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タイトル戦情報

第24期 十段戦 

ベスト16レポート


夏の風物詩十段戦も5月から初段戦が始まり九段戦までを終え、いよいよ本戦に突入した。
ここまで勝ち上がった13名に加え、昨年の決勝シードの3名が入り、16名による戦いが始まる。
4卓に分かれて、半荘6回戦で行われる準々決勝。各卓上位2名が翌日の準決勝に進むことになる。



A卓

荒正義九段・前年度決勝進出

灘麻太郎九段

沢崎誠八段

仁平宣明五段

注目は、やはりこの人、荒正義九段。
年度末に行なわれたグランプリを取り、後はこのタイトルを制覇すれば、遂に連盟初の快挙になろうグランドスラム(鳳凰位、十段位、王位、マスターズ、の4大タイトル全てを獲得)の達成となる。

その荒と同じ北海道出身、日本プロ麻雀連盟会長 灘麻太郎九段。
十段戦決勝進出は8回を数え、うち優勝2回。他のタイトルも数えきれないほど獲得している会長いわく「もうタイトルはいいよ」と何とももったいないお言葉である。

続いては今春のマスターズを制し、勢いに乗っている沢崎誠八段。
沢崎はネット麻雀「ロン2」でも、プロNO1の優秀な成績を誇る打ち手でもある。

そして最後に、プロリーグ最高峰A1で5期連続凌ぎを削る現役A1リーガー仁平宣明五段。

この豪華4名によって行われるA卓の戦い、遂に火蓋が切って落とされた。

一回戦は灘の起家スタート。カミソリ灘の異名そのままに、鋭い仕掛けで持ち点を増やし、局面をリードして行く。
しかし、オーラスで灘が痛恨の放銃。

 チー ロン ドラ

和了ったのは仁平。

二回戦に入っても仁平は親で連荘スタートし、好調キープ。
ここで、眠っていた荒が目を覚ます。
まずは仁平の親を、

 ツモ ドラ

の本日初和了りで流すと、続く自らの親で反撃開始とばかりに猛連荘。
そして南場に入っても荒の勢いは衰えず、結果一人浮きのAトップで終了。一回戦のラスを帳消しにした。

三回戦もA1リーガー二人のワンツーで荒、仁平が着実にポイントを増やし、折り返し地点到達。

だが四回戦で勝負の行方がわからなくなって行く。
まず東1局、灘の3900オール。
東2局に荒が沢崎から

 ロン ドラ の9600。

しかし次局、仁平がリーチ。



これを受けて荒の手牌は、



これにを一発で掴み、を勝負。この手牌ならから切ってもおかしくないのに止める荒はさすがだなぁと思ったが、が出て荒がポン!
静かに河に置かれた牌はやっぱりだった。

おそらく荒は、この時これまでの連荘の仕方や和了りの形から自分の態勢が良いと判断しての勝負であったのだと思う。
たしかにこの手を和了りきれば残り二回は楽になるし、で放銃してもそんなに高くはないと読んだのかもしれない。
しかし倒された手は、思った以上に高かった。
仁平がダマテンだったら荒がおそらくツモ切りで放銃していたと思われ、それだけ荒の態勢は良くはなかったという事かもしれない。
荒がキッチリそれを受けきったら、それを助けてくれたリーチになったかもしれず、仁平のリーチが判断ミスで態勢はコロッと変わっていたかもしれない。
そして、これまでまったく和了りが無い沢崎がこの半荘息を吹き返す事になる。
きっかけは南2局1本場、西家・沢崎が第1ツモをツモ切りリーチ!

 ドラ

ダブリーである。
しかもツモ切りなので出ていれば人和で満貫。ツモれば地和の役満である。
親の荒も追い付くが、沢崎がツモで2000.4000の大きな和了りを決める。
後で沢崎に聞いたところ「プロリーグで人和は和了ったから、今度は見逃そうと決めていたんだよね。あの半荘で浮きに回ったのが大きかった。」と、この半荘が分岐点だったと語る。
そんな沢崎がもう一度満貫を和了りオーラスは仁平がなんとか和了り、微差を制して頭一つ抜け出した。この半荘もったいないのはやはり荒、小さいながらも一人沈みの大きなラスを引いてしまう。

