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プロ雀士コラム

まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

 


第7回:瀬戸熊 直樹



2006春、僕は競技麻雀プロとして最大のチャンスを迎えていた。

この年、2〜3月に行われる發王戦決勝、鳳凰戦決勝、グランプリベスト16、最強戦ベスト16と、4つのタイトル戦に勝ち残っていた。
カレンダーの土日は、ほぼ毎週のように競技麻雀で埋まっている。
もし仮にすべてのタイトルを獲得した場合の賞金は、ちょっとしたOLの年収くらいにはなる予定だ。

そして最初の関門、發王戦決勝を控えた4,5日前の飲み会で、馬場裕一氏から提案を受けていた。
『瀬戸熊君、全部とったら漫画にしようよ。』
『無理ですよ。』ということばとは裏腹に、獲る気満々の能天気な僕。

ついに僕の生涯忘れる事の出来ない、1カ月がはじまった。

發王戦決勝の当日。快晴。2年前の十段戦決勝で敗れて以来の決勝である。
しかも、1週間後には鳳凰戦の決勝も控えている。
いつまでもこのドキドキ感を味わっていたいから、今日という日が来なければいいなぁ、という想いと、
一刻も早くこの重圧から解放されたいから、もう全て終わってくれ、という気持ちが交錯する。

対戦相手は、藤中慎一郎氏(前年度發王位)、吉田賞二氏(麻雀連合)、 清水昭氏(最高位戦)という顔ぶれ。
藤中氏とは当時同一リーグという事もあり、手の内はお互いよく知っている。
吉田氏とは準決勝で対戦しており、若干の知識あり。
清水氏とはまったくの初顔合わせである。(以下敬称略)

3名ともさすがに落ち着いている。僕もさすがに場慣れしてきたのか、緊張も焦りもない。
ただ1つ思っていた事は、僕のタイプ的にここを獲れれば4ついけるような気がする。
でもここでコケたら全てダメかもしれない、などとまたまたアホな事を考えていた。(お願いだから目の前の戦いに集中しなさい。)

そして3回戦が終了。本音を言えば『終わったな。』と。

ここまでのポイント
藤中+130P 吉田+2P 清水▲58P 瀬戸熊▲74P

ほんの少しの希望を胸に、4回戦の卓に着く。
が、はやる気持ちを麻雀の女神が嘲り笑うかのように、藤中にタンピン三色の8,000を、次々局吉田にトイトイ三色同ポンの8,000を献上。
ダントツのラス目、藤中とのポイント差は300くらいか。野球で言えば7回を終わって10−0、サッカーで言えば後半開始早々ダメ押しの3−0ぐらいの差だろうか。
このときの心情は、いまでもはっきり覚えている。『これからどういう風に打てばいいのだろうか。』
頭の中が真っ白になっていた。

4回戦東3局終了時、清水25,300 藤中36,500 瀬戸熊18,700 吉田39,500

東4局ドラ

12巡目清水からリーチが入る。



捨て牌



そして僕のこの時の手牌



上家・藤中が打 、それをチーして打
ただの一発消し見たいな鳴きである。
普段なら鳴くにしても だけだろう。次巡ツモ で打
今みても?だらけの手順だ。次巡藤中の をチーして打
実はこの打 の時少し吹っ切れていた。自分らしく打とうと。
そして清水が を持ってきて、2,000点をあがる。
このとき、ちょっとだけ、本当にほんの少しだけ卓からみえる景色が違って見えた気がした。今でもなぜあんなふうな感じがしたのかわからないのだが。

そして運命の4回戦南1局ドラ

南家藤中が6巡目リーチ、



この時、僕の手牌が、



ツモ ときて のトイツ落としでまわる。

僕の手牌、



9巡目北家吉田が追いかけリーチ。



10巡目親清水がリーチ。



もう一度、僕の手牌、



にツモ ときて、 強打。



追いつく。もちろんリーチは打てない。たぶん1巡の勝負だろう。
山に各自のマチは、清水4枚、藤中2枚、吉田3枚、瀬戸熊2枚。
これだけ山に残っている4者テンパイも珍しい。
次巡祈るような気持ちで盲牌する。な、なんと、 だった。これはあきらめるなって事ですか?

34,000点まで回復した南3局親番では、絶対にこの親番は死守だと思い込んでいた。
そして7本場まで積み上げる。どれだけ泥臭く連荘したかというと、

南3局6本場ドラ では、

配牌



から、
ツモ



ときて、



となり、
ここで四者の捨て牌を見て、

瀬戸熊

吉田  

清水  

藤中  


ある事に気づき、藤中の をチー。その後 ポン、 ポンといれて以下の形、

 ポン ポン チー          

そして流局。100回に1回しか成功しない一人テンパイの完成でした。

三者の最終形は


吉田 

清水 

藤中 


もう一度やれと言われてもリスクが高すぎてできないような気がする。とにかくタイトル獲得だけを考えながら打った。
幸運にも4、5回戦と7万点近いトップを取り、最終6回戦では、藤中との着順勝負に。

そして久しぶりの、また初めてのG1タイトル獲得となった。

だが、一週間後天国から地獄に落ちる事となる。

鳳凰戦決勝3日目の17回戦(18回戦勝負〕を終え、30Pほどリードして迎えた最終半チャン僕は自滅する。
本当にあと一歩のところまでいきながら、大魚を逃がしてしまう。

この負けは周りの全員が予想したように僕の暗黒時代への入り口でもあった。
プログランプリ、最強戦ととりこぼし、次の年は、チャンピオンリーグ、プログランプリでかろうじて決勝に残るも惨敗。發王位戦も準決勝で負け、そして今年の十段戦もコロ負けである。

もちろんタイトルを獲るのは本当に難しいし、何回か決勝に残っただけでも多少はいい事なのかもしれない。
でも、競技麻雀で評価されるのは優勝者只一人である。二着以下は人々の記憶にはなかなか残らない。

つらく悲しい出来事の方がほんの一瞬の喜びよりものすごく多い世界だと思う。
でも、決勝のときのドキドキ感や優勝したときの喜びや達成感は本当にいいものだという事も知ってしまってるんですよね。悲しいことに。

だから今日も未来の勝利を信じて牌を握り、日々精進しているのかもしれません。鳳凰戦、優勝したらうれしいだろうなぁ。(ひとごとかよ。)

次回は黒沢咲プロ、よろしくお願いします。







文責:瀬戸熊 直樹

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