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間合い

(執筆:望月 雅継)


「出会い頭の事故」という言葉がある。
“偶然にも”という意味を含んだこの言葉が発せられるとき、往々にして普段とは違うシチュエーションが引き起こす事が多いのは気のせいだろうか?

例えば、
「いつもとは一本遅い電車に乗ったために…」だとか、
「普段走る道と違う道を走っていたので…」のように、
本来の自分ならこんなはずじゃないのに…という時に使われることが多い。

プロ野球の中継を見ていても、「出会い頭の一発」なんて表現を使う解説者の発言を耳にすることがある。
イニングの始まりや、投手交代の直後、代わり端に被弾することを指してこう形容しているわけであるが、
これらは全て『間の悪さ』が引き起こす出来事であると私は捉えている。

麻雀でも、序盤、何気なく河に放った一打が他家に捕えられる事をよく目にする。

「交通事故ですね〜」

なんて職業柄口にしてしまうのであるが、決してそんなことはない。
麻雀における全ての出来事は、偶然ではなく必然であるのだから。

これらの結果を引き起こす原因は多々あるとは思うが【間の悪さ】、つまり『間合い』の取り方の悪さに起因している場合もあるのではないか。

先日スポーツ紙を目にしていると、興味深い記事が私の目に飛び込んできた。
今年マリナーズから阪神に移籍した城島捕手の談話だ。

勝ち越した直後の8回裏の守備。この回からマウンドに上がった久保田が李の本塁打で1点差に詰め寄られ、なおも2死1塁で打者は小笠原。
試合のカギとなる場面で阪神バッテリーはフルカウントから外角のチェンジアップで見事空振り三振を奪った。
この直前、城島がとった奇異なアクションが光った。

城島は右手で久保田にシグナルを送りながら、プロ野球グッズでもおなじみの、バブルヘッド(首振り)人形のように何度も横に首を振り続けた。
これ見よがしの「首を振れ」の合図だ。
昨年まで、矢野や阪神の捕手になかった派手な動作に、久保田も戸惑い気味だったのはご愛敬だが、結果的に十分な『間合い』を取ることに成功。
バッテリー優位の空気を巧みに作り出して、ピンチを脱した。

「最後の3球は首を振らせましたよ。小笠原さんの『間合い』にならないように、捕手としていろんなことをしないといけないケースでした。
ああいうところで捕手は経験がいるから。サインは変わっていないんだけど、投手に同じテンポで投げさせたくはないので、首を振らせてサインを回したりして。
悔いのないようにやるだけのことをやりたいのでね」と城島。


麻雀と野球とでは全く違う競技であるのだが、やはり一流の選手の話す言葉には重みがある。
意識している物事のレベルがずば抜けて高い。
対戦相手との微妙な距離感が、大きな結果の違いに表れるのは、城島選手も、小笠原選手も、自分の『間合い』を持ち、
その自分の『間合い』の中で対戦できた時に良い結果をもたらしているのだろう。



私が対局している時に強く感じている『間合い』とは、剣道で言う【一足一刀の間合い】とイメージが近いと感じている。
それはつまり、一歩踏み込んだ時に剣先が相手を捕え、一歩引いた時には相手の剣先を交わすことのできる距離。
麻雀に置き換えると、自分がテンパイを果たし、さらにここが勝負と捉えた時に一気に相手を自分の距離に追い詰め、
逆に相手が攻勢の時には、相手の剣先が当たらぬ距離(これは他三者に対して有効である牌、参考になる牌を河に置かないということ)で戦うということなのだ。


もう少し掘り下げて考えてみよう。
この『間合い』を細分化すると、

・自分の『間合い』
・相手の『間合い』
・攻勢の時の『間合い』
・守勢の時の『間合い』
・『間合い』を保つ
・『間合い』を詰める

等が挙げられる。
今回は、自分の『間合い』について考察してみたいと思う。

ここで私が話す自分の『間合い』とは、自分がどのような牌姿から攻勢に転じるか、守勢に回るか。
また、どのような場況に対して対応するのか、それらは全て人それぞれだということ。
例えば、私と古川とではそれぞれの『間合い』が全く違う。
仕掛け始めるタイミングも、オリに転じるタイミングも、押し引きの強弱も全てだ。
どれが正しいという訳でなく、“自分の”『間合い』を自分自身で把握し、理解した上で対局に臨むことが大事だということなのだ。


