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プロ雀士コラム

まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

 


第6回:水越 京子



第4期プロクィーン決勝戦12回戦オーラス 

 ツモ ドラ



私は喉元に、鋭い刃を突き付けられていた。
呼吸するたびに上下する皮膚が削られ、血を滲ませる。

切りでテンパイ。もしツモれれば、三暗刻までつく。逆転の勝負手。

しかし、下家で首位の崎見百合プロは2副露していた。99%テンパイだ。
そして私の直感では、このがロン牌に違いないと確信していた。

切れない。切ったら、終わる。最後のチャンスが死んでしまう。

迷った末、私が選んで切ったのはだった。
ギャラリーはこの瞬間、ため息をついたようだ。
何でテンパイ取らないのだ?まさかスーアンコ狙いなど悠長なことをやっているのか?

しかし、この時の私は最善の一打だと思っていた。
後に、落ち目の直感ほどアテにならないものはないことを知った。
はロン牌でも鳴ける牌でも何でない、切って良い…いや、切らねばいけない牌だった。

その四局前。
ドレスアップをして戴冠を待っていたはずの私は、突如、濁った沼の中に付き落とされていた。
足にからみついた藻はもがくくらいでは解けず、私は玉座の側に二度と近づけなかった。

そして滴る汚水の向こうで、新女王が華やかな笑顔でトロフィーを受け取るのを見た。
私に贈られた賞は、準優勝。
それはいくばくかの賞金だけで、後には何も、残らない。


私は4年前に連盟に入った20期生である。
しかし、実は18期生でもあった。

当時はプロリーグに入れずに、研修リーグに入った。
そこでもあまりの麻雀の素質の無さにクビになったということがあったのだ。

それでも連盟に入りたい気持ちが強くて、再受験した。
他に選択肢もあったと思うのに、どうしてまた連盟を選んだのか、その時の私にはわからない。


私は20期生として連盟に入ることになった。
それでも、嬉しいというよりは惨めだった。

合格したのは同情からではないのか?
私は本当はここにいてはいけないのではないか?
だって一度クビになったんだから。
クビになっても戻ってきた人なんて、私以外では知らない。
私だけ。私だけが、違う。
何の障害もなくプロ入りした同期や後輩が眩しくて、私には劣等感ばかりが渦巻いて いた。


昔の私を知っているかもしれない人に思い出されたくなくて、半年間だけ、本名では ない名前を使用したこともある。
それでも「前にいたよね?」と声をかけられることもあった。
その度に私は俯いていたと思う。
何故か、後ろめたくて。


最初に迎えた第2期プロクィーンの一次予選は6半荘で3着とラスのみ。
▲200P近く沈んだ。
やっぱり私はダメなんだと思った。
それでも何故か連盟にいたくて、必死にしがみついていた。


その年の冬に、朝武研究会で石川と出会った。
思えば、私が連盟に拘った理由の1つは、彼との運命を強く予感していたからかもしれない。


自然と彼から麻雀を教わることになった。
私は守備型の自分の麻雀と攻撃型の彼の麻雀とは相容れない部分があることを感じた。
しかし、彼の言うことは全部頷いて吸収した。
勝てない麻雀は、要らない。
勝つ為ならば、自分の今までの麻雀全てを捨てても良いと考えていた。


それから私の麻雀は本当に変わったと思う。
すぐには成果は出なかったが、それは1年後のロン2の第1回フレッシュレディースカップで発揮された。

この大会は、プロ予選も含めると女流プロ20名とユーザー8名によるネット麻雀での戦い。
トーナメント形式なところがプロクィーンに似ている。

私はこれを一次予選から勝ち上がり、圧勝で優勝した。
その夜は興奮してなかなか眠れなかったのを覚えている。
ネット麻雀の大会と言えども、この面子に勝った。
その事実は、私に自信を持たせた。
そして、次のプロクィーンは決勝に行けるだろう予感がしていた。


その予感は、実現した。一次予選、二次予選、べスト16、ベスト8…。
どれも厳しくギリギリの勝利だった。
しかし、最後のチャンス、心中を決意した勝負手が実り、何かにすくいあげられるように勝ち上がった。

それなのに、決勝戦の最終局、最後のテンパイでを切るのが怖かった。
安全圏から勝利を掴むことは出来ないって、もう知っていたのに。
最近の私なら、迷うことはあっても、きっと切れたのに。
最後の最後に昔の私の悪癖が出た。


「やっぱりダメなんだね。私は。」


一人言のつもりか、誰かに聞いて欲しかったのか。私は声に出してそう言った。
毎年、何十人もの新しいプロが誕生し、競い合う。
その中でタイトルホルダーになれるのはほんの一握りしかいない。
その中に、自分のような人間は入り込む隙はないと思っていた。

だから、決勝に残ったことは奇跡的だった。
そして、私は決勝初日にトップを3回取り、+129.2Pを獲得していた。

もしかしたら、これが最初で最後のタイトルホルダーになれるチャンスだったかもしれないという自覚もあった。
それなのに!それなのに、全て無になってしまった。

もし、あの時、首位にいたのが私以外の誰かなら、その人が優勝していただろう。
圧倒的優位を、誰にも譲らなかったはずだ。
あの位置から優勝を逃してしまう人なんて、多分、水越京子ただ1人だろう。
そう、強く思う。

きっと、私は優勝出来ない運命なのだ。
私には、光が当たることがない。
きっと、これからもずっと。今までがそうだったから。


しかし、そんな私にこんな言葉がかけられた。

「いや、そんなことはない。僕は君が最初に連盟に来た頃から知っていたけど、良く頑張ってここまで来たと思う。
良い麻雀だった。牌さばきも凄くプロらしくなっていた。」

気が付くと号泣していた。そんな風に暖かく見られていると、私は思ってもいなかったから。
今までのことをぐちゃぐちゃに思い出したりもして、嬉しかったり悲しかったり恥ずかしかったりして、
そして、心の底から連盟に戻ってきて良かった、と思った。



私が欲しかったのは、その言葉。
私を認めてくれる言葉、1つだけだった。
それだけを求めて、私はここまで来た。



そして、これからは「この先」に到達することを目指していく。
その時、その場所で、一番光輝ける、そんな一瞬が、私にも存在することを証明したい。
そして、諦めずに連盟に執着し続けた自分を、誇らしく感じてみたいのだ。


2年前、第3期プロクィーン決勝戦と日を同じくして、私は石川と結婚式を挙げた。
その時、私は「今年はあなたのクィーンになったよ。来年はプロクィーンになれればいいな」と言った。
その願いは、1年遅れで叶えられるだろうか?



第5期プロクィーン、ベスト16まで、あと1カ月。



私もみなさんのように優勝自慢したかったのですが、ない袖は振れません!!(涙)
では次回ですが、かつて前半戦オールマイナスの▲74.7Pから伝説に残る華麗な逆転劇で第14期發王位に輝いた瀬戸熊直樹プロにお願い致します。

瀬戸熊プロ、いっちょ、景気の良いこと書いて下さいませ!



 






文責:水越 京子

 

 

 

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