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プロ雀士インタビュー

今回のプロ雀士 : 井出 一寛

インタビュアー:紺野 真太郎
 


第36期王位戦を優勝した井出 一寛プロと
プレゼンターターの 伊藤 優孝プロ

昨年の今ごろだったろうか、日曜日のリーグ戦の受付をしていた時に、隣にいた井出が呟いた。

井出「A2から落ちたら、辞めるかもしれない・・・」

その時の井出は降級争いの真っ只中であった。

井出と私は同い年である。30代も後半に差し掛かり、色々考えることもあるであろうし、
Aから落ちるという喪失感みたいなものも実際経験している私には理解できた。

でも、掛ける言葉が見つからない。
「頑張ってくださいよ」とでも言いかけたが、なんか違う気がした。
結局「そうですか・・」としか言えずに受付業務を続けた・・

そんな井出が王位を獲った。私は対局が終了した時、最初に手を差し出していた。



紺野 「じゃあ行きましょうか。」
井出
「そうしましょう。」

日曜日の昼下がり、銀座をうろつく男2人。
よさげな店がやっていなかったりして、決めるのに手間取ったが、1軒のてんぷら屋を見つけて店に入った。

インタビュー中の井出 一寛プロ

紺野 「まずは王位戦優勝おめでとうございます。」
井出
「ありがとうございます。」

軽く挨拶を終え、食事をしながら話しを始めたが、実は井出のことを何も知らなかった私。
王位戦のことを聞く前に、まずは過去のことを聞いてみた。

紺野 「なんで麻雀プロになろうと思ったんですか?」
井出
「大学を卒業した後、麻雀打ちになりたくて長野から東京へ出てきたんだ。」
紺野 「え?就職とかは?」
井出
「してないよ(笑)これ1本で食って行こうと思ってたからね。」

うーん。今まで抱いていた井出のイメージと違う。ちょっとファンキーな匂いがしてきた。

井出
「卒業した時に3つの選択肢があって・・1つはコネで地元の市役所に勤めること。2つ目は書道を教えること。」
紺野 「書道ですか・・」

今、この記事を書いているが、取材ノートを見ると、自分でも何を書いたかよくわからないような字を書く私にとって、
書道を教えることが出来るなんてそれだけで尊敬に値する。

紺野 「段とか持ってるんですか?」
井出
「一応、四段だよ。」

{麻雀と合わせたら九段ですね。ははは・・・}と言い掛けたがスベリそうなので止めておいた。

紺野 「で、3つ目の選択肢が・・」
井出
「麻雀打ちになること(笑)」
紺野 「なんでまた?」
井出
「1回くらい1番になってみたかったんだよ。今まで、書道でも、数学でも2番になったことはあったけど、1番はなかったから。」
紺野 「で、今回1番になってみて・・」
井出
「まだ、実感がないんだ(笑)」

話は学生時代にタイムスリップ。

紺野 「麻雀打ちになろうと思ってたくらいですから、学生時代は相当やってたんですか?」
井出
「やってたよ。学校の仲間で同じアパートに何人か住んでいて、漫画部屋や、ゲーム部屋なんかがあって、で、俺の部屋が・・」
紺野 「麻雀部屋と(笑)」
井出
「そう(笑)ひどい時なんか部屋に主がいないのに、勝手に上がりこんで初めてたり・・」
紺野 「あー、よくある光景ですね(笑)で、仲間内が物足りなくなり、外に出て行くと・・」
井出
「そうそう。山梨の大学だったんだけど、その内にバイト代を握りしめて八王子に打ちにいくようになったんだ。」
紺野 「へー、八王子ですか。俺もその頃八王子でメンバーやってたんですよ。○○って店で。」
井出
「おお。○○ね。行ったことあるよ。っていうか多い時は月1くらいで行ってたよ。」
紺野 「じゃあ、その頃既に同卓してたかもしれませんね。」
井出
「そうだね(笑)」
紺野 「そのころの成績はどうでしたか?」
井出
「結構負けてたよ(笑)気が付いたらゲーム代使い過ぎて、帰り道少しだけ電車賃が足りなくなって、歩いたこともあったな。」
紺野 「あの辺りは一駅歩いても結構ありますよね。」
井出
「うん。でもそういうことも含めて東京に麻雀を打ちにくることは先の為の練習だと思ってたから平気だったよ。」

