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第27期 十段戦 

決勝観戦記 〜初日〜

(執筆:滝沢 和典)

準決勝の熱い戦いが終わり、以下の4名が十段位・前原雄大への挑戦権を得た。

 
 
  瀬戸熊 直樹 七段、東京都出身、39才、O型
吉田 雄二  六段、京都府出身、62才、O型

 
 
 松崎 良文  四段、茨城県出身、33才、O型
堀内 正人  二段、宮城県出身、25才、B型

 
 
 前原 雄大現十段  九段、東京都出身、53才、A型



四連覇を目指す、現十段・前原雄大。そして昨年度悲願の鳳凰位を獲得した瀬戸熊直樹。
優勝予想の印を圧倒的に集めた2人だが、決勝までの約1ヵ月、それぞれ調整法は違ったようだ。

瀬戸熊は走りこみによる身体作りと、打ち込み。
前原は、若手を集めての鬼打ち。
前原の調整法は決勝前には毎回やっていることだが、とにかく回数が半端ではない。睡眠時間を削っての猛稽古だ。

『瀬戸熊が残ってテンションが上がった』と前原。

『前原さんに挑戦できて嬉しい』と語る瀬戸熊。お互い意識し合っていることがわかる。

前原、瀬戸熊の2人が本命視される中、第27期十段戦を制したのは堀内正人。
決勝までの1ヵ月、堀内は甲子園初出場の球児のような想いで過ごしたことだろう。
堀内の麻雀は前原、瀬戸熊とは対照的で一局一局が独立した、いわゆるデジタルなスタイルだ。
不特定多数の相手を相手にするメンバー業では当然のスタイルといえるが、正直、私はその形で十段戦に勝つことは不可能だと思っていた。
勇気を持ってリスクを冒すことも、また相手の能力やスタイルを見極めることもタイトルを得るための絶対条件だと思っていた。
堀内は決勝の2日間、10回の半荘を愚直に自分のスタイルで打ち抜き、勝利した。


初日は1人1回の抜け番で、5回戦を行い、2日目の10回戦で最下位が敗退。
最後の2回戦は4人打ちとなる。



【1回戦】(起家から、瀬戸熊・吉田・堀内・前原)

1回戦の抜け番は松崎。抜け番の過ごし方は人それぞれだが、松崎は観戦にまわった。

開局早々、いきなり堀内がカマしてきた!

一発裏ドラがない、日本プロ麻雀連盟Aルールでは、子のピンフのみリーチはあまり意味がないとされている。
もちろん待ちの良し悪しや、相手の動向によっては必ずしも悪い手段とは言い切れないが、この場面でのリーチは自分を意識させること以外に理由がないであろう。

受けた相手がどう出るか?ワクワクしながら見ていると10巡目の前原、

 ツモ ドラ

安全牌のを残して打とし、暗カンの後、

 暗カン ツモ

ツモでドラのを強打。
14巡目にドラを重ねた瀬戸熊も1シャンテン。

 ツモ

リーチに対して通っていない牌を押し切り、ようやくハイテイでテンパイを組んだ。
結果はともかく、この局の面白さは開いた堀内の手牌をみた3者の心にある。

「決勝の初っパナからやるか!?」と思ったか?「やっぱり読みどおりだ」と思ったか?

また、この手を打ってきた堀内も相手の出方を試していたに違いないが、前原、瀬戸熊がこのリーチに踊らされた感はない。
吉田もただ手になっていないだけで、当然の対応をしたまでだ。
また、抜け番の松崎はどう考えたか?

続く東1局1本場は、ダブ東をポンした瀬戸熊が、8巡目に堀内から2,900の出アガリ。

 ポン ロン ドラ 

打った堀内の手牌は、

堀内の今後の戦い方を見ているとわかることだが、この放銃は“らしくない”。
本来の堀内のスタイルなら、ヌルイ一打といって良い打。初のG1タイトル決勝で浮き足立ったようにも思える。
すると、前局のピンフリーチも気持ちに余裕あってのことでは無いような気もした。
もちろん対局者は堀内の手牌を知らないため、観戦者と同じ視点にはならないのだが・・・

次局、瀬戸熊は配牌を取る前から“攻め一本”の姿勢だ。
瀬戸熊の親がブレイクする前になんとしてでも蹴りたいと思うのは、前原麻雀の基本。
そんな前原に注文通りの早いテンパイが入る。

