日本プロ麻雀連盟
第2回ロン2カップ
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プロ雀士インタビュー

今回のプロ雀士 : 荒 正義

 
インタビュアー:白河 雪菜


第7回王座決定戦を優勝した荒 正義プロ


一昨年の秋。
プロテストを受けていた私は、背後にただならぬ気配を感じて入口を振り返った。

そこには、圧倒的な存在感と独特のオーラを放つ『荒正義』がいた。
顔と名前はもちろん知っている。
しかし「あ、本物だ!」という気持ちにはならず「なんだかよくわからないけれどすごい人がいる!」と目が離せなくなった。

それから1年半。
今は数々のトッププロに麻雀を教えていただいているし、麻雀以外の色々なお話をうかがう機会も増えている。
が、荒プロとは会話らしい話を交わしたこともなかった。

そんな時に突然送られてきたインタビューの依頼。
舞い上がり即座に「やらせていただきます!」と返事はしたものの、私なんかに務まるのだろうか…という不安もある。
いや、むしろ不安の方が大きい。

でもこんな機会はめったにないのだから、聞きたいことはぜんぶ聞こう!と意気込んで、待ち合わせ場所へ向かう。
荒プロの住みかである、根津駅の近くで合流。


「いつも行くお店がいっぱいで、予約できなかったから他を当たろう。 」

Tシャツにハーフパンツ、サンダルという実に荒プロらしい出で立ちで現れ、そういうとゆっくり歩き出した。

「ここがいつも蟹パー(蟹パーティー)で使うお店。あっ、やっぱり入れないや!」

また、てくてくと歩き出す。

寿司屋なら、空いているかも。 」

荒さんはここの常連のようだ。

「じゃ、始めようか。食べながらできるでしょ?大将、とりあえず適当に1人前にぎって。ボクはネギトロ(*^^*)さて、何から話そうか。」
白河
「では、よろしくお願いします。まずは・・・昔、戦術本に書かれていたことなのですが、『ツキの5段階評価』について詳しく聞きたいなと。」
あぁ、あれね。わかりやすく5段階って書いたけど、本当は7段階に分けるといいんだよね。 」
白河
「真ん中を0として、『やや好調』『好調』『絶好調』のツキの3段階。同じように下があるのですね。」
ま、そういうこと。」
白河
「自分のツキはもとより、相手3人の分も同じように把握するわけですよね?」
「そう、麻雀は相手3人のツキ状態と、自分のツキ状態を常に把握しておくことが大事。だけどツキは卓につくまではわからないじゃない。
座ってみて、例えばいきなり親満を打つ人と、苦労しなくても親満の手が入ってアガる人がいる。そういう天運もある。
なので、展開を見ながらツキの仕分けをしていく。最初は手探りじゃない。自分の配牌とツモは見られるけど、相手の配牌とツモは見られないでしょ。
結果だけしか見られない。で、どんな感じで打ったのかなとか、例えばオリ打ちした雰囲気だなとか、そういうのも全部判断していかなきゃいけない。
ただ、放銃したとしても1,000点ならこたえないでしょう。 」
白河
「逆に、よかったかもしれないですよね。」
そう。例えばボクが親満をテンパイしていたときに打った1,000点なら、コイツには注意しないといけない、とか。」
白河
「そんな時は荒さんの方が、ツキが悪いような気がしますよね。」
そう、1,000点アガった方とボクとでは相手が上。こっちは親満を蹴られているからこの先、暗雲がたちこめるよね。」
白河
「そういう『悪いとき』は、それを意識しながら打つのですよね。でもそのとき、普通に手は組んでいくのですか?」
もちろん、普通に自然に組んでいく。でも大事なのはツモが利かないとき、無理して出かけて行かないこと。
親の捨て牌が強くなっていたらスッと引いて、無駄な放銃を避ける。6巡目であろうと親とか、ツイテいる人間をマークする。
逆にツイテいない人は、ノーマークでいい。なぜなら、雪菜ちゃんの能力ではまだ自分と相手3人のツキの把握をするのは、まだ難しいでしょう。
だから、そういうツキのはっきりしている所だけマークしながら打つ。自分の方がツイテいると感じたなら、グングン押す。
それだけで勝率はぐんとアップする。ツキの仕分けをして置くと戦う相手を選べるから、勝率が高くなる。」
白河
