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プロ雀士コラム

まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

 


第4回:優木 美智


「リーチ!」
東1局12巡目、上家の親から 切りのリーチが入る。
私の手には現物牌が一枚もなく、配牌から切れずに抱えていた が孤立している。いずれも生牌で、しかも はドラ。
打牌に窮した私は、今ツモってきたスジの を河に置くと、待ってましたとばかりに親の手が開かれた。

『あぁ、どうしよう・・・。』
「・・・はい。」元気のない声で応え、点棒を支払う私の手は、小さく震えていた。

「リーチ!」

またリーチが来る。今度は下家からだ。

『オリよう。』

そう思ってみても、既に手詰まり。 スジや壁に頼った打牌、挙げ句には拝むような気持ちで打ち出した字牌にまで、次々とロンの声が掛かった。
もう、何を切っても放銃してしまうのではないか。
そう思い始めると、場況に目が行き届かなくなり、自分の打牌すらまともに打つことが出来なくなっていった。
終いには、全く手にならなくなっていき、他家にツモられてばかり。
ただそこに座っているだけの私。

この日、半荘4回で失ったポイントは▲80を超えた。
しばらくそこから立ち上がることが出来ず、独りで卓に座り込む私。
削られたポイントよりも遥かに大きなものを、私は失っていた。

これが、今から2年前の4月、
プロリーグ1年目のデビュー戦での私だった。




今年の4月で、プロ入りして3年目になる。
2年前の開幕の日を、私は胸を躍らせ、心待ちにしていた。
競技麻雀は、一般的なルールである一発裏ドラがない。もちろん赤もない。
そういう麻雀を今まで殆ど経験したことがなかった私でも、多少の自信はあった。
それは、自分なりにでも麻雀に対して真剣な気持ちで向き合ってきたこれまでの経緯が、私にそう思わせていた。

福岡で生まれ育ち、高校卒業後、進学のため上京。
そこで麻雀と出会ってからは、その魅力に取り憑かれ、毎日のようにフリー雀荘に通った。
大学卒業後は普通に就職、平日に麻雀が出来なくなった代わりに、金曜の仕事終わりから日曜の夜までの時間が、麻雀が思う存分出来る貴重な時間となった。
私にとっての平日の勤務は、その週末の楽しみを待ちながらただ黙々と仕事をこなすだけの、ひたすら虚しい時間になっていった。

そんな生活が続き、もし、これからも本当に好きな麻雀を打っていくのなら、プロの世界を見てみたい。
強い人に会いたい。一緒に打ってみたい。

そんな想いから私は、日本プロ麻雀連盟の門を叩いた。

もともと緊張しやすく、どちらかというと臆病な性格の私は、このデビュー戦での惨敗をきっかけにか、公式戦では手が震え、絶えず緊張しっぱなしでいた。

なんとか精神力を鍛えたい。
毎日そのことで頭がいっぱいだった。
とにかく慣れよう、とAルールのセットを組んでもらったり、タイトル戦の決勝などを頻繁に観戦してみたりした。

そして、プロ1年目の8月に行われた第19期新人王戦。

ここで私は、幸運にも初めての決勝を経験した。
決勝に進めるということが決まったとき、またひどく緊張するんだろうなと不安になったが、いざ決勝が始まると不思議にもそうでもなかった。
麻雀に集中していたからなのか、放銃しても手が震え出したりすることもなかった。
自分の打牌に自分が納得し、その結果での放銃なら、受け入れようと思っていた。
現実から目を逸らさず集中していれば、それでいいんだ。
そんなふうに、いい意味で開き直っていた。

結果、3位で終わったが、残念、悔しい、という気持ちとともに、次こそは!という気持ちが自分の中で沸々と湧き上がっていたことをよく憶えている。

この後、2年目のリーグ戦後期で念願の初昇級。
そして、第1期女流桜花の決定戦で、2回目の決勝の舞台に立つことが出来た。

決勝戦はAルール半荘12回、2日間の闘い。
決定戦出場が決まってから決定戦までの約1ヶ月間、どう過ごそうかと考えた。
何か特別なことをしたり、Aルールのセットをたくさんやるとか、誰かにアドバイスを乞うとか、人によって調整法は様々あるのだろう。

