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人から学ぶということ

(執筆:望月 雅継)


幼いころから私は、『質問魔』だった。
「ねぇなんで〜?」「どうして〜?」を連発しては、両親や祖父母たちを困らせた記憶が蘇る。
分からないことがあればなんでも周りに聞き、それでも分からなければ、辞書や百科事典を引っ張り出しては調べるといった癖が自然と身についていった。

それは、麻雀プロになってからも変わらなかった。
静岡の片田舎から出てきた私は、麻雀のことなんか右も左もわからずじまい。
ちょっとしたきっかけで、話ができるようになった先輩方を捕まえては、いろんな質問をぶつけまくった。
それが、今の私の礎となっていると考えている。

数多くの質問を先輩にぶつけてきた私だが、その後の麻雀人生に大きな変化を与えた一言があった。
静岡支部を立ち上げて間もない頃、まだBリーガーだった私が、九州本部にお邪魔する機会が訪れた。
大先輩達とご一緒できる大きなチャンス。ここぞとばかりに、いろいろな方々に質問を投げかけた。

その中の1人に、沢崎誠プロがいた。
私は、「麻雀が強くなるためにはどうしたらいいですか?」
沢崎プロはこう答えた。
「なんでもいいから素晴らしいモノを見なさい。絵でも自然でも、スポーツでもなんでもいい。そこから何かを感じ取るといいよ」と。
そして、自らが描いたという油絵を見つめ、にこやかに微笑む沢崎プロを見て、背中に電流が走ったことを思い出す。

その後もいろいろな一流プロにお話を伺う機会がたくさんあったのだが、表現方法は違えど、皆同じような事を話すことに私は驚きを隠せなかった。
それからの私は、麻雀以外の事に対しても、何か麻雀の力になるのではないかと考え、全ての出来事を麻雀に置き換えて生活をしてきた。
それが今の自分に繋がっているのだが、今回の中級講座を通じていくつかメッセージとして伝えたかった事がある。

今回の内容は、具体的な事柄をあえて提示せず、あえて抽象的な表現方法でお伝えしてきたつもりだ。
それは何故かというと、読んでくださっている方々全てに、内容を想像し、考え、そして感じてもらいたかったためだ。
人それぞれの感じ方、捉え方があるとわかった上で、各自で咀嚼(そしゃく)して自らの力に転化させないことには、
それぞれの雀力向上には直結しないと感じているからである。

人はほんの僅かなきっかけで、持っている能力を開花させたり、逆にやる気を失ってしまう事さえある。
私は、たくさんの先輩方に教えを請い、自ら感じ、考え、現在の自分を形成してきた。
それは、私以外の方々もきっと同じようなものだと考える。
読んでくださった方々が、それぞれの視点で何か1つでも感じとってもらえると幸いである。




・手出しとツモ切り

麻雀打ちだけでなく、どの世界の一流選手も決まり事を自らに課している者が多いと聞く。
有名なのはマリナーズのイチロー選手。
彼は、地元で試合がある日、朝食は決まって奥様が作ったカレーを食すと聞いた。
そして、球場入りしてからも寸分変わらぬウォーミングアップを毎日行い試合に臨む。
試合が始まってからも、毎回決まった動作でバッターボックスに入り、相手投手の投球を待つのだ。

それは、彼のルーティーンとして毎日の生活に組み込まれているのだろう。
毎日同じ準備を積み重ねることで、試合に臨む不安を無くし、平常心で戦いに挑む事が出来るからではないだろうか。

麻雀プロも同じ事が言えると思う。どれだけの準備を対局前に行えるか。
そして、対局中も普段と同じ事を繰り返すことで、積み重ねてきた自信通りに対局を行う事ができるのではないかと考える。
イチロー選手の姿を見て、私たち麻雀プロが何かを感じ取り、そして盗むこと。
これが大事なことなのではないかと考える。

イチロー選手と併記するようで恐縮なのだが、私が対局中、毎局、必ず行うルーティーンを1つ紹介しようと思う。
それは、終局後、自分の手牌と捨て牌とを照らし合わせて、どの巡目に最速のアガリがあったのか、
またそれは、どのような形になっているのか確認する事と、最高形はどのような形になっているか、
他には、何巡目にテンパイを果たしているか、もしアガリが発生しているなら、何巡目にアガれていたのかを確認することである。