これに打で堀内が1,000点の放銃。点数こそ安いが価値あるアガリだ。

東2局、前原が2巡目のをポンして打

 ポン ドラ

14巡目にテンパイした前原が、親の吉田のリーチに3,900の放銃。

 ポン ツモ 打

 リーチ ロン

鳳凰戦でも何度か見たような仕掛けだ。
先手を取ることに価値があるのはわかるが、私から見れば不安定な形。一応、トイトイ含みではあるが、まだ仕掛ける手牌ではない。
しかし、先手を取り続けることで自分のペースに持ち込むのが前原流。自分のスタイルを徹底することがどれだけ重要なことか何度も見せられてきた。
自信を持って徹底することができる、自分流のスタイルを作り上げるのにどれだけの努力が必要なのだろうか。

同じように堀内にも、長い期間フリー雀荘の従業員として積み上げてきた実績が背景となっている“自分流”がある。
麻雀界に夢を持って飛び込んできた、と自身のブログで語る堀内が自分のスタイルを徹底できるのも、人並み外れた努力があるからであろう。


東3局、親番の堀内がドラ単騎でリーチをかけると、

 ドラ

捌きに出た吉田が、前原のヤミテンに5,200放銃。

 ロン

東4局3本場まで続いた前原の親は、2度のリーチをかけるもアガリはなし。
1本場3巡目リーチ。
 
 リーチ ドラ

2本場14巡目リーチ。

 リーチ ドラ

いまいちエンジンがかからない。

オーラスは前原34,900、瀬戸熊31,000、吉田30,900。堀内23,200。

堀内が7巡目リーチ。

二三四44678(23456) リーチ ドラ

をツモると1人沈みのまま、-をツモると前原の1人浮き。
連盟Aルールは3万点を基準に順位点が決まるため、ツモと-ツモの間には、5,5ポイントの差がある。
アガらなくても、周りの出方によってはノーテン罰が期待できるため、オーラスに限りはツモ切っても良いだろう。

2巡後にあっさりをツモり、1,300・2,600をツモ。前原の1人浮きで1回戦終了となった。

1回戦成績
前原+14,3P   瀬戸熊▲1,3P  吉田▲3,4P  堀内▲9,6P



【2回戦】(起家から、松崎・前原・堀内・吉田)

抜け番は瀬戸熊。1回戦抜け番の松崎とは対照的に、麻雀卓からかなり離れた位置にいる。
その過ごし方について瀬戸熊は、

「先入観っていうかな、良くも悪くもイメージがついちゃうのがイヤなんだよね、元々打ち筋はわかっているし」と語る。

東1局は、堀内が2巡目にを仕掛けると、

 ポン

前原の4巡目リーチ。

 リーチ ドラ

これが、またしても空振り。
リーチをかけてツモアガり、親番で一気にたたみかける。
というのが前原の有名な勝ちパターンだが、なかなかその足がかかりを掴むことができないでいる。

東2局、前原の暗カンに対し、捌きに出た松崎が11,600を打ってしまう。

ダブ東は、松崎の最初のカンを仕掛けたときに喰い流れて前原に重なったもので、直後に松崎が持ってきたを前原がポン。
器用な松崎らしい仕掛けだが、押し引きを間違えた代償は大きなものだった。

しかしこの半荘、終わってみれば前原は沈みの3着でトップは堀内。
前原にとって望外の11,600は、その後の押し引きを間違える原因になってしまったようにも思える。
前原が押し引きを決める基準は自らの状態なのだが、持ち点に惑わされた感がある。特に南3局。

堀内がリャンメンで仕掛けたは三色目のであることは想定内であるはず。
さらに、ドラの3を絡めて満貫クラスはあると読むのが競技麻雀の常識だ。
もちろん、打点が安い仕掛けが多い“堀内の仕掛け”であることも影響しているはずだが、本来見え見えの満貫仕掛け。
堀内が親であることも踏まえれば、いつもの前原ならオリているはずの局だ。

松崎の局面読み違いによって、“ただ点数が増えただけ”であって、前原が基準とする自分の状態を読み違えた1局ではないか、と思う。

2回戦成績
堀内+25,8P   吉田+8,4P  前原▲4,2P 松崎▲30,0P

2回戦終了時
堀内+16,2P  前原+10,1P  吉田+5,0P  瀬戸熊▲1,3P  松崎▲30,0P



【3回戦】(起家から、瀬戸熊・松崎・吉田・前原)