五回戦は集中力が切れてしまったか、灘が連続で放銃してしまい、これまでコツコツ貯めたポイントを一気に吐き出してしまう。
沢崎は遂にトップを取り、このまま一気に勢いに乗りたいところか。



そして迎えた最終戦。
ポイント状況は、仁平が当確。
荒がややリードも、ようやくエンジンがかかってきた沢崎との差は約20p。
序盤は灘がリーチ攻勢で攻めるも和了りに結び付かず、逆に南場の親で沢崎の

 ツモ ドラ

2000.3900の親カブリで失速。

熾烈な二位争いは、南2局1本場で荒がライバルの沢崎に、

 ロン ドラ

それでも荒は粘り、オーラスの時点で荒30100、沢崎53100。二人の差はトータルで7300差で沢崎の方が現状リード。

オーラス、荒がいきなり仕掛ける。をポンしてこの形、

 ポン ドラ

ここにをツモってテンパイ。はどこから出てもOK、はツモか直撃でOK。
荒はその辺りの計算は早くて正確なのは、グランプリで立証済みである。
しかし今局、手を開いたのは荒ではなく沢崎の方だった。

 ツモ

荒は無念のベスト16敗退で、グランドスラムは来年以降の持越しとなった。


一位通過 沢崎 誠   二位通過 仁平宣明


コメント
灘 「親のリーチにダブを打ったのが敗因。これで打ったら高いと言う牌を打ってしまった。でもリーチも無いんではないかなぁ…。」

荒 「最後まで競ったんだけど健闘虚しく、と。最後はならOK、ツモ、直ならOK。」


  荒 正義 灘 麻太郎 沢崎 誠 仁平 宣明 供託
1 回戦 ▲ 14.4 5.8 ▲ 7.2 15.8 0.0
▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0 8.0 ---
▲ 22.4 9.8 ▲ 11.2 23.8  
2 回戦 17.1 ▲ 4.3 ▲ 4.2 ▲ 8.6 0.0
12.0 ▲ 3.0 ▲ 1.0 ▲ 8.0 ---
29.1 ▲ 7.3 ▲ 5.2 ▲ 16.6  
3 回戦 3.8 ▲ 0.1 ▲ 10.8 7.1 0.0
4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0 ---
7.8 ▲ 4.1 ▲ 18.8 15.1  
4 回戦 ▲ 3.9 1.5 0.2 2.2 0.0
▲ 12.0 3.0 1.0 8.0 ---
▲ 15.9 4.5 1.2 10.2  
5 回戦 2.7 ▲ 17.1 8.6 5.8 0.0
1.0 ▲ 12.0 8.0 3.0 ---
3.7 ▲ 29.1 16.6 8.8  
6 回戦 ▲ 3.9 ▲ 20.6 39.3 ▲ 14.8 0.0
▲ 1.0 ▲ 8.0 12.0 ▲ 3.0 ---
▲ 4.9 ▲ 28.6 51.3 ▲ 17.8  
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0 ---
合計 ▲ 2.6 ▲ 54.8 33.9 23.5 0.0








B卓


古川孝次九段・前年度決勝進出

伊藤優孝九段

森山茂和九段

前原雄大八段



最初に会場に現われたのは、前原雄大八段。

「最近いつも最初は3着か4着なんだよ。」
と弱気な発言にも聞こえるかもしれないが、私には「最後まで諦めませんよ。」と気合いのコメントに感じた。

続いて伊藤優孝九段が現われる。
伊藤は日本プロ麻雀連盟副会長でもあり、今年二月に行なわれた發王戦では、決勝で私も同卓させてもらい、とてもやさしく接してもらったのを覚えている。

そして開始五分前になるが、後二人がまだ現われない…

一人は昨年惜しくも決勝三位の古川孝次九段である。
古川は何時も対局の時ぎりぎりに会場に現われる。一年前に古川に聞いた話で、対局前はお祈りしてから会場に入るという話だったのを覚えている。今日もきっとどこかで麻雀の神様にお祈りしているに違いない。

