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第28期 十段戦 

決勝観戦記 〜二日目〜

(観戦記:前原 雄大)


『それぞれの想い』

初日を終えて、並びは瀬戸熊直樹+80.2P、堀内正人+5.4P、三戸亮祐▲8.1P、石渡正志▲31.7P、森山茂和▲45.8Pである。
それぞれに、初日を振り返ってと、2日目に向けて語ってもらった。

瀬戸熊「これで、優勝争いには残れるかなくらいには思っています。2日目は、鳳凰戦で経験した事を活かして、
“攻める時間はしっかり攻めて、守る時間はしっかり守ろう“と思います。」

堀内「初日の最終戦をトップで終えることができたので、トータルトップの瀬戸熊プロを逆転するには十分現実的な差。
去年と同様、初日終了時に2位につけていることから、変に気負うこともなく充実した気持ちで対局に臨む事が出来そうです。」

三戸「好スタートを切れたので、初日は少なくともプラスで終えたかったのですが、途中からバランスを崩したまま打ち続けてしまいました。
日が変わり、最初の5回戦が抜け番なので、じっくり観戦して状態を見極め、スムーズに対局に入れるように心掛けたいと思います。」

石渡「初日を終えて、トップとは100P差で、しかも相手は現・鳳凰位。
2日目に向けて、作戦というよりもまず平常心で自分の麻雀を信じて、心がブレないように戦うことです。」

森山「初日に関しては瀬戸熊君を楽に走らせ過ぎたように思う。
2日目は、点数的にはそれほど意識していないが、勢いがある分、瀬戸熊君がさらに加速するかナとは思う。勿論ベストは尽くすが・・」


私の見た目からは、初日に1番状態が良かったのは三戸で、次が瀬戸熊、堀内、石渡、森山の順に映った。
状態とは風向き加減のようなもので、今シリーズ3日制である以上、同じ人に風が吹き続けることはないと考える。
日が変われば風向きも変わるものだから。





5回戦(起家から、堀内・石渡・瀬戸熊・森山)抜け番:三戸

東1局12巡目、親の堀内がテンパイし、慎重にヤミテンに構えるも、残り1枚のは山に阻まれ流局。

  ドラ

東1局1本場、石渡13巡目にテンパイ。

 ドラ

リーチをかけてツモにかけるかと思ったが、石渡はヤミテンに構える。

 
 
 石渡 正志


瀬戸熊との点差を考えれば、リーチが本手とも思えたが、結果は10巡目テンパイの瀬戸熊のを直撃する。

『瀬戸熊の構成力』

前局、瀬戸熊の放銃となり、戦いは面白くなると思った矢先に、私の予想をあっさり裏切るような9巡目リーチ、
森山、堀内のテンパイを交わし切り14巡目ツモアガリとなった。

 リーチ ツモ ドラ

瀬戸熊の6巡目、

 ツモ

とするかと思ったが、カンの受け入れを拒否する打に瀬戸熊は構えている。
次巡、瀬戸熊はドラのツモ。

 ツモ

なかなか難しい選択である。打、どれも間違いではない。
瀬戸熊はここで打とし、ハッキリとタテを意識している。
そして9巡目にツモでリーチを打っている。今局は打とすれば、

 

このテンパイで、石渡ので2,600の出アガリ。
、及びと構えれば、堀内ので5,200の出アガリで終局している。
それを瀬戸熊は、最高のアガリ形である3,000・6,000に仕上げ切ったのである。

 
 
瀬戸熊 直樹

 

森山が言った、“瀬戸熊に勢いがある”という言葉はこういう部分である、何通りものアガリ形が存在する中で、ベストのかたちに辿り着く処である。
もちろん、この結果を導き出したのは瀬戸熊の6巡目、打、7巡目、打の構想力と決断力に他ならない。
こののツモアガリは、観ていて本当に勢いそのものを感じさせたとともに、前局の石渡への8,000点放銃が傷になっていない事を改めて考えさせた。

