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タイトル戦情報

第9期 チャンピオンズリーグ 決勝

2月25日午後4時、私はベスト8戦を観戦しようと四ツ谷の道場へ向かった。

「あれ、いない…」

私の中で本命視していた、前回チャンピオンの藤原隆弘と格上の多井隆晴がすでにベスト16戦で敗退していた。


「それにしても…」

ベスト8に残った顔ぶれは意外だった。リーグ戦デビュー前の新人選手が3人も残っていたからである。


 A卓には、岩井健太、岡田茂の2人が、B卓には佐々木寿人が先輩選手相手に堂々と戦っていた。そのA卓からは最終戦早々と抜け出した勝又健志がほぼ決勝キップを手に入れ、残り1枚を岩井と岡田で競り合った末、岩井が岡田を突き放して決勝進出を決めた。

 一方のB卓は佐々木が3連勝で圧勝。離された2位には一井慎也が滑りこんだ。かくして決勝は全員20代、しかも新人2人というこれ以上ないフレッシュなメンツとなった。


決勝に残った4名を簡単に紹介しよう。


勝又健志 

24歳17期生。常に表情を変えずポーカーフェイスで打牌を繰り返す。周囲からの評価も高い。

来期よりB汽蝓璽阿望叉蕁

(ロン2プロフィールはこちら


岩井健太

27歳22期生。マスターズチャンピオンとして今期より連盟入り。善くも悪くも豪快な男である。

佐々木寿人

29歳22期生。前原雄大に師事し、今期よりプロデビュー。雑誌にコラムを書くなど知名度はすでにトップ並。
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一井慎也

28歳17期生。16期のプロテストを受けるも不合格。しかし翌年もう一度受けて合格した努力の男。

Bリーグ経験もあり伸び盛りである。
(ロン2プロフィールはこちら

 

 岩井や佐々木を新人と呼ぶには違和感があるが、リーグデビュー前である事は事実だ。1年前の神原隆の再現なるか注目を集めるところだろう。


小雨が降る肌寒い2月26日正午に決勝戦は開始された。


◆ 1回戦


 東場は様子見なのだろうかジャブの出し合いで小場で進行していた。

それにしても皆、打牌が速い。今までの決勝戦では見られなかった事だ。一打、一打を軽く打っている訳ではないだろうが、これが若さの証でもあるのだろう。


 東場が終わり南場に入ると局面が大きく動く。

親番の佐々木の配牌が


     ドラ


第一打をとして次巡を引くとマンズに一直線に向かった。

6巡目に

  ツモ  打

とすると、次巡下家のに飛び付く。さらにも引き入れイーシャンテン。

  ポン

一方、一井も佐々木のマンズ仕掛けが注目される中で7巡目にテンパイをいれていた。


     ドラ

当然のダマで他家からこぼれるのを待つがこぼれない。

10巡目、佐々木はを引く。2900のテンパイ。だが何もなかったかのようにツモ切る。

意志を持って進めてきたこの手を2900では終わらさないという佐々木の主張なのだろう。

そして12巡目に待望のを引き入れテンパイを果たす。

  ポン

一井もを暗刻にして打、12巡目にを引かされて打単騎となっていた。

佐々木の意志によって引かされた…しかし、次巡にを引くと一井の手が止まった。


  ツモ
  

佐々木はマンズ…待ちは悪くない…意を決して一井はを横に曲げ河に置いた。

「ロン。12000」

この局を制したのは佐々木だった。

一井が佐々木の手から放たれた2枚のをもう少し重く見ていたらこの放銃は無かったかもしれないだろう。

この一撃で第一戦は佐々木が制することとなる。

 
 

・1回戦終了・

佐々木 寿人
+17.7
勝又 健志
+6.3
岩井 健太
+1.8
一井 慎也
▲25.8

 
    

◆ 2回戦
  

 勝又の調子が上がってこない。1回戦2着だったものの、それは佐々木の12000以外は小場で進行したからであり、特有のクレバーさがまだ見えてこない。

東3局2本場

一井の早いメンホンに、罠に掛かった小鹿の様に簡単に捕まってしまう。

  ロン

このにしてもバランス感覚が優れている本来の勝又ならばテンパイが入る前に処理してしまったであろうが、

ご丁寧に一井がを重ねてテンパイしたと同時に打ってしまう。

 

