぬまま仕掛け倒れ。


このツケが回ってきたのが、最も肝心な南二局の親番だった。



親・小川、5巡目に意気揚々とリーチ。

 ドラ

山に8枚残り、絶好の3メンチャンリーチだ。
この時点では、誰もが小川の和了りを確信している。
しかし、暗雲が立ち籠めてきたのは10巡目、北家・前原にテンパイが入った。

 ポン アンカン

前原の待ちは残り1枚。それに対して、小川の待ちは4枚残り。
だが、枚数ほどの有利さを感じない。感じられない。
12巡目、小川がをアンカン、これで安目ツモでも満貫級の和了りが約束された。
それでもやはり、暗雲は去らない。まだツモれない。

決着は14巡目、息を潜めていた沢崎が小川の捨て牌に小さく声を掛け、そしてゆっくりと手牌が倒された。

 ロン

点数以上に、重い和了りである。

申分ない展開で南三局の親番を迎えた沢崎であったが、ここで思わぬ落とし穴。
9巡目に先制リーチ。

 ドラ

は一枚切れ、は生牌。打点は十分だが、沢崎はリーチの際にやや躊躇いを覗かせた。
「一人浮きの状況で、この待ちで無防備になるのは他家にスキを与えるように思えた。」

沢崎の不安は、2巡後に具現化された。

 ロン

当面の好敵手である前原の追っかけリーチに放銃、トップ逆転。
花も嵐の沢崎であったが、オーラスは一人テンパイで流局し、なんと36.700点持ちの前原に並んで同点トップ。

荒は、ここでも静観。間もなく、眠れる獅子が目を覚ます。

小川は早くも崖っぷち、もう後が無い。
しかし、挽回の切掛は意外なタイミングで訪れる。

二回戦成績
沢崎 +12.7P 前原 +12.7P 荒 ▲10.0P 小川 ▲15.4P

二回戦終了時
沢崎 +29.7P 前原 +25.1P 荒 ▲15.8P 小川 ▲39.0P







三回戦(起家から小川、前原、荒、沢崎)

開局に荒とのリーチ合戦を制した前原が三連続和了りで迎えた東二局、6巡目に親・前原がをポンするが、まだ手牌は整っていない。
ここで、この仕掛けに敏感に反応した荒の凄まじい守備意識を特筆したい。

 ツモ ドラ

上げ潮の前原の仕掛けを受け、なんとここから前原現物のを中抜いての完全撤退。

荒 正義



実際、を放てば前原の手を進めてしまうのだが、それにしてもこの見切りの速さは尋常でない。
安手にもかかわらず闇雲にシャンテン数を上げて行く道中での不用意な放銃、これが荒にとっては耐え難い失点であり、なによりの苦痛なのだろう。

以後も荒は、その洗練された絶妙な押し引きを我々に見せ付ける。
斯様な打ち手が、終盤勝負に絡んで来ない筈がない。
荒台頭を予感させる、壮絶な中抜きだった。

さて、この局の結果は、前原にとって凶と出た。13巡目、沢崎がツモ和了り。

 リーチツモ ドラ

安目ながら満貫。沢崎・前原マッチレースの様相が色濃くなったように思われた。


しかし、ここから急激に風向きが変わった。
その境目となった東三局。6巡目に沢崎がテンパイ、

 ドラ

手変わりを待ってヤミテン。和了り牌は山に四枚眠るも、これが思いのほか長引いた。
そして14巡目、待望のを引き入れ前々巡に通ったを河に横向けた沢崎であったが、そこには予想外の結末が待っていた。

 ロン

手牌を倒したのは、前巡にテンパイを入れた小川。

少しでも勝負事に触れたことのある人間なら、この出来事が何を意味するか理解出来るだろう。
この和了りは、小川反撃の口火以外の何ものでもない。誰よりも、小川自身がそう強く感じたに違いない。