「はい。相手が絶好調・・・そういう時は、怖くなって手から抜いてオリます。でも、やめるのが早いと先輩プロによく言われます・・・」
「それはオリが遅い方が、格が上だからさ。」
白河
「格ですか?」
そう。4巡目でやめる人間よりは、6巡目でやめる人間の方が、腕が上ってこと。
見通しているってことだからギリギリまで粘っている方がチャンスは、その分多くなる。
例えば、さっきまでただのピンフだけだったのが、
とドラのが入れ替わってメンタンピン三色ドラ1になるかもしれない。
そうなったら、向かうでしょ? 」
白河
なるほど向かいます。勝負手のときは戦っていいのですね?」
「8割方、行きだね。だって勝負手のとき行かなきゃ、行くときがなくなっちゃうよ。」
白河
「そうですね…取り残されちゃいます。」
「でもさ、いっぺんにいろんなこと言われても覚えられないでしょ?
ボクが例えば・・・・300の引き出しを持っているとしたら・・・雪菜ちゃんはまだ20か30だ。だから今、一気に話しても分からないと思う。
ただ、そういう思考法があると知って置くことが大事。記憶に残し、引き出しを1つづつ増やしていけばいい。
『あ、このパターンは向かうときのパターンだ!』とかね。
例えば、去年の王座戦を獲ったとき、第1戦の東1局に1,000点、東2局に1,300点を2回打った。
このとき『あっ、これは優勝のパターンだ!』って、ボクはすぐに感じたからね。
自分が40年で貯めた勝ちパターンの引き出しに、この1つがある。 」
白河
「それは・・・どういう意味ですか?」
開局早々、2度の放銃でたったの2,300点だよ。1つはリーチに打ったのに1,300、助かりさ―流れがいい^^ 」
白河
「今回の王座戦でも、2回戦で寿人プロのリーチに1,300点で放銃しているのですが、あれはどうですか?荒プロはドラが暗刻で勝負手でしたが・・・」
チャンス手を蹴られたのは残念。けれど、打ったのが1,300なら助かりだなと思うよ。ボクはこの決勝戦は、最初から寿人をマークしていたから。
戦前のボクの予想では・・・ボクがやられるとしたら寿人だなと思っていた。
彼は攻撃麻雀で走り始めると止まらなくなるし、一気に勝ちをもっていかれるケースが多い。
しかしその1回戦、寿人がトップ目から箱ラスまで落ちてずっこけた。プラス思考でいうなら、ボクとしてはまあまあの展開ともいえる。
和泉も好い麻雀を打っていた。前に出、戦って流れを引き寄せていた。腕を上げていると感じたね。小島先生もよく手が入っていた。
結局は、その和泉が小島先生に捲くられる展開で1回戦は決着。ボクが恵まれたのは3回戦だよね。 」
白河
「はい。開局から小島先生が和泉プロから満貫をアガリ、次の親番でも満貫。1本場では国士無双を出アガって完全に先生のペースに見えました」
「そうだね。満貫、親満、親の国士無双とリーチ棒もついて69,000点もプラスでしょ。
そこでボクは『はい、出来た!』と思った・・だってもう決まったようなものじゃない。 」
白河
「ですよね!」
「だけどトビはないし、続けなくちゃいけない。ボクの条件は、この絶好調の小島先生を捲り、最終戦は順位戦に持ち込んで勝てばいい。
けれどそんなの無理だよね。『こんなの条件じゃ、ねーや!』って、思っていた(笑) 」
白河
「でも、小島先生が国士をアガった次局、2,000・4,000をツモって、親番を迎え6,000オールと4,000オールと連続でアガリますよね。」
「それでもまだ遠い。おそらく小島先生は、ボクが連荘しているとき蹴る一瞬のチャンスはあったはず。その時、向かわれたらボクは負けていた。
先生の勢いとこの点差では、通常、まくりは99パーセント利かない。」
白河
「オーラスまで、もつれましたよね。」
オーラス、2,000点アガれば積み場で変わるのかな・・・。だから積極的に仕掛けたんだよ。
小島先生が上家にいたけど・・・それでも何とかテンパイして、ドラを1つ使ってアがれたよね。
本当に途中までは自分自身でも捲くれるとは思ってなかった。捲くれたとしても4回戦目は着順勝負で、順位も向こうが上だしね。
でも、途中からまくりのパターンの流れに入っていったね。・・・ああなると、助からないものだね。4回戦もトップを拾えてよかった^^ 」
白河
「そうですね。恰好よかったです!あらためて、王座優勝おめでとうございます!」




