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【座談会】王位連覇 滝沢和典を囲んで

 


王位戦連覇を果たした滝沢和典プロ。
各メディアに登場し、すっかり連盟の顔となった佐々木寿人プロ。
名古屋で行われたロン2リアル麻雀大会で優勝、新人ながらその実力が定着しつつある石田純平プロ。


滝沢和典プロ(16期生)
第32、33期王位二連覇
佐々木寿人プロ(22期生)
第10期チャンピオンズリーグ優勝
石田純平プロ(23期生)
第5回ロン2リアル麻雀大会優勝



この若手3人の実力派プロによる座談会の様子をお伝えします。
進行役は、僭越ながら私、「遅咲きの五分桜」こと野崎次郎が務めさせて頂きます。
あっと驚く大御所の飛び入りもあり、場は和やかながらも麻雀に対する熱い思いで大いに盛り上がりました。





■王位戦連覇、ライバル、闘志





『まずは今年を振りかえってみてですが、滝沢プロはなんと言っても、王位連覇、でしょう?本当におめでとう。』
「おめでとうございます。」
滝沢
(はにかみながら)「ありがとうございます。」
佐々木
「連覇はすごいけど・・・全然嬉しくねぇな。」
一同
(爆笑)
『いきなり嬉しくない?どうして?』
滝沢
「ヒサトは自分が一番だから(笑)素直に喜んでくれないんだよ(笑)」
佐々木
「やられたなって感じだね。獲られて喜んでるだけなら選手としてダメなんじゃねぇの?」
『意味分かんないね(笑)仲間なんじゃないの?(笑)』
佐々木
「仲間だけど…会場に応援に行かなくて薄情者って言われたんだよ、俺。誰が獲っても嬉しくねぇよ!」
滝沢
「前原さんの時(第24期十段戦で優勝)も嬉しくなかったの?」
佐々木
「それは違う。前原さんのときとは意味が全然違うよ。」
『前原さんと滝沢プロの優勝のどのあたりがヒサトの中で違う?』
滝沢
「ヒサトは前原さんの型を目指してるからね。自分の目指す型が優勝したから嬉しかったんだよ。俺の型はヒサトの目指すところじゃないからね。」
佐々木
「それももちろんあるけど、選手生命のこともあるよね。年齢的なものかな。滝沢はまだまだこの後もずっと俺たちと打ち続けていくわけで。」
『なるほどね。滝沢プロはあちこちで感想を聞かれていると思うけど、連覇について改めてどう思う?』
滝沢
「前回は、夢中でフラフラフラフラ戦って、終わってみたら、あ〜あ、勝っちゃったよって感じで、あんまり実感がなかった。今回は自分の型で勝てたってことで自信がついたかな。いや、違う。逆かな、自分の型に自信を持っていたから勝てたと思う。そういう意味じゃ、今年の方が優勝の実感はもちろん強いし、喜びも大きかった。」
『石田プロは?はるばる名古屋から決勝戦1回戦から応援に来たよね。全てを観た者としてどんな思いがある?』
「チャンスがすごく少なかったから、あれで勝てるっていうのは本当に凄いなって思った。」
『チャンスは少なかった、と?』
「少なかった。1回戦の貯金を我慢に我慢を重ねて7回戦目まで(優勝に)間に合わせたっていう感じ。無理しないっていうか、こらえてた。しばらくチャンスは来ないから。その後の2ソーでの放銃もあったけど…」
『まぁ、細かい場況は今回は置いといて(笑)。石田プロと滝沢プロとはもともとは古い付き合いなんだよね?年齢も滝沢プロの一つ下だし。滝沢プロは昔の方が強かったって前に言っていたけど?』
「滝沢君と始めて会ったのは9年くらい前かな。滝沢君は昔の方が強かったと言うより強く感じた。まぁ、自分が弱かったせいかも知れない。だから相対的に強く感じたんだと思う。昔は同年代では自分が一番強いと思っていたから。でも初めて打ってみて滝沢君のことは本当に強いなって感じた。強い人っているんだなって、感じ。」
滝沢
「純平ちゃんはその当時から強いって感じてたけど、今のほうがやっぱり強いよね。強くなってる。」
『王位戦決勝は、石田プロはやっぱり滝沢プロの応援だったわけでしょ?』
「それはもちろん。どうしても勝って欲しかった。それはファンとしてというより、自分がこれから将来戦っていく相手だから勝ってもらわないと困る、っていう気持ちだった。」
佐々木
「俺は滝沢が獲ろうが誰が獲ろうが嬉しくない。やっぱり自分が負けた大会だから、自分がいない場所で勝者が決まるのは面白くない。悔しい。まぁ、闘志に火がついたな。」