その中で、ひとつの私なりの答えをみつけた。
答えといっても、仮定の話ではあるが、前局、石渡が即リーチを打っていれば、四暗刻をツモアガっていたのではないだろうか?
そう考えると、私の中では前局と今局との結果の辻褄が合う。
それにしても、瀬戸熊にとっても他の対局者にとっても、大きな3,000・6,000のアガリには他ならない。

南2局、瀬戸熊があまりにも簡単すぎる満貫のツモアガリ。

 ポン ポン ツモ ドラ

ダブ南、を打ち出してきた北家・堀内の牌姿。

トータル首位を走る瀬戸熊に、包囲網を敷かねばならない処で、この形からダブと打ちだすのは疑問手である。
字牌を打ち出すなと記している訳ではない。切りだすならば、まず打からが手順だろう。
ともかく、このアガリで瀬戸熊は、一時はラス目まで落ちていたが、とうとうトップまで駆け上ってしまった。

迎えて南3局、瀬戸熊の親番。

11巡目、いかにも瀬戸熊らしいリーチである。

 リーチ ドラ

前局のアガリでかなり気を良くしたのだろう。
ひとつには、入り目のに感触を覚えたのかもしれないし、向かって来るものは向かってこいという気持ちの表れであったかもしれない。
もしくは、瀬戸熊の十段に対する“挑戦”のかたちを表したものだったのかもしれない。

もうひとつ理由としてあげられるのが、前局のアガリを見て、ここでリーチを打っておけば、
そうそう相手は立ち向かって来ることができない事を瀬戸熊は計算に入れたのだろう。
確かに瀬戸熊の読みは正しく、リーチを打ってないと、同巡の堀内のは止まらず森山にポンテンが入る。

 ポン

そして、堀内から出アガリ5,200で決着を見る。
このリーチを単なる愚形リーチと見るならばそれは間違いである。
瀬戸熊の体が、そして前局の結果から、瀬戸熊の従属試行が打たせたリーチである。
遅れること1巡、それに真っ向から立ち向かったのが石渡である。

結果は流局であったが、瀬戸熊の攻勢はさらに続く。
全く親番を手放す気持ちなどなく、三本場まで積み上げる。
トータルトップに立っていることを全く意識しないで、この親番を手放さない意思こそ、瀬戸熊の十段位への思いなのだろう。
南3局3本場、石渡がリーチを打って2,000・4,000は2,300・4,300のツモアガリ。

 リーチ ツモ ドラ

南4局10巡目、親番の森山がリーチを打つも、瀬戸熊の完璧な受けで流局。

 ドラ

南4局1本場、石渡の6巡目リーチ。

 リーチ ドラ

瀬戸熊も8巡目、追いかけリーチを打つ。

 リーチ  

瀬戸熊が勝つだろうと思ったが、結果は、石渡のツモアガリで収束をみた。
困難なスタートから始まった瀬戸熊だったが、結果はプラスの数字をさらに積み重ねた。

5回戦成績  
石渡正志+23.6P  瀬戸熊直樹+15.4P  堀内正人▲12.1P  森山茂和▲26.9P

5回戦終了時 
瀬戸熊直樹+95.6P  堀内正人▲6.7P  石渡正志▲8.1P  三戸亮祐▲8.1P  森山茂和▲72.7P



6回戦(起家から瀬戸熊・石渡・三戸・森山)抜け番:堀内

『森山の胆力と洞察力』

6回戦の立ちあがりは、三戸の11巡目のリーチから始まった。
結果は、最安目のの引きアガリである。
三戸もアガれた以上、状態は悪くはないのだろうが、前日までの状態であれば-を引きアガっていただろう。
1シャンテン一番乗りは瀬戸熊、続いて石渡。瀬戸熊7巡目。

 ドラ

三戸のリーチを受けて森山の15巡目。

 暗カン

この牌姿から、三戸から切られたドラであるに森山はチーテンを入れていない。

 
 
森山 茂和


手残りのは、三戸のリーチに対して打ちづらい事もあるが、瀬戸熊の打を視野に入れたものである。
出アガリ3,900と三戸、瀬戸熊に対してを仕掛けてアガリを求めるメリットとデメリットを計算したものだろう。
もしくは、十段位という山頂に辿り着くためには、このチーテンは仮にアガれたとしても損と判断したのだろう。