とある対局前の荒プロ
ロン2リアル大会打ち上げ時

ありがとう。あとは・・・何を話そうか。」
白河
「では、荒さんの麻雀の勉強方法や普段心がけていることなどをお聞きしたいのですが・・・」
昔はね、誰も教えてくれなかったよ。技は教えてもらうものではなく盗むもの、の風潮があったから。強い人の後ろでじっと見ているだけ。
・ ・・それでその人の技を盗む。まあ、料理人の世界と同じだよ。そうやって、自分で身に付けた技は、ものになったとき強い。
聞いたものや本で読んだ知識は形だけ。知識として頭に入ったとしても、実戦ではなかなか使えない。」
白河
「なるほど・・・」
今のボクの勉強方法は、まずはセットを打つことで感性に磨きをかけるのが1つ。あとは、ロン2を打って自分の牌譜を再生して、見ること。
『あのときのリーチはなんだったのかな?』『自分の読みは間違っていなかったかな?』と確認をする。最低限、自分の牌譜は見る。
あとは他のプロが打っているのを観戦することかな。なるほどと思う場面が必ずある。これも勉強!」
白河
「分かります。では、後輩達に一言何かありますか?」
うん、若い人たちはもっとAリーグの観戦に来ないとダメかな。もちろん1回戦からの観戦が大事で半荘4回、同じ人の後ろでじっと見る。
特に優れているのは、沢崎誠。攻めなら前原で、ガードでいえば藤崎智かな。高等すぎて分からないことがあるかもしれないけど観戦は大事!」
白河
「分からないことは、本人に質問しても好いのでしょうか?」
「試合が終わったあとなら、好いんじゃない。答えてくれるかどうかは、その人次第だけど・・・今は昔と違って、みんな教えてくれると思うよ。
ボクは聞かれたことはきちんと答えてあげるようにしている。
例えばこの前ね、最強位の鉄人戦の予選で、暗刻が2つに自風の
が頭。ボクの手が、こんナ感じかな。

そこに森山さんが1枚目のを切ってきたの。当然鳴かないよね?だって四暗刻の1シャンテンだから。
でも、次に
が出てそれはポンしたの。そしたら後で、近代麻雀の編集者が『西は鳴かないのにはなぜ鳴いたんですか?』って聞いてきた。
彼はそこがわからなった。わかる?簡単なことだよ。ちょっと煮詰まった場面で、森山さんはコンマ0.5秒くらい考えて手の内のから
が出てきたの。
その時に『あ、二丁切りだな』ってボクは思うわけ。その次は、違う牌が出て来た。そう
は安全牌として抱えているって、わかるよね。
もう四暗刻はできない。だから当然、次に出た
は鳴いて確実な5,200点のを取りに行った。
打ち手の感性や考えの違いもあるから、疑問におもったことは聞いて見るのが一番だ

