日本プロ麻雀連盟
第2回ロン2カップ
日本プロ麻雀連盟HOME 日本プロ麻雀連盟のご案内 牌譜データサービス ロン2のご案内 タイトル戦のご案内 インフォメーション プロ雀士情報 雀力アップ
ホーム雀力アップ上級 > 宣言牌の意味

雀力アップ

宣言牌の意味

 

 

牌譜は第9回モンド21杯1回戦、東4局東家のものである。


ここまで私は、東1局に滝沢から8,000を出アガリ。
続く東2局でも、1,300・2,600の引きアガリと絶好のスタートを切ることに成功した。
 
私にとってモンド21杯は、前回の第8回大会に引き続きこれが2回目の出場となるのだが、
前回大会で最も深く脳裏に刻まれたのは、決勝で負けたことよりも予選で4ラスを喰ったことだった。
7回戦を戦う予選で、4ラススタートである。
つまり、スタートどころかすでにジ・エンドと言われてもおかしくない出だしだったのだ。
これが頭にあるから、この予選1回戦はとにかくどうしてもトップが欲しい。
なぜなら、今大会はシステムが変わり、予選が1人4回の戦いとなったからである。
前回のように4ラスなどということになれば、何をどう間違っても次のステージへ進むことなど不可能になったのだ。
 
その第8回大会から1年、思うところは山ほどあった。まずはあの4連続ラスの意味である。
決して自分の脚質のせいだとは思わなかった。では一体何なのか?
それは、“局面の見誤り”に他ならない。

私は麻雀における敗因の8割がこの局面の見誤りだと考えている。
序盤は少しくらいラフに攻めてもいい。
しかし、場面に明確な情報が現れてきたなら、それを敏感に察知し処理できる能力がなければ起こりうる様々な局面に対応していくことはできない。
第8回大会ではそこの部分が疎かになっていたのだろう。
内容の伴わない麻雀ではやはり勝負に勝ち切ることはできないと、今振り返ってみても強く思う。

それから1年の時を経たこの第9回大会で変革させた意識を見せられたのが、2局続けたアガリの後の東3局だった。
私は南家で7巡目に以下の手になった。

 ツモ ドラ

普通ならを打って目一杯に構えるところだろう。だが、卓上にはどこか不穏な空気が流れていた。
私の目には、下家の滝沢の河が不気味に映っていたのである。

捨て牌 

場面にはすでにが2枚切られているから、国士が成就することはない。
だが、捨て牌や手牌構成に対する気遣いを人一倍施す滝沢が、ここまで露骨な姿勢を示しているのだ。
ならば素直にそれを汲み取り、私が手を進めたことでマンズを余らせるようなことだけはないように打てばいいのである。

私はノータイムでをツモ切った。
後は私のピントが合っているか、それともずれているか、この局の結末を見届けてやるだけのことなのである。

 ロン

決して期待通りではなかった。ただやはり自分の感覚にずれはなかった。
13巡目に滝沢が鈴木プロからヤミテンで満貫の出アガリ。
私の展開予測は見事に合っていたというわけである。


では、ここまでをふまえた上で冒頭の手牌に目を移していただきたい。
配牌自体はまずまずと言ったところだが、私はこの時ある人の言葉を思い出していた。

「大切なのは親番の迎え方。これが悪い打ち手は数字を叩けない。」

この言葉の主は、プロ連盟でも数々のタイトルを獲得してきた前原雄大プロである。
前原プロが勝ち残ったあらゆる決定戦を観てきた私には、この言葉が何よりも重く響いた。

「長い戦いでは親番でブレークさせることが大きなポイントになる。だからそこまでの打ち方に俺は重きを置くんだよ。」

私にこの親の迎え方に対する不安はなかった。
ここまでの道のりが正しかったのか悪かったのか、いずれにせよその答えは数巡のうちに出る、私はそう感じていた。

第一打、
二巡目、ツモ、打
三巡目、ツモ、打

映像を通すとよくわかるが、このの切り順に下家の滝沢が小さく頷くような仕草を見せている。
がトイツ落しでなければ、私が雀頭候補のないピンフ系の手牌構成だとわかっているのだ。
そして、また速度があることにも気付いている。
 
よく、「相手に情報を与えて読まれることって損じゃないですか?」と聞かれることがある。決してそんなことはない。
読まれると捉えるか、読ませると捉えるか、そこには大きな差異があるからだ。

