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プロ雀士コラム

まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

 


第10回:松崎 良文



それは、あまりに神聖な光景だった。

ただ麻雀を打っている、そういった次元に止まることのない光熱を男たちは放っていた。
人生のほとんどすべてを麻雀に注ぎ込んできた、そういった過去に裏打ちされた揺ぎない自信が男たちの表情・所作に溢れていた。

ひたすらな沈黙の中で響く打牌音は、やがて高鳴る鼓動となった。

そして、たしかに想った。

こういう場所で麻雀を打ってみたい、と。

あぁ、それなのに・・・。





光陰矢のごとく、5年の月日が流れた。

あのとき抱いた想いに偽りは無かったが、その願いを叶える手段が見つけられぬまま、徒に時は過ぎていった。

その間、載冠に輝く者へ憧憬の眼差しを送りながらも、生活のために麻雀を打つという日々の暮らしの中で、かつての想いは次第に風化されていった。




そんな私を見るに耐えかねてか、或る知人が私に言った。

「おまえ、30歳までに芽が出なかったら田舎に帰っちまえ。」

突然の叱咤に戸惑い、しばらく言葉を失った。そして、

「いや、あまり芽を出そうとか考えてません。」
なんとも情けない。

「じゃあ、おまえは何のために麻雀プロをやっているんだ。そんな半端な気持ちでいるなら、さっさと辞めちまえ。」
全くもって、そのとおりだ。

「いや、辞めるつもりはありません。いちおう、夢はありますから。」

この日、麻雀プロに執着する自分の奥底に眠っていたあの想いが、再び脈を取り戻した。




やがて、転機が訪れた。

第23期十段戦本戦トーナメント、その観戦記を書いてみないかという話が舞い込んできた。
元来、文章に自信があったわけではないが、自分なりの想いを込めて、必死に筆を走らせた。

http://www.ma-jan.or.jp/monthlynews/pdf/200609_057.pdf

それは、30歳の誕生日を一年後に控えた、2006年7月のことだった。


この出来事が、麻雀プロとしての自分を、そしてあの場所への想いを、再び覚醒させた。





そして、2006年11月。

第32期王位戦、シードのない私は、A級予選から出場。
毎年A級本戦で頭打ちの私がA級決勝、準決勝と例年にない快進撃を遂げ、とうとう夢の舞台への切符を手に入れた。

決勝前夜、田舎へと向かう電車の中で、あの言葉を思い出した。

すでに、30歳を迎える前に、10年にも及ぶ東京での一人暮らしに終止符を打っていた私ではあったが、どうしてもあの言葉だけは、頭の隅から消えてはくれなかった。

あの人に電話を掛けたが繋がらず、留守電を残した。

「松崎です、御無沙汰してます。お忙しいところすいませんが、報告が一つあります。
王位戦というタイトル戦の決勝に残りました。決勝は明日です。頑張ります。」

程なく、電話が鳴った。

「しばらくだな。王位戦という名前は俺でも聞いたことがあるくらいだから、大きなタイトル戦なんだろう。俺はおまえに麻雀のことでアドバイスできることはないが、一つだけ言っておいてやる。」

「はい。」

「いいか、始まる前に、勝つか負けるか決めておけ。
勝つと決めたら、何があろうが勝ちなさい。負けると決めたら、会場に行ってはならない。
それだけだ。」

またしても、言葉を失った。
声に発する代わりに浮かんだ一つの想いは、やがて決意となった。

勝とう。





あれほどまでに憧れたあの場所に自分が座ると思っただけで、鳥肌が立った。
これまでの歩みを振り返り、様々な記憶を辿っているうちに、朝日が部屋を照らした。

結局、一睡も出来ぬまま、決勝当日を迎えた。




会場は、決勝戦独特の雰囲気に包まれていた。

不思議と緊張はせず、溢れる気合に牌勢が応えるかのように好流を捕らえ、2回戦を終えてトータル首位に立っていた。

よし、この調子なら・・・。




迎えた3回戦。

開局、二軒リーチに立ち向かい5.200の和了り。

ここまでは思い通りだった。ここまでは・・・。

ここから、満を持したかのように、あの男が突き抜ける。

東2局4本場、男の持ち点はすでに6万点を越えていた。
更なる加点を目指し、男は12巡目にをポンした。

 ポン ドラ

このときの男の捨て牌は、

 

明らかな、ピンズ模様。
その後、男にの手出しが入った巡目、私にこのテンパイが入った。

 ツモ

は生牌。
葛藤の末、私は打を選択した。
次巡、ツモで和了り逃し。このとき、親の手牌は、

 ポン

を切ると男がポンして、次巡を掴んで、おそらく私に放銃していただろう。

この局は全員ノーテンで流局と無難に終わったが、私はタイトル戦決勝において最も重罪である『勢いを殺す』という行為を犯した。

その結果、男はこの回を8万点の大トップで終了し、その勢いのまま新王位の座に就いた。


そして私は、

4回戦東3局

 ポン ドラ

6回戦南4局

 ポン ポン ドラ


どちらの勝負手も実らず、最終7回戦南2局の四暗刻手も不発、初のタイトル戦決勝は三位という成績に終わった。




精魂尽き果てた状態で、あの人に電話をした。

「どうだった?」

「負けました。すいません。」

「何位だったんだ?」

「三位です。」

「そうか。まぁいい。よくやった。
次が勝負だ。今回の成績がまぐれでないことを、次回で証明してみせるんだ。」

「はい。ありがとうございます。」

いつかの想い、その夢は『タイトル獲得』へと変わっていった。




グランプリ2006    ベスト16敗退

第16期麻雀マスターズ  本戦敗退

第24期十段戦      四段戦敗退



再び、冴えない成績が続いた。
リーグ戦こそB2に昇級したものの、人数調整による繰上げ昇級。
そして、第24期前期で痛恨の昇級逃し。低迷は続くかに思えた。




第12期チャンピオンズリーグ。

予選最終節で爆発し、本戦トーナメントへ進出。
展開には恵まれなかったが、薄氷を踏むかのごとく慎重に戦いを進めた結果、再びあの舞台へ立つことを許された。

しかし、友人たちの応援も空しく、力及ばずの準優勝。



きっと、まだ何かが足りないんだろう。
何かが・・・。



今年2月、第23期鳳凰位決定戦の観戦記を担当した。

これからも、タイトル戦決勝の素晴らしさ、その神聖さ、更にその場所を目指す麻雀プロたちの尊い生き様を伝えていきたい。

そしてもちろん、打ち手としても山頂を極めるべく精進していきたい。

魂が震えるほどの感動を味わう、その瞬間のために。









長々とお付き合い、ありがとうございました。

では次回ですが、第12期チャンピオンズリーグ決勝を共に戦った山井弘プロを指名します。

宜しくお願いします。






文責:松崎 良文

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