■ 武力、知力、対応、競技麻雀の常識


『ヒサトは今年1年を振り返ってみてどう?』
佐々木
「あまり目立てなかったなぁ。」
滝沢
「でもリーグ戦はポンポンといい結果を残してない?」
佐々木
「下のリーグだからさぁ。成績表で一番上にいないと目立たない、と。」
滝沢
「なるほどね。でもそれは上(のりーグ)でも一緒だよ。まぁ、ヒサトにはぶっちぎってもらわないと困るっていうのがある(笑)」
佐々木
「自分でも情けなさを感じるよ。」
滝沢
「ヒサトの麻雀は結果が出ないと批判されやすいっていうのがある。カッコがつかない。」
『確かに。しかも勝っても簡単に打っているって印象を与えやすいよね。』
滝沢
「鳴り物入りで(連盟に)入ってきたからやっかみも多いし…。負けると叩かれちゃう。ザマぁないって(笑)でもこの世界、勝てば文句言われないよ。ヒサトには何も言わせないくらい勝って欲しいよ。」
『ヒサトの麻雀と滝沢の麻雀はよく対比されるよね?対応させる麻雀と対応する麻雀って感じで。』
佐々木
「武力と知力の違いだな(笑)」
一同
(笑)
滝沢
「(ヒサトは)知力がないってこと?(笑)」
「(笑)」
佐々木
「おまえら本当に分かってないな!(怒)おまえらが突き詰める麻雀ならば、俺は削る麻雀だから!」
『滝沢プロもヒサトの麻雀をリスペクトして吸収してるよね?それはどんな部分?』
滝沢
「圧倒的な攻撃力。麻雀プロの麻雀はオリて牌を止めて、絞ってというのが美徳とされる部分があるんだけど、その価値観をヒサトがぶち壊したってことは尊敬に値するよね。和了んなきゃプラスしないゲームだから。」
「みんな画一的にただオリてって人が多いから…。」 
滝沢
「そうそう。教科書通りのつまらない麻雀に楔(くさび)を打ち込んだっていうか。」
「ヒサト君とは何度も対戦しているけど、何も考えてないなんてことはないよ。勘違いしてる人が多いんじゃないの?」
佐々木
「おまえはよく分かってるなぁ(笑)」
「でも本当に何も考えてなかったりしてね(笑)」
『ヒサトは勝負する場面では安全牌を抱えているのに親リーに対してでも無筋のドラでも一発で切り出していくよね?石田プロの中ではそれはあり得ないんじゃない?』
「いや。あり得なくはないよ。もともとそういう感覚はあったしね。完全安全牌と超危険牌があったとして、危険な方から切るっていう感覚は昔はあった。今はやらないけど、どちらが優れているかは今でもよく分からないかな。」
『その勝負感覚は確かに難しいところだよね。』
佐々木
「ただ一つ言えることは、通ったときに目立つ。」
「相手に対する印象だよね。」
佐々木
