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プロ雀士コラム

懸命にやるしかないだろう

執筆:前原 雄大

 

ある日、編集長からメールが届く。
「コラムをお願いしたいのですが」
「どんな内容ですか?」
インターネット麻雀日本選手権の自戦記を中心に、前原さんの書きたいことならば何でも構いませんが」
「自戦記ですか・・難しい気もするけど、やってみたいな」
何処まで伝えることができるか不安ではあった。

私は何をやらせても手間がかかる男である。
例えば、普通の能力を持った人が事に臨めば、3時間ほどでコツらしきモノを手に入れられるとしたら、
私の場合、倍の6時間では済まず、最低でも10時間は費やす。

1年かかるものであれば、3年はかかるだろう。
それでも人並に物事が出来るようになっているのか、甚だ怪しい。
頭のデキが悪いのか要領が悪いのか・・・多分両方なんだろう。
効率という言葉が好きじゃないこともあるのかも知れない。

そんな私であるから、ロン2である程度のレベルになるまで相当手こずった記憶がある。
「どうやったら、レベルがあがるのでしょうか?」
「前ちゃんらしいね・・とにかく一生懸命やるしかないだろう」

数年前、森山茂和プロが受話器越しに笑いながらそう言った言葉は今でもハッキリと覚えている。
数字だけにこだわるならば、それなりのやり方があるであろうことは解っていた。
ただ、それでは本末転倒、麻雀プロとして全く意味をなさない。

普段着の麻雀でいかに数字を上げていかなくては意味がないし、強くはならない。
強くなれば、自ずと数字はあがると信じ込むことにした。

最初の頃は1回プレイすると検証した。
ただ、そのやり方だと1日における数、打荘数がこなせない。
頭もホットなまま検証しても向上して行かないように思えた。
それで、とにかく打ちまくり、検証は翌日の朝にするようにした。
頭もスッキリしているし、冷静に自分のプレイを観られるからだ。
それでも人並になるまでは小1年間ほど掛かったように思う。



「インターネット選手権」

チャンピオンカーニバルなど幾つか獲らせていただいたが、それらは全て、同じプロ同士、ある程度、相手の打ち筋を知っていたことと、
3回戦の戦いでありゲームプランニングの組み立て方、シミュレート、纏め方を予め決めるのに、それほど労を要さなかった。

今回の決勝は5回戦をどう纏め切るか、それと、いちのせ@さんの準決勝までの戦い方を分析し、戦いの纏め方が難しく感じられた。
勿論、まず、自分在りきなのだが。

優勝者予想をご覧になれば解る。魚谷プロが記しているように、いちのせ@さんの仕掛けの多さは群を抜いている。
そして、先日隊員から部長に昇格した、チームがらくた部長のヒサトも仕掛けは多い方である。
ダンプ大橋は逆に腰が重い。私も麻雀の入りは、仕掛けそのものは少なくはない部類に入るだろう。

つまりは、空中戦が多くなる展開になるだろうと感じていた。
それも、チームがらくたとしては良いかなとも考えていた。
その頃に記したのが、ロン2ブログの「チームがらくたの誇りに懸けて」という拙文だった。

牌譜を初見の折りは、対応策が浮かんで来なかったが、打開策は割と早い段階で見つけられた。
牌譜を何回か読み込んでいるうちに、仕掛けてからの踏み込みの深い“がらくた打法”に固執するのは、上策とは思えなくなってきた。

こちら側が出来るだけ速い段階で、その局の行く、行かないの見切りをつけること{できれば配牌を取る前に見切りの判断をする}、
手の値段で勝負しないこと、先手をとられたと感じたならば何処までも頭を下げること。
フーロ数をできるだけ減らし、状態が良ければ2枚目であっても字牌はしかけない。
その局を見つめるのではなく、全5回戦からその局の行く、行かずを判断すること。
それらの事は、対局の2日ほど前あたりには決めていた。

そして、優勝ポイントは2回分のトップである、プラス60ポイントあたりを想定していた。


「水のように生きる」

私が好んで色紙などに使う言葉である。
これは、20年ほど前にある恩師の1人に、
「どうしたら麻雀が強くなるのでしょうか?」
そう伺った折り、
「水のように生きなさい」
そうおっしゃられた時の言葉である。

