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第三回麻雀トライアスロン雀豪決定戦の決勝戦も、残すところ三人麻雀のみとなった。
この時点でのポイントは以下の通り。
1位:佐々木信也さん +56.9P
2位:佐々木寿人プロ ▲5.2P
3位:荒正義プロ ▲14.3P
4位:畑正憲さん ▲38.4P
佐々木信也さんが1人浮き状態だが、実はそんなに大差はついていない。
最下位の畑さんとの差は95.3ポイントだが、これをひっくり返すためにはどうすれば良いか。
三人麻雀の順位点はトップ2万、2着1万で3、4着はそれぞれマイナス。
つまりトップ=ラスで4万点の上下となるので、それだけで55.3ポイント差になる。
そして、最初の持ち点5万点が示す通り、点数が激しく上下するのがこの三人麻雀だ。
通常の麻雀のように3万点持ちではすぐに足りなくなるのである。
だから、5万や6万の点差をひっくり返すのも、決して夢物語ではないと言えるのだ。
当然、2番手の寿人プロにも3位の荒プロにもチャンスは十分ある。
東1局は、荒プロが好スタートを切った。
   ポン  ポン  ポン  ツモ
・ ・ホンイツ・トイトイの跳満。
麻雀トライアスロンの三人麻雀は、親ッカブリなしの均等払いなので、子の跳満12,000点はツモると6,000点オールとなる。
続く東2局は、首位の佐々木さんが先に仕掛ける。
            ドラ
この形から をポンして打 とし、ホンイツへ向かう。
これに対し、畑さんの対応が勉強になったので紹介したい。
            ツモ
が重なって七対子の1シャンテンだが、畑さんは佐々木さんの上家。
4人麻雀なら がチーされないようにと、 か を切るところだが、畑さんは打 とした。
そう。三人麻雀にはチーがないので、相手の手が進む前に先にピンズを処理しなければならないのである。
したがって、畑さんは次巡引いた もツモ切り。これが三人麻雀における牌の処理のセオリーなのだ。
同様に荒プロも、
            ツモ
ここからいきなりドラの を切った。
4メンツ候補はできているので、あとは雀頭をどこに求めるか。
守備的に打つなら か、 または を切って、雀頭ができたら、余った方の か を切るところだが、荒プロは攻撃的に構えたのだ。
まだ巡目は浅くここで 切りを遅らせて、相手に重なってから切ってポンは最悪と考え、今のうちに打ったのだ。
先に を打たなかったのは、 ポンの後、 - のリャンメンでロンがあるから。
もちろん、 ポンの後 - ロンのパターンもあるのだが、その場合は - を切らないという選択肢もある。
をポンされての タンキより、 をポンされての - の方がまだマシと考えたのだろう。
また、 - が先に重なり雀頭ができるというケースもある。 を残せば、 をツモってくるという可能性もある。
以上のようなことを超高速で考え判断し、スパっと を切ったのだ。
これは結果論かもしれないが、もし を切るという中途半端を犯していたら、佐々木さんにポンされているところだった。
この荒さんの 切りの直後、畑さんにテンパイが入る。
            ツモ
とりあえずは打 で タンキのヤミテンにするかと思いきや、畑さんは を切って即リーチ。
この時の場況は以下の通り。
動画再生
東家・荒プロ捨て牌。
     