心配なのは森山茂和九段である。昨日偶然にもロン2のゲスト終了後「帰り送ってやるよ。」と言われ送ってもらったのだが、その後に何かあったのではないかと心配になった。

しかし、ぎりぎりになって二人同時に会場に現れ、ホッと胸を撫で下ろした。



一回戦。
いきなり仕掛け合いを制したのは、弱気なコメントの割には大胆な攻めを見せる前原。
東2局、今度は伊藤が、森山、古川のリーチ合戦を掻い潜って

 チー ポン ロン

これを森山から討ち取る。

この卓はほとんど流局することが無く、大物手のぶつかり合いばかりとなる。

南1局、古川が前原から、

 ロン ドラ

この放銃に動揺したか、南3局親番の前原は、



ここからを鳴いてしまい、鳴いた直後に下家に当たり牌をツモ切られ1500を和了るが、本人も苦笑い…。
私が前原の麻雀が好きな理由は、あの巨体から繰り出される大胆な闘牌からは想像する事もできない繊細な部分である。
しかしこの鳴きは繊細でもなければ大胆でも無いように思えた。焦りからなのかそれとも他者への恐怖からなのか…。

オーラスは、そんな前原を戒めるかのように森山が

 ロン

トップは古川、前原がラスとなり厳しいスタートとなった。

二回戦

伊藤がまずは先制の1300、2600を和了る

東2局、北家・森山の大物手が炸裂する。

 ポン ポン ツモ ドラ 

その森山、東4局で好手順を魅せる。

 ドラ

この形にが出ても鳴かずに、ツモと来てのトイツ落としに行く。シャンテン数は落ちるがマンズもピンズも形が良く、大物手に育ちそうな手で、観るものを意識した手厚い打ち回しである。

 の聴牌まで育て、最後はドラのを叩きつけてリーチ。

しかし、親の伊藤が

 でリーチ、を叩きつけ返し6000オール。

迫力ある対決は伊藤に軍配が上がった。この後も伊藤が得点を重ね、終わってみれば、60000点を越える大トップで二回戦を終える。

やはりこれだけのベテラン同士の戦いは見応えがある。

三回戦  伊藤が本日絶好調でダントツになり早くも一人当確か。前原がかろうじて浮きに回り、三者接戦となった。

四回戦  この辺りから朝のコメントからも伺えた前原の気迫が卓上を支配しはじめる。
東場のリードを南場に入っても大胆に広げて行き、ダントツのトップを取る。

五回戦  前原連勝。暴れ出した前原、もうどうにも止まらない。

森山、古川も何とか浮きに回って最終戦に繋げる。

最終戦は森山も古川も前原とトップラスで50000点差と相当厳しい状況ではあるが、僅かな希望を抱いてとにかく攻める。

しかし前原も相手がギブアップするまで和了りに向かう。


東1局1本場、前原が又もや大胆に仕掛ける。

 ポン ポン (は切れている) ドラ

森山も攻める。

 チー チー ポン

しかアガれないが、打点は充分の仕掛けである。
これを和了り少しでも前原との点差を縮めたいところだったが、流局。 

南場に入っても森山、古川が共に攻めるが、最後は前原の三連勝で幕は閉じた。


一位通過 前原雄大   二位通過 伊藤優孝

コメント

森山  「集中力が無くちょっとしたアガり逃しがあった。
     打ち方が悪かった。自分のスタイルで打ち切れなかった。
     負けてる時ってそんなもんだよなぁ・・」

古川  「敗因はわかりません。負けました。


  古川 孝次 伊藤 優孝 森山 茂和 前原 雄大 供託
1 回戦 8.7 2.6 ▲ 5.1 ▲ 6.2 0.0
8.0 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 ---
16.7 6.6 ▲ 9.1 ▲ 14.2  
2 回戦 ▲ 19.2 31.6 ▲ 1.8 ▲ 10.6 0.0
▲ 8.0 12.0 ▲ 1.0 ▲ 3.0 ---
▲ 27.2 43.6 ▲ 2.8 ▲ 13.6  
3 回戦 ▲ 6.6 21.1 ▲ 15.5 1.0 0.0
▲ 4.0 8.0 ▲ 8.0 4.0 ---
▲ 10.6 29.1 ▲ 23.5 5.0  
4 回戦 ▲ 17.6 ▲ 3.6 0.3 20.9 0.0
▲ 8.0 ▲ 4.0 4.0 8.0  
▲ 25.6 ▲ 7.6 4.3 28.9  
5 回戦 0.2 ▲ 10.5 ▲ 6.0 16.3 0.0
4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0 ---
4.2 ▲ 18.5 ▲ 10.0 24.3  
6 回戦 3.8 ▲ 15.5 ▲ 0.6 12.3 0.0
4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0 ---
7.8 ▲ 23.5 ▲ 4.6 20.3  
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0 ---
合計 ▲ 34.7 29.7 ▲ 45.7 50.7 0.0