___何を言っているんだろう?
私は言葉の意味もわからずに「はい」とだけ答えた。

今ならなんとなくその言葉の持っている意味合いが解るような気もする。
打ち手の性なのだろうが、対局前は色々な展開、様々な様相を考える。
それは悪いことではない、むしろやるべきことの1つとさえ思う。

ただ、実際の実戦は別物である。
自分の思い描く展開に当てはまることの方が少ないとさえ言える。
ならば、悪い展開の時はそこに抗うことなく、じっと耐え身を任す。
良い流れだったら、必要以上に眼に見えない何かに脅えたりせず、真っ直ぐに打ち抜く。

展開とか、流れとか、そういうもの、人智の及ばない処、それを恩師は「水」に例えられたのではないだろうか・・。
的外れな答えかもしれない。しかし、私はそう考えている。



1回戦(起家から、ダンプ大橋・いちのせ@・佐々木寿人・前原雄大)

東2局1本場、6巡目にダンプ大橋、9巡目に佐々木寿人、10巡目にいちのせ@さんからリーチが入る。
ただ、今局に関しては、4巡目にして私は完全に後手を引いていることを明確に感じていた。

親のいちのせ@さんは親番ということもあり、ストレートに字牌を処理している。
しかも、全て手出し牌である。

手出し牌が多いということは、それだけツモが活きている、手牌が進行しているということである。
その親に対して、ヒサトが打、守備派のダンプが打と打ち出して来る。
この時点で、今局は間違いなく3人のぶつかり合いなのである。

私は戦前に決めていた通り、後手に回っていることを感じている以上、4巡目以降、一切手を組みに行っていない。
結果は、ヒサトの放銃で収束しているが、いちのせ@さんにでもでも放銃している。

それだけ、いちのせ@さんが良い状態にあるということは間違いない。
このことは4人全員が認識していた事実である。

ヒサトの側からすれば、事態はもっと深刻かもしれない。
ヒサトは必然の手順を踏んでいるのだが、結果が悪い上に、

 ツモ

もしくは、

 ロン

このアガリも難解だが、あったように本人は感じているかもしれない。
この1つの結果から私が感じたのは、いちのせ@さんの良さと、私もデキは悪くはないということである。

私はベタオリに向かっていたにも関わらず、点棒が全く減っていないのだから。
ダンプはテンパイを組み、リーチを打ちアガレなかった分だけ、私よりエネルギーは消費しているというのが私の見立てである。

リアル麻雀でもロン2でも、私はいわゆる流れ、アナログと呼ばれるモノを重視し、起点において麻雀を戦っていることは同じである。
リアルより戦いやすい部分は、相手の仕草や呼吸などが見えない分だけ余計なノイズが入らず、純粋に相手の序盤の読みと相手との距離感と状態で戦いやすい。
そして何よりありがたいのは、動態視力と記憶力が衰えている私達の年代にとって、序盤のツモ切りか、手出し牌なのか覚えずとも後で確認できることである。
これは本当に大きい。

例えば次局、ヒサト、ダンプからのリーチならば戦うし、いちのせ@さんからの先手のリーチならば今は戦わない。
その後、実戦では誰もアガリを見ることなく東3局5本場を迎える。

私の配牌

 ドラ

いわゆる屑手ではあるが、ダンプがを仕掛けると、カン、カンと埋まり、状態の良くないヒサトの親番ということもあり、即リーチを打つ。

 リーチ

1手変わり三色であるが、場面にが2枚飛んでいることと、ダンプの仕掛けで急にツモが良くなったことに好感触を重視したことも後押しになっている。
{ガラクタなリーチだナ}
私自身もそう思うし、対局中もそう思いながらやっていた。

ただ、今の私はこのリーチに誇りを持ってやっている。
それは、ここまでのプロセスをキチンと読んでいるという自負があるからだ。

結果は、ヒサトから1発でを出アガる。
ヒサトの最終形を見ると致し方なしとも思う。

 ツモ

点数は2,600点であるが、積み場、リーチ棒を合わせると9,100点の収入は大きい。
私の親番は、ダンプの仕掛けと10巡目のヒサトのリーチに挟まれ、私は撤退を余儀なくされたが、幸運にも流局。

