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プロ雀士コラム

第26期鳳凰戦の軌跡 〜感涙〜

執筆:瀬戸熊 直樹

 

ついに最終日が訪れる。
その日のブログにはこう綴っている。

「最後の敵、自分との戦いになりました。正直つらいけど、最後まで自分らしくありたいと思います。」

前の日、眠れた時間は2、3時間くらいだっただろうか。麻雀の女神に試されているようなシチュエーション。
駅までの道のり、足が重い。「誰か代わってくれ」この日、何度そう思った事だろう。

負ければ恐らく僕の自我は崩壊する。
必死にキム・ヨナの言葉を思い出し「負けた時の気持ち」を作り始めた。
「負けたっていいじゃん」一生懸命やったのなら・・・」少しだけ気が楽になった。

会場に着く。時計の針はもうすぐ開始の正午を指そうとしていた。
「あと、7時間くらいしたら終るのか。長いなあ。」と思っていた。

1つの事だけをしっかり自分に言い聞かせる。
「楽になりたくて、急いだ勝負だけは絶対にするな。」

普段、後輩達に口を酸っぱくして言ってきた言葉。何度もやってしまった失敗。
必ず追っ手は現れる。皆、必死なのだから。だからこその「鳳凰戦」なのだから。

最後の1局が終った時、黒棒1本でも上にいればいい。
ついに最終日が開始となった。


13回戦、相手の1つ1つの動きに細心の注意を払う。が、臆病になってはいけない。あくまで冷静にだ。
予想通り、昨日と打って変わって手牌が思うように入らない。
ワンチャンスをものにしよう。

東3局1本場、持ち点は27,100。南家で5巡目にテンパイしリーチ。  

 リーチ ドラ

「アガリたい。頼むツモれ。」
しかし、下家の前原プロが發をさらして、前に出てくる。

「前原さんのアガり牌より先にいろ!俺の-
長い時間が流れ、15巡目「ツモ」の発声は前原プロ。

 ポン ツモ

たった400・700のアガりだが、前原プロの手の内に、僕が喉から手が出るほど欲しい5が3枚。
いつもなら心の中で「やるな雄大」と強がる場面だが、今日は、そんな負け惜しみさえ出ない。
「なんとアガりが遠い日なんだ」 
たった4局が終了しただけなのに、何十局もアガリがないような感覚。

冷静に自分に言い聞かせる。
「慌てるな、勝ち急ぐな、打つべき牌を打つんだ」
ノーホーラのまま局は進み、ラス前、持ち点25,100のラス。この局とオーラスの親番のみ。
ミスはしていない。しかし3人の気合に呑み込まれそうだ。
「集中、集中、集中するんだ。必ずチャンスは来る。」
6巡目、テンパイが入る。 

 チー ポン ドラ

8巡目、親の板川プロからが打ち出される。
ようやく嬉しい初アガり。待望のアガリで、浮きに廻る。なんとか浮いて半荘を終えた。

まだ1回しか終ってないのに、もう3回も4回も半荘をこなしたかのような気分。
「あと5回・・・・5回もか」
半荘と半荘のインターバル。立ち上がるのも面倒くさい。

普段なら、煙草に火をつけるのに、煙草を吸いたいとすら思わない。
トイレにも行きたい気持ちはなかったが、なんとなく義務感だけで行く。
「誰か、半荘1回だけでも代わってくれないかなあ」そんな出来もしない事を考えていた。


14回戦、東4局、9巡目、柴田プロが自分で切っているをポン。

柴田プロのツモる指先が、かすかに震えたように見えた。なぜだ?河を見る。
三元牌があまり出ていないな、ひょっとして三元役か。僕の手牌は、 

  

ツモり四暗刻の1シャンテン。
テンパイしたら生牌のを打つのか?暴牌なのか?打つべき牌なのか?
次巡ツモで、あっさりを2つ河に並べる。しかし、次のツモで、 

また同じ形になり、同じ自問自答。
そしてその間に、柴田プロが仮に役満をツモアガッた場合の気持ちも作っていた。
「例えツモられても、まだ並びだ。絶対動揺した顔をするな。平然としよう」そして流局。

かなりのレアケースでフリテンのホンイツ。
だが、僕の目には大三元に見えた。精神状態が極限に来ている。1つ大きな息を吐く。

15回戦、柴田プロが特大の1人浮きトップを取り、ついに40ポイント差まで追ってきた。
朝、思い描いていたように現れた追っ手。最後の山場が訪れる。



16回戦、東1局、親番。

もう、何が何でもアガりたい手牌。しかし、前原プロにアガられる。
息するのさえ面倒なくらい、体が重くなっていく。気持ちを引きずらないよう次の局を迎える。
東3局10巡目、これならどうだとばかりにリーチを打つ。

 リーチ ドラ

12巡目、待望のツモアガり。あと何回アガればゴールが見えてくるのか。
この半荘が終わり、柴田プロと再び73ポイント差となる。

17・18回戦、多分、見ている人には、結構楽な逃げ切りに見えたかもしれない。
でも僕は、常に最悪を思い描いて戦っていた。
ようやく、勝てるかもと思えたのは、最終戦のオーラスを迎えた時である。
一打一打を打ちながら、長かった年月が走馬灯のようにフラッシュバックされてきた。



昔、鳳凰位を獲った人が、「この時間が続けばいいのに」と思ったと聞いたことがあった。
その時は、何となくその言葉の意味がわかる気がしていた。
でも、実際はこの日「早く終わってくれ、誰か代わってくれ、解放されたい」
この3つしか、思い浮かばなかった気がする。

最後の局が終わり、込み上げてくるものを押さえ切れなくなった。
今まで、僕を支えてくれた全ての人への感謝の気持ちで一杯になった。
達成感よりも、安堵の気持ちが強かったように思う。
なのにまた、このキツイ戦いをやりたいですか?と問われたなら、答えは「YES」。

この辺りが不思議である。
「鳳凰戦」プロ連盟の先輩方が作りあげたステージは、本当に素晴らしいものである。
よくぞ、ここまで凄いステージが出来たものである。

夢破れた者、念願が叶った者、多くの人々がこのステージに憧れ、挑んできた。
今思うのは、結果よりもプロセスが価値に値するのではないだろうかと言う事。
僕を応援し、支えてくれた全ての人々に感謝の意を表したいと、この場を借りて思います。
本当にありがとうございます。


<追記>
もう、次の鳳凰戦が目の前です。
相手は、沢崎プロ、前原プロ、板川プロ。今年も厳しい戦いとなりそうです。
僕には、本当の力がついたかどうか真価を問われる戦いとなりそうです。
麻雀界、麻雀ファンの為、一打一打魂を込めて闘う事をここに誓います。


 






執筆:瀬戸熊 直樹

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