「本当に武力だなって思わせる。その(打牌した)一瞬でもこっちはノーテンでも相手には見えないわけでしょ?1巡でも他の二人の手を止めることができる。その1巡を止まっちゃうことで終わりってことは麻雀ではあるでしょ。それでリーチ者との二人の戦いに持ち込めることができるよね。」
滝沢
「ヒサトの麻雀はシンプルだけど、みんな真似しようと思ってもできないよ。」
『それは“怖さ”から?』
佐々木
「そうそう。あのグラフで勝負根性の部分は他の部分に比べて圧倒的に優秀だろうね。だからきっとイビツな五角形が出来上がると思うよ。まぁ、君たちが俺より秀でてるのは麻雀を深く考えている部分だと思うよ。相手に対応する能力っていうか…。」 
「“対応”なんていうのは誰でもできますからね。ちょっと麻雀を打てれば誰でもできる。実際のところ。」
滝沢
「そうそう。」
「色や字牌を絞ったり…。」
佐々木
「誰でもできるかもしれないんだけど、その部分でも二人とも他より秀でてるんじゃないの?ピントがずれてないっていうか。対応してもずれてるヤツはずれてる。」
滝沢
「オリっぱなしになっちゃうからね。」
『滝沢プロはヒサトとはやりにくい?』
滝沢
「やりにくいよ(笑)ヒサトは常識がないからね。競技麻雀の常識っていうのがあって、チーと仕掛けたら、早いか遅くても高いって常識がある。ところがヒサトの場合それがあてはまらない(笑)普段そういう部分を寄りどころにしてる人はつらいよね。何をやってるか分からない。そして気づくと突き抜けてる。」
『石田プロは?やりにくくはない?』
「やりにくいていう風には考えないけど、(ヒサトの)調子がいい時は自分の失点を防ぐ方向に考えるけど、調子が悪いときは自分の都合のいい時に、自分が行きたくない時に(ヒサトに)前に出てもらって局を回してもらう…」
滝沢
「そういうときのヒサトは本当に頼もしいよね。」
「そういう風で、やりやすいとかやりにくいってことはないかな。むしろもっとやりにくいって相手は・・・下の方のリーグの…」
滝沢
「競技麻雀の常識を知らないって人だよね(笑)」
「そう。その人たちのほうがよっぽどやりにくい、僕はね。」
佐々木
「知っててやるのか、知らずにやるのかの違いだな。」
滝沢
「そうそう(笑)大きな違いだね。」
『リーグ戦の下の方で具体的にどんな部分がやりにくいの?』
滝沢
「無責任な打牌かなぁ。故意にやってるならいいんだけど…。」
(多少熱を帯びながら)「いろんなことを分かってて、場面や相手の手牌をある程度分かりながらも、相手が来てるけど自分も勝負だっていうヒサト君と、ただ手を進めてるだけの相手とはそれは話にならないほど違うよ。よっぽどそういう何も考えてないような人の方がやりにくい。」