ヒサト
 リーチ ドラ

ダンプ
 ポン  

ただし、ダンプはヒサトと同巡にテンパイが入り、ヒサトの入り目であり、危険なを勝負した以上、ダンプ有利と思っていたが、
次巡をツモるとカンせず、次巡をツモるとオリを選択している。
このさえ押し切れば、次巡、のツモアガリがあっただけに、ダンプにとっては逸機だったように思う。

ダンプはを暗カンせずツモ切っているが、この時のいちのせ@さんは、

このをチーテンにとってない。
いちのせ@さんがチーテンにとっていると、同巡に、ヒサトがドラでありマチであるをツモアガっている。
いちのせ@さんに何か閃きがあったのか、結果としても内容としても落ち着いた好判断だと思う。

ちなみに、いちのせ@さんのツモ2回残した所で、

ここからのトラズの打。次巡、

 ツモ 打

ここからもテンパイトラズは当然といえば当然だが、準決勝の戦い振りからすると立派だし、別人のように映った。
後で知ったことであるが、いちのせ@さんの年齢は18歳との事。
準決勝までとは明らかに戦い方が違う。

それだけ、いちのせ@さんも決勝に向かうにあたり、真剣にシミュレーションを繰り返したか、勝負より麻雀に誠実であろうとしたか・・
推察に過ぎないが、両方だと感じさせるものがあった。
若さが羨ましくも感じられた。

男子三日会わざれば括目して見よ___ということなのかもしれない。
麻雀は本当に奥深いゲームである。

仮に、ダンプが押し切っていれば、初戦に関しては3竦みの戦い、もしくは、いちのせ@さんとダンプの戦いになっていたように思うし、
準決勝のいちのせ@さんの取れるテンパイは全て採るといった方法論を貫き通していたら、ヒサトのアガリが生まれその後大ブレイクがあったかもしれない。
今局が地味かも知れないが、初戦の大きな勝負処だったと改めてそう思う。

この後、私は一時はいちのせ@さんを逆転するも、いちのせ@さんの落ち着いたプレイで、再逆転されそのまま押し切られ初戦を飾られた。
初戦を終えて考えていたのは、ヒサトがとにかく状態が悪いこととダンプが何か悩みながらやっている感じであり、いちのせ@さんに関しては、
デキの良さを感じながらも、仕掛けの少なさに違和感と充実感を感じていた。

私自身は、いちのせ@さんのカタチとは違うが状態そのものは良かったように思っていた。
行ける手牌と行けない手牌がはっきりしていたからである。
これは好材料である。

1回戦成績

いちのせ@+37.6P  前原雄大+15.3P  ダンプ大橋▲15.7P  佐々木寿人▲37.2P



2回戦(起家から、ダンプ大橋、いちのせ@、佐々木寿人、前原雄大)

東1局、起家のダンプとヒサトのリーチ合戦である。

ダンプ
 リーチ ドラ

ヒサト
 リーチ

結果は、ダンプがを一発ツモアガリ。
___薄そうな牌を一発でツモったものだな。
対局時、私はそう思っていたが、実際はダンプ、ヒサト、両者ともに山に1枚しかアガリ牌は残っていなかった。

次局1本場、ヒサトの配牌が素晴らしい。

 ツモ ドラ

配牌1シャンテンのところにツモ。難しい選択だが、ヒサトの打ち出した牌はであった。
理にかなっている一打である。テンパイが入れば、必ず三色になるからである。
最近のヒサトらしい一打ではある。

私ならばピンズを打ち出すにしてもあたりか。多分、のツモ切りを選びそうである。
ところがテンパイ一番乗りは、ダンプであった。

この重い配牌がわずか7巡目にテンパイが入る。

ダンプを不思議に思ったのが2点ある。
ひとつは、1シャンテン時点での打に時間をかけていたところ。
本人は意識していなかったのかもしれないが、実際は私の読み間違いだったが、この時点でダンプのテンパイ気配を私は感じていた。