白河
「なるほど。前原プロにもよく言われますが、観戦の仕方をきちんと勉強しなくてはと思います。その上で理解できなかったことは積極的に質問する、と。」
「うん。あとね、体力作りはきちんとした方がいい。体力がないと騙し騙しになって小手先の技で相手をやっつけるようとするから。
やっぱり麻雀は、ガッチリと組んで力勝負に持ち込んで相手を倒すことが大事。思考能力は体力だからね。
ボクは鳳凰戦で瀬戸熊君が二連覇できたのは、トレーニングをきちんとしていたのが大きな要因だと思うよ。」
白河
「思考能力は体力ですか・・・・」
麻雀を長くやっていて、息がつまるように辛くなるときがあるじゃない。
『もういいや!』ってなりそうな時、体力があるとそうは思わないし打ち方もブレないも。針の穴に縄を通すような難しい状況になってもあきらめない。
そこに向けてきちんとやるべきことをやる。そういうのは試合中だと一瞬の判断だから、体力は大事。」
白河
「荒さんはどうしているのですか?」
「ボクの場合、今はウォーキングだね。1日1時間。1日のリズムも不規則な時間帯にしないで、7時起きなら7時起きにしてペース配分を守っている。
今は徹夜で麻雀をやったりしないしね。昔は丸2日間、ぶっ通しでやっていた。最後の方は手牌が弓なりに見えてくる。本当だよ!」
白河
すごいですね!私も、視界が緑っぽくなったことはあります・・・」
それは人によって違うみたい。視界が黄色くなっちゃう人もいたしね。それ以上やると、今度はピンズの丸がピューンピューンって飛ぶんだって!
そうなったらもう止めなきゃだめだよね。寝不足の視覚障害だから(^^)今は6時間か8時間くらい打って、酒をちょっと飲んで寝る。
深酒はしなくなったけどね、やっぱりきつい勝負のあとは興奮して寝付けないから、お酒飲んで気分を落ち着かせてから寝ている。」
白河
「その日の麻雀を思い起こす、ということはいつもされていますか?」
ボクは、原因追究は大事だと思うね。勝因でも敗因でも、一応考えて結論を出してから寝る。
麻雀は、もちろん実力の世界ではあるけれど、4人でやるものだから囲碁や将棋と違ってマギレがあるし、運の介在する要素が高いじゃない。
今日はなぜ負けたんだ、ってことを自分なりに納得できる答えを出さないと、手探りのまま、次の勝負に臨まなくちゃいけなくなる。
だから『今回は体力不足だった』とか『今日は天運がなかったんだ』と結論を出す。勝ったときは『相手の未熟さに助けられた』とかね。
ただし姿勢は『勝って驕らず、負けて潔し』が大事。だめなのは、負けた原因を人のせいにする者。自分の負けは正直に受け止めるべきである。
白河
「勝ち負けっていうのは常に拘らないといけないものですか?」
普通の場面なら拘らない方がいいでしょう。ただ、勝つための努力をすることは大事。それが修練。あとは感性を磨く。引き出しをいっぱい作ること。
引き出しは多ければ多いほど有利になる。『あれ?ちょっと待てよ。あれは4段目の左側にあった引き出しだぞ』ってすぐ出せるじゃない。
あるいは『このパターンどこかで見たな。そうだ、これは俺の勝ちパターンじゃないか!』とわかる。
だから、これから雪菜ちゃんとか若いプロたちには引き出しをたくさん増やしていってもらいたいの。基本技術はできて当然だから、それは別にしてね。
例えば年間200日打つとしたら、200個の引き出しを作る人もいれば、できない人は10も作れない。
技の引き出し、流れの引き出しとか種類はいろいろあるけれど、とにかく意識して作りに行ってほしいね。観戦することも引き出し作りだよ。」
白河
「ただ打荘数をこなすのではなく、自分の引き出しを作ることを意識するのが大事なのですね。頑張ります!」
「ただし、タイトルの決勝となれば話は別。ボクらはプロだから、結果がすべてです!」

*話は1時間半、続いた。この間先輩は、酒を一滴も口にしなかった。

「じゃあ麻雀の話はこれくらいにして…。騒がしくなってきたし、ちょっと場所を変えようか。」

ということで、谷中墓地近くのイタリアンのお店へ。

「白ワインちょっとなら飲めるよね?ここは、ランチで週2回くらい来るかな。
一緒に飲むような人はだいたい来ていると思うよ。灘さん、瀬戸くんに滝沢、内川、増田とか。」
白河
「ブログなどを読むと、増田さんは頻繁に荒さんのお宅に泊まっていらっしゃるようですが…」
そんなにしょっちゅうでもないよ。週に1回か10日に1回くらいじゃない?アイツは腹が好いしね、
あとマメだね。その方が女の子にはモテるんじゃない・・・」
白河
「はははっ!」



こうして時間は、あっという間に過ぎた。

『人間は自分の生き様を見せること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。
一般に使われている教育という言葉はありもしない幻想でしかない。』

森博嗣「笑わない数学者」より


荒先輩を始め、連盟には我々の『やってみせてよ』を、体現してくれる素晴らしい「先生」が数えきれないほど存在する。
連盟に入りプロとなった時から、全ての者に教えを請う機会と権利が与えられているはずだ。
自分を鑑みてもそうだが、それを自ら放棄している者が多すぎる。

「近寄りがたいから」
「時間がないから」
「自分にはその価値がないから・・・」

・・・・そんなものはただの言い訳でしかない。

「強くなりたい!」

その想いだけ持ってぶつかれば、きっと期待以上のものを与えてくれる。
強さは永遠ではないし、限界もある。「いつか」は来ないかもしれない。
後悔しないために、今、積極的に学びに行かければならない。

ふと夜空を見ると、星空に先輩の笑顔が浮かんだ。







荒 正義  ( あら まさよし )

日本プロ麻雀連盟 副会長
⇒プロフィール(ロン2)はこちら

(このインタビューは2011年7月時のものです)

 インタビュアー:白河 雪菜

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