■デジタル、アナログ、プロ意識、ネット麻雀


『ヒサトの麻雀に触れたついで、“デジタル”と“アナログ”について触れたいのですが。まずはその定義なんですが…』
滝沢
「その定義は曖昧だよね。ある意味みんなデジタルなんじゃないの?」
「デジタルの定義が牌効率のことであれば誰でもそう(デジタル派)だと思うけど、場況を含めた上での牌効率、場面を含めた上でのデジタルっていうのであればちょっと違うと思う。」
滝沢
「場況を加味した牌効率がデジタルであるのだとしたら、みんなまだまだだと思う。見えている部分すら見ていない人が大勢いるよ。」
『定義自体が難しい。』
「やっぱり場面を無視した牌効率のことがデジタルって呼ばれてるんじゃないの?一応。」
『さっき話してた“やりにくい相手”っていうのが、実は場面を無視したデジタル派なんじゃないの?』
「やりにくいけど、それならそうで勝ち方はあると思う。ただそれに勝てる麻雀を打つことが本当に自分の進むべき麻雀なのかっていう葛藤はある。あまり言うと負け惜しみになるけど。」
『なるほどね。そういう麻雀に勝つことが自分の目指す麻雀の方向性にそぐわないってことだね。』
「そうそう。その手の麻雀を料理するっていうのはできなくはないけど、下のリーグだから、誰も見ていないからといって、ただ数字を残す麻雀を打っていると最終的にどこか麻雀がぶれて垂れてしまう気がする。」
佐々木
「俺もそうは思う。」
滝沢
「プロは自分の型で勝たないと意味がないよ。」
『プロ意識の問題だね。プロ意識についてヒサトはどう考えてるの?』
佐々木
「意識しているね。やっぱり見られる場面が多いし。そういう意味じゃ自分の麻雀は変わったね。もちろん競技麻雀は、だけど(笑)」
「打点との兼ね合いあるでしょ?競技麻雀の場合、二翻役の比重が高いし。そういうルール上、役を追及すれば自然と魅せる麻雀になるんじゃないの?」
佐々木
「そうだね。まぁ、親は点数よりも連荘を目指すけど、子だったら1局1局大事に打つようになったな。前は局回しが一番の念頭にあったんだけど、今はそうでもなくなったね。痛い思いもしたしね(笑)」
『ピンポーン』
来客を告げるベルが鳴り、大御所・荒正義プロ、予告もなく現れる。