しかし私は、それまでの日々を普段どおりに過ごすことにした。
それは決して、何もしないで過ごすということではなく、ある一日、調整のセットをするために仕事を休むのなら、仕事を休まずに普段どおり一生懸命働くことが、私にとっての調整法だと考えたのだ。
セットをやるなら、もともとあった休みを使えばいい。毎日を今までそうしてきたように真面目にきちんと過ごし、そうして1ヶ月が経った時、一番ベストな私でいられる気がしたから。

私は普段、昼に雀荘勤務をしている。
卓に入る時は麻雀を真剣に打ち、卓に入っていないときはホールの仕事を真面目にやる。
夜は睡眠を十分に取り、体を休める。そしてまた朝起きる。
そんな、ごく当たり前の日常をひたすら貫き通し、決勝に臨んだ。

決勝の舞台は、やはり非日常であった。
私が、想像していた通りというか、それ以上に、というか。

初日は、思うように打つことが出来なかった。
ポイントこそ僅かに首位で終わったが、周りにアドバイスやダメ出しをされながら、自分の打牌を悔やみ、何が良くなかったのかを考えながら布団に潜った。
そうしているうちに一気に疲れが出てきて、泥のように12時間爆睡した。

二日目の朝、布団から起き上がると、とても晴々しい気持ちになっていた。
自分が未熟なこと。まだ足りないものが沢山あること。
もちろん失敗もしてしまうだろう。
でも、今日こそ自分らしい麻雀を精一杯打とう。

そう思うと、昨日感じた「つらい、しんどい、逃げ出したい」という気持ちが、一気に楽しみに変わっていった。


8回戦を終えて、トータル首位に立っていた。
そして迎えた9回戦。
東1局9巡目、
「ロン!12,000!」
下家の親にマンガンを放銃。明らかに自分の手順ミスからのものだった。

続く1本場6巡目、今度は上家に、
「ロン!8,000は8,300!」
これも、自分のミスだ。

そして東2局5巡目、
「ロン!7,700!!」最後は対面に放銃。
ここまできたら、これも自分が招いた、これまでの放銃からのミスだろう。
「はい。」
点棒を払う。
が、私の手は震えていなかった。
『あぁ、どうしよう・・・』と見えない影に怯えていたあの頃の私は、そこには居なかった。

そのとき私は、『集中力が切れかかったんだ。』と思った。
あの、プロリーグのデビュー戦を思い出し、『そうだ、もう一度集中しよう。』と自分に言い聞かせた。

この時点で、持ち点はちょうど2,000点。
『この回を踏ん張って闘おう。』

結局この半荘、私はラスだった。
でも、持ち点は2,000点から13,500点になった。

トータルポイントに目を遣り、首位が捲られていることを知ったが、不思議と焦りはなかった。
『集中して、自分の麻雀を強い気持ちで打とう。』
ただ、それだけを考えていた。

結果、第1期女流桜花を優勝という最高の結果で終わることができた。
優勝したという事実はもちろん、デビュー戦のあの日、その場からしばらく立ち上がれず座ったままでいたあの頃の自分から、気持ちが強くなれたこと、これが何より嬉しかった。

拍手とともに「おめでとう。」の声の中、卓から離れ立ち上がったこの時、プロ入りして2年前から今日初めて、やっと麻雀プロとしてのスタートラインに立てたのかもしれない。
と、そんな気がした。

翌日からまた、日常が再開した。
普通に雀荘勤務をしながら今までどおり麻雀を打ち、他の対局を観戦したりして、麻雀とともに私のプロとしての新たな生活が始まった。

これからもずっと、この気持ちを忘れないで、大好きな麻雀を打ち続けて行きたい。




今回、このリレーエッセイが回ってきたとき、指名して頂いたことをとても誇りに、そして嬉しく思いました。
と同時に、私なんかが連盟のHPに載るコラムを書いていいものか。ちゃんとしたものは書けないかもしれない。
なんて得意のネガティブ思考になっちゃたりして。もともと文章書くのは苦手で、私なんかがいろいろ語るのも、おこがましいなって思ったので、自分の素直な気持ちをテーマにしました。
独りよがりな文だったかもしれませんが、読んでいただいたことを感謝します。

では、ですね。次回なんですが、つい先日行われた第16期麻雀マスターズで見事優勝された沢崎誠プロにお願いしたいと思います。

よろしくお願いします〜!!







文責:優木 美智

 

 

 

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