もう1点は、なぜ即リーチを打たなかったかである。
おそらくは、場況が良すぎたためアガリを拾いに行ったのだと思うが、それは考え方としていかがなものかと思う。

1つには初戦大差の3着である。
追う側には追う側の戦う姿勢が必要だと私は思う。
付け加えて、前局、薄いをツモアガリ親の満貫を成就させている。
ならば、リーチと行くのが本手だと私は思う。

今局は、ヒサトへの放銃で同じ結果を迎えたように思うが、即リーチを打っていれば、ヒサトにしても無筋を2枚打ち切れたかどうか微妙なところである。
大切なのは構え方であり、姿勢だと私は考える。
ヒサトのアガリ形。

 リーチ ロン

私が2回戦を迎えるにあたってのテーマは、いちのせ@さんより上に行くこと、それが難しい時はヒサト、ダンプにトップを取ってもらうことであった。
東2局、ヒサトの親番の私の配牌。

 ドラ

このクズ手がわずか5巡目にテンパイが入る。

 リーチ 

リーチを打った背景は、手牌の伸びにある。
ヤミテンが本手だと思うが、手牌の伸びを優先させた。
これが裏ドラ1枚を乗せてアガれたことは点数以上に大きかった。

東4局、迎えた親番でもダンプの動きにより簡単に2,600オールをツモアガリ、トップ目に立つ。

南1局2本場、9巡目の私の手牌。

 ドラ

次巡 ドラであるツモで打。そして次のツモがネックの。そしてリーチ。
一発ツモがアガリ牌である。誰が打ってもこうなる。何の苦労もしていない、これが好調の証である。

そして南2局、普段の私であればフラットな局面であれば、ヤミテンに構えることが多い。
なぜならば、とにもかくにもヒサトにを打たれた直後のテンパイだからである。

それをリーチとしたのは、まず前局のアガリがあったこと。
次に、持ち点が示す通り好調を意識したこと、そして、現在の親番が今半荘不調のいちのせ@さんであったこと。

結果は最良と出たが、やはりヤミテンが本手なのだろう。
おそらくはヤミテンでいればダンプから手順でアガっていたように思う。
それが自然なアガリであったように思える。

ただ、私もチームガラクタの総帥である。総帥の本手としては、リーチが至当であると思う(笑)。
ここでリーチを打たねば、団員達(現在1名しかいないが)になめられてしまう。

続く南3局も同じである。

ヒサト、ダンプがともにホンイツの仕掛けをしている。どちらかにドラのが入っていると読む。
そこを含めての打のリーチなのである。
もし、私にミスがあるとするなら、結果論ではなく4巡目。

 ツモ ドラ

ここで状態を信じて、目一杯に構え打の手があったように思う。
それが好調者の打ち筋かと思う。ちなみに、4巡目のダンプの手牌は、

全く動ける形にはなっていない。
ドラであるを打ち出したことは全く後悔はしていないが、現実的にダンプに跳満を引きアガられたことはきちんと評価せねばならない。

迎えた親のオーラスで、12巡目にカン、カンと引き込みテンパイが入るも、私はヤミテンに構えた。

 ドラ

全対局終了後、瀬戸熊直樹さんに尋ねられた。

「あそこは前原さんならリーチを打つべき局面ではないでしょうか?」

私は曖昧な返事をしたように記憶をしているが、理由はとにかく、
前局ダンプに跳満をアガらせてしまった以上、今局はヤミテンに構えるべき局面と判断したためである。

打点を求めるべき局面ではなく、アガリに意味を求めるべき局面と判断したのである。
攻めるべきは、今局アガリを見たときの、次局を勝負処と睨んでいた。
そして勝負処と決めていた1本場、

いきなりといった言葉が煮つかわしいように、いちのせ@さんの2巡目チーから今局は始まった。
点数状況を考えれば、ドラのを固めた本手と読むのが筋だろう。
そうでなければ、ヒサトとの着順が変わらない。