C卓


藤原隆弘七段・前年度決勝進出

小島武夫九段

老月貴紀五段

加藤博己三段


「ガハハ」といつでも笑い声が聞こえてきそうなミスター麻雀と言えば、やはりプロ連盟最高顧問小島武夫九段である。
野球少年が長島茂雄(今はイチローか?)に憧れるように、麻雀をする者達は小島武夫に憧れる者が多い。もちろん私もそうである。
そんな小島は灘会長と同じく、十段戦の決勝進出8回と非常に相性の良いタイトル戦なのだが、優勝はまだ無い。

続いて、今期プロリーグA1まで昇りつめた老月貴紀五段。
実は、私と老月は同期なのだが、これまであまり話す機会が無かった。私の老月に対するイメージは物静かといった感じで、麻雀も静かで重厚な打ち手の印象が強い。リーグ戦の方は前半こそ下位に甘んじてはいるが、後半戦は巻き返してもらいたい。

次に、加藤博己三段。三段からここまで勝ち上がれば通常なら充分話題にはなるのだが、今期はD卓に初段からの勝ち上がりがいるので致し方ない。
昨年度まで関西に在籍していた加藤は関西のリーグ戦太閤位の決勝まで駒を進め、現A2の板川和俊と戦い三位となる。
優勝こそ逃したもの、その板川より順位が上だったということだけで、東京行きを決意したという。たいした自信家だと思っていたが、実際ここまでの勝ち上がりはさすがの一言である。

そしてその加藤がこの一ヵ月間、これから一緒に戦うであろう男のもとに通って、この日の為に麻雀の特訓をしていたのを私は知っている。
その最後の一人が会場に現われた。

その男の名は、緻密な仕事師、藤原隆弘七段である。
昨年決勝で惜しくも敗れ、今年こそは念願のG1タイトルを狙う連盟屈指の技術屋である。

そしてこの四名で、静かに戦いは始まった。



一回戦

東2局、親・加藤が、

 ロン ドラ

これを静かに老月より和了って先制する。

東2局1本場、ドラ

藤原が3巡目にドラのを切ると、場が一気に凍り付く!特に守備型の藤原が切るだけに恐い。
その時、藤原の手は



の三色の見える好形一向聴。ここにツモで即リーチと行く。
それを見て加藤が特訓の成果を発揮する。「ワラ(藤原)さんがドラを切るということは、ただ事では無い。」と対局後に語る。
キッチリ受けて、しかも当たり牌を止め奇跡的に聴牌する。

この後も加藤が加点して、オーラスは小島との競りになる。その小島が藤原のリーチを受けてこの形。

 ツモ

ここからを打ち切れず、打。すると次のツモが。藤原のリーチに真直ぐ押していれば、



この形で、後に藤原が掴んだで和了り切っていたかもしれない。
結局、藤原の一人聴牌で一回戦は加藤がものにする。
小島、気迫の面でやや不安があるように映った。

二回戦、そんな心配をよそに、東2局で南家・小島が大物手を炸裂させる。

 ツモ ドラ

このリードを小島が辛くも守って南場に入る。

南3局、藤原が、

 ドラ

ここからドラを切ってヤミ聴。やはり、藤原がドラを切ったら聴牌濃厚である。

12巡目 ツモの1000、2000。そしてオーラスを迎えた。

南4局、親の老月が1打目にを切ると、藤原がそれに併せず2打目にを手出しする。それを見た老月が親の安全牌をすでに切ってきた藤原は早いと判断し、

 ドラ

この形でリーチを打つ。私はこの判断は間違いでは無いと思うのだが、老月はこの局を反省する。
たしかにドラの手変わりもあるし、実はこの局一回戦トップの加藤と2000点差の三着目で、リーチ棒を出すと他家の満貫ツモでラスになってしまうという状況だったのだ。
そして、老月の恐れていた事が現実となってしまう。

