日本プロ麻雀連盟
第二回天空麻雀
日本プロ麻雀連盟HOME 日本プロ麻雀連盟のご案内 牌譜データサービス ロン2のご案内 タイトル戦のご案内 インフォメーション プロ雀士情報 雀力アップ
ホームプロ雀士コラム >第27期鳳凰戦の軌跡 〜開放〜

プロ雀士コラム

第27期鳳凰戦の軌跡 〜開放〜

執筆:瀬戸熊 直樹


人は思い出を胸に生き続ける。
2004年の第21期十段戦と2005年の鳳凰戦が僕にとってそうだ。

どちらも優勝を目前にして自滅した試合。
詳しい内容は、ホームページを見てもらいたいが、試合後の喪失感といったらなかった。

第21期十段戦のとき、終了してすぐに当時一緒に働いていた仲間の元に報告した。
彼は電話口で震える声で、「お疲れ様でした。本当にいい夢見せてもらいました。
結果は残念でしたが、感動を頂ました。ありがとうございました」と言ってくれた。

その瞬間、僕の我慢していたものが決壊した。止まらない涙を止める方法をさがしていた。

以前ある女性が、必死で「あくび」をしていた。「どうしたの?」と尋ねると、
「悲しい事があったから、あくびしているの。こうすると涙がこぼれないから」
僕ももらい泣きしそうになり、一緒にあくびをした事を思い出してためしてみた。

「悲しくなったら、あくびちゃん」と教えてくれた事をやってみたが、涙が出てからは遅い事をその時知った。

第22期鳳凰戦で負けた時は、その時の数倍つらかった。
泣いてしまいそうな僕は「勝負師として生きて行くなら、勝って泣きなさい」の言葉を必死に思い出した。
奥歯を擦り切れるほど噛んだが、やはり涙は止まらなかった。

2つの敗戦は、これ以上ない財産として僕の中に残っている。
連覇した今も、敗因となったであろうターニングポイントの局は今でも鮮明に想い出される。

第21期十段戦7回戦 南1局、持ち点56,200。
初日を浮きの2着で終え、迎えた2日目の僕自身の初戦(5人打ち決勝の為)
俗に言われる「熊熊モード?」を経て、この半荘ダントツになり、トータルポイントでも突き抜けた瞬間に、
若く勢いだけの僕は自分自身でも、今考えると信じられないミスを犯してしまう。

配牌 
 ドラ

まさに好調者の配牌。
ここにツモと来る。

読者の皆さんなら手牌はどうなっているだろうか。当時の僕はその時、 

 ツモ

こうなりテンパイ。場には出ておらず、が1枚、が3枚。
今現在の僕が座っているなら、間違いなく打。前原プロなら、「体勢」を生かして打リーチか?
そして、その時僕が選択したのは打のヤミテン・・・。なんと言う愚かな選択。

状況、状態を加味すれば、大きく構える打、または体勢のままに先手をとる打切りリーチしかないはずである。
受けと言うにはほど遠い、臆病で浅はかな選択。

結論から言うと、リーチを打っていれば、で出アガリ。
としておけば、と引き、2,000・4,000の引きアガリ。
結局、流局となり、無いはずの局が出現して、調子の今ひとつだった親番の人を助けてしまう。

この半荘は、さすがに50,000点オーバーのトップで終えるのだが、本来なら決定打となるはずの半荘。
70,000点、80,000点のトップを獲らなければいけないはずであった。

そして、その因果関係からか、その局助けた人に、2連勝を決められ僕は2ラス。
こうして、第21期十段戦は、生涯忘れられない苦い思い出となった。

鳳凰戦や十段戦の決勝の舞台で近年生まれてくる1つの感情がある。自分が攻撃している場面で沸き上がる感情。
「つながれていた鎖を引きはがし、自分を開放してもいいんだ」

昨年の十段戦終了後、松崎プロの一言が印象に残った。
「今回の決勝の卓上は、獣の匂いがしました」
数年前なら、決勝メンツの顔ぶれを見て、「前原プロだねそれは」と笑い飛ばしていただろうが、ちょっとドキッとさせられた。

確かに以前とは違う戦いの場における勝利に対する「アプローチ」、「感情」、今の僕にはそう言ったものがある。
多分、そこを超えた感情もあるのだろうが・・・。

鳳凰戦2日目の朝、いつもの駅までの道端に咲く花の前で立ち止まった。
それは、花を見る余裕とか、心のゆとりがあった訳ではなく、
そうしなければ自分自身の闘争心が逆境に入った時、昔の自分が顔を出しそうだったからである。

なぜそう感じたのか。
やはり前日に3人それぞれの持ち味を、まざまざと見せつけられた事が原因だった。
特に、前日の6回戦に一発で逆転されたのには、少々こたえていた。

初載冠の2日目は、「7回戦が勝負」と決めていた。でも今回は具体的な場面が思いつかない。

不思議なもので、前原プロを走らせない為の協力者としての、沢崎プロ、板川プロはこれ以上ないほど頼もしい。
しかし、僕が先頭を走っている時の追いかけてくる場合の3人は本当に恐ろしい。

会場までの道のり、久しぶりに頭の中の整理がつかない。
結局、気持ちの整理がつかないままの会場入り。


7回戦南3局。

持ち点 瀬戸熊44,200 前原32,200 沢崎29,400 板川14,200
東場のリードを保ちつつ、迎えた場面。

前原プロの原点を切れれば、まさに絶好のスタートとなる場面。
9巡目にテンパイ。

 ドラ

が場に3枚切れていた為、ダマテンを選択。
そして、11巡目にツモで以下の形。

 ツモ ドラ

前原プロがと仕掛けている。
望月プロの指摘通り、僕も前原プロの手牌構成を推測していた。
リーチを選択。アガれる感触はゼロ。ここに自分のブレがある。

望月プロは僕に気を使って、そこまでツッコミを入れなかったが、確かに前日までの考えの上での手牌変化をさせたが、このリーチには覚悟がない。
僕にチャレンジ精神があったなら、-のマチになった時点での即リーがまず1つの手。
胆力があったなら、切りダマがもう1つの手。過去の経験を生かしていたのなら、打ダマが最後の手。

残念ながらこのどれにも当てはまらない。結果はハイテイで前原プロに放銃。

 ポン ポン ポン ロン

望月プロが観戦記でこう評している。
「この放銃が引き金になったかどうかは分からないが、ここからいつもに増して瀬戸熊の踏み込みが深くなったのだ」

さすがによく見ている。この時にこう思った。
「俺は何をやっているんだ。また同じ過ちを犯すところだった」

これが2日目の初戦だったことが、僕にややツキがあった証拠だろう。
「今回もチャンレンジ精神で望もうと誓ったじゃないか」

この放銃で目が覚めた。もう一度自分に言い聞かせる。
「死守するんだ。このタイトルを」

第27期鳳凰戦の軌跡 〜無心〜 へ続く。







執筆:瀬戸熊 直樹

ページトップ
麻雀格闘倶楽部 好評稼働中!
モンド21麻雀プロリーグ
GyaOバナー白
モンド21麻雀プロリーグ
麻雀格闘部呂倶
ALRAN
日本プロ麻雀連盟メールマガジン
トップページ牌画の利用について引用・リンクについて広告についてよくあるご質問お問い合わせサイトマップ
日本プロ麻雀連盟
Copyright 1997-2010 Japan Professional Mahjong League. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
ma-jan.or.jpの記事・写真等の無断転載はお断りします。