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プロ雀士コラム

第27期鳳凰戦の軌跡 〜年輪〜

執筆:瀬戸熊 直樹


12年前、1人の青年に出会う。そのオーラにたじろいだ。
6年前、1人の青年の麻雀を打つ姿に見入ってしまった。
世の中は広いなとしみじみ思った。

滝沢和典プロと佐々木寿人プロである。
この2人を最初に見たときの衝撃といったらなかった。
自分より年下の麻雀打ちで、これほどファーストインパクトの強かった人は今までいなかった。
正直あせった。自分がひどく小さく見えた。
初めてテレビ対局で彼らと同卓した時、自分が怯える小動物であるかのようだった。
それ以来、どうやったら彼らと同じように堂々と戦えるようになるだろうかと考えた。
答えは一つ。「絶対的な実力を身につける」だった。

鳳凰位を連覇し、十段位を獲り、ようやく彼らと戦うとき自分を表現することが少し出来た。
それ程、2人の経験してきた時間は重い。「経験」がいかに大切か改めて学んだ。

今年の10月、モンド杯、十段戦、ロン2カップと映像対局が続いた。
胃の痛い対局の連続だった。
常に付いてまわる「鳳凰位」の看板。
プロ連盟の代表という意識が僕を追い込むのか、自分自身の自信の無さが過度なプレッシャーを呼び込むのか分からない。
でも、そんな日々が送れている僕はきっと幸せな人間なのだろう。
荒正義プロに教えられた「自然体」という時間を、ようやく少しずつ持てるようになったのも、本当につい最近の話である。

よく、テレビ対局に出たいという話を耳にする。
この気持ちは凄く理解できる。20代の僕もそうだった。有名になりたいと思っていた。
そのチャンスは意外と早くきたが、最初のテレビ対局で僕は、自分の力不足を実感することとなる。
緊張や経験不足というのはもちろんあった。でも、それ以上に、自分の雀力の無さが一番の要因だった。

若い人達には、耳を傾けて聞いて欲しい。
僕はこの鳳凰の部屋で、自分の正直な気持ちを書いている。
だからこのコラムの僕の経験談は、必ず君達が成長するにあたって通過する話なのだ。
僕と同じ失敗はしないで欲しい。限られた時間は大切にして欲しい。

タイトル戦や、テレビ対局の世界は独特の緊張した雰囲気を持つ。
この状況で普通どおりの麻雀を打つ為には、慣れが必要である。
誰しも最初は色んな失敗があるだろう。それは仕方ない。
しかし、実力以上のパフォーマンスが出来ないのも事実なのだ。

これはちょっとした大物手をアガるという事とかを言っているのではない。
「プロ」の看板を背負って出る以上、基本的な手順を打てることや、相手の手をある程度推測する力、いわゆる読み。状況に応じた打牌。
こういった基本的な麻雀を打てる技術と精神力は、普段の稽古でしか身に付かない。
そういった事を身につけてない人が多すぎる中で、出来ていない人ほど、人の目がある所に出たがる傾向がある。
そして、出て恥をかく。

本人が恥をかくのは当たり前だが、「プロ」の看板も同様に地に落ちる。
僕もそうだった。そしてその時に自分の感情に変化が起こった。
「実力をつけてから、有名になりたい」これが30代の僕の気持ちだった。

滝沢やヒサトの努力とプロとしてのこだわりに尊敬の念を持ったのは、その頃だった。
「2人とも、相当大変だったろうな。ここまで来るのに」彼らには、彼らなりの苦しみや悩みがあったと思う。
それを乗り越えた凄み、みたいなものを感じる。
だから、僕も重い看板を背負ってしまった以上、その努力をして、対局場に向かわなければならない。
いつ何時、若い人々にもチャンスが来るか分からない、だからこそ、ツイていた、ツイていなかったの麻雀ではなく、
プロとしての麻雀を打てるように準備しておいて欲しい。

以前、ある若いプロがテレビ対局の後こう言っていた。
「あー楽しかった。こんな楽しい対局があるなんて知らなかった。またやりたい」
楽しんで対局を出来たこと自体は凄いと思う。その心臓を分けて欲しいぐらいだ。

対局内容も出ていたメンバーでは、上位の方だったかもしれない。
でもそこで満足してしまったら・・・・。
案の定、僕の不安は的中し、その人の成長はそこで止まってしまった。
数年後に見た麻雀は、当時の輝きを失っていた。

プロになってから、数多くのタイトルホルダーを見てきた。
タイトルを獲る事は、あくまで1つの通過点にすぎない。
麻雀という競技の性質上、たまたまタイトルを獲れただけかもしれない。
そこで「俺って強い」などと有頂天になった瞬間、麻雀プロとしての成長は止まるように思う。

僕も最初に鳳凰位を獲った瞬間、ゴールテープを切ったかのように思いかけていたが、周りの人々のおかげで、道を見失わずにすんだ。
以前ホームページのプロ雀士コラムで、滝沢プロが、「女流研修会」という題名でコラムを書いている。
ここには自身の想いと願いが書かれている。全く同感である。