そしてプロの道へ・・

紺野 「そしていよいよプロになるわけなんですが、なぜ連盟を選んだんですか?」
井出
「伊藤優孝プロの雰囲気とかキャラクターとかが大好きで、他のトッププロもすごい人達が揃っていたので迷わなかったよ。」
紺野 「就職しなくて東京に出てきて仕事はどうしたんですか?」
井出
「合格してから、雀荘に連盟のプロですけど、雇ってくださいって言って働かしてもらったよ。」
紺野 「学生時代から、改めてみてもすごい行動力ですね。」
井出
「そのお店では、最終的に2号店を当時の店長と買い取って経営までしたけど・・」
紺野 「うまくいかなかったんですか?」
井出
「2年間やって経営的には黒字だったけど、やっぱり共同経営ってむずかしいね・・」
紺野 「で、今の会社に就職ですか・・」
井出
「そう。A2に上がった年にね。もう9年になるかな。」

冒頭の話に触れてみる・・

紺野 「なんであんな事言ったんですか?」
井出
「半分冗談、半分本気だったんだけど、あの頃は会社でも責任のある立場になって、仕事も目茶苦茶忙しくてね。
麻雀も思うように打てなかったし、納得も出来なかった。こんなんで連盟に在籍していいのかっていう思いからね・・ 」

それでも井出は踏ん張った。踏ん張ってしがみついた。だからこそ、今、私がインタビューしているのである。

紺野 「それではそろそろ本題にいきましょうか。」

食事の間に終わらせようとしたインタビューも、王位戦の事に触れる前に食事が終わってしまった。
仕方が無いので、また男2人でふらふら移動し、喫茶店に入る。


紺野 「1回戦、いきなりの6,000オールはどうでしたか?」
井出
「正直、まいったなって思ったよ(笑)」
紺野 「ですよね。ただの6,000オールじゃなくて、荒さんですもんね(笑)その後、井出さんには苦しい展開が続きます。
オーラスの場面、タンヤオをリーチしてツモアガるんですが、あそこはリーチをしなくてもよかったのでは?という意見も聞かれましたが?」



井出
「ああ、あれね。もちろん、リーチ打ったって浮かないことも、3着のままってこともわかっていたけど、
まだ初戦だし、素点を少しでも上積みしたかったんだ 。」
紺野 「なるほど。目論見通りのツモアガりだったんですね。しかし、2回戦に入っても苦しかったっすね。
なんかひたすら耐えていたような・・でもラス前の三色を決めた時は手許でが踊ってましたね(笑) 」

 リーチ ツモ ドラ

井出
「あれは気持ち良かったよ。鳴きが入った瞬間に、次のツモが透けて見えたような(笑)あれがアガれて、まだまだいけるかなと。」
紺野 「結局、オーラスも七対子の満貫を決めて、1人沈みからトップまで着き抜けましたからね。」
井出
「あれもね、ダマの6,400でもトップになるんだけどね。それじゃあ弱いかなと。勝ちにいくならと跳満を引きにいったんだ。」

着順や浮きよりも素点にこだわる井出。3回戦も南1局、かわすには絶好の、

 リーチ ツモ ドラ

このアガリや、南3局1本場、を切っているフリテンの、

 リーチ ツモ ドラ

このような手を決め2連勝とし、トータルトップに立った。しかし4回戦東2局・・

井出
「あれはリーチなかったよね・・」

牌譜を見直していても、ここまでミスが無かった井出だが、ここで始めて、打ったリーチを後悔する場面に遭遇した。


紺野
「牧野さんが先制リーチ。--で追い着くわけですが・・うーん。どうですかね。
俺だったらここまで井出さんの半分もリーチ打ってないだろうから、これがダメとは言い切れないんですが・・ 」