スピードがあるという情報を早くに打ち出すことができれば、もちろん捌きに遭うケースもあるが、それも含めて相手の対応も早くなる。
麻雀における敵は3人。
これを自分が発信した情報によって1人でも多く削ることが出来れば、こちらの戦い方が有利なものとなるのは火を見るよりも明らかなのである。
もちろん私は手牌に真っ直ぐ打っているだけなのだが、この2つの打牌で三者に少なからずのイメージを抱かせることができたのではないだろうか。
となれば残された私の課題はテンパイ、そしてリーチまでの速度のみということだ。
三者は、私がテンパイすればリーチとくるのはおそらくわかっていたはずである。
それは、裏を返せばリーチが入らない限りは、自分の手を進めさせることもできるということだ。
ここはいい意味で、その期待を裏切ってはならない局面である。
意表を突くヤミテンはいらない。
焦りという意味ではなく、この対局の趨勢を完全に掌握するために、とにかくテンパイまでの速度が必要だったのである。
 
だが、この大事な局面で私は痛恨のミスを犯した。
そして、これこそが今回のタイトルである「宣言牌の意味」につながっていくのである。

4巡目、を引いて打としたのが以下の手牌だ。

 

あの配牌からわずか4巡でこの1シャンテン。を引けば567の三色出来合いである。感触が悪かろうはずもない。
私はを手牌の右端へとシフトさせ、来たるべき時に向けて準備を整えていた。
テレビ対局ではあるが、ムダな時間は極力省き、三者に向けての印象を更に強める為の計らいである。
同じリーチでも、躊躇いのないものと逡巡のあるものとでは相手に与える印象が明らかに変わってくるのだ。
しかし、物事はなかなか思惑通りにはいかないものである。

と3巡ツモ切りが続く。

自分では平常心を保とうとしていても、どこからかモヤモヤとした想いが沸いてくる。
そして、いよいよ痺れを切らした私は次巡、自らの決め事を破りやってはならない過ちを犯してしまうのである。
何に脅えているのか、持ってきたを手中に収め、大外に待機させていたを手放してしまったのだ。 

確かに綺麗な1シャンテン形には違いない。
だが、この中を一枚抱えただけで、手牌は一気に窮屈なものとなり、これ以上の伸びしろを失ってしまうのだ。
もうお分かりだろうが、もしを引っ張っていれば、以下のような手牌変化が望める。





 

このような変化があるのにも関らず、を先打ちしてしまうのは心の弱さに他ならない。
たとえば以下の手牌があったとしよう。

 ドラ

ここにをツモればが弾かれる。

しかし、次に安全牌を引いたからと言って、安易にドラのを切り出すような打ち手は少ないだろう。
ドラが重なることもあれば、を引いてテンパイすることだってある。
つまり、このを打ち出すのは、最低でもテンパイが入ったときなのである。を引くのかを引くのかはわからない。
ただ、が最後まで手牌に残るのは、麻雀として当然の手順なのである。
これで放銃して悔いなしという心構えが大切なのだ。
 
では、この私の切りを改めて検証してみよう。
決して間違いとは言い切れない。
ただ、あの場面で五を切るなら、きちんと結果で示さなくてはならないのだ。
でもでもいい。何を引くよりもダイレクトにテンパイが入ってこそ、ようやくを切った意味が存在するのである。

が河に打たれるならば、それはリーチを宣言するときのみ」という決め事を守り切れなかったこの局の私の最終形は、見るも無残なものだった。
を切った次巡にをツモ切り、その2巡後にドラのを引いた。

私は瞬間でもこの形にさせてしまったことを、あの薄暗い収録スタジオの中、もの凄く悔やんだことを今でもはっきりと思い出す。
そして、続けて引いたに対しては、もう何の感情も持てなくなっていた。

だが、この巡、開かれた張プロの手牌を見て私は我を取り戻した。

 ツモ

なぜなら、本来あるべき私の手牌でも勝ち目がなかったからである。

その精神状態が正常だったならば、11巡目にこの形でのリーチが入っているはずだ。
それでも実際のアガリがなかった分だけ、このときの私にはツキがあったと言えるのだろう。
ただ、そうは言ってもミスはミスである。
大切なのはそれを真摯に受け止め、同じ過ちを繰り返さないことにあるのだ。

今回、自らの失着を題材にしたのは、一つのミスこそがその打ち手を成長させるからである。
成功した記憶より失敗した記憶のほうがより深く心に刻まれるからである。
好調であればこそ改めて一牌の重みを知る、ということを今回の講座を機にもう一度考えていただけたなら幸いである。
 




執筆:佐々木 寿人  文中・敬称略
ページトップ
麻雀格闘倶楽部 好評稼働中!
GyaOバナー白
モンド21麻雀プロリーグ
ALRAN
麻雀格闘部呂倶
日本プロ麻雀連盟メールマガジン
トップページ牌画の利用について引用・リンクについて広告についてよくあるご質問お問い合わせサイトマップ
日本プロ麻雀連盟
Copyright 1997-2010 Japan Professional Mahjong League. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
ma-jan.or.jpの記事・写真等の無断転載はお断りします。