具体例を挙げてみよう。

ドラを2枚抱えての七対子1シャンテンの古川。
七対子を好まない打ち手ということを踏まえると、ダブルバックのこの形から仕掛け始めることも戦術としては“あり”ということなのかもしれないが、
実はこの仕掛けには伏線がある。

前局、親番の私がメンピン三色の11,600を朝武からアガった直後だということ。
古川に直接話を聞いたわけではないので私自身の見解になるが、1シャンテンとはいえ門前勝負で親の私との勝負になると分が悪い、そう感じたのではないか?
ここで仕掛けるのが古川の“型”とはいえ、この瞬間は型よりも古川自身の『間合い』で戦いたかったというのが本音だろう。

結果、この仕掛けはテンパイで終わるのだが、開かれたテンパイ形を目にして、対戦者の心には強烈なインパクトが残る。
古川の『間合い』で局が進んだということに対してだ。
この古川の『間合い』は古川独自のものであるし、誰にも真似できるものではない。
ただ、古川の今までの数多くの経験則が生んだ産物であることは間違いないし、
この『間合い』こそが古川が長年トッププレーヤーとして君臨している何よりの証拠であるのだろう。



次の例は私の牌譜から。

ある若手が私の対局を目にして、
「望月さんは他の人よりもオリはじめるタイミングが数巡早いですよね?」
と質問してきた。図星である。

それは何故かというと、ディフェンス力に自信がないからなのだ。
また、自分が創り上げてきた手牌に愛着をもってしまうからでもある。心が欲に負けるのだ。

一流のプロたちはギリギリまで攻めて、そして受ける。魅力的な牌姿から、当たり牌を掴むといとも簡単に牌を抜く。
荒や前原の対局を目の当たりにすると、その判断力、観察力、決断力に感動すら覚える。
私にはそれができない。何故か?それは技術が足りないからだ。しかし、できないのならどうしたらいいか?
考えた末の結論が、受けると決めた局は直線的にテンパイを組まないことだ。

自分の手がアガれるかアガれないかの判断を、自分の手が成就するかどうかを、なるべく早く決断すること。
そして決断したら、その後のその局のゲームプランをどう組み立てるか?それが私自身の『間合い』なのである。

上図の局面、東1局ということもあり意識的に直線的に切り出している。
第二打のR、第三打の東も牌姿からも決して褒められるべき打牌ではないのだが、今回は攻める姿勢と捉え、目をつぶって頂きたい。

そして問題の5巡目、この牌姿から打と打つのは不自然である。
しかし、どうしてを切ったのか?それはツモであるから。
自分が思い描く牌姿と、ツモがかみ合わない。自分の都合で切ったが、また自分の手元に戻ってくる。
この手がどう変化するかはわからないが、少なくとも私自身が思い描いた牌姿にはならないだろうし、このタイミングでこのを河に置くことはできない。
かといって、全面降伏する気もさらさらないのだ。

型を入れに行く形を取りながら、捨て牌相は強く、そして全員の受け駒を持つ。
できることなら決着巡目は遅ければ遅い方がいい。巡目が遅ければアガリ番に紛れも起こる可能性もあるし、受けながらのテンパイ復活もあり得る。
自分の打牌を相手がどう捉えるかはわからない。それはそれぞれの考え方、感じ方があろう。
ただ、戦う姿勢だけは卓上から離してしまうわけにはいかないのだ。
とはいえ、局面に変化が起こった瞬間に対応ができるよう、準備だけはきちんとしておくということ、これが私自身の『間合い』の一つのパターンである。


城島選手の「悔いの残らないようにやるだけのことはやりたい」という談話は本音だろう。
どのような結果が起こったとしても、それを受け止めることのできる準備こそが大事だと言うことではないか。
その一つが『間合い』だと。

私たち麻雀プロも、手が入ったから勝った、手が入らなかったから負けた、というレベルで結果を語るのではなく、
そこに至るためのプロセスを大切に、そして独自の『間合い』を持って対局に臨めるよう精進を重ねたいものである。


 





執筆:望月 雅継

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