1局単位に於ける最善手を求めるならば、戦う以上、チーテンも方法論としては好手と言える。
森山は大局観で、動かずと判断を下したのだろう。いずれにしても、大した胆力であることは間違いない。
そして、森山はを引き込むや、迷わずリーチを打っている。

瀬戸熊も戦っている。森山のをチーテンにとっている。
三戸の9巡目、手出しがある以上、打はドラを考慮すれば十分ロン牌の可能性があり得る。
瀬戸熊は、トータルポイントに甘えることなく戦っているのである。

――何と戦っているのか?
それは手をこまねいて、森山、三戸に点棒ではなく“勢い”を奪われる事を恐れ、戦っているのである。
「マークするという言葉が、的を射ているかどうかは分かりませんが、森山さんの噴火だけは気をつけていました。」
瀬戸熊の言葉である。

初日の観戦記の冒頭にも触れたが、瀬戸熊はA2に昇級した折、勤めていた会社を辞めている。
それは、麻雀プロをやり続けて行けば、必ず幾度かはせつない経験が向こうからやってくる。
その時に退路を断っておかないと逃げたくなる。人は、一度逃げると逃げ癖がつくものである。
それを恐れて、退路を断ったのであろう。このチーは、瀬戸熊の戦いに対する意志の表れである。

東4局1本場、小康状態が続き、瀬戸熊も苦しい時間帯をこらえながら戦っていた。
ラス目と600点差の3着目である。石渡が、8巡目にテンパイを果たす。

 ドラ

瀬戸熊が10巡目、オタ風のをポン。

 ポン

トップ目の三戸と1,600点差の石渡は、次巡、ツモで瀬戸熊に対応しテンパイを崩す。
瀬戸熊は12巡目に、

 ポン

待ち取りを素直に打とするも、17巡目に裏目のツモ

 ポン 

瀬戸熊は軽く首を振り小考に沈むも、残りツモは1回である。
私は安全牌のを打ち出すのに、なぜ時間をかけるのだろうと思った。瀬戸熊の選択は打
残りツモ1回しかないのに、その1回に瀬戸熊は山読みを入れていたのである。
勝負は意外な結末をむかえた。石渡の放銃である。

 ツモ

石渡はさえ打ち抜ければ、14巡目のでツモアガリがあった。
それでも丁寧に頭を下げ続けながら、16巡目にツモでテンパイが復活。
ここまで丁寧に打っただけに、次巡の放銃は私としては残念でならない。
それにしても、瀬戸熊の残りツモ1回にかける集中力は目を見張るものがある。


『戦うということ』

南1局、今局もテンパイ一番乗りは5巡目の石渡。



 ドラ

次巡、ツモで手変わりして、

 

捨て牌相が変則的な分だけ、即リーチを打つだろうと見ていたが、石渡はヤミテンに構える。
そして、次巡のツモ切りリーチは私には疑問手に映った。そこへ体ごと向かって行ったのが森山。

  

森山は無スジを切り飛ばして行く。その中でも、打は繊細さと大胆さが共存している。
瀬戸熊もぶつけていく。石渡のリーチを受けての一発目のツモを、まるで安全牌のごとくノータイムで切り飛ばして行く。

  

「行く気まんまんだったね?。」
「前局がああいう結果だから、石渡さんのリーチを受ける理由は全くないでしょう。」
瀬戸熊は笑いながら答えてくれた。

10巡目、瀬戸熊。

 リーチ 

森山  

 リーチ 

『一流の打ち手が戦うと、アガリも中途半端なかたちにならない。それは、彼らが目指す麻雀の理想形を前提に打ち合うからだ。
一流の投手と打者の戦いの一球一打に似ていて、投手も打者も、最高の技で相手を打ち破ろうとする。一流同士の戦いには偶然というものはほとんどない。
そこには、戦うものの意思があるだけだ。理想形の麻雀がほとんど出来ないのは、人生と少し似ている気がする。』