井出
「でもマンズが当たりと思っているのに、リーチを打っちゃった。一発目のはものすごく寒くて、リーチを打ったことを後悔したんだよね・・」


紺野
「そして次巡の・・」
井出
「もう当たると覚悟したよ。」
紺野 「不思議ですよね。麻雀て悪い予感ほどよく当たるという・・」
井出
「そうだね(笑)」
紺野 「で、この後はまたもやの我慢モードで・・5回戦が抜け番だけに、トータルマイナスにはなれないですからね・・」

この後、我慢が効いたのか南2局2本場に満貫をアガリトータルをプラスにし、5回戦終了時での敗退を免れることが出来た。


紺野 「なんか今回の王位戦はいつもの井出さんとは違う気がしたんですが・・いつもはもっと手数が多い気が・・」
井出
「今回は予選から無理することなく勝ち上がることが出来たんだ。必死にアガリにいくんじゃなくて抑えるところは抑えてと。
決勝でもガムシャラにアガリにいったのは殆ど無かったはずだよ。・・だから実感がわかないのかな(笑) 」

そんな今回の井出であったが、6回戦南2局に抜け出した牧野さんを追うための強引なアガリをものにする。

 リーチ ツモ ドラ

井出
「むしろ愚形のほうがいいなって思ったんだ・・」
紺野 「これは大きかったですね。これとオーラスの5,200で何とか牧野さんを追う形が出来たかなと・・でも実際は厳しいですよね(36,7P差)」
井出
「確かに厳しいかなとも思ったけど、7回戦東1局に1人テンパイだったことで、希望の光が見えたというか、なんとかなるかなと思えたよ。」
紺野 「そして南1局ですが・・」
井出
「配牌みていけるかなと。でもここも特に無理した手順でもないんだよね。」

配牌 

 ドラ

最終形 

 ポン 加カン ツモ

紺野 「これをツモった時、会場の空気が変わりましたね。音にならないざわつきと言うか・・
で、会場全体揃って得点表に目がいって・・捲った???みたいな(笑) 」
井出
「でも、実際はまだだったんだよね。」
紺野 「ええ。まだ0,2P届いていませんでした。でも実はこの手、満貫ではなくて2,000・3,900だと逆転してたんですよね。」
{100点坂本が上になり、牧野さんがラスになるため}
井出
「え、そうなの。そこまでは考えてなかったけど・・」
紺野 「こういうのもAルールの面白いところですけどね。」

こうなると追い着いた者の強みだろうか、南3局1本場、事実上の優勝を決めるアガリをものにする・・そして第36期王位となった。

紺野 「どうですか。実際にタイトルを獲ってみて。」
井出
「うーん。さっきも言ったけど、今回は本戦から通してそんなに無理しないで勝てたからそんなに実感がないんだよね・・」
紺野 「(笑)まあそんなこと言わずに、新王位としてビシっと一言お願いしますよ。」
井出
「王位としてリーグ戦、グランプリに向けてしっかり調整して臨みたいと思います。」
紺野 「うーん。ちょっと堅苦しいけど井出さんらしくていいか・・」

時間が来てしまった。会場に戻って午後の受付をしなければ・・


紺野 「もうあんな事言わないですよね・・」
井出
「今まで色んな事で2番どまりでやっと1番になって・・1番になったらなんかもう1回1番になってみたくなったんだ・・だから、ね・・」
紺野 「ですよね。 じゃあ受付行きましょうか。午後もよろしくお願いします」
井出
「よろしく。」


学生時代から麻雀打ちになると決めていた井出。
1番になることを目指すも、なれなかった井出。
仕事と麻雀の両立に悩みながらも取り組む井出。

どれも本当の井出一寛の姿である。

このインタビューで、少しでも井出の人間性が伝えられたら幸いである。


 


井出 一寛 (いで かずのり)
日本プロ麻雀連盟12期生
⇒プロフィール(ロン2)はこちら

(このインタビューは2010年12月現在のものです)

  インタビュアー:紺野 真太郎

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