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プロ雀士コラム

滝沢和典プロ

 


11月、日本プロ麻雀連盟は王位戦の季節です。
日本各地の一般予選を皮切りに、A級本戦・A級決勝がすでに開催されました。
このあとには準決勝、そして決勝戦が控えています。

今回コラムを書かせていただく私も、11月15日(土)に行われたA級本戦に出場してきました。
Aルールで半荘5回戦勝負(途中4回戦で足切りあり)。
ここまで来ると、周囲は強敵だらけです。

1回戦 鳳凰位三連覇・古川 孝次プロ
2回戦 第17期最強位・二階堂 瑠美プロ
3回戦 現プロクイーン・黒沢 咲プロ
4回戦 現女流桜花・二階堂 亜樹プロ
5回戦 A2リーグ所属・勝又 健志プロ

こんな豪華メンバーと同卓になりました。
A級本戦からは、必ず卓に一人以上はプロ連盟の所属プロが入る仕組みになっており、
また各予選を勝ち上がってきた他の方々もプロアマ問わず歯ごたえのあるメンバーばかりとなります。
毎半荘、息の抜けない厳しくて楽しい対局が続きます。

私は残念ながら5回戦オール2着で通過ポイントに足りず敗退となったのですが、
改めて王位戦を勝ち上がることの困難さを再認識しました。



さて、今回のコラムは、
昨年の王位戦で、現行システムになってから初の連覇を果たした滝沢和典プロの裏話を通して、
王位戦という素晴らしいタイトル戦について紹介していきたいと思います。




私が滝沢和典プロを初めて見たのは、今から7年前の第27期王位戦のことでした。

日本プロ麻雀連盟のプロテストを経て、翌春からのプロリーグ開幕を待っていた私は、
ご多分に漏れず鼻っ柱の強い、 というか鼻持ちならない自信家でした。
今から考えると、恥ずかしくて仕方がありませんが・・・。

初参加の王位戦の予選で敗退することなど脳裏をかすめもせず、 楽勝で通過できると決めてかかってました。
A級予選も上から数えて何番目かで通過し、
A級本戦でも、200人ほどいたであろう参加者の中で1位通過も狙える位置にいた自分が、
最終戦が終わり、卓を移動しているときに、かの滝沢和典を初めて目にしたのです。
すでに近代麻雀などのメディアで頻繁に露出が始まっていた準「有名人」の彼の麻雀をちょっと見てみようかと、後ろから観戦しました。

はじめての印象は、「もの静かだなぁ・・・」というもの。
迫力とか、オーラとかは全く感じず、ただ俯き加減に淡々と摸打を繰り返している・・・。

時間打ち切りのコールがかかった局、滝沢プロの手は確かドラの暗刻が含まれている親の満貫の手だったと記憶しています。
テンパイを果たした彼は、河に放たれたロン牌を何事もないように見逃し、そして静かに手を伏せていました。
これはおそらく、本人と私しか知らない事実です。

なるほど、「目無し」だからアガっても意味がないし、スルーしたのか。

すぐに意味は理解し、納得したのですが、正直なことを書けば、その時私が思ったことは、
「プロっていってもたいしたことないなぁ・・・」 というものでした。
どちらかというと、見ていた印象は「ただ耐えている」といったもので、むしろひ弱さを感じ、
恥を忍んで書き加えれば「ルックスだけで売れてるんじゃないの?」とまで思ったものです。

その後、私は準決勝まで勝ち上がり、そこで敗退するのですが、 またチャンスがある、と考えるくらいで、
滝沢プロのことなどを含めて殊更何の印象も残さず、第27期王位戦を終えました。

それから毎年、王位戦ではそこそこ良いところまでいくものの、初年度の準決勝までいくことさえ叶わず、時が過ぎました。




5年後。

2006年の第32期王位戦のA級本戦で、私は滝沢プロと対戦することになりました。

その日の私は調子が良く、Aリーグプロばかりとの対戦を連続で制して、手ごたえを感じている3回戦のことでした。

ここを浮けば、という感触があり、気合を入れて対局に臨んだのですが、
対面に座っていた滝沢プロの、ちょっと信じ難い、刺すようなアガリによって痛恨のラスを引かされてしまいました。

なんと書けば良いのかわからないのですが、
およそ、他人のアガリというものはちゃんと納得できる理由があって、ツモられてもロンされても点数が高くても、
「うん、まあそうだよな。しかたがない」 って、自分のミスでなければ思えるものなのですが・・・。

うわ、そこでそんな受けにしてアガれるんだ・・・

とショックを受けたアガられ方が過去に2回あって そのうち1回がこの滝沢プロのアガリだったのです。
詳しいことは書きませんが、
予想してなかった、とかツイてない、とかの理由ではなく、
アガり方に歴然とした彼我の実力差を感じるからショックなのだと思います。

このラスが足を引っ張り、私は初めて王位戦でA級本戦を通過することなく敗退したのですが、
この滝沢プロのアガリが非常に印象に残ったものです。



後日、決勝を観戦することができなかったその第32期王位戦を滝沢和典が制したというニュースを聞いたとき、

ああ、そうか。
あのアガリをした滝沢和典が王位に就いたのか・・・

と妙な納得をしたと同時に、
一番最初に目にした王位戦予選での滝沢和典という人物の佇まい、
静かに親満を見逃したこと、
その延長上に優勝があったということに、少なからず感慨を抱いたものでした。