局は進んで南1局2本場

手負いの勝又に今度は佐々木が牙を剥く。

7巡目西家勝又が

     ドラ

からをツモ切るとすかさず南家・佐々木が動く。


  ポン  打

次巡勝又をツモ切り、更に次巡をツモ切る。直前にを重ねた佐々木がポン。 打

  ポン  ポン 

「!!」勝又の思いはこんな感じではなかったのではないだろうか。

そしてを引き三色のイーシャンテンとなるものの、放ったはもう間に合わなかった。

痛恨の8000放銃…をツモ切ってから僅か30秒程の出来事だった。

勝又に分岐点は3ヶ所ほどあったと思う。

まずは白を叩かれた後の打。普段の勝又ならば打としているところだと思うのだが…

またはを引いた時にツモ切らないでを並べて切るか、

もう1ヶ所はを叩かれた後で、オリてしまうのも手だったかなと感じたが…

ことごとく裏目を回らされる勝又はこの後、南3局で4000オールをツモり意地を見せるが、その後は最後まで苦しい戦いが続くこととなる。


さて2回戦の結果の方であるが、勝又の4000オールの次局に岩井が2000、4000をツモり返して4者が並んだが、オーラスは流局して、微差ながら佐々木が連勝を決めた。

これで佐々木はベスト8戦からトータル5連勝である。このまま行ってしまうのだろうか…

 

・2回戦までの成績・

佐々木 寿人
+27.9
勝又 健志
▲5.6
岩井 健太
+7.5
一井 慎也
▲30.8
供託
1.0

 
 

◆ 3回戦
  

 この決勝は5回戦勝負である。

佐々木が2連勝してしまった以上、この回は残り3名にとって勝負しなければいけない半荘となってしまった。もしこの回も佐々木が勝つような事があればマジックが点灯してしまうからである。それでもここまでで出来てしまった勝負の流れというものはそう簡単に変えられるものではない。

東2局3巡目、南家佐々木が親の打牌を軽快に仕掛ける。

  
  ポン  打     ドラ

1000点でも構わないのだろう。場を進める事を第一に考えた鳴きなのであろう。

しかしここまでの流れがこの手を育たせる。

8巡目にドラの、11巡目にが重なる。
  

  ポン 


一方、東家一井もこの11巡目までに手牌を育てていた。

  

ダブ東が暗刻になっても良し、三色になっても良しの好形である。

12巡目、一井が掴んだのはドラの。しかし怯まずにツモ切る。佐々木は当然のポン。打

更に佐々木の下家の勝又がをツモ切り、佐々木が3つ目を晒す。

  

  ポン  ポン  ポン 

13巡目すぐに一井も追い付く。ツモ。待望の三色のテンパイだ。

  

  ツモ

は3枚切れだが佐々木をこのままほっておく訳にはいかない。一井はを切ってリーチを打った。

同巡、佐々木、を山から触った瞬間にツモ切り。牌に気が乗っている。

一井は受け間違えた訳ではない。もう既には切れなかったのだから…

こうなってしまってはもう佐々木の勝ちは見えたようなもので、17巡目に一井がを掴んで終局した。


続いた東3局、気分よく持ってきた親番で佐々木はあっさりと2600オールをツモりあげる。

このあがりで持ち点は45800点まで膨れあがった。

正直私はこのあがりで8割方勝負あったかなと思っていた。

その証拠にこのあがりの後、私はここまでの取材資料を整理し始めていた。


「ロン、5200は5500」、声が聞こえた。資料整理の手を止めて場を見ると佐々木が放銃していた。

「ふーん」

佐々木が放銃した事を意外に感じた。直撃したのは岩井だった。

「岩井か…」

この時はまだこの後に起こる逆転劇など知る由も無かった。


直撃したといってもまだ佐々木は40000点以上持ったトップ目であった。

続く東4局、気を取り直したかの様に佐々木が2つ仕掛ける。

  
  ポン  ポン     ドラ

この形になったのが9巡目、を引き入れテンパイしたのが11巡目だった。

1000点のテンパイ…これでいい…これで十分だ。これでいいのだから勝又が切った

スルーするのも当然だし、15巡目に引いたもツモ切ればよかった。

しかし、なぜか打としてのシャンポンに受けてしまう。気の迷いなのか、焦りなのか、それはわからない。

しかし、その後に場に切られた3枚のを見て、佐々木は何を思ったのだろうか…


流局して、勝又、岩井もテンパイしての東4局1本場、誰も動かず淡々と局が進んでいた。

私も佐々木と一井の後方からなんとなく眺めていた。

打牌音だけが聞こえただ淡々と…

「バシッ!!」それは突然の出来事であった。

岩井がを手元に叩きつけた。「8000、16000は8100、16100」確かにそう聞こえた。

上気した顔で岩井が手牌を倒した。
  

  ツモ


見事な国士無双だ。

岩井の配牌は


そして3巡目までのツモが

3巡で既に13面張のイーシャンテンであった。そして5巡目にを重ねてテンパイ。

  