森山プロがよく口にする言葉で、僕が最も安心し、信頼する言葉がある。
「どんなに企画や営業面で素晴らしくても、結局、麻雀のプロの世界を成り立たせる為には、麻雀の強さが一番大事なんだよ」

最近、新人の女流達によく口にする事が1つだけある。
「女流の麻雀プロのレベルは、残念ながら低い。でもこれは君達にとってはチャンスなんだよ。
本気で取り組めば絶対トップになれる。それも今なら本物の実力さえつければ、10年以上トップに君臨できるはずだ。
なぜ、麻雀プロになったのに、努力をしないのだろう。僕ですら好きな事だから、惜しげもなく努力できた。
ほんの数年頑張れば、女流のトップになれるのに、なぜ誰もやらないのだろうか」

まだまだ未熟なプロの世界だが、喜ばしい事に本物の世界もある。
それが「鳳凰戦」である。
このステージが、なぜここまで凄いステージなのかは前にも触れたが、
長い年月、数多くの先輩方が、それこそ人生をかけて戦ってきた場所だから、その歴史と重みが日本一のタイトル戦となっているのである。

あの滝沢やヒサトが、一番重きと思って戦っているにもかかわらず、すんなりと登れないステージ。
僕も10年以上の間、色々なものを犠牲にして、ようやく登ることができた場所。
幸運にも僕はたどり着いた。でも本当に「まだまだ」だ。

そして、40代になってこう思った。
「僕だって、本気で取り組んできたけど、死に物狂いになったのは、ほんの数年だった。
だったら、その経験を上手く伝えられれば、下の世代は30代でたどり着けるだろう。
そして、その世代が上手く伝えられえれば、20代でたどり着けるかもしれない。そうすれば、もっと豊かな世界になるのではないか」

最強戦の帰り道、前原プロに言われた。
「セト君は、下を育てる事が、下手だからなあ。まあ今は、自分で手一杯なのかもしれないが」
想いとは裏腹に、上手く伝えられない自分がいる。
とりあえずは、背中で引っ張れるようにするくらいしか思い浮かばない。


第27期鳳凰戦最終日。12回戦終了ポイント。
瀬戸熊+121.1P、前原+49.4P、板川▲1.6P、沢崎▲168.9P。

最強の3人を相手にしながら、昨年と同様トップ走者となっていた。
この場所にくると、不思議な力が味方してくれている。
連盟最高峰タイトルの最終日、先頭に立ったときのプレッシャーは、本当に想像を絶する。
これが3度目の経験だった。
「なぜこんな辛い事を俺はやっているのだろう」毎回思う。

牌をツモって切る。数え切れなくこなした動作すら、右手をあげるんだっけか?
左手をあげるんだっけか?となりそうだ。

このポイントとなった以上、優勝争いには確実に絡むことは必至である。
後は、決定打となる場面まで、ただひたすら耐えていればいい。そこまで耐え切れば、ゴールは見えてくる。

ただ、その目標地点を見失うと、数年前の悪夢の再現が待っている。
まさに天国と地獄。どちらにしても、道のりが苦しいことに変わりはない。

13回戦東3局2本場、親・板川。

トップ目板川プロの親番。僕のもらった配牌は、

 ドラ

目標にたどり着く為には、冷静にモノにしなければならない部類の配牌である。
しかし僕の想いとは逆に、板川プロの配牌の方が良いとは、この時は知る由もなかった。
板川プロの配牌。

巡目は進んで、9巡目、板川プロ手牌。

 ツモ

。テンパイ。

同巡、僕もテンパイ。

 ツモ

ツモ、ツモならば話は簡単である。ツモならヤミテン、ツモならリーチである。
しかしツモ。板川プロはドラのも切ってきている。

局単位でみるならリーチもありだと思う。
しかし、ここまで、こういった手牌は必ずヤミテンにしてきた。子方の話であるが。
板川プロの手牌が解っていれば、もちろん100%リーチであろう。しかしそこまではさすがに読めない。
次巡、板川プロ、打リーチ。

やってしまったかという想いを封じ込めるのに苦労する。
この時はなぜか、「ツモってしまえ」とは思わず、ツモれっと思っていた。
もしくは、引けと。

気持ちがやや後ろ向きになっている。親指に予想してない感触が走る。
」ツモの発声より早く叩きつけていた。まさに紙一重のツキ。
リーチしてなかった事は、全く後悔していないが、「ツモれ」と思っていない自分が腹立たしかった。
鳳凰戦でよく起こる、2人の自分への戒め。

天を仰いだ。

そして、何度目の自分への喝入れだったかも忘れたが、こう胸の中でつぶやいた。

「自分の世界に早く入ってしまえ」

第27期鳳凰戦の軌跡  〜連覇〜へ続く







執筆:瀬戸熊 直樹

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