可能性としてもう1つ考えられるのが、まだ2戦目であるから、この半荘の収束を目指したことである。
それでも、私はまっすぐにいくつもりであった。

その為に前局ヤミテンに構えたわけであるから。
ただ1つ気がかりだったのが、この仕掛けで局面がねじまがることだけだった。

今半荘、不調者はいちのせ@である。
不調者の動きは、往々にして好調者に利するものである。好調者は私とダンプである。
それでもいちのせ@さんの河を見る限り、一色手に真っ直ぐに向かっているのは私にとっては好材料である。
1つには、いちのせ@さんの上家に座っているダンプに、打牌の制限がかかるからである。

ところが5巡目に、ダンプが素知らぬ顔でを打ち出してきた。
そして次巡リーチである。

ダンプとの条件が、跳満直撃もしくは倍満ツモである。
役なしの多面待ちのリーチの可能性も全くないわけではないが、ダンプのフォームからすれば、
そのケースは、下家のいちのせ@さんが仕掛けている以上、ヤミテンに構えるだろう。
そのようなことを対局中に考えていた。

私はダンプのリーチの同順に1シャンテンが入る。

 ツモ ドラ

と構えると、長考の末、いちのせ@さんも打と合わせてきた。
長考して私のに合わせるということは、を動けたが動かなかった場合と、の暗刻落としの二択である。
つまりは、ドラであるはいちのせ@さんには2枚以上、入っていないということである。

私はまっすぐに打っていけばアガリか、テンパイ連荘はあったようだが、なかなか、理屈道理には打てないのは私が弱い証なのだろう。
それでもこの半荘のトップの持つ意味は大きい。
初戦トップだったいちのせ@さんがラスで、私だけが1人抜けた位置を確保できたのだから。

2回戦成績
前原雄大+46.1P  ダンプ大橋+16.6P  佐々木寿人▲23.1P  いちのせ@▲40.6P

2回戦終了時
前原雄大+61.4P  ダンプ大橋+0.9P  いちのせ@▲3.0P  佐々木寿人▲60.3P




3回戦(起家から、佐々木寿人、前原雄大、ダンプ大橋、いちのせ@)

私は3回戦を迎えるに当たり、勝負を決めに行かないことをかなり意識していた。
丁寧に打ち紡ぎ態勢を悪くしないことと取りこぼしをしないことである。

簡単な方法論としては、面前主体で戦い、ポンテンはともかくチーテンは取らないようにするだけである。
状態は良いわけだから、仕掛けて局面を歪めなければ良いだけである。

勝負としての側面からすれば、実質このアガリが今対局の決まり手となった。
前対局終了後ヒサトが言った。

「やはり麻雀は確率でも数字でもありませんね。前原さんのアガリ牌はたった1枚。
そして僕のアガリ牌は残り3枚。それでも勝負の結果というものはこういうカタチでつくものなのでしょうね」

私はヒサトのその言葉に笑って何にも答えなかったが、その通りなのである。

3回戦成績
前原雄大+36.4P  ダンプ大橋+10.4P  いちのせ@▲9.8P  佐々木寿人▲37.0P 

3回戦終了時
前原雄大+97.8P  ダンプ大橋+11.3P  いちのせ@▲12.8P  佐々木寿人▲97.3P




4回戦(起家から、ダンプ大橋、いちのせ@、佐々木寿人、前原雄大)

今対局の中で一番お気に入りの一局である。
勝負というものが麻雀の全てであるならば、大量のリードを保った私は、素直にヒサトのリーチに頭を下げるのが筋というものであろう。
しかも、このの仕掛け自体も、麻雀的にはリードしている者として、取るべき方法論ではないことは論を待たない。

ただ、私はチームガラクタの総帥として、今局は自分のこの雑な仕掛けの結末を見てみたかったのである。
この譜がどう映るかは、このコラムを読んでくださってる方々に判断を委ねるしかないが“おろか”と言えばあまりにも愚か者の立ち向かい方である。
ただ、この戦い方が今の私の闘いの根源である。

4回戦成績
佐々木寿人+27.4P  前原雄大+5.9P  いちのせ@▲8.9P  ダンプ大橋▲24.4P

4回戦終了時成績
前原雄大+103.7P  ダンプ大橋▲13.1P  いちのせ@▲21.7P  佐々木寿人▲69.9P




最終戦(起家から、前原雄大、佐々木寿人、いちのせ@、ダンプ大橋)