一同
『お疲れ様で〜す。』
「座談会、ちゃんとやってる?心配だから見に来たよ。」
『ありがとうございます。もし何かありましたらご遠慮なくおっしゃってください。では、続けさせていだきます。佐々木プロ、競技麻雀とプロ意識について続きをお願いします。』
佐々木
「赤や一発がないから競技麻雀は痛手を挽回するのがつらいよね。その辺を考えてくだらないリーチをかけるのは控えることにしてるかな。手役で取り返すのが得意じゃないからね。」
滝沢
「だんだんスリムになってきたよね。荒っぽさがなくなってきた。下品さが少なくなってきた(笑)」
佐々木
「なんだか自分が上品みたいだな。余計なお世話なんだよ!」
「(笑)」
『プロ意識についてですが、場況を加味しないデジタルというのはあまりにも軽く見えるし、魅せる麻雀とはほど遠いと思うのですが、ヒサトはその辺りをどんな風に考えている?』
佐々木
「そうだな。テンパイへの最短距離を目指すデジタルではなく、満貫の8000点への最短距離を進むデジタルっていうのがいいと思う。それが俺のプロ意識なんじゃないのかな?」
滝沢
「なるほどね。」
『純平は?われわれはまだプロ1年目だけど、新人ながらプロ意識というのは当然あるでしょ?具体的にどんな部分を意識してる?』
「僕はプロになったからといって打ち方はほとんど変わっていないけど、競技麻雀を打つ上で二翻役にはこだわるようになった。他には、さっきも言ったけど、下のリーグで勝つために打ち方を変えるのは是か非かという葛藤はいつも感じている。」
『短刀直入に“プロ”の定義とは?』
佐々木
「目立つという意識かな?目立つっていう意識がなかったら別にプロになんなくてもよかったからね。生活はほとんど変わっていないし(笑)」
『麻雀プロになるだけじゃあ、喰っていけないからね(笑)』
「僕は毎回東京に来なくちゃいけないから、いつも忙しいよ。」
滝沢
「純ちゃんは名古屋だからね。」
「それでもプロになったのは、麻雀というのが本当にどういうものなのか、絶対的に強い麻雀、絶対的に勝てる麻雀というのがどうしても知りたい、それを突き詰めたいですね。僕の麻雀の型がもっと強ければ、今のリーグ(D1リーグ)でも勝てるはずだと思う。そういう意味じゃ、今の僕はきっと弱いんでしょうね。」
佐々木
「それは俺も一緒だよ。自分の型を変えたくない。自分の型で勝つことに意味があるんだよね。」
「僕や滝沢君のような受ける麻雀の人は、対応する麻雀を打つ人は、“弱い”って言われやすいし、ヒサト君のような麻雀を打つ人は“何も考えていない”って言われやすいけど、良いところも悪いところもあるから、そう言われないような絶対的に強い何かを身に着けたい。受けてても、見てる人がアマチュアだろうが、プロの人だろうが“強い”と思える麻雀をしないと。玄人しか強いと思わない麻雀とか、素人しか強いと思わない麻雀だとダメだと思う。ヒサト君はどちらかというと、アマチュアの人からの支持が強いけど、プロの人たちからの批判が多いよね?」
『水と油のようにそれは両立させるのが不可能ってことはない?』
「いや、道が違うだけで今の型のレベルが上がればそれはきっと両立させることができると思うよ。」
佐々木
「俺はプロはやっぱりアマチュアに評価されてナンボだと思う。プロ同士は批判しかしないからな。」
滝沢
「内部にいるとどんどんマニアックになっていくからね。思考が…。批判されないようにするとすごく大人しい麻雀しか打てなくなる。」
佐々木
「俺はプロの目なんか本当はどうでもいいんだ。そんなの関係ねぇってやつ(笑)ただ、アマチュアの人からの目はやっぱり気にするよね。」
滝沢
「ヒサトの場合はやりすぎだよね。(プロ同士の対局で)目立とうとしてなんでもかんでもぶん投げる(笑)」
「(笑)」
滝沢
「あと麻雀プロならば、どんな種類の麻雀も打たなきゃダメだよね。東風戦は嫌だとか三人麻雀は打たないとかそういうプロはダメだよね。麻雀プロなんだからさ。」
「弱っちいよね。」
『でも“競技麻雀プロ”じゃダメなの?』
滝沢
「それはダメだよね。狭すぎるよ。プロだったら相手の求める土俵で戦わなきゃ。それがネット麻雀であってもさ。今はデジタルとかアナログって考えかた自体が古いんだよ。そういう問題じゃないんだよね。」
佐々木
「そうそう。あまり考えないっていうか、頭にない。」
滝沢
「また今、小島先生の麻雀の人気が出てきてるんだよね。ぐるっと一周して元に戻った感じだよね。魅せる麻雀、手役を追う麻雀が流行ってきた。牌効率派か手役派か、どっちが得ってことはないと思う。でも勝ってないとなんの説得力もないよね。“流れ”っていうこともよく言われるけど、説得力はないんだけど自分の経験則で“流れ”を重視した麻雀を打ってそれが結果に繋がれば“流れ”が存在する証明になる。要は結果で証明するしかないってことなんじゃないかな?」
「そうだね。」