これは、自分が行っている対局全ての局で、必ず行う自分自身の決まりごとなのだ。
それが公式戦でも、セットでも、フリー対局でも、必ず行うよう癖をつけている。
一見大変そうな作業に感じるだろうが、慣れてくればそう難しい作業ではない。
これがスムーズに行えるようになったら、次のステップに進む。

それは、対戦相手のアガリが発生した時に、その対戦相手の最終形を確認して同様の作業を行うのだ。
慣れない人でも、注意深く観察をしていれば、ある程度は手出しツモ切りを記憶できるだろうから、
上記の癖をつけるようにトレーニングを重ねればそれほど難しいことではないだろう。

最終的には、終局時テンパイ宣言をした者全てに対して、同様の作業を行えるようになるといいだろう。
ただこれは、手牌を開示し数秒で確認作業を行わなければならないから、かなり難易度は上がる。
捨て牌を記憶した上で手牌の確認を行わなければ、山を崩すタイミングには恐らく間に合わないだろうから、相当のトレーニングを必要とする項目である。

そして大事なことは、対戦相手の手出しツモ切りを確認すること。
これが出来ないことには、相手の捨て牌と手牌を照らし合わせても復元作業ができないからだ。
もちろん、対局中の手牌進行を確認するということにおいても重要な項目の1つ。
相手がツモ切りか手出しかによって、意味合いがずいぶん変化するからだ。
そこで私が、対戦相手の手出しツモ切りを記憶する為に行う、ちょっとしたコツを今回は話してみようと思う。

人それぞれ、いろいろな記憶の仕方があると思うが、私が手出しツモ切りを記憶する際に一番大事にしているのは“耳=聴力”である。
私は麻雀を打つ時に、五体全ての能力を駆使するべきだと考えている。
一番大事で必要なのは“目=視力”なのだが、目に飛び込んでくる情報を全て処理しようとすると、圧倒的な反射神経と膨大な情報を処理する能力が求められる。
そして、目から入ってくる情報は、対戦相手の1人だけでなく、4人全てを追わなければならないし、
時として、相手の所作動作以外の部分にも目を光らせなければならないため、なるべく視線にはゆとりを持っておきたいというのが本音である。
そこで登場するのが“耳=聴力”なのだ。

麻雀には独特のリズムがある。そして、各人が持つテンポ=間合いがある。
対局を注意深く観察していると、ツモ切りのテンポと、手出しのテンポが微妙に異なることに気がつくはずだ。
それを耳で感じ取るのである。

感情が表に出やすいタイプの打ち手と相対している時には、不要牌のツモ切りの連続や、自らの打牌ミスに打牌音のトーンが上がる場合が実に多い。
さらに、勝負掛かっている時や、危険牌を場に下ろす際にも強めのトーンになることも多いだろう。

だからこそ、摸打の強さとリズムはなるべく一定にしないといけないのだが、(心の揺れが打牌に伝わってしまう為)
その他にも牌を手牌の中で移動させる“音”や、リズムよく摸打を繰り返している時の一瞬の“間”を、耳が反応するようにトレーニングを積むのである。

牌を扱う時に起こる僅かな音を耳で感じ取り、それを目で確認する作業を行うようにすれば、手出しツモ切りを記憶することはそれほど難しくはないだろう。
極端な話をすれば、耳で音を感じ取った瞬間に、視線を相手の手牌に移しても十分間に合う。
目で判断した情報を脳が確認し行動に移すより、耳で感じ取った情報に反応する方が、人間の体は早く反応するようにできているからだ。

それらを意識すると、麻雀をやっていなくても、音を聞いただけで誰が今打牌したかがわかるようになるし、
対戦回数が増え、その人独自の打牌音がわかるようになれば、ツモ切りも手出しも、その人の感情の移り変わりも、
目ではなく耳が勝手に判断してくれるようになるはずだ。
目は、最後の確認作業だけを行えば良い為、他の部分に神経を集中させられるようになるだろう。
これも、普段のトレーニングを十分に積んでおけば問題ない。