それを実証すべく、小川の攻勢が始まった。


東四局一本場、6巡目に西家・前原がテンパイ。

 チー ドラ

対する南家・小川は以下の1シャンテン。

放銃かと思いきや、をツモって回避、そしてリーチ。
これに、小川現物待ちタンピンテンパイの親・沢崎が放銃。

開かれた小川の手を見て、即座に自分の和了り牌を固められたことを認識した前原であったが、当面の好敵手である沢崎の思わぬ後退に気分は悪かろう筈も無い。


だが、これまでの恨みを晴らすかのように、小川の矛先は前原に向けられた。
南一局、9巡目に南家・前原が跳満テンパイ。

 ポン チー ポン ドラ

最後のを鳴かせたのは、を仕掛けた親・小川。土俵に上げられた感は否めないが、やはりこのドラを仕掛けない手はないだろう。
16巡目、前原が生牌のを切ったところで小川から声が掛かる。その点数は、おそらく想像よりも高かっただろう。

 ポン ロン

この12.000で、ついに一人浮き状態となった小川。


しかし、ここからまた新たな試練の幕開け。

まずは南一局一本場、北家・沢崎が2.000、4.000。

 リーチツモ ドラ


その次局、親・前原のリーチを受けて和了りを逃す小川。

そして南二局一本場、小川が前原の親を蹴っていれば無かったはずの今局で、ついに荒が目を覚ました。
6巡目に、

 ツモ ドラ

場にソウズはやや高いが、5.200テンパイの誘惑のままに打とする打ち手も多かろう。
しかし、荒はノータイムで打、テンパイを崩す。
次巡のツモは、見事としか言い様がない。

ここは劣勢を意識して、慎重にヤミテンを選択。
これに高目で放銃は、好形1シャンテンの小川。背後に迫る沢崎の影を意識してか、更なる加点を狙ったが、あまりに大きな失点であった。


戦線復帰の荒はオーラスでツモればトップのピンフリーチをきっちりものにし、初白星を飾った。

沢崎は浮きの三着を確保したが、強敵の覚醒に断じて気は緩めまい。

千載一遇の回収チャンスが不完全燃焼に終わった小川、ここから更なる飛躍は厳しいと筆者の目には映った。

失意の親満放銃から愚形リーチが連続で不発に終わった前原は、ここから衰退の一途を辿った。

三回戦成績
荒 +12.0P 小川 +6.3P 沢崎 +4.0P 前原 ▲22.3P

三回戦終了時
沢崎 +33.7P 前原 +2.8P 荒 ▲3.8P 小川 ▲32.7P







四回戦(起家から荒、沢崎、小川、前原)

息を吹き返した荒は東三局三本場で、

 リーチツモ ドラ

この満貫ツモで先制。


いよいよ追い込まれた前原、東四局の親番で、

 チー ツモ ドラ

2.600オールを引くも、次局一本場で小川に3.900は4.200を献上。

 リーチロン ドラ


そして南一局、今局も前原放銃となるのだが、ここは沢崎の手順が光った。

 ツモ ドラ

7巡目にテンパイするも、打のテンパイ取らず。3巡後にを引いて打。これをタンピンテンパイの前原から高目で和了り、7.700。
カンのテンパイを取っていても結果は同じだが、手役を外さないそのプロセスには雲泥の差がある。

以後の前原、好手牌が押し寄せるもことごとく競り負け、連続一人沈みで完全失脚。

オーラス、荒が5.200を和了って連勝を決めるも、沢崎も浮きを確保したため、差は然程縮まらず。


戦いは、いよいよ佳境を迎える。

四回戦成績
荒 +21.0P 沢崎 +4.7P 小川 +2.4P 前原 ▲28.1P

四回戦終了時
沢崎 +38.4P 荒 +17.2P 前原 ▲25.3P 小川 ▲30.3P







五回戦(起家から荒、沢崎、小川、前原)

