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プロ雀士コラム

第26期鳳凰戦の軌跡 〜昇華〜

執筆:瀬戸熊 直樹

 

第26期鳳凰戦2日目 7回戦東2局1本場。


鳳凰戦でようやく、手なりのピンフドラ1をツモアガる。
観戦記で、滝沢プロはこう評している。

「瀬戸熊が自然な7巡目リーチで一発ツモ。プロ連盟Aルールには一発がなく、得点には関係ない一発だが、
初日の出来の悪さにモヤモヤしていた瀬戸熊にとって、気分を変え、風向きを一変させるきっかけになる1局のような気がした。
さらに言えば、本人も警戒していた前原の親番でもある。ここで瀬戸熊の中で気持ちの整理がついたのではないだろうか」

その慧眼に恐れいった感じである。
インタビューでも答えたのだが、全18回戦を通して一番印象に残り、一番嬉しかったアガりである。

初日を終えて背負った負債は▲30.9P。
よくこの数字でおさまったなと言う感じがしたくらい、初日の内容は酷かった。

2日目の朝、曇り空を見上げながら、ポツリとつぶやいた。
「今日は晴れないかな」早くも崖っぷちに立たされていた。
今まで、いくつかの決勝戦で優勝が絶望的となり敗戦処理をした場面が思い出された。
最後まで戦いたい。安全な策を取る事も考えていたが、第7戦だけは勝負しようと腹を決めていた。

会場に入ると、初日同様に緊張感が襲ってきた。これは珍しい。
リードしている場面ならまだしも、追いかける場面で、緊張した事はさすがに一度もなかったはずなのに、昨日以上に緊張している。

対局前の時間が異常に長く感じる。
藤原プロの、対局前の注意事項を伝える約2、3分の時間が、スローモーションのようだ。

第7戦は起家だった。目の前にあるサイコロのボタンをずっと眺めていた。
そしてゲームは始まった。

 ドラ

かなりの好配牌。第一打にダブ東を打つ。 
他の3人がどう思ったか分からないが、素直に正直に打ち抜こうと思っていた。

 ツモ

9巡目、河を見るとが全て顔を出していた。リーチを宣言するならここしかない。
リーチ。板川プロから「ポン」の声。
一瞬不穏な空気が流れるが、板川プロが役牌の「」を必要としているのが分かり、ホッとする。
あとはツモるだけだ。しかし流局。

東1局1本場12巡目、

 ドラ

リーチ。一本ツモアガりが欲しい。
ツモる指先に、-をイメージしまくる。だが流局。

続く2本場。3巡目、前原プロがリーチ。この時は1シャンテンのまま素直に押せた。
しかし、前原プロの親番、また弱気な自分が顔を出し始める。

東2局6巡目、親番・前原プロがリーチ。捨て牌は、

 ドラ

こうで、9巡目、僕の手牌は、 

 ツモ

こうなっていた。
生牌のが切れない。親番で不発だった事が気持ちを内側にしている。
結局、現物ので様子見。そして流局して開かれた前原プロの手牌。

 

完全な足止めリーチ。
もう何百回と見て、研究してきたホップの場面。(この後、ホップ、ステップ、ジャンプと高くなっていく)

滝沢プロが指摘したように、捨て牌と手牌を照らし合わせる。何とかアガり逃しはしていない。
先手の手牌が欲しい。我慢と弱気の境界線をしっかり見極めなければならない。そこが全てだ。

そこへ冒頭の手牌が入る。 ようやく僕の本当の鳳凰戦が始まった。

南1局1,500。 
同1本場5,800。 
南2局8,000とアガりをものにして行く。

7回戦成績 
 
瀬戸熊+30,9P  前原+4,4P  柴田▲14,8P  板川▲20,5P

7回戦終了時  

柴田+11,5P  瀬戸熊±0P  板川▲4,7P  前原▲6,8P

7回戦を終えてトータルスコア±0。目に見えない何かが僕に語りかけてくるようだ。

「ここからは、自分らしく、己を信じて生きなさい」



8回戦東1局。

板川プロに前日と同じ牌で同じ手役に放銃。しかし、全く気持ちは違っていた。
ようやく、戦う気持ちが高まってきた。

東4局、親番に、 

 ポン ポン ツモ ドラ

この6,000オールを引きアガり、何局か連荘するが、ここぞという時に前原プロに切られる。
この後、何度か出てくるこう言う場面で、「これが鳳凰戦なんだな」と強く感じさせられる事となる。