■流れ、運、ツキ
   





『“流れ”って言葉が出たんだけど、麻雀のゲーム性の中で避けることができない不可視的要素の一つに“運”や“ツキ”ってことがありますが、皆さんはそれをどう解釈してます?』
「天運、地運っていう言葉があるんだけど、一般的に天運っていうのは、その日、その人の持っている一時の運をいう。比べて地運っていうのは、その卓に座って自分で掴んだり離したりする運のことをいう。少なくとも僕はそんな風に解釈してる。そういうのって、あるよね?」
一同
「はい。」
滝沢
「座った瞬間から?」
「親満の手が入ってすぐあがれる人と、逆にすぐに親満に振り込んじゃう人。その日の天運の差っていうのは大きい。」
滝沢
「それは場所なんですかね?」
「いや、それは個人のその日の持っている運量の差だと思う。もちろん、それがいつまでも続くとは限らない。地運があるからね。でも、場所の善し悪しはあるよ。場所替えのとき掴み取りで<東>を引いたら、誰だってラスだらけの場所には座らない。調子のいい場所を選ぶに決まってる。僕はプライドをかなぐり捨ててもそこに座るようにしてる。ただ、場所もあるけどもっと大事なのは並びの方だと思う。誰が上家で誰が下家か。ツイていないときヒサトの上家に座ったら辛いものがある。鳴きが激しいからツモが飛ばされるんだ。」
滝沢
「一晩にすると結構違うんだよ。ずっとヒサトの上家だと3,40回違って来るんじゃない?」
「うん、それに彼が仕掛けた時は牌も絞んなきゃなんない。ヒサトはブラフの仕掛けもあるからね。でも見えない分、絞らされる。その分、麻雀は牌を絞られるより絞らされる方が不利なんだ。並びの理想は、オレの上家がヒサトでその上家が絞りのきついタッキーがいい。ポンが多い分俺のツモが多くなり、かといってチーができない分ヒサトのテンパイが遅れる。それなら、このメンバーでも何とかなりそうだ(笑い)
『ヒサトは勢いについてはよく考えてるけど、運についてはあまり考えないんじゃない?』
佐々木
「運のことについては考えてないことはないよ。人よりはあると思ってる。」
『自分に備わってる本来の運っていう意味で?』
佐々木
「そう。」
「俺が思うに名のあるプロは皆、他人には無い強い運をもっていると思うよ。もうラスが決まりだなってときに役満みたいな手が入ってスポーンと和了ってしまうとか…。」
「僕は麻雀を打つ上で常にそういう運というかツキの状態を意識しながら麻雀を打っていますね。」
『それは運というものの中で自分で誘き寄せたり、手放したりできる種類の運を意識して、っていう意味だよね?』
「そう。(運を)掴むきっかけが必ずあるからそのチャンスと逃さないようにしてますね。ただ気をつけていることは、勘違いしないこと。最近、特に意識することは“もう自分のものになった”と勘違いしないようにすることだね。昔はよく勘違いしてもっと悪い状態になったりよくしてたから、今はそれを勘違いしないようにしてる。中押しの局とかで特に注意を払ってます。」
『自分が本当にツイている状態なのか、見せ掛けだけなのかってこと?』
「見せ掛けというよりは、“狭間”のときですね。もう1局堪えれば必ず自分の局面になる時とか、必ずっていうのは言いすぎだけど、そのような微妙なときはそのように慎重に打ちますね。」
滝沢
「“中押し”っていうのは、ホップ、ステップ、ジャンプの“ステップ”のことなんだけど、ヒサトはホップ、ジャンプだから(笑)」
佐々木
「天運はあると思うんだけど、地運は作り上げるっていうよね。何でもかんでもいくじゃないですか、僕。この間の特昇リーグで打ち込みまくってオーラスで9.000点しかなかったんですよ。でもそれは自分の中でいくと決めた局の放銃だから仕方なかったんだけど。そしたら6巡目にツモスー(四暗刻)聴牌して、ツモ和了ってチンマイ(一人沈み)のラスから一人浮きのトップになったのね。だから人よりは“運”というものがあるんだと勝手に思い込んでるんですよ。競輪の伏見選手が言ってた言葉だけど、運っていうのは与えられたもの、ツキっていうのは作り出すものっていうよ。」
『天運=運、地運=ツキってことみたいですね。天運、地運っていう名称を使うと思わぬ誤解を生みそうですが、麻雀を打つ上で無視できないことですよね?』