それから1年後。

第33期王位戦は、どうしても外せない私用で不参加となりました。

どういう縁か、参加できなかったその王位戦準決勝レポートのお仕事を頂き、
例年は忙しさを理由に行くことのなかった決勝前日の準決勝会場に足を運びました。

ここから登場する現王位の戦い方に記事のある程度は当然割くべきであろうと、滝沢プロを初戦から注目して見ていました。

このホームページ内にあるレポートに記しましたが、
滝沢プロの姿勢は終始乱れることなく、少し俯き加減に黙々と打つ姿は、
無駄なエネルギーを使わず、「何かに向かっている」イメージがあります。

ふとその時ひらめいたのが、
彼の映像は、プロの「登山家」に似ているな、というものでした。

そして、急に、
一番最初に見たあの王位戦で満貫を見逃したときの打ち方も、今と全く変りないではないか、
ということにも気が付いたのです。

彼は、ずっと登り続けているのかも、と。

その準決勝、滝沢プロは明らかに不調で、劣勢を強いられ続けるのですが、
どんな苦しい場面でも、どんな力が入りそうなチャンス手でも、
一日を通して全く力みなく打っていたことを、ずっと観ていた私は保証できます。

最終戦で帳尻を合わせ決勝の席へ滑り込みますが、
今から考えても、素晴らしい内容の5位通過でした。




翌日、第33期王位戦決勝。

1回戦東1局、一般参加の松井選手の打牌選択により、滝沢プロが放銃のはずが逆に満貫ツモ。
東4局、一般参加の福島選手がオリ打ち気味の打牌で滝沢プロが親の11.600。

この幸運そのままに、滝沢プロがダントツでトップを取ります。

昨日とうってかわって楽な展開に、そのまま優勝かな、と思わせたものですが、
他の選手、特に猿川真寿プロと小川尚哉プロの輝きのある好プレーによって勝負はもつれ、
優勝の行方は全くわからなくなります。

公開されている数字の上だけでは分かりにくいことなのですが、
5回戦南2局の時点では、滝沢プロは足切りの可能性さえある状況まで追い込まれていたのです。



そんな5回戦の南2局、親番・滝沢プロの手はドラが暗刻のチャンス手。
しかし、愚形が多く、なかなか手が進まない上に、南家・猿川プロが3巡目にWをポン。
そして10巡目、

 ドラ

上家からが出るのですが、滝沢プロは微動だにせず。

「レベルの低い話をしないで欲しい」と思われそうだけど、
個人的には、このに眉一つ動かさなかった滝沢プロに、さすが!と感嘆したのです。

確かに、手格好だけを見れば、シャンテン数が上がるとはいえ、チーは得策とは言えないことは、
ある程度の雀力を備えた打ち手だったら賛同する自明のことと思います。

ただ、その時の点棒状況、自分の手、河、
何より、決勝戦の足切りを決める半荘の最後の親番、
こういった局面で、頭ではわかっていても、 体が、心が何らかの反応をするのではないでしょうか。
一点の曇りもなく躊躇もなく、平然とスルーできる胆力に、
私は「滝沢プロの自信」を垣間見、日頃の鍛錬を連想し、そしてそのことに感嘆したのだと思います。

この局は、終盤テンパイを果たした滝沢プロが16巡目に12.000、私には到底真似の出来ないアガリでした。


6回戦東4局に、強烈なアヤが待っていました。 10巡目に北家・小川プロがテンパイ、

 ドラ

もちろん三色は狙いたいところですが、既に場にが3枚飛んでおり、
と南のシャンポン待ちで良い気がします。
実際、打牌直後の雰囲気や同巡にあっさりが出てきたときの表情から、
おそらくは小川プロの判断ミスだったのではないかと推察しています。

しかし、流局間際にチーテンを取った滝沢プロが、の打牌選択でを打ち、痛恨の8.000放銃。

このとき、初めて滝沢和典の顔が歪みました。
すぐに表情は戻ったのですが、この半荘痛恨のラス。
2回戦東3局のでの5.800放銃以外はほとんど放銃らしい放銃がなかった滝沢プロが、
この6回戦ではなんと4回も放銃しています。

最終戦を残し、トータル四位に転落。
トップとの差は40P強の、ちょっと絶望的な苦しい位置まで追い詰められてしまったのです。




そして迎える最終戦。
伝説の7回戦。


山場はもちろん、色々なところで語られる南1局1本場でしょう。
この親が終われば、事実上終わり。
そういう状況でトイツ手に決め打てるのは、自信なのか、覚悟なのか、器なのか?

日本プロ麻雀連盟ではPCによる採譜システムを導入したことにより、
観戦者は対局者全員の手牌をリアルタイムで観ることができるようになりました。

7巡目、平然と2枚目の役牌であるをスルーした滝沢プロを、観戦者はどういう想いで見守ったのでしょう。

しかし、当の本人は、実に堂々としていました。
9巡目、念願の聴牌に辿り着いてリーチの発声をしたあと、この二日間で初めてエンジンがかかったことを感じ取ることができました。


滝沢和典の顔が紅潮。
「ああ、ここが胸突き八丁なのか・・・。頂きに至るときに、ここで初めて一番力を使うのか・・・。」


長き長き9巡のツモ切りの後、まさに最終ツモでを引き当てたとき、
ギャラリーが歓声と共に「よしっ!」と拳を握り締めていたことは、とても印象的な映像として瞼に焼き付いています。

敬愛すべき他の対局者のことを思えば、
およそ対局中に特定の一人の対局者への露骨な応援の言葉や感情は固く慎んで欲しいというのが私の考えですが、
「よしっ!」と観戦者が大声で口にするほど、この王位戦決勝は熱を帯びていて、
滝沢和典はそのように感情移入されてたのだ、ということをどうしても此処に記しておきたいのです。

麻雀に関わっていて良かったと感謝できる瞬間でした。



しかし、ここでフィナーレを迎えたわけではありません。

南3局の猿川プロの跳満へ向かう数巡は、
あたかも太鼓を