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フローチャート

(執筆:望月 雅継)


「人間は考える葦である」

とは、かの有名な数学者パスカルの言葉であるが、麻雀において“考える”ということは何よりも重要なファクターであろう。
また逆に、“考えない”というキーワードもあるのが麻雀であるから、これがまたややこしくて難しい。

先月記したターツ選択の部分での、「理屈じゃない」との表記はまさに“考えない”部分の代表的な例である。
“考えない”という表記は紛らわしいが、[考えない≒感じる]と記した方が分かりやすいのかも知れない。

考えることと考えないこと。この表裏一体の事柄が麻雀の大部分を占めている訳であるが、それぞれの技術や能力を高めていくことは、
全く別の精進を重ねないといけないのであるからやっかいである。

考えない部分の精進は、例えば体が覚えこむまで打ちこみをする者もいれば、神経を研ぎ澄ますために体を作る者もいる。
前者の代表的な例は、前原前十段であり、後者は瀬戸熊現鳳凰位であろう。

これらは麻雀に入り込むためのプロセスの作り方であって、麻雀の技術そのものを向上するための手段ではない。
麻雀のレベルが上がれば上がるほど、この部分のウエイトが多くを占めることになるのだが、今回は割愛したい。


それでは、麻雀の技術そのものを向上するためにはどうすれば良いのだろうか?
例えば、牌効率の勉強をするべきだという者もいれば、いやいや、そんなことよりも駆け引きの方が大事だろうと唱える者もいるだろう。
また、精神的な部分が最重要だと考える者がいてもおかしくない。

要するに、麻雀が強くなるため、結果を残すためにはいろいろな要素が必要だということになるし、
また、違った角度から麻雀を見つめることも大事だということだ。 

その中で、今回私が取り上げたいのは、思考回路の部分である。
対局に臨むためにどのような準備をすればいいのか?いくつもの選択に迫られた時にどのような基準で選ぶのが良いのか?
私が普段から取り組んでいる事を今回は紹介しようと思う。




・フローチャート

フローチャートとは、流れ図のことである。流れ図とは、工程解析をするために用いられる。とある。
以前私はプログラムを作るための勉強を一時期していたことがあった為、その考え方を麻雀の思考に置き換える事が出来ないかと考えたのがきっかけ。
麻雀における全ての出来事について、毎回頭の中でこの『フローチャート』を組み立てることによって、
判断や思考がブレることなく目標に向かって進む事が出来るのである。

問題解決においてフローチャートを作成する意味は、
・問題解決の方法を視覚的に明確に表せる。
・処理手順を追いやすい。手順に問題がある時、それを発見、修正するのが容易になる。

という解説を読んだ。まさしくその通り。

視覚的に表すということは対局中には不可能である。
しかし、頭の中にこのフローチャートを書き込む癖をつけておくことで、どんな時にでも自分が思い描いた戦い方や思考を再び甦らせる事ができるのである。


このフローチャートは、どのようなスパンの出来事にも全て対応することができる優れ物だ。
例えばリーグ戦全体を考えてフローチャートを作成してもいいし、一日単位でもいい。
もちろん半荘単位で考えることも非常に大事なことである。

今回はわかりやすく一局単位で作成する私のフローチャートを紹介してみようと思う。



これはフローチャートの一例であるが、私が静岡支部の若手に向けての勉強会で使用している教材を例に挙げてみた。
前回使用した局と照らし合わせて細かく一つずつ解説していこうと思う。



まず、最初に軸になることは、『今、何をしたいか』ということである。

これは配牌を取る前に自らの心の中に決めておく事柄である。
ほとんどのケースで通常はアガリを目指す事となるが、場面によってはその限りではない。
最低テンパイを組まなければいけないケースや、放銃だけは避けなければならないケース、また点数によっては放銃OKのケースもある。
自分の立ち位置をキチンと把握することがこの段階では最重要となる。

次に、配牌を取る前にアガりたいかどうかということだ。

鳳凰位決定戦でのあの瞬間はまさに、アガらなくても良いのでは?と判断したということになる。
それは前回書いたように、勝負はまだ先にあると判断していたからに他ならないわけだ。
アガらなくても良いのなら、何をすべきか?ということになる。

あの瞬間の判断は、まずは古川プロの点棒を30,000点以下にすることが最重要課題であって、自分がアガることはその次の目標であり、
手牌がそれなりの牌姿になった場合は攻めるが、それ以外なら前原プロの攻撃を待つという選択肢もあると考えていた。(結果その通りになったわけだが。)

ここがまず一つ目の分岐点となる。
最初にアガれないならどうするかということを掘り下げて考えてみたい。

アガれなくてもいいというように考えているなら、自分のすべきことの選択は多岐に広がる。
アガれないと踏んでいながらもテンパイを目指す打ち方は、以前間合いの項で触れたように、
アガれない中でも30〜31枚の牌をフルに活用して、流局に持ち込みテンパイを組むという目的のもと、
手牌進行をさせるケースもあるし、場況に特別な変化を与えないように他家の捨て牌に合わせて牌を切っていくケースもある。
また、他家に打牌制限をかけるために捨て牌相を作っていくこともあれば、ダメ元で大きな手組みをすることもあるだろう。