私の知人の言葉がふと頭をよぎった局である。
私は3軒リーチが入った時、瀬戸熊と森山ののツモリあいになり、瀬戸熊に若干分があると思ったが、現実はさらに非常なものだった。
どうやら、森山に吹いていたアゲインストの風が変わったように映った1局である。
ちなみに瀬戸熊に訊いてみた。
「石渡が即リーチでも打ったの?」
「打たないとダメでしょう?」
戦うという事の本質を知っている男の言葉ではある。

南4局1本場、森山が自然な手順で今シリーズ初めての3,900点オールを引きアガった。

配牌 
 ドラ

 リーチ ツモ 

次局も森山は、5巡目に最低でも親満の手が来たが、
瀬戸熊が、次巡、ヤミテンでしっかりと沈み2着を受けきる形で収束させた。

6回戦成績  
森山茂和+29.7P  瀬戸熊直樹▲2.5P  三戸亮祐▲6.3P  石渡正志▲20.9P

6回戦終了時 
瀬戸熊直樹+93.1P  堀内正人▲6.7P  三戸亮祐▲14.4P  石渡正志▲29.0P  森山茂和▲43.0P



7回戦(起家から堀内・森山・瀬戸熊・三戸)抜け番:石渡

東1局は、森山の10巡目リーチから入るも、堀内の1,500点放銃で始まった。

森山

 リーチ ドラ

『瀬戸熊の鬼手』

東1局2本場6巡目、親の堀内のリーチを受けて、瀬戸熊のツモの伸びが素晴らしい。

9巡目、ツモで、九蓮宝灯まで見える形である。
実戦では、ツモ--待ち。11巡目にツモ

普段の瀬戸熊ならば、ノータイムで打と構えたように思う。
「放銃よりもアガリ損なう方が罪。」と考えているからだ。
瀬戸熊は小考してを暗カン!

鬼手(きしゅ・おにて)である。(駒のタダ捨てなど、一見ありえないような手だが、成立している妙手。「おにて」とも読む。)
囲碁・将棋の世界では、時折見られる言葉であるが、このの暗カンは私も正直驚かされた。
結果は、のツモアガリである。

何をどう打ってもこのはツモアガリである。
この状態にまで築きあげることが出来れば、少なくとも瀬戸熊の今日の負けはない。
それにしても豊かな発想法であり、それだけ心にもゆとりがあるということなのだろう。

東3局8巡目に、堀内の仕掛けが入る。

 ポン ドラ

追う側が攻めるべき時は、瀬戸熊の親番で大物手をツモリアガる処を目指すのはセオリーである。
ドラの単騎に拘らなければ、幾つかのアガリ形はあったが、瀬戸熊を親被りさせようという姿勢は買える。

 
 
 堀内 正人

南1局1本場、「2日目で僕が一番ガクッときた局です。」三戸君から電話が入った。
確かに、難しい選択であった局である。三戸は7巡目ツモで打としている。

 ドラ

私は牌譜を初見の折、瀬戸熊の仕掛けに対応したものかと思っていたが、そうではなく三戸はラス目ということもあり、
純粋にアガリをとりに行っていたとのことである。
「確実に場況を読む限り、は堀内君、瀬戸熊さんに打ちづらいし、-より-の方がよく映りソーズを払い、
ツモ(ドラ)に好感触を得てリーチを打ったのですが・・・・」
確かに三戸の言葉は正しい。

「ボクってイケてるんじゃない?スゴクない?」
三戸はそう思ったそうである。
「ちなみに、あなたのポジティブな考え方は・・・・血液型は何ですか?」
「繊細で謙虚なA型です。」
血液型診断は全く当てにならないことを私は知った。

 
 
三戸 亮祐

とにかく、イケててスゴい三戸は9巡目にリーチを打った。

 リーチ  

三戸がリーチを打った時点で、森山も手が育ちつつあった。

堀内の仕掛けで、ラス牌のが森山の手に訪れた。
「リーチ」森山の声が1オクターブほど低く感じたのは、森山もこのツモに好感触を得たからかもしれない。
結果は、森山のツモアガリ。

 リーチ ツモ 

「この結果はどう感じたの?」
「んー。僕もイケてて凄いんですけど、森山さんの方が少しだけ凄いのかもしれないと思いました。」
なかなかステキなコメントをくれる三戸君である。