 ツモ

和了ったのは藤原。老月が親かぶりでラスになってしまう。自分がラスになったのはもちろん痛いが、加藤を助けた形になったのが一番きついのかもしれない。
トップは藤原、二着には最初の貯金を守った小島が粘った。

三回戦、それで気を良くした加藤が序盤に細かいアガりを重ねてトップ目に立つも、オーラスに藤原がそれを捲ってトップ。
老月が3ラスを引かされ、いよいよ苦しくなった。

四回戦、なんとか老月が巻き返してトップ。しかし加藤もきっちり浮きに回り、その煽りを食らった小島がトータルラスまで落ちてしまう。

五回戦東4局、挽回を狙う親・小島にチャンス手。

 ドラ

メンホン七対子の一向聴で9巡目にをツモって聴牌し、を切る選択なのだが、前巡にが出たので誰かの併せ打ちを狙って切り。

それを静かに狙っていたのは藤原。

 ロン

これで勝負あったか。加藤、藤原の二人のワンツーで小島、老月に80P差を付けて、最終戦に突入した。

最終戦、何を思ったか、加藤が東1局から聴牌連荘を二回して5800まで和了り、藤原の顔が引きつる。

「何でこいつ連荘するんだ?場を軽くして流さないとダメだろう。」と心の声が聞こえてきそうな表情であった。

その反応を見て、さすがの加藤も連荘を止める。
後日加藤に聞いたら、ここまで勝ち上がって来る時に一度このような状況があって、その時は流しに行ったら捲られたそうだ。
その時のトラウマが原因か。
しかし、相手は緻密な仕事師・藤原である。何度も稽古を付けてもらった相手で、もう少し信頼しても良かったのではないだろうか。
その藤原がしょうがない、とばかりに流しに入って終わった。
加藤は課題の残る最終戦ではあったが、対局終了時に「最後さえなければ、今日は良かったな。」とあまり褒めない藤原から褒めてもらい、満足気な加藤の顔が印象的であった。       

そして二人は対局後、これでベスト8で当たる事はないので、明日勝って決勝で戦おうと誓い合い、会場を後にして行った。

一位通過 加藤博己   二位通過 藤原隆弘  

コメント

小島 「高い手をはっても蹴られて、アガれなかった。負けるべくして負けたなぁ、ガハハ。」

老月 「二回戦のオーラスが敗因です。」


  藤原 隆弘 小島 武夫 老月 貴紀 加藤 博己 供託
1 回戦 ▲ 2.6 3.7 ▲ 7.6 5.5 1.0
▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0 8.0 ---
▲ 6.6 7.7 ▲ 15.6 13.5  
2 回戦 9.0 2.0 ▲ 6.0 ▲ 5.0 0.0
8.0 4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 ---
17.0 6.0 ▲ 14.0 ▲ 9.0  
3 回戦 13.3 ▲ 10.7 ▲ 13.7 11.1 0.0
8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4.0 ---
21.3 ▲ 14.7 ▲ 21.7 15.1  
4 回戦 ▲ 3.1 ▲ 21.8 13.6 11.3 0.0
▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0 4.0 ---
▲ 7.1 ▲ 29.8 21.6 15.3  
5 回戦 4.2 ▲ 5.1 ▲ 3.8 4.7 0.0
4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0 ---
8.2 ▲ 13.1 ▲ 7.8 12.7  
6 回戦 ▲ 9.5 ▲ 5.5 10.7 4.3 0.0
▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0 4.0 ---
▲ 17.5 ▲ 9.5 18.7 8.3  
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0 ---
合計 15.3 ▲ 53.4 ▲ 18.8 55.9 1.0