東4局、瀬戸熊が仕掛けたは、12巡目の場に3枚目。

 チー

かたちで仕掛けた手牌だが、2巡後に前原からドラのが打たれる。
こんなとき、瀬戸熊にしてみればが出てくるほうが怖い。

前原の視点からは、以外の役牌が全て見えており、瀬戸熊が前巡にを動いていないことから、まだ仕掛けたくない手牌だったことが読み取れる。
そこに対して、急所である可能性が高いドラの打ちだからである。
結果は流局。前原の最終形を見た瀬戸熊は(うん、そうなっているよな)と頷いた。

南1局、5巡目に単騎で三色テンパイが入った瀬戸熊は、8巡目にに待ち替えでリーチ。
このリーチの発声が実に早かった。この局について観戦者の中にも聞きたかった人は多いはず。

瀬戸熊『あの持ってきたらリーチって決めてたんだ』
__周りがタンピン形の捨て牌だからですか?__
瀬戸熊『それはもちろんあるけど、ツモれる確信があったね』
__一刻もはやくリーチと発声したかったからでは、と予想していたのですが?___
瀬戸熊『そういう意味はなかったな、感覚的なものとしか言いようがない』

私もおそらくリーチをかけるが、理由は質問内容の通り。
瀬戸熊はツモれる確信と口にしたが、感性に忠実に打てていることが瀬戸熊の練習量を物語っている。

3回戦成績
前原+16,6P   瀬戸熊+10,6P  松崎▲11,2P 吉田▲16,0P

3回戦終了時
前原+26,7P  堀内+16,2P  瀬戸熊+9,3P  吉田▲11,0P  松崎▲41,2P



【4回戦】(起家から、瀬戸熊・吉田・堀内・松崎)

トータルポイントで首位に立った前原が抜け番。
開局は瀬戸熊が堀内に8,000放銃。

瀬戸熊は厄介な相手にぶつかるほど目を覚ますところがあるように感じる。
この放銃をきっかけに、摸打が軽快になったようにも見える。

 
 
 

 

 ロン ドラ

次局に松崎から5,200を出アガると、東3局に500・1,000。

 ポン ツモ ドラ

東4局には吉田から3,900。

 チー ロン ドラ

南1局に4,000オール。

 ツモ ドラ

さあ、連荘だ!と思った矢先に、堀内の満貫ツモ。

瀬戸熊『あの局でこいつ相当デキいいなって思ったよ、この後はとにかく離されないようにって考えた』


4回戦成績
瀬戸熊+25,0P   堀内+12,7P  松崎▲16,7P 吉田▲21,0P

4回戦終了時
瀬戸熊+34,3P  堀内+28,9P  前原+26,7P  吉田▲32,0P  松崎▲57,9P



【5回戦】(起家から、松崎・前原・堀内・瀬戸熊)

初日の最終戦東1局。
ここまでの劣勢を挽回したい松崎がドラを仕掛けるが“やはり”上手くはいかない。
8巡目にそのを打った前原からリーチが入り3,000・6,000のツモアガリ。松崎は、

 ポン ドラ

前原のアガリは、

 リーチ ツモ

東2局、前原の親は南家・堀内の先制リーチが流局。

 ドラ

続く東3局も親番・堀内の3巡目リーチ。

 リーチ ドラ

例えば自分なら、どう打つか?牌譜を見れる方は、是非検証してみて欲しい。

牌譜データサービス

きっと私なら、相手に好き放題やられるのは承知でも、一発打点の高い手を狙っているだろう。
すると、相手の対応もまったく別のものになっているので、淡白な試合展開にはなっていないはず。
これを連発された相手の精神がどれだけ疲労するか。皆、ここまでくれば堀内の手の内、戦法はわかっている。
しかし、わかっていても手を曲げてしまった事実や、先手を取られたときに受けた恐怖感は蓄積されていくのである。
初日、堀内が最もツイていることは、先手を取った手牌を対局者に見せることができている点であろう。
鮮やかに結果として現れたわけではないが、初日、心地よく麻雀を打てた選手は当の堀内以外にいないのではないだろうか?

南2局、松崎が心理の落とし穴にスッポリとはまってしまう。

残りツモ2牌のところで、打
確かにテンパイではあるが、本来松崎の麻雀はこれを打つほど甘くはない。
この1局の背景には、ここまでの短いようでとても長い時間がある。精神が疲労している証拠がこの打なのでは、と思う。
第5回戦、全16局のうち、堀内は12回のテンパイを取り、7本のリーチ棒を投げた。

5回戦成績
前原+28,4P   堀内+21,5P  瀬戸熊+2,7P 松崎▲52,6P

5回戦終了時
前原+55,1P  堀内+50,4P  瀬戸熊+37,0P  吉田▲32,0P  松崎▲110,5P


 

 

(執筆:滝沢 和典  文中敬称略)

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