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読みの領域

 


以前、第12期麻雀マスターズの観戦記を担当したときのこと(2003年度・6月号)。
記事文中にも掲載したが、決勝進出者が確定した日の夜、荒プロからこんな話を聞いた。

「読みというのは相手の手牌を読むことじゃない。そんなことは誰でもできる。(対局者の)心の動きを読んで対応していくことを本当の読みっていうんだよ」
正直いうと、その言葉の意味が当時の私にはよく理解できなかった。…というよりも、言わんとする意味あいはわかっても、具体的に何を指すのかがイメージできなかったという方が正しい。
ただなぜかその時、その言葉を記録しておくべきという思いが強く残ったことを記憶している。

それから2年後、私自身が同戦決勝の舞台に座ることとなった対局前夜。
私にとっては初の決勝卓ということもあって、寝ようとしてもなかなか寝付けない時を過ごしていた。
とその時、ふとこの言葉を思い出してガバっと飛び起きた。

生来のメモ魔である私は、何か思いつくと脇に置いてあるメモ帳に記す癖があるのだ。
今その「2005年4月Vol.3」と書かれたメモ帳を開くと、こんな事が書かれている。

「読み/自分にとって⇒打ちにくい部分・当たると高い箇所を考察し絞り込む(過信しない事!)」
「色読み・手役読み・上目か下目か、全体手役か部分手役か・シャンテン数の速度計算」
「大前提⇒手出し・ツモ切りで手牌を推理(2次元)※キー牌(読みのもとになる牌)を浮かび上がらせる」
「次に考えるべきこと⇒自分の手がアガれるかどうか・手牌構成・速度計算・決して自手をひいきしない・逆に消極的すぎず」
「巡目の変化・流局策・相手の癖・相手の動向・相手の思考法を加味(3次元)」
「相手との状態の差(体勢)(4次元)」

まぁ、人に見せることを意図していないので箇条書きなのだが、上記のチェックポイントを相手に、そして自分に適用し、思考を絞り込んでいくのが私の麻雀打法の根源であることは、昔も今も変わらない。

ただ、当時と違うのは「相手との状態の差」という部分について。
この考え方を否定しないし、実は私自身こういう思考法自体は好きなのだが、自分の言葉で説明しにくい考え方に基づく麻雀はひとまず棚上げして、特にこの1年程は目に見える部分を最大限に重視しているつもりである。

その結果、ボーンヘッド的な放銃は激減したものの、読み違いの放銃は正直増えてはいる。
この部分は、以前の本欄、勝又健志プロの「読みを信じる(第18回)」にも通じるものであろう(彼我の差はともかく)。


さて、前述の「心の動きを読んで対応する」という言葉。
実はこの後何度も荒プロに聞く機会はあったのだが、その都度喉元まで出かかり、引っ込め続けてきた。
なんとなく、この言葉の意味は麻雀打ちおのおのが、自分自身で答えを出していくべき領域の話なのではないかと思ったから。
とはいっても今は私自身が書き連ねている内容なので、現時点での私の見解を記しておこう。 

それは、「(対局者の)心理状況を推測し、いい状態にある者には少しずつ心を閉ざしていくように仕向け、不完全燃焼している相手にはその状態を持続させるように思考を導いていく」
「および対局者の動向・嗜好からどのような手に打つと相手が気をよくするかに気を配り、一度下げの感情に入ったら決して浮かび上がらせない」ことが肝要であり、言葉の真意に近いのではと考えているのだ。

これ自体は、巷でもよく言われる話である。貴方の周りにもこういう人いませんか?
「いやーツイてないねー(といいながらタラレバの裏ドラをみせてくる)」
「(首を捻りながら)そんな牌一発で出るかー!?」
なんていって相手をカッカさせる人が。

ただし競技麻雀の世界では、これを「口攻撃」一切無し、もちろんマナーに反する行為は言語道断の上で行っていかなければならない。
これは結構大変である。なぜならば相手の雀力・理解度・思考に合わせて相手に対する罠を目に見える形で作っていく必要があるからだ。

例えば、この例。



[第18期マスターズ 4回戦 南3局3本場]

3回戦までダントツ首位の牧野氏のこのリーチ。
この回を簡単に説明すると、南1局までに50,000点近くを稼いだ私と朝倉プロが失速、ただいまガースプロの連荘中といった局面。
つまり私と朝倉プロは、かなりマイった心模様の中のこのリーチであり、点数的な破壊力はないものの、私か朝倉プロが打ち込むとかなり堪える放銃となる。
「たまたま」私が一発で掴み放銃となったが、これは牧野氏にとって最良の結果だった事だろう。
この日ここまで数々の出来事に対し揺れはしなかった私の心が、まさにここから「閉ざしていく」きっかけとなったのだから。

この局に関していうと、牧野氏が打の所で若干トーンが変わった。
ここでテンパイなのかという見立てをしていた所に手出し
これはからのスライド(ツモ打)だと考えた。
そして次巡の手出しリーチ。

なぜかここで私は当日見つけた牧野氏の癖(1巡前にツモった牌を次巡に打つ)を第一義に考えて、への変化ではなく⇒は1シャンテンでの打牌でその時点では雀頭の無い形、orは孤立牌、メンピンリーチで待ちは私に絞り気味だったピンズの多面張が本線、もしくはソーズリャンメンと勝手読みをしてしまった。

それまでが(私にとっては)リーチ自体割りと素直に読めるものが多かっただけに、ノータイムの、若干の間を置いた、その後の銀下がり(1巡毎に前巡ツモった牌を放つこと。将棋の銀の駒の動きからそう称される)に、勝手読みを加えてしまった自分の愚かさを、平常心で受け流す事ができなかったのだ。

言うなれば「レベルの低い読みに自滅した」自戒の一局であり、それ以上でも以下でもないはずのものなのだが…牧野氏にとっては単なる「ラス目だから手なりリーチ」ではない、照準を定めた勝負局であっただろうし、私にとってはそこまでの覚悟を持った踏み込みではなかっただけに、この傷が実際の点数授受の数十倍にもなって心に突き刺さった。


この日の夜、近年記憶に無い程荒れ狂った私は、昂った気分のまま、崩れ落ちる前にろれつのまわらぬ字で枕元のメモにこう書き殴った。
「…相手の手牌を推理する「受け」の読み<相手を自分に利するように導く「戦略」の読み/こうなるようにしていくのが負けにくい麻雀のあり方では?」
「<問いに答える側>ではなく<謎かけを出す側>に立つ。例えば煮詰まった局面では、筋引っ掛けリーチや相手が打つ理由付けを施した捨て牌が非常に効果的」
「最も大事な事。自分自身の心を強く保つ。必ず保つようになる。必ず俺にはできる!」

そう、自分自身の心を保つのは己の心がけひとつ。
相手がどう心象風景を読んでこようが、惑わされず志高くあり続けられること。
それが自分の目指す姿であり、またそのような麻雀打ちの姿を眺めることが私自身の喜びでもある。






執筆:今里 之彦

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