D卓


高木賢治九段

木村東平八段

黒田容吉七段

大場篤初段



非常に興味深い組み合わせとなったこの卓、まずは各本部長同士の対戦という構図。

東京本部長・高木賢治九段 中部本部長・木村東平八段 東北本部長・黒田容吉七段

開始前、三人が会場に集まると、談笑が始まった。それはまるで昔を懐かしく思い出しながら、楽しく会話を弾ませる同窓会のような雰囲気である。
これから麻雀でお互いが、厳しい争いをする様にはとても見えない。
その三人の中に、今回台風の目とも言える人物が入るのである。十段戦は低段者から出場して行き、高段者になればなるほど後から出場する為、必然とこの辺まで来るとほとんどが高段者になる。今回は九段が7人、八段が3人、七段と六段が一人ずつで五段が2人、そして先程登場した普通なら注目が集まるはずであった加藤が三段。

そしてその同窓会の卓の隣で、椅子にそっと腰掛けて静かに待つのは、これまで9回勝ち上がりを決めた奇跡の男!大場篤初段である。
昨年プロテストに合格して今期よりD2スタートの新人である。そんな大場が大御所達を相手にどんな戦いを見せてくれるのか、とても楽しみである。

一回戦 最初に和了ったのはモンスターの異名を持つ高木。

東2局、1本場 ドラ

 ロン を大事にヤミ聴で黒田から3900は4200。

東3局には木村が

 チー ポン チー ツモ ドラ 

1000、2000で、高木の親を落とす。

木村は東4局でも、

 ツモ ドラ

これをリーチで1300、2600。木村がトップ目で東場は終了。

木村の麻雀は競技歴の長さを感じさせる、完成されたオーソドックスな麻雀だと感じた。言葉では表しにくいのだが、一言で言うとスリム!といった感じである。

南場に入ってようやく黒田も親で連荘するが、平和を1回と聴牌料を貰っただけでさほど点数は増えずに親が終わる。
七、八段戦で私と当たった時の黒田は隙が無く力強かったのだが、今日はまだ調子が今一つの様子だ。

そんな黒田の親を落としたのが大場。
こちらも出足は悪く、南場でようやく和了りが出る。

南1局2本場、高木が

 ドラ

ここにをツモり、を切ってリーチ!自分の河にが切ってあるのとが4枚見えている為のシャンポンの受けである。
しかしこれはやり過ぎたか、数巡後に高木が切ったに大場が手を開く。

 ロン

対局後、高木もこのリーチは悔やんでいた。

この失点から高木はノーテン罰符や放銃でどんどん落ちて行く。しかしそこはさすがモンスター 。
返す刀で南2局2本場の6巡目に即リーチ。

 ツモ ドラ

強い!
そして迎えたオーラス。トップ目は木村。他三人は微差の接戦となったが、その微差を制したのは、やはり高木。

 ドラ

の手変わり待ちのヤミ聴からが河に二枚切れたのを見てリーチ!大場から和了り、沈みではあるが何とか2着に粘った。
大場と黒田は同点のラススタートなった。

二回戦、ようやく緊張がほぐれたか、大場がトップを取り、高木が粘って2着。

三回戦、次はその高木がトップを取り、大場が2着。高木、大場の二人が優勢で折り返す。

四回戦 東1局大場が元気に1300、2600で先制。

続く東2局、

 ドラ

にツモで大場即リーチ。たしかに巡目が早くが早目に処理されていたので行きたくなる気持ちも分かるのだが、打点的に充分でヤミ聴のほうが良いと思った。  
だが、黒田が手詰まりで放銃。 

好調の大場が一人浮きのトップ目で迎えた南3局、またも大場にチャンス手。

 ドラ

ツモで面子選択なのだが、この点差ならば手役を狙うより和了り易さを優先した方がいいと思うので、私ならに手を掛けそうだが、大場の選択はノータイム切り!さすがにやり過ぎだろうと思う間も無くツモで又も即リーチ!
ことごとく私の裏を行く、この大場にはいったい何が見えているのだろうか?
しかし一人聴牌で流局。ちなみにはツモっていた。まぁ私の場合はヤミ聴にするので2000出和了りか700、1300になるが。‥?!聴牌料と収支はほぼ一緒か・・・

オーラスは木村と高木の三面張対決を木村が制して何とか浮きに回る。黒田は又ラスを引かされ、苦しい展開になる。


しかし続く五回戦で黒田が今までの欝憤を一気に吐き出すかのように和了り、73300の一人浮きのトップを取り、何とかトータル3位まで着順を上げる。その煽りを食って高木はトータルラスに転落してしまい、残すは最終戦のみとなった。