ついに、決定打が生まれた。

東二局、16巡目に親・沢崎は静かにを引き寄せた。

 ツモ ドラ

熱気冷めやらぬ東二局一本場、沢崎にダメ押しの和了り。

 ツモ ドラ

これにて勝負あり。

南三局一本場、小川が荒から12.000を和了って浮きを確保。
最終戦へ微かに望みを繋ぐも、先頭を行く沢崎の背中は遥か彼方へと消えていった。

五回戦成績
沢崎 +29.7P 小川 +8.8P 前原 ▲7.1P 荒 ▲31.4P

五回戦終了時
沢崎 +68.1P 荒 ▲14.2P 小川 ▲21.5P 前原 ▲32.4P







最終六回戦(起家から小川、前原、荒、沢崎)

行雲流水とは斯くの如きかな、沢崎は己を栄光へと導く川の流れに身を委ねるばかり。

沢崎は今期二冠達成、打ち手として円熟の境に達した。


優勝した沢崎 誠

最終六回戦成績
荒 +24.0P 小川 +19.1P 沢崎 ▲10.7P 前原 ▲32.4P

総合成績
沢崎誠 +57.4P 荒正義 +9.8P 小川尚哉 ▲2.4P 前原雄大 ▲64.8P





優勝者インタビュー

━優勝おめでとうございます。
沢崎「ありがとうございます。」

━今回の戦いを振り返ってみて、いかがですか?
沢崎「ベスト16、ベスト8とどちらも苦しかったので、決勝は行けるような気がしていました。展開の利もありましたね。」

━では、来年度に向けての意気込みをお願いします。
沢崎「もちろん全部勝つつもりで臨みますが、とりあえずの目標は年度の最初と真ん中かな。」

━それはマスターズ連覇と十段戦優勝ということですね。では最後に、ファンの方々へメッセージをどうぞ。

沢崎「今後とも応援宜しくお願いします。」





とにかく、沢崎の強さが際立った戦いだった。

それもそのはず、今回の総局数67局中で沢崎の和了数は12回と四名中ワ−ストタイでありながら、その平均和了点は約6800点。
一発裏ドラの無い連盟Aルールにおいて、この数字は驚異的である。

そして放銃数は4回、これを放銃率に直すと約6%。
正に、勝つべくして勝ったと言えよう。


二位の荒は和了数15回と四名中最多でありながら、平均和了点は約3.900点。
手作りに間違いの無い荒をして沢崎との差2.900点、ここに今回の荒の苦戦の様子が見て取れる。

しかし、放銃数は沢崎を凌ぐ3回、放銃率4.8%はさすがの一言。
これからも、辛口の荒麻雀を堪能させてほしい。


四位に敗れた前原、和了数と放銃数ともに12回。
我流を体現した結果ではあるが、豪快な和了りで場を制圧する勝ちパターンに持ち込めず、勝負所での放銃が体勢に影響を及ぼした。
来年度は十段位連覇、そして鳳凰位との併冠を期待したい。


そして、強豪の一角を崩しての大健闘を見せた小川。
当面の課題は、遠い仕掛けであろうか。他三名とは、鳴きの質に重みが感じられなかった。
しかし、小川はこれからに生きる若者である。
今回この経験から何を吸収し、どう活かすか。来年度以降も注目していきたい。


後列 左から 準優勝:荒 正義 3位:小川 尚哉 4位:前原 雄大
前列 優勝:沢崎 誠

『淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし』

全ての花が咲き果て、皆が会場を去り、そして此処に祭木だけが残った。

嗚呼、待ち遠しきやサクラサク。
そして間もなく第25期プロリーグ開幕、新たな2008年度が始まる。

季節は巡り、来年の同じ時季に、やはり咲き頃を迎える16の花々が祭木に集いて咲き誇るだろう。

はたして、来年はどんな花が見れるのだろうか。

祭木はこれからもずっと根を伸ばし、幹を太らせ、私たちのために輝かしく在り続けるだろう。









 

(文責・松崎 良文 文中敬称略)

 

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