「似ているようで微妙に違う感じだね。」
佐々木
「俺も普段から意識はしているね。」
滝沢
「行くべき手を行かないとツキを逃すと思ってるけど。」
佐々木
「それは俺もそう思う。勢いも大事だけど、勢いを消さないようにすることの方が大事だから、その辺でなんとなくだけど意識してる。」
「行き過ぎてもダメだしね。その辺はデリケートで難しいよね。」
滝沢
「運とかツキってものは必ずあるんだけど、それを結果的に感じるのか、先に予測するのかその違いは大きいよね。」
「デジタルっていうのはそういうこと考えないんだよね?」
滝沢
「そうです。1局清算です。」
「“流れ”とかそういうのを否定しちゃうわけでしょ?」
佐々木
「否定したら、麻雀やってても面白くないよ。そんな平面的に考えても、ね。」
『ほほう、デジタルと思われてるヒサトもそんな考えだったんだ。』
滝沢
「半荘と半荘の間も関連性はある?繋がってる?」
佐々木
「連続性はあると思うよ。」
『そういう“連続性”“流れ”を意識して実戦に取り入れてる?』
滝沢
「もちろん。展開についてはある程度予測できると思う。こいつはついてるからこの親はおっかないとか…。」
「例えば、前回いいトップをとった人間が親でリーチしてきた場合、自分が行くかオリるか迷う手だった場合、僕は無条件で必ずオリるね。赤3とかで絶対行く場合は負けを覚悟でいくけど(笑)。逆に前回オーラスでトップから3着に落っこっちゃった相手だったらリャンシャンテンでもいくね、僕は。」
『実績のある荒さんの言葉だから信憑性というか重みがありますよね。目に見えなくて科学的に証明できないデリケートな部分だから、はっきりと言葉にすることに抵抗を覚えるプロが多いと思うのですが…。』
滝沢
「他の競技でも“運”とか“流れ”が存在するってのもあるしね。」
「例えば、チンチロリンってあるでしょ。サイコロ遊びの。あの3つのサイコロの目って偶然のように見えても運の連鎖があって生きている。ツイてる親で向かうと絶対ダメだなぁって思うと、本当に絶対に勝てない。それほどではなくても麻雀にも確実に(運や流れというものが)僕はあると思うよ。ヒサトはどう思うの?」
佐々木
「僕もあると思います。すごく意識しますよ。愚形リーチも流れや運を引き寄せるために打ってる部分もあります。」
「でもブラフリーチがしくじったときはひどいんじゃない?そういうのは引きずらない?」
佐々木
「引きずらないです。終わった瞬間に、ただの1局になる。」
「俺なんかは若いころ、そういうミスをするとツキなんかこうなると思ってたわけ。(開いた手を下に下げる。)実際にそうなるんだけどさ。そういうときはフリーの雀荘だったら早めに退散、と。」
一同
「(笑)」
「ただ経験積んでくるといちいちめげていられないというか、めげなくなったね。(めげると)勝負の視野が狭くなってミスを誘発するから。不利なことは忘れちゃおっと。早く忘れちゃうっていうのは一つの考え方だよね。ヒサトが言った“すぐに忘れる”っていうのは勝負師タイプなんだよ。」
滝沢
「だからヒサトはぶれないなんだよね。」
「それがヒサトの強さと能力。普通の人間はぶれるからね。」
『“忘却力”ですか?』
「そうだね。それも麻雀の力だからね。」
滝沢
「ただ頭が悪いだけなんじゃないの?(笑)」
佐々木
「本当に失礼なやつだな(怒)」
『話がだいぶ横道に逸れてしまいましたが(笑)、“流れ”や“運”については麻雀ファンにとって気になるところじゃないですか?“運”と“技術”の割合ってどのくらいだと思います?』
滝沢
「“運”を制御するのも“技術”のうちだからね。」
「昔、作家の五味康祐さんっていう強い人がいたんだけど、その人はね、腕7割、運3割っていうのは素人だって。つまり、強い人間は腕10割、と。半荘5回やそこらじゃ分からないけど、そのくらいの心構えでいろってことだと思うんだけど。それは昔の麻雀はウラドラも赤ドラもなかったからね。技術の割合は今に比べて格段に高かった」
『自分が下がったな、ツキがないなって感じた時の対処法みたいなものは皆さん何かありますか?』
滝沢
「俺は強引に打たないってことかな。大人しい牌を選んで打つよ。」
佐々木
「俺もそんな滅茶苦茶にいかない。」
滝沢