手出しツモ切りを確認することは、一見不毛な作業かもしれない。人によっては、「そんなもの意味が無いよ」という人も多いと思う。
しかし、卓上で起こっている全ての出来事を客観的に捉え、それらを判断材料として決断を下すという事には変わりがないのだから、
それを確認するスキルもやはり重要だと思うのだ。
その情報を基に、どう考え、どう判断するかは各人の自由。もちろん間違った判断を下すこともあるだろう。

しかし、より多くの情報を集め、より多くの選択肢の中から選ぶ方が打牌に幅が出るし、納得する一打を導き出すことができるはずだ。
打牌するという行為は、起こった結果に対して、全ての責任はその打ち手にあるということ。
一打が勝敗を左右し、人生をも変えるのであるから、相手の打牌にもそれくらい慎重に感じ取る敏感な心を持ってもいいのではないか。




今回で私が書く中級講座は最終回。
中級講座を書くに当たって、さまざまなご意見、ご指導を頂いたことにとても感謝しております。
頂いた意見の中で一番多かったのは、「内容が中級じゃないだろ」との声。

このような声を頂くことは重々承知の上で今回は執筆しました。
何故なら、今回、私の中でテーマとして挙げたのは、「プロの中級講座」。
プロとしてはこれくらいの知識が無い事には戦っていくことが困難ではないかと。
私が書いたものより、もっと先の思考を及ぼさないことには、若手が階段を駆け上っていくのには苦労するであろうということは身を持って体感している訳です。
私が執筆した内容を読んだ若手プロたちが、これを少しでも成長の糧にしてくれればとの想いから、少し難しい内容に触れて行ったというのが本音です。

現在私は、プロ連盟の新人研修に携わっております。
プロ連盟をより良い組織にする為、また巣立っていった新人たちがプロとして、相応しい活動や対局をしてもらえるように、
スタッフ一同、知恵を絞り、さまざまな意見をぶつけ合いながら、少しずつではありますが、
プロ連盟の仲間たちが、より良い環境でプロ活動ができるように環境整備を進めています。

その中で、毎回議題に上がるのは、『プロになってからの育成システム』についてです。
もちろんプロになるということは簡単ではありません。毎年、何十名という若者が夢破れて涙をのむ訳です。
そんな中、晴れて麻雀プロとしてデビューしていった新人たちが、ホッとする気持ちもなんとなくわかります。
受験戦争を勝ち抜いて進学した大学生たちが、入学するなり遊んでしまうような気持ちに似ているからでしょうね。

しかし、本当に大切なことは、プロになってからどのような努力を重ねるかということなのです。
プロという肩書を頂いている以上、麻雀プロは結果を出すことが最優先で求められます。
弱肉強食の世界ですから、結果を残せない者は自然淘汰されるのが世の摂理です。
現在、麻雀プロとして活動し、生活ができる者はほんの一握り。
結果を残し、上位リーグまで駆け上がり、そこで与えてもらったチャンスを生かせる者だけが、この世界で生きて行く権利を得ることができるのです。

プロになったことで安心してしまったり、プロの肩書を手にしたことで満足してしまったり、
また、今のままの環境に全く不満が無い人は、そのままの活動を続けて行ったら良いでしょう。
しかし、多くの人たちはそれだけでは満足できないと思います。

それではどうしたらいいか?今の若手プロたちは、「勉強の仕方を知らない受験生」のように見えて仕方ありません。
努力をしたいけれど、何をしたらいいのかわからない。強くなりたいけど、どうすれば強くなるのかわからない。
私にはそんなふうに映ります。

近い将来、そういった若手プロたちを救ってあげられるような育成システムやプログラムを作ることが、これからの私たちの課題なのかもしれませんね。
そのために、私たち中堅がもっと汗をかかなければいけないと思っています。

しかし、本当に大事なことは本人たちのやる気と努力です。
能力があり、努力をしている人間は必ず結果を出しています。

今現在、自分が歩むべき方向性を見出せない人たちにとって、今回の中級講座がメッセージとして皆さんに伝わり、
それが雀力向上の1つのきっかけになればいいなと切に願います。

 






執筆:望月 雅継

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