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プロ雀士コラム

第27期鳳凰戦の軌跡 〜畏怖〜

執筆:瀬戸熊 直樹

 

東4局、前原プロから、七対子ドラドラをアガリ、南入。
持ち点39,700(トップ目)で迎えた親番にもらった配牌。

 ドラ

高鳴る鼓動を静める。「しっかりモノにしろ!この局は制する!」
第一打。ツモときて3巡目にテンパイ。

 ツモ

後に議論された手牌だが、僕に迷いはなく、打のリーチを選択。
山には4枚、丸々眠っているのだが、今振り返ってみると、打の方がベストのような気がする。
仮に、ツモとくれば、フリテンに受け替えればいいだけの話である。
やはり少しかかっていたのが分かる。まだまだ青い。

話を戻そう。リーチをした時点では、ほぼ僕の一人旅のはずであった。

巡目は進み14巡目、沢崎プロが追いかけリーチ。宣言牌は
瞬時に僕は、沢崎プロのリーチ時の少考が「おそらくのどちらを切るか迷ったものだな」と思った。
その予想は当たっていたのだが、16巡目、4枚目のドラを「ツモ」の発声とともに、沢崎プロが手牌を開けた瞬間、僕はその牌姿に驚愕させられた。
沢崎プロの手牌。

 リーチ ツモ

つまり、沢崎プロはテンパイ時の打牌選択が、

こうだったのである。
僕の現物はのみ、は切られていない。世の中にこの手牌でを切れる麻雀打ちがいったい何人いるのだろうか。
前原プロも板川プロも、開かれた沢崎プロの手牌を若干不思議に思ったであろうが、僕だけはこの切りが大正解だったことを知っているのである。
そして、さらに、ドラのがラス牌だったことも。

次の局が始まっても、僕は沢崎プロの手牌が目に焼きついて、軽いパニックになっていた。
その後、オーラスで沢崎プロが、会心の2,000・4,000を引きアガリ逆転トップ。

1回戦成績 

沢崎+10.3P  板川+4.8P  瀬戸熊+2.4P  前原▲17.9P  




今から9年程前、あるイベントが行われた。
プロ連盟から20名が参加し、ファンと対戦し交流するイベントであった。
その日の得点が優秀だったファンから順番に、参加しているプロのサイン色紙がもらえると言う特典があった。
プロは1枚ずつ色紙にサインを書き、ファンは20枚あるサイン色紙の中から、好きなサインを選んでそれをもらう。
得点の一番高かったファンは、20枚の中から選べ、20番目のファンはあまった1名のプロの色紙をもらう。

つまり、最下位の人は選択権がないのである。
僕は20番目の人に色紙を渡した。つまり僕のサインが最後まで売れ残ったのである。
あの時のファンの苦笑いが未だに鮮明に蘇る。
僕は、そのファンの人に本当に申し訳ない気持ちになった。
あの時、自分がプロとしていかに未熟かを思い知った。

今はまだ無理かも知れないが、僕の色紙をもらった人が、5年後10年後に、「残り物には福があったなあ」と笑ってくれる日がくる事を願うとともに、
さまざまな場面で思い出し、自分を奮い起たす。

1回戦終了と同時に、またそのシーンが昨日のように思い出されたのであった。
2〜4回戦をトップ、トップ、ラスとし、トータルポイント首位で迎えた5回戦、またもや事件が起こる。

5回戦(起家から、前原・沢崎・板川・瀬戸熊)
東2局、今度は板川プロの「ツモ」の発声とともに、会場が一時騒然となる。

四暗刻である。
会場が熱気を帯びるのと半比例するかのように、僕の中で青い炎が燃え出していた。
「絶対にまくってやる。このアガリを板川さんのきっかけにしてはいけない」
1回戦の沢崎プロのスーパープレイに続き、板川プロの手役へのこだわり、2人の長所が引き出されてしまった。
あれ程注意していたのに。

でも、そんな事が起こるのは分かっていた。そして、それらを乗り越える精神力だけは、長いプロ生活で身に付けているはずだ。
東場、親番で板川プロを捕らえる。それは偶然に過ぎない事であった。
今にして思えば、この半荘をものにした事よりも、気持ちで負けなかった方の事が大きかったように思う。

5回戦成績 
   
瀬戸熊+36.7P  板川+26.7P  前原+1.8P  沢崎▲65.2P

5回戦終了時 
  
瀬戸熊+69.2P  板川+23.3P  前原▲3.4P  沢崎▲89.1P

ここまでは、1回戦の東1局で感じたままの調子であり、戦い方であった。
しかし6回戦、本当の意味での「畏怖」が待っていたのであった。



ここ3、4年の僕しか知らない若い人達は、僕のプロ生活が順風満帆に見えていることだろう。
でも、それは違う。試練と挫折のくり返しだったと言っても過言ではない。
小学生から大学生まで、ノートを一冊使い切った事がなかった。全ての物事を大体ですませていた。
何に対しても中途半端な自分が嫌で仕方なかった。

そんな時、麻雀に出会った。その面白さに、たちまちのめり込んでいった。
プロになった時、「鳳凰位」と言う大きな目標が出来た。
その目標を達成して、ノートが完成したのかと思ったが、余白がまだ半分以上残っていた。
その事が、最初戸惑いにもなったが、やがてそれが嬉しさに変わった。


6回戦(起家から、瀬戸熊・板川・前原・沢崎)

東3局、前原プロの親番で、時間が止まる。
最も警戒し、恐れていた事が起こり始めていた。
3局連続してアガリ続けていた前原プロが、8巡目にリーチ。
僕の手牌は、

 ツモ ドラ

テンパイ。打点はないが、待ちの広さからは、戦える手牌である。しかし、この局面と状態からは、やや不利な感じが否めない。
いわゆる「体勢」の差である。

麻雀は突き詰めると、常に「親」対「子」の戦いである。この前原プロの親番は、子方3人で落とさなければならない。
つまり、僕が悪い予感がしようとしまいが、ここはリーチして戦わなければならないのだ。
それが、この場面での僕の役割であり、使命なのだ。

ツモってきた牌は、「」。一拍おいて、「ロン」の声。

前原プロの手牌は、

 ロン

これが、「流れ」なのである。そして、振り込んだ僕も、覚悟の放銃なのである。
もう、こうなったら、嵐が過ぎ去るのをまつしかない。
この半荘、前原プロは、+52.7P。ラスの僕は、▲28.4P。
たった1回で、70ポイントあった差を逆転されて、初日を終える。
全身から、疲れが噴出しそうであるかのような気分。
   
「牌汚れなく、道けわし」である。

帰り道、良くやったなという思いと、もう少し出来たかなという思いが交差する。
あと何回防衛すれば、昔の僕の色紙がちょっとは喜んでもらえるのかな、などと想像しながら家路に着いた。

第27期鳳凰戦の軌跡〜開放〜へ続く。







執筆:瀬戸熊 直樹

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