大場は大きなマイナスをしなければ安泰。木村は2着以上か黒田、高木とそんなに点差が離れなければOK。黒田は木村とトップラスで10.4p差を付けなければいけない。高木は苦しいがとにかく木村を沈めて大きなトップである。

最終戦、序盤こそ静かな展開だったが、中盤から一気に局面が動く。

まずは東3局、高木の攻撃から始まった。

 ツモ ドラ

東4局、高木が親で果敢に仕掛ける。

 ポン ポン ポン ロン ドラ

これに飛び込んでしまったのは木村。スリムな麻雀を打つ木村も長い戦いの中で集中力を欠いてしまったか。ここまでギリギリ凌いでいた木村、この一打は悔やまれる。

ここからあと一枚のベスト8行きの切符を賭けて、黒田、高木の二人の争いになる。

東4局1本場、まずは黒田が高木から、

 ロン ドラ

高木も負けずに平和をリーチしてツモ和了り700、1300。

こうして、オーラスを前にトータル黒田の方が上でその差13.8p。
二人の持点は親の高木41500、黒田40500なので、高木が後8800点足りない状況だ。
そしていよいよオーラス。
高木が9巡目にリーチをツモって2600オール。これで高木の方が1.6P上になり、これで黒田も和了りに行くしかなくなった。

オーラス1本場 ドラ

高木が、



これをヤミ聴。

黒田も仕掛けて和了りに行く。

 チー ポン

ツモか直条件だが、形が良いだけに期待が持てる。
息詰まるめくり合いは、高木がを引き寄せ勝負あり。

最後は大場が締め括り、こうして三名の本部長と初段・大場の熱い戦いは幕を降ろした。

大場は遂に土つかずの10連勝で、いよいよ夢の舞台・決勝まであと一つ。本当に掴み所のない麻雀ではあるが、次も楽しみである。
そして運命の本部長対決を制した高木は何と最高年齢(74歳)優勝まであと少しである。

一位通過 大場 篤 二位通過 高木賢治

コメント

黒田容吉 「最初の4回が最後まで引きずった。あまり放銃は無かったのだが。ツモられ貧乏で…5回戦ダントツで少し迫って最後は満貫和了ったけど2600オールツモられて、終わったかなぁと。ダメでした。」

木村東平 「詰めが甘かった…どちらにしても悲しい。の打ち込みはいかんなぁ。」




  高木 賢治 木村 東平 黒田 容吉 大場 篤 供託
1 回戦 ▲ 1.5 7.7 ▲ 3.1 ▲ 3.1 0.0
▲ 1.0 12.0 ▲ 5.5 ▲ 5.5 ---
▲ 2.5 19.7 ▲ 8.6 ▲ 8.6  
2 回戦 2.6 ▲ 1.4 ▲ 14.0 12.8 0.0
4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0 ---
6.6 ▲ 5.4 ▲ 22.0 20.8  
3 回戦 7.1 ▲ 0.2 ▲ 12.5 5.6 0.0
8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4.0 ---
15.1 ▲ 4.2 ▲ 20.5 9.6  
4 回戦 ▲ 8.1 1.3 ▲ 12.3 19.1 0.0
▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0 8.0  
▲ 12.1 5.3 ▲ 20.3 27.1  
5 回戦 ▲ 29.0 ▲ 4.1 43.3 ▲ 10.2 0.0
▲ 8.0 ▲ 1.0 12.0 ▲ 3.0 ---
▲ 37.0 ▲ 5.1 55.3 ▲ 13.2  
6 回戦 21.9 ▲ 21.9 6.3 ▲ 6.3 0.0
8.0 ▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0 ---
29.9 ▲ 29.9 10.3 ▲ 10.3  
ペナ 0.0 0.0 0.0 0.0 ---
合計 0.0 ▲ 19.6 ▲ 5.8 25.4 0.0










こうして8名の精鋭達が勝ち進んでいった訳だが、夏の気温の上昇と共に十段戦もますます熱気を帯びてきているようだった。





 




 

(文責・山井 弘 文中敬称略)

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