『三戸の誤算』

南4局2本場、三戸は今局に至るまで丁寧な手順で2本場まで積み上げた。
まずは、それが今局までの過程である。
その丁寧な積み上げかたのご褒美か、親番の三戸は配牌1シャンテンの手に恵まれる。

 ドラ

第一打は、打か、深く構えて打か、三戸は打を選択。3巡目も難しい。

 ツモ  

三戸は三色を確定するべく打。しかし、ツモの伸びをソーズに感じるならば、打の選択もあったのかと思う。
そして、すぐ7巡目、

  

9巡目のツモもツモ切ると、下家の堀内が仕掛ける。そして、次巡やってきたのがドラのである。
堀内の持ち点は、27,100点である。そして、トップ目の瀬戸熊の持ち点は36,300点。

場面に生きている字牌は、ドラ表示牌のと三戸自身がトイツで持っていると、生牌のだけである。
堀内がトップを目指すにしても、浮きの2着を目指すにしても、このドラのだけは三戸にとって打ちづらい。
の所在は堀内君だと思い込んでしまいました。」
三戸もそう考えた。

そして、三戸の選択した打牌は。打かは対局者の感性であり是非は問えない。
結果が見えているから言うわけではないが、今局に至るまでの丁寧な連荘、三戸の能力、持ち点、立場ならば、
堀内の手出しを見て、何が何でもここでの連荘を勝負処と捉えるならば、堀内にを動かれる覚悟で打と構えられたように思う。

勿論、勝負所をもっと先に見るならば話は別であるが、現在のトップ目は瀬戸熊であり、瀬戸熊にとっては2日目の最終戦であることを考えれば、
瀬戸熊にだけはトップを取らせてはならないように思う。

そして、12巡目のツモ切りも堀内が動く。動いての手出しが打である。
14巡目に三戸のツモが!このツモで三戸の心が折れたのかもしれない。
森山の打に反応できない。「ポン」の声が出ない。

堀内の仕掛けは、動いた後の手出しを見て解るように、仮にの入ったホンイツであっても、
遅い進行であることは三戸ならば感じられる筈である。ならば、は少なくともこの時点では打ち切れる牌である。
三戸は次巡のツモで手を崩して行く。

そして17巡目、三戸が待ち望んで止まなかったが三戸の手元に訪れた。
本来、三戸の3,900点オールのツモアガリ牌であるはずのが―――。
そして全員ノーテンで流局。

今局、堀内が何を思い何処を目指して仕掛け始めたかは私には解らないが、流局時、堀内の残された手牌は“残骸”であることは事実であり、
瀬戸熊にトップを取らせたことは現実である。

トップになった瀬戸熊には、間違いなく優勝へのカウントダウンが鳴り響いている。
その瀬戸熊は、関係者、スタッフにキチンと挨拶と労いの言葉を残し、観戦することなく会場を後にした。

7回戦成績  
瀬戸熊直樹+14.3P  三戸亮祐+6.1P  堀内正人▲6.9P  森山茂和▲13.5P

7回戦終了時 
瀬戸熊直樹+107.4P  三戸亮祐▲8.3P  堀内正人▲13.6P  石渡正志▲29.0P  森山茂和▲56.5P



8回戦(起家から、堀内・森山・石渡・三戸)抜け番:瀬戸熊

2日目最終回である今半荘は、全18局を要している。
対局者にとっても局数の多い半荘は、集中力を維持するのは大変なことである。

今半荘、瀬戸熊はたまたま抜け番ではあるが、このような半荘を迎えた時に集中力を持続するため、
瀬戸熊は決勝が近づくと、夜中に走り込みをして、体重を絞り集中力を保たせるための訓練を日々課していた。
それは、今半荘のように長い戦いに備え、勝ち抜くためである。

