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第2回ロン2カップ
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覚悟の背景

(執筆:前原 雄大)



その夜たくさんの長い夢を観ていた。
今でも覚えている夢もあれば、起きた瞬間に忘れ去った夢もある。
目覚めて時計を見た。時計の針は11時を示していた。

前夜、1年間の総決算と呼ぶべき鳳凰戦が終わり、ベッドに潜り込んだのが0時前後である。
遅くとも1時には眠りについたはずである。

{10時間眠り続けたのか・・・}

カーテンを開けてみた。外は暗く夜であることを知った。
夜であることはわかったが、何故今が夜であるか理解できなかった。

冷たい冬の夜空を眺めながら煙草に火を点けた。意識がだんだんハッキリして来た。
自分が取った睡眠時間が、10時間ではなく22時間であることがようやく理解できた。
私の年齢で、20時間以上眠れる体力があることに少し驚いた。


__それにしても瀬戸君(瀬戸熊直樹鳳凰位{以下敬称略}は強かったな。

少しずつ覚醒してきた頭のなかで、最初に湧き上がってきた素直な感情である。

私はここ数年、かなりのタイトル戦の決勝を経験している。結果は、勝ったり負けたりである。
負けた時には、今回は負けただけだと思うことにしている。
勿論、それなりの時間をかけて反省したり、山積みされている敗因は見つめ直し明日の糧にしてきた。

しかし、今回は違うのである。「圧敗」なのである。
敗者は兵を語らず、という言葉があることも知っているし、その意味も識っている。
その上で記させてもらうならば、瀬戸君は勝つべくして勝った、と言うのが偽らざるを得ない気持ちである。

なぜそう考えるのか記すことは、読まれた方にも強くなるために参考にはなると思う。

「ぼくは誰よりも前原さんを研究しています。それがタイトル獲得の一番の早道だと思っています。」

多分にヨイショは入っているとは思うが、2、3年前の瀬戸君はそう公言して憚らなかった。
この事は、目的を明確に意識している証に他ならない。そして、目的の為に何をすべきかよく理解している。
ここまではある程度の向上心を持った者であれば可能だと思う。
難しいのは、やるべきことをやり続けて行けるかどうかである。

連盟の中でも、実戦の打荘数は40代以上では一番多いのではないかと思う。
量は質を超えるという言葉があるが、正にその通りだと思う。

これも2、3年前のことだが、ロン2で夜毎、深夜1時から3時頃まで東南戦のリーチバトル打ち続けていた。
当時の成績は決して芳しいものではなかった。
余計なお節介とは知りつつも、本人に尋ねたことがある。

「大丈夫です。今は試行錯誤を繰り返したいだけです。牌譜検証をできるのはロン2だけですからね」

そうこたえていた。

「そうか、ならば良いけれど、明け方の5時までプレイするのは観戦するこちらもキツイから3時頃までにしてね」
「それはぼくが言いたいセリフですよ。前原さんや荒さんが観ているからついアツくなっちゃうんです」

相手が望むスマートな答えが返ってきたことを昨日のように憶えている。

山の様に実戦をこなし、試行錯誤を繰り返し、連盟の運営、立会人を務め、原稿をこなし、かなりの量の役に立ちそうな本を読み、
プロテストで受験生を思い言うべきことを伝え、先輩達に可愛がられ、後輩達を大切にして、
勉強会に参加して夜、暇を見つけてはランニングをして身体を鍛え続けてきた。
鳳凰位を獲得すべきことを、やるべきことをやり続けてきたのである。
駄眠プレイヤーの代表のような私からみれば、一体、何時寝ているのか不思議に思えるほどの暮らしぶりである。

勝負と名の付くものであれば、それは麻雀であれ、剣道であれ、テニスであれ、全ては戦いの前に決着は既に付いているというのが私の考えである。
やはり、全ては日ごろの心掛けであり、行いにあるのだろう。


瀬戸熊は7巡目に暗カンの後、安全牌のを手牌に残し打としている。
この打をどう見るか。

瀬戸熊が打がセオリーであることは熟知している。
4者の持ち点を考慮すれば尚更、打北とすべき局面である。

そうしなかったのは、豊富な稽古量に裏付けされた感性の一打と私はみる。
勿論、このを仕掛けられたら、動かれたで悪い結果をもたらさない対局感とみる。
覚悟の一打と言っても良いかと思う。

それに比べ、私の3巡目テンパイとらずの、打はあってはならない一打である。

 ツモ ドラ

持ち点が示す通り、今局に至るまでの過程が悪く、私は態勢を崩していた。
私は普段、前局までのプロセスを基ににして、配牌を取る前に方向はほぼ決めている。
今局で言えばとにかく速やかなる今半荘の終局である。それが今局の私のビジョンであり、方向である。

まだ、中盤に差し掛かった8回戦目である、勢いのないラス目であるならば高打点を目指すのは我儘と言うものだろう。
もしドラであるを引きこんだら、速やかにオリに向かえばいいだけのことである。
ならば、今局は打の待ち取りが本手である。そして、4巡目ツモで、

この牌姿になり、同巡、瀬戸熊の打で終局が自然な収束の仕方かと思う。
態勢の悪い時、キチンとしたラスの取り方は、Aルール18回戦を考えるならば大切なことである。

覇道の方法論を選ぶならば、態勢が悪い以上、3巡目の打のリーチも疑問手ではあるが、ありかも知れないし、
4巡目の、

この姿形のリーチもありだろう。
最悪なのは、12巡目のドラであるツモで、ヤミテンに構えていることである。

キチンとしたビジョン、方向性を誤り、幾つものアガリ逃しをしたのは私のミスであり、我儘であり、欲である。
欲にまみれるならば、ここは開き直りどういう結果が待ちうけようともリーチを打ち切るべき局面だろう。

方法論は徹底させてこそ、初めて効果が出るものである。
徹底させるには、その背景に覚悟が必要なことは論を待たない。

己の定めたビジョン、方向性に従えないということは、私自身の弱さの表れに他ならない。
今局は4カンツ(流局)で終局しているが、もし流局していなければ、おそらく私のアガリだけはなかったように考える。


十段戦の結果といい、鳳凰戦の結果といい、私は負けるべくして負けた。
また一からやり直し______良く聞く言葉だが、私は都合の良い嘘だと思っている。
ゼロもしくはマイナスからの出直しだと思っている。

出直すためにはそれなりの、もしくはそれ以上の覚悟を持って、やるべきことをやりつづけるしかないと言うのが今の私の本音である。






執筆:前原 雄大

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