「ヒサトも大人しくなるよね。(下がってるときは)全然いかないね。」
「僕の考えは二つあるのね。一つは、千点でも二千点でも和了りを強引に取りに行ってその局を制して次の手を待つってこと。もう一つは、今は底だからとじっと我慢して風が変わるのをじっと待つというやり方。かわしに行ってやられることもあるから、僕は(不調の時は)じっと我慢するのが好みなんだ。けどね、麻雀では底だと思っても底の下に底があるから。僕が見たので18連続ラスっていうのがある。下手じゃないんだよ、その人。東風戦なんだけどね。どうやってもラスばっかり(笑)」
佐々木
「ひどいもんですね。」
「みんなやめたくてもやめれないわけ。もう朝の6時でさ。それで19回目に東1局でその人は北家だったんだけど南家の第一打で和了ったわけ。人和だよ。そしたら全員立ち上がって、よしやめよう、と(笑)」
一同
「(爆笑)」
「天運も地運もあまりにも悪かったってことだね。下手じゃないんだから、その人。脇の二人の方が甘かったからね。じゃあ、東風でどのくらい連勝したことある?俺はかなりきついメンバーで11連勝ってのがあったけど…」
佐々木
「俺は9連勝かな!?」
「そういうときはなんでもトップ取れちゃうでしょ。もう辞めたプロでMってのがいたんだけど、その人は自分が勤めていた店で24連勝だって。で、その人の話してたら、何言ってるんだよ、オレは35連勝したことあるって人がいたんだよ。それは歌舞伎町の職人でさ。」
佐々木
「イカサマが入ってたってことですか?」
「違うよ。負けた相手は俺が知ってる連中だからね、そんな技は通じない。でね、面白いのが16連勝過ぎたあたりから、約束の時間が来た。でも、誰か他にトップを取らなきゃやめれないって雰囲気になったんだって。そしたらズルズルと突っ走って35連勝だよ。みんなパンクで借金だらけだと(笑)。東風戦はトップもラスも続くけど10回も続くのは珍しい。」
『そういう話を聞くと“流れ”とか“ツキ”というものが存在してる気がしますね。数学的にはほとんどあり得ないですからね。』
佐々木
「相手のミスももちろんあるだろうね。」
「それももちろんあるだろうね。」
『話は尽きないようですが、最後に来年の抱負は?』
「リーグ戦の連続昇級ですかね。というよりも、早くA1で戦いたいですね。」
「そうだね、早くあの中で戦わないと。やっぱり相手も雰囲気も全然違うからね。ヒサトはどんな目標があるの?」
佐々木
「僕はですね、勝ち続ける中でのタイトル獲得ですかね。タイトル獲得が目的じゃなくて、(その他の対局も)ずっと勝ってることです。何でもかんでも勝ってればそれがタイトルの獲得につながる。そう考えてます。」
「4大タイトルは獲らないとダメだよ。タッキーは王位戦の3連覇?」
滝沢
「もちろん狙ってますね。でもまずはプロリーグ。」
「そうだね、王位戦はベスト16からだからね。厳しいよ(笑)」
佐々木
「荒さんがそんなことを言っちゃダメじゃないですか!(笑)」
滝沢
「あとはロン2も頑張りたい。ネット麻雀でも結果を残さないと(プロとして)ダメだと思う。」
佐々木
「俺たちは教える側でもあるからね。実はロン2での対局のほうがテレビより緊張したりする(笑)」
「どんなコメントされてるか分からないからね。」
滝沢
「やっぱりプロは見られてることを意識しつつ、尚且つ強くなきゃいけないと思う。それがたとえネット麻雀でもね。さっきも言ったけど、プロはどんな種類の麻雀でも勝たなきゃいけないってのがある。」
『ではみなさん、本日はありがとうございました。いろいろと面白い話が聞けて良かったです。』
滝沢
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。」
佐々木
「お疲れ〜。じゃあ、せっかく荒さんが来てくれたことだし、早速牌でも握りましょうか?」
「是非、お願いします!」

「そっか、でもちょっと一杯飲みたいんだよなぁ。それより話の続きでもしようじゃない。」

一同
「はい、喜んで!(笑)」
そして一行は先に麻雀となり、その後夜の歌舞伎町へ…
 

 



 

 

 文責:野崎 次郎

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