他4人の対局者も、それぞれ何らかの対処策は取ってはいると思うが、
瀬戸熊のタイトル戦に向けてのあらゆる意味での調整、臨み方は群を抜いているように思う。

東1局は、三戸の慎重なヤミテンピンフから始まっており、
局が動き出したのは、東4局2本場の親番・石渡の5巡目リーチからである。

 リーチ ツモ ドラ

東4局3本場、三戸の満貫ツモアガリで石渡の親番を落とす。

 リーチ ツモ ドラ

南2局7本場、森山の親番を迎えるまで細かい乱打戦が続き、点棒の出入りは落ち着かなかった。
森山もほとんどの局を受けに回り手も落ちかけていた。

 リーチ ロン ドラ

放銃したのは三戸であるが、完全な手詰まり状態からののトイツ落としが捕まったもので、致し方ないようにも映った。

迎えた南2局8本場。

 ドラ

森山のこの配牌が、6巡目にテンパイが入る。

自然な待ち取りをするなら、打--待ち。ツモにタテの伸びを感じたならば打
いずれにしても即リーチの局面と見ていた。
森山の選択は、打のメンホン狙いであった。森山らしい選択である。

いくつか背景を考えてみた。一番単純な見方をすれば、ソーズの形が連続形で柔らかいことであると思う。
1つの大きな背景は、森山の求める麻雀のかたちが決断させたものだろう。
もう1つは、十段戦という大局的な視野から見て、ここが勝負処と踏んだのであろう。
テンパイしたのは16巡目のツモ

  

森山はここでヤミテンを選んでいる。ここまでのかたちに持って行ったのだから、リーチを打って欲しかった。
山には、が1枚残っているだけである。多分、流局が相場という事なのだろう。
それでもリーチを打って行くという事は、森山が追い求めて来た麻雀の1つのかたちだと、私は思っている。
結果は、不思議な形でついた。9巡目、テンパイの石渡が、

 ツモ

ここから森山の打を見て、ドラの引きや、もしくは456の三色の-引きに対応できるように構えるかと思っていたら打
こういう決着も、麻雀の1つの形ではある。
もし、森山が即リーチを打っていても同じ結果になったのか定かではないが、
両サイドがオリている分だけ、石渡は森山の現物である打の可能性もあったように思えてならない。



南3局、テンパイが早かったのは8巡目の堀内。

 ドラ

難しかったのが三戸、森山。特に三戸は、

 ツモ 

三戸は親番でもあるし、手広さを求めるならば打とすべき処、ドラを使い切る事を考えるならば、マンズを払っても不思議ではない。
三戸の選択は、後者の打。ドラを固定しと払って行きでの放銃を免れる。

が枯れている以上は、マンズ面子を払って行くのは優れた打法。」
そう言っていたのは荒正義さんである。

結果は、14巡目のツモで、打で放銃なのだが、三戸はここでも一度はに手をかけ、
もう一度、思い直したかのように打を選択している。
は説明するまでもなく待ちである。(は枯れている)
いずれにしろ、瞬間であれに指がかかる感性は財産である。

三戸にしても、半荘ごと素晴らしいプレイをする三戸と、腹を括れていない三戸がいる。
どれが本当の三戸なのかというと、どれもが全て本当の三戸なんだろう。
それだけ変容する可能性があるということは、若さの特権であり、可能性は無限大に拡がって行く。
羨ましい限りである。

瀬戸熊が一番苦しい時を過ごしていたのは、恐らく三戸の年頃だったように思う。
瀬戸熊も、誰に何を言うでもなく、じっと自分の弱さを見つめていた時期は確かにあった。

牌譜再生

南4局、2日目の最終局である。初日同様、この譜を堪能頂ければ幸いである。
の選択は指運などではなく、理である。
8巡目に、三戸から打ち出されたを動いていないということは、対戦メンバーの打風を含め、山に残されているとの読みなのである。
この牌譜の中に詰め込まれているものの中身は、打ち手の構想力であり、意思である。

8回戦成績  
森山茂和+14.3P  石渡正志+8.8P  堀内正人+2.9P  三戸亮祐▲26.0P

8回戦終了時 
瀬戸熊直樹+107.4P  堀内正人▲10.7P  石渡正志▲20.2P  三戸亮祐▲34.3P  森山茂和▲42.2P

 

 



 

(観戦記:前原 雄大 文中敬称略)

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