ここまでは、少なくとも配牌を取る前に考えておきたい事柄である。
何故かというと、配牌をもらった時点でどうすればよいかの思考を廻らせようとすると、配牌の良し悪しが判断基準になってしまうからである。
本当に大事なことは、客観的に自らの立ち位置を計った上で正確な判断を下す事であるから、それは配牌やツモの良し悪しとは全く関係がないことなのだ。



次に配牌を取る前にアガりたいと判断した場合に移りたい。

これも先ほどと同様、アガれそうもない場合をまずは検証したい。
アガれないと判断したわけであるから、先ほど触れたような例、
・テンパイを目指す
・他家に合わせる
・捨て牌相を作る
・思い切った手組みをする
この部分にまで遡って考えなければならないだろう。
先ほどと違う事と言えば、目の前に手牌があるということ、そして、1巡ごとに判断する材料が増えていくということだ。



そして、配牌を取り、アガれるだろうと判断をした時の選択である。
ここの部分の選択もたくさんの選択肢に迫られる。

一番単純なのは手なりに進めていくこと。
いらない牌を切り、自分の思い通りに手牌進行をしていくケースは何も問題が無い。
しかし難しいのはここから。
手を組みながら進めるケースは、大きく分けて2つのパターンに考えられる。
一つは、手牌をワイドに持ちながら、手役の天秤を掛け、ギリギリまで有効牌を持って進めるケース。
もう一つは、手牌をスリムに構えながら(余剰牌を持たずに、手牌を削ぎ落としていくイメージ)テンパイを果たした時だけ、一気に踏み込むケース。
どちらかと言えば、前者の方がより攻撃的に、後者の方がカウンターを狙っての守備的な戦い方となる。


また、他家の進行に合わせながら手を進めていくと判断した場合、気持ちはアガリに向かいながらも手牌は受け気味で進めていくことになる。
いわゆる“半身”で進んでいく状態だ。この時が一番難しい。
心と手牌のバランスを失ってしまうと、一瞬にして前掛かりになってしまって放銃に繋がる場面が多いのがこのケース。
他家の打牌に細心の注意を払いながらゆっくりと“間を詰める”イメージで戦う事が私は多い。


鳳凰位決定戦のあの瞬間というのはかなりのレアケースで(というのは、配牌を取る前の思考と取ってからの思考は一致するケースが極めて多い。
そのピントを合わせるためのトレーニングを積んでいるからということもある)、心はアガらなくても良いと考えているのに、
手牌が好形という非常に中途半端な形であった。
そして、その判断の決め手となる部分は最終的には点棒条件となってしまったように、極めて判断に迷う瞬間であったのだ。


ここで私が下した決断は、条件を満たすテンパイ形を果たした時だけテンパイとみなし、それ以外のテンパイ形はテンパイだという認識を持たないということ。
これを頭の中のフローチャートに書き込んでいた為に、その後の判断を間違えなかったと言えるのだろう。



さて、図に戻って考えてみたいと思う。
フローチャートとは、yesとnoの2種類だけで判別する訳であるから、判断を誤りにくいという利点と、
アクションが起こった時に自分が下した判断に立ち返りやすいといった利点がある。
ずっと自分の中でyesフラグが立ち続けている時は何も悩む事がないので非常に簡潔であるし、noフラグが立った瞬間にまた新たな選択肢が生まれるのだが、
これもまた、振り返って考えた時に、整合性や一貫性がない判断は自然と消去されることになるため、判断のブレも極めて少ないはずだ。
このように、思考回路を論理的に組み立てることで、状況や感情によって判断がばらつくこともなくなるし、
結果への精度も自然と上がっていくというのが私のフローチャートへの考え方である。



図の下部には、相手のアクションに対するフローチャートの例が書いてある。
ここには平面的な判断材料しか掲載していないが、実戦ではもう少し立体的なフローチャートの組み方をするし、
対戦相手ごとのフローチャートを毎回作成していくわけであるので、
次の課題は、自らの頭の中で与えられた情報をわかりやすく処理する能力が問われる訳である。

これらを複合し、さらに状況判断、捨て牌相、他家との間合い、場況全てを総合的に判断した上での牌の押し引きが、私の麻雀の基本的なベースとなる部分である。

もちろん今の自分の力では、単純な打牌選択のミスや、場況への打牌ミスは数え切れないほどある。
自分が選んだ打牌選択が結果として失敗に終わった場合は割り切って次に進むことができる。
なぜならそれは自らの能力不足と割り切って、これからも日々精進を重ねていくことによって解決する事ができる課題であるからだ。


フローチャートを作成するようになってから、自分の思考上の打牌ミスが明らかに減った。
「こうしようと思っていたのに…実際は違った選択をしてしまった」というような自分の意思と打牌に誤りがあった場合、私は悔やんでも悔やみきれないのだ。
それは自らの意思がキチンと反映される麻雀という競技において、致命的な欠陥であることに他ならない。
そういった過ちを犯す事がないように、自分の思考や意思のブレをなくすために、正確なフローチャートを組み立てることでその不安を払拭したいのだ。

『後悔しない一打』を打つこと。

これは麻雀打ちにとって永遠の課題でもある。
そのために、自らの思考回路を今一度見つめなおしてみる事も雀力向上の足がかりになるのではないか。






執筆:望月 雅継

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