南家・畑さん捨て牌。
    
西家・佐々木さん捨て牌。
    
これは四人麻雀でもそうなのだが、誰か一人、一色手に走ると、その色が高くなる。
すると相対的に他の色が安くなるのが物の道理だ。
たとえばピンズ染めがいれば、マンズとソーズが場に出やすくなる。
これが三人麻雀になると一層顕著になる。三人麻雀にはマンズが( と 以外)なく、ピンズとソーズしかないからである。
この局のように、ピンズの一色手がいれば、残ったソーズが激安になる。
安い色の牌は場に出やすいばかりか、山にも多く残っていることが多い。
配牌である色が偏ったから一色手志向が生まれるわけで、そうすると残った色は山に残っている可能性が高くなる。これも道理だろう。
だから畑さんは、ど真ん中の タンキ待ちでリーチをかけた。
そして実際、この時点で は、残り3枚すべてが山に眠っていたのである。
このリーチで、首位の佐々木さんは金持ちケンカせずの構え。
最下位の畑さんのリーチに、まだ1シャンテンにもなっていないのに、突っかかっていく必要はない。
これはもう、畑さんのアガリだと思っていたが、意外な展開が生まれた。
佐々木さんがブレーキを引いたのを見た荒プロが、止めていた を打ち出し、前進を始めたのだ。
そして以下の手で追いかけリーチ。
            リーチ
待ちは畑さんより が1枚多いだけだったが、その をツモり、裏ドラ をのせて満貫。
今度は親満で6,000点オールのアガリとなった。
これで荒プロは、トータルポイントで早くも佐々木さんに並ぶ。
しかも上り調子でムードも良く、一気に親で大連荘し、カッパギ状態になりそうだった。
続く東2局1本場でも好形の1シャンテン。
            ツモ ドラ
カン をツモれば - - 待ちでリーチというところに ツモ。これで一層広くなると、 を切った。
打 も待ち受けは広くなるが、最終的なテンパイ形が愚形になるおそれがある。
ピンズ待ちはどれもイマイチで、やはり - - がベストなので、ここは 切りが普通だろう。
と思っていたら、ひとつ重要な最終形を見逃していた。それがこの形だ。
            
    の5メンチャン。
とはいえ、なかなかこの形を想定して、厚かましく を残すことはできないだろう。
ところが、実際には次のツモが で、結果的にこの超好形テンパイを逃すことになるから麻雀は恐ろしい。
そしてこの直後、寿人プロが以下のテンパイでリーチをかけてきた。
            
さらに畑さんが追いかけリーチ。
            
そして荒プロ。
            ツモ
間違って を切っていればこの でツモアガリだったが、やっとこれでテンパイ。
「もうダメだろうな」と思いつつも、打 でリーチ。
結果は、寿人プロが をつかみ、畑さんへの5,200点放銃となった。
3者とも、言わずと知れた雀豪と強豪プロ雀士である。くだらないミスなどほとんどない。
だが、それでも、結果的にアガリを逃してしまうことがある。
今回の決勝戦は、佐々木さんを除く3名とも「ここを乗り切ればブレイクしそう」というところで牌に裏をかかれ、翻弄されていたように思える。
一方、佐々木さんは、この日の牌の流れと感性がバッチリ合っていたように見えた。
もっとも顕著だったのは南2局。
            ツモ ドラ
佐々木さんはここから打 とした。七対子の1シャンテンを維持することに重点を置いたのである。
ところが、2巡後に を引き戻すと、少し考えて打 としたのだ。
形はまったく同じで、場況が大きく変化したわけでもない。
だが、ここは七対子にするよりも、 をポンしてアガリにいった方が早いという判断に変わったのだろう。
皆さんもテレビカメラの前で麻雀を打ってみれば分かると思うが、こういう時、思い直して方針変更をするのは結構難しい。
結果がうまくいけば良いが、悪く出た時には「一貫性がなくフラフラした挙句失敗した」と見られてしまうからである。
プロならば批判もされるだろう。
そう思われたらイヤだなとか格好悪いなと思ったら、もう に手はかけられない。
当初の予定通り をツモ切ってしまうだろう。だが、佐々木さんは勇気をもって のトイツ落としに切り替えた。
感性や判断の変化に身をゆだねたのである。
4巡後、 をツモって打 。 が出ればポンの構えだったが、結局は自力で暗刻にして以下の形。
             
場況を見て - に自信と手ごたえがあったのだろう。
鳴いて局を回すだけでも十分のところだったが、自力で暗刻にし、メンゼンでテンパイしたならと、佐々木さんはリーチをかけた。
そして、見事に を一発ツモ。このアガリで、オーラスを待たずして勝負を決したのであった。
決勝が始まる前のインタビューで、荒プロに勝つためテレビ対局などを観て研究したという逸話を発表された佐々木さん。
だが、「荒プロの弱点を探すため衛星放送で研究したのですが、弱点は見つかりませんでした」というのが結論だった。
弱点がない相手と戦うなら、もう必死で自分が頑張って、あとは運を天に任せるしかないと言われた佐々木さんだったが、
私の目には、天の運のイタズラにうまく付き合い、勝利をもぎ取ったように見えた。
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レポート:黒木
真生
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