8回戦成績    

瀬戸熊+21,7P  板川+6,0P  前原▲5,5P  柴田▲22,2P

8回戦終了時   

瀬戸熊+21.7P  板川+1.3P  柴田▲10.7P  前原▲12.3P



9回戦。

親の前原プロの仕掛け。 
前原プロの仕掛けでなければ、もう少し慎重に対処したのかもしれない。
1,500点の可能性が高いと思い前に出ると、「ロン5,800」の声。

この辺の心理戦はさすがである。ドラがヘッドになっている事、ここに僕らの考える強さがある。
この放銃をした瞬間「ラスはしょうがない。しかし、しっかりガードしてこれ以上、無駄な失点のないラスを引こう」と考えた。  
ガードの時間帯に突入である。

9回戦成績    

柴田+13,9P  板川+8,6P  前原▲8,1P  瀬戸熊▲16,4P 供託2,0

9回戦終了時   

板川+9,9P  瀬戸熊+5,3P  柴田+3,2P  前原▲20,4P 供託2,0


ようやく半分の9回戦が終了した。素直に上出来だと思った。
板川プロ、柴田プロはどう思っていたのだろう。前原プロは不本意を感じていたのだろうか。
それとも想定内の出来事だったのだろうか。

この日のこの後の展開は、僕の予想してない出来事だった。
そしてその事が「鳳凰位」の重みを真に感じる事となっていくのである。



10回戦南2局1本場。

どうって事のない手が、

このようになって、最終局にはトップになる。

10回戦成績    

瀬戸熊+19,7P  前原+14,0P  板川+2,3P  柴田▲36,0P
  
10回戦終了時   

瀬戸熊+25,0P  板川+12,2P  前原▲6,4P  柴田▲32,8P  供託2,0


続く11・12回戦も連勝で、3連勝を決める。
配牌、展開、ツキ、全てが良い方向に流れていく。今、こうして牌譜を改めて見てみると、それは本当にたまたまのように見える。
その偶然をいかに必然にしていくか、僕にはまだその力が備わっていない。今後の課題であろう。

11回戦成績    

瀬戸熊+26,6P  柴田▲1,2P  板川▲3,6P  前原▲21,8P

12回戦成績    

瀬戸熊+24,9P  柴田+18,9P  前原+4,4P  板川▲48,2P

12回戦終了時   

瀬戸熊+76,5P  柴田▲15,1P  前原▲23,8P  板川▲39,6P  供託2,0



2日目が終わり、張り出されたスコアを見て流れる雰囲気。
会場から「瀬戸熊で決まりだ」の声が聞こえてきそうだ。
それは、5年前の初日が終った時と正に同じものであった。

空っぽの胃から何かが逆流してきそうなほどの不安。
「これで転んだら、一生立ち直れないな」そう思う自分がいた。

一刻も早く1人になりたかった。
このスコアを客観的に考える事が出来なくなっていた。

帰り道、何度も何度も明日の午後7時の会場内を想像していた。
ぼんやりと浮かぶ映像、僕は笑っているのだろうか、泣いているのだろうか。
真っ黒で何も見えない。

あと半荘6回か、えっ6回もあるのか。
2位の柴田プロとは、91,6P差。これは逆転可能な数字なのか。
全ての思考がマイナスに入りだす。

「鳳凰戦でなければいいのに・・・」現実を直視する事が出来ない。

今夜もしっかり寝ようと思っていた。夜11時頃か12時頃には床についた。しかし眠れない。
何度も布団を抜け出し、夜空を見上げながら煙草に火をつける。

キム・ヨナが言っていたよなぁ。

「負けた気持ちも作っていました」

負けた時の気持ち。今は考えられないし、考えたくない。
しかし、勝負である以上、何があっても不思議ではないよな。
現に、プロリーグ最終節で僕自身が奇跡をおこしたのだから。

5年前の俺と今の俺。どのくらい成長したのかな。あるいは、あの頃の方が強かったのかな。
思考はとどまる事なく、くだらない事を何時間も考えていた。

泣いても笑ってもあと1日。「審判」は下される。

鳳凰戦最終日 〜感涙〜 に続く。

 






執筆:瀬戸熊 直樹

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