その後10回ものツモ切りを繰り返したのちの逆転劇であった。

これを引き出してしまったのは紛れもなく、1本場を生んでしまった前局の佐々木のあがり逃しである事はいうまでもない。(岩井に聞けば「俺の実力ですよ。ワハハ」と笑いとばされてしまうかもしれないが…)


逆転した後も岩井は手を緩めずに突き放していく。

ここまで大人しかったのが嘘だったかの様に…終わってみれば80000点を越える点棒をかき集めていた。

・3回戦までの成績・

佐々木 寿人
+22.0
勝又 健志
▲37.4
岩井 健太
+71.8
一井 慎也
▲57.4
供託
1.0

 

◆ 4回戦

20ポイントのリードがたった半荘1回で50ポイントのビハインド…麻雀とはつくづく恐ろしいゲームだと思わされる。

しかし佐々木にそんな事を考えている余裕は無かっただろうが…

先行していた者が大きくかわされてしまったら巻き返す事は大変難しい。競馬や競輪、マラソンなどでもよくみられる展開である。並びかけられただけならば体を併せ競り合いに持ち込めるのだが…

それでも佐々木はそんな事は関係ないとばかりに走り続けた。

そしてトップ目で迎えた南3局1本場、親の佐々木に最後のチャンス手が入る。
 

配牌:     ドラ

 
ドラこそ無いが配牌イーシャンテンである。

第1打をとし、5、6巡目に連続してを引くとリャンシャンテンに戻し、いわゆる4枚チートイの形に受ける。
 


 

何かが起こりうる形になりつつあった。

そんな気配を察してか西家岩井が8巡目に先行リーチを打った。すると次巡佐々木のツモはであった。

  

これで2暗刻、間髪を入れずにを暗カン。そして13巡目を引き、遂に四暗刻のテンパイにこぎつけた。

 
  暗カン

後ろでこの手牌の変化を見ていたが、ツモってしまうんじゃないかと思わせる牌の寄り方であった。

「リーチ」

渾身のリーチであった。ツモれば当然の再逆転、直撃でも順位点含めてほぼ並ぶという手であった…

だが麻雀の神は残酷であった。この手牌の余韻すら楽しませてくれなかった。

次巡、佐々木がツモったのは…力無くツモ切ると岩井が手牌を倒した。

  
  ロン
  

…終わった…今度こそそう思えた。

もう5回戦に山場は無いであろう。

もしこの局が流局だったとしたらそうは思わなかったかもしれない。

あそこまで仕上げた手にすぐロン牌を掴まされた事に対してそんな風に思えたのだった。
 

オーラス佐々木が仕掛けてアガった7700がやけに虚しく映った…
   

・4回戦までの成績・

佐々木 寿人
+45.5
勝又 健志
▲50.7
岩井 健太
+79.5
一井 慎也
▲75.3
供託
1.0

 

◆ 5回戦

 
50ポイントあった差が34ポイントに縮まったのだから近づいたという人もいるかもしれないが、

最大の山場を越えてしまった以上もう何も無いだろうと私は観戦していた。

 

佐々木にとっては岩井を沈める事が最低条件なのだがそれすらも出来ない…

 

そして静かなまま最終5回戦も終了した。
 

・5回戦までの成績(最終成績)・

佐々木 寿人
+36.3
勝又 健志
▲41.1
岩井 健太
+97.0
一井 慎也
▲93.2
供託
1.0

 

 
闘いが終わって…「これで五段戦から出れるんでしょ。十段位も貰ったな。ワハハ」打ち上げでの岩井の一言である。

彼なりの嬉しさの表現なのだろう。照れ隠しである事も分かっているから周りからは笑いが起こる。


「それにしても…」岩井に佐々木、岡田…今年の新人はくせ者揃いだな。

他にもまだたくさんいるしな…

「もうすぐ俺も7年目か…」そこには、はしゃぐ岩井を眺めつつ新人だった頃を思い返している自分がいたのであった…

 

         第9期チャンピオンズリーグ 優勝:岩井健太

 

 2位:佐々木寿人 3位:勝又健志 4位:一井慎也

(文中敬称略・紺野真太郎)

 

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