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プロ雀士コラム

第27期鳳凰戦の軌跡 〜挑戦〜

執筆:瀬戸熊 直樹


いつも各回の最後に、次のコラムの内容をある程度考えて題名を決める。
まあ、テレビドラマの次回予告に近いと思って頂ければ幸いである。

前回のコラムの後に、十段戦決勝が控えていたので、「挑戦」と示した。
十段位初載冠への挑戦、二冠への挑戦等もあるが、僕がもっとも意識していたのは、「挑戦者」として戦えるかどうかという事。

前回の決勝で、堀内プロに敗れた最大の原因は己の中にあった。
「驕り(おごり)」である。
前年度、鳳凰位となり、マスターズ、十段戦と決勝戦に進むも、敗退。
いつの間にか戦うスタイルが「奪い取る」ではなく、「受けて立つ」になっていた。

昨年、堀内プロの十段位にかける気迫は素晴らしかった。
マスターズの樋口プロも同様にだ。

彼らの歳ぐらいの時、僕も彼らのようなピュアな気持ちでタイトル戦に臨んだものだ。
それが、大正解ではないのだが、正解の1つでもあるのは確かなのだ。
だから、気持ちの部分では、絶対に遅れをとってはいけないと思っていた。

2日目が終わり、2位の堀内プロと110ポイント離したトップ目に立つ。
過去、2度の鳳凰戦と同様のパターンになる。ここに落とし穴がある。

第21期十段戦と第22期鳳凰戦では、同様のパターンで悪夢の逆転劇を喰らっている。
自分の中では、「トラウマ」として長い年月残っていたにもかかわらず、たった2回の勝ちで、もうその苦い過去を忘れかけている自分がいた。

前日の夜から、3日目当日の朝まで、「取りこぼしはいけない」という気持ちになっていた。
気持ちが「挑戦者」から「受身」になっている。
なぜか自分の気持ちがしっくりこず、過去の敗戦と勝利の全ての場面を思い出してみた。
そしてフッと気づいた。

「現十段位でいる堀内プロの方が、タイトルを失うかもしれない場面に立たされており、苦しい気持ちであるはずなのに、
挑戦者の僕が、こんな構えた気持ちになっているのはおかしいのではないか。do my bestだ」
気持ちが穏やかになってゆく。ありのままの自分を表現しよう。

そう考えると、今回の十段戦は楽には勝てない予感がしてきた。
そこで、もう1つ自分に言い聞かせた。

「今回は獲るにしろ、獲れないにしろ、思いっきり苦しもう。それが必ず自分の成長の糧になる。
鳳凰戦の時もそうだったじゃないか。必ず追っ手は現れる。心の準備だけはしておこう」

これだけ準備をしていたにもかかわらず、3日目、息が苦しくて、水中から顔を上げてしまう。

第28期十段戦11回戦南3局

残るゲームは、11回戦を終え最終12回戦のみ。堀内プロのこの親番を落とせば、
最終戦は70ポイント以上の差がついており、よほどの事がない限り安泰という場面。

4巡目、上家の親 堀内プロから出たをチーしてしまう。

瀬戸熊手牌  

 ドラ

この場面、「麻雀の二面性」を考えれば、戦術的にはチーだが、体勢や流れからすると動いてはいけない。
20代の僕が突然座っているかのようなチー。体勢のいい僕がチーをすれば、こういう場面、必ず本来アガリのない所にアガリが発生する。
この感覚が麻雀を立体的に考える境目である。

プロとアマチュアの境界線と言ってもいい。何を言っているのかピンとこない人も多いであろう。
ただ、現在自分のおかれた状況で、動き(特にチー)が入った場合、どう局面が変化するのかを考えながら、
これからは麻雀をしてもらうと、少しずつだが麻雀の奥が見えてくると思う。
そして数年後、昔、瀬戸熊がこんな事言っていたなと思って頂ければ幸いである。

何故そう言い切れるのか、それは僕も勉強会などで、先輩方から口を酸っぱくして言われ続け、
ようやく自分の中で消化して、「モノ」にしてきた感覚だからである。


話を戻そう。このチーにより、7巡目ツモでテンパイ。

  チー ツモ

もちろんこの時点では、先頭であり、親の堀内プロは、

 

この2シャンテン。

-は4枚も山に残っており、この時点では一見成功に見える。
しかし、なかなかアガれず堀内プロが11巡目リーチ。

 暗カン リーチ

アガリ牌の残り枚数は、堀内プロが1枚。僕は2枚。完全に勝負所と思っている僕は、もちろん押し続けた。
僕のチーが正しいか、正しくないのかの結果を知らなくてはならない。

数巡後、堀内プロがやや上気した顔で「ツモ」の発声。
現十段位の意地の力か、僕の安易な仕掛けのせいかは判断しづらいが、
とにもかくにも僕が引き起こし、堀内プロの執念が乗り移った6,000オールであった。

そして次局は、体勢からすると動いてはいけない堀内プロが動き、森山プロの4,000・8,000を引き起こしてしまう。

第28期十段戦11回戦南3局1本場。

森山プロは、この2局に何が起こったかは全て解っている。
僕はトータルトップを走る人間として恥ずかしかった。
この後、オーラスに12,000をアガれたのは、本当に偶然であり、やや僕にツキが残っていたからだ。
全体的には、よく打てたと思う十段戦だったが、まだまだ改善部分があるという事は修練が必要なのであろう。

終局後、堀内プロは強くなるなと思った。
ただし、僕がそうだったように、彼も麻雀のもっと深い部分を見ようとしなくてはならない。
これは僕からのエールと思って欲しい。

最近よく思う事の1つとして、僕は本当に周りの多くの先輩や、色々な人に麻雀を教えてもらった。
戦いにおいて、後輩たちから学んだ事も沢山ある。

そして以前も述べたが、「誰もみた事のない景色を見たい」と思うようになった。
そんな景色があるのか分からない。でも全ての競技がそうであるように、麻雀だってあるはずだと思っている。

現代麻雀の戦術が多く出てきているが、それはデータや言葉として、語られて来てなかっただけであって、古くから使われてきたものに近い。
でも、いろんな人の色々な考えが世に出てきたのは、麻雀界の未来への希望でもある。

僕がどこまで行けるか分からないが、「新しい景色」を見て、それを若い人々にバトンタッチする事が、僕の使命だと思う。
あと何年、今以上の力を継続できるかわからないが、その日がくるまで走り続けたい。

この場を借りて、十段戦を応援してくれた人達や、支えてくれた方々に、感謝の意を伝えたいと思います。 
本当にありがとうございました。さらなる精進を誓います。

第27期鳳凰戦の軌跡  〜年輪〜へ続く。







執筆:瀬戸熊 直樹

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