東2局、テーマは4回戦と同じである。

さらに丁寧に自然に打ち紡ぐだけである。
2枚目のも仕掛けず、自然に入ったテンパイを捏ねずラス牌ので出アガる。
もう、工夫も何もしなくても良いのである。
出アガリはたまたまの結果かも知れない。打という打ち方も否定しない。

ただ、何が自然なカタチかを考えた時、私にはテンパイを組むことが一番自然に思えただけのことである。
何処からか、火の手が上がれば素直に頭を下げれば良いだけのことである。

水のように生きる・・・そういうことなのだろう。

最終戦成績
いちのせ@+32.5P  佐々木寿人+16.8P  前原雄大▲13.6P  ダンプ大橋▲36.7P 

最終戦終了時
前原雄大+90.1P  いちのせ@+10.8P  ダンプ大橋▲49.8P  佐々木寿人▲53.1P



___そしてそれから
「内容が悪くて応援してくださっているファンの方々に本当に申し訳なく思っています。」

対局の合間のインタビューにヒサトはこう答えている。この言葉は少なからず驚かされた。
それは、ヒサトの本音だろうが、まだ対局は終わってはいない。
それでもそう語るヒサトは、その分だけ今対局に対して並々ならぬ意気込みがあった表れで、それが少し大切な軸のような部分がぶれただけのことだと思う。
彼本人が言っていた、一番後悔した局を1つ挙げさせてもらう。


3巡目に、いちのせ@さんのをポン。

たしかにここからの仕掛けはナイと考える。
ただ、これを間違いだと言い切ったヒサトは、間違いなく今後さらに強くなるだろう。

いちのせ@さんに関しては、冒頭に記したように、わずかな短期間に驚くべき成長を遂げられた。
このことは、御本人の努力もさることながら、若さの特権だと私は思う。
さらに成長されるであろう若者と、また是非刃を交わしたいものである。

ダンプに関しては、受けに回った時の緻密さは連盟においても突質していると思う。
王位を獲得した実績はもとより、現A1リーガーである。
点数を持っていない時の攻めの鋭さは、目を見張るものがある。
逆を言えば、点数を持っている時にその攻めを活かせれば、また全く別の展開、結果が待ち受けていたように思える。

私に関しては、3回戦以降、特別なことはほとんどしていない。
態勢に寄りかかって打っていただけである。
ただ、今思い出してもリアル麻雀の決勝の舞台は相当数経験しているが、これほど異なった緊張した対局は無かったように思える。
それは、普段何十時間にも及ぶ対局にもほとんどトイレにもいくことがない私が、半荘毎に小用を足しにトイレに行っている。
それだけ、一種独特の緊張感に包まれていた。ただ、その緊張感は決して嫌なものではなく心地よいものだった事を記憶している。

ヒサトも全対局終了後、私と同じように緊張していたことを口にしていた。
第一回インターネット麻雀日本選手権であるということもあるかもしれないが、リアル麻雀では感じ得ることが出来ない、
別のプレッシャーが間違いなくそこには存在していたということなのだろう。

対局が終了し、20名ほどで打ち上げをして、瀬戸君、ヒサトと深夜のタクシーに乗る。
「これだけ嬉しそうにしている前原さんは珍しいですね」
ヒサトのこの言葉がいまでもまるで昨夜の出来事のように耳に残っている。

年下の敗者を目の前にして、私ははしゃいでいたのだろう。品の無い男である。
相手の立場に立って物事を考えられない男は品性が欠落している。
「申し訳ない」
「いや、素直に喜んでいる前原さんの姿を見るのは僕は好きです」
年が離れた友人たちに、人としての在り方をまた1つ学ばされた。

今回も改めて牌譜を見直すと、自分のミスにあきれ果てた部分も少なくはない。
きちんと放銃を覚悟すべき局面で、自分の弱さで前に進めない局面が幾つかあった。
麻雀を知れば知るほど解らないことが増えていく。

水のように生きる__難しいことである。

それでも、濁らないように、澱まないように生きていきたいものである。
そうすれば、結果ということでなく、もう少し真面な麻雀を打てるように思えてならない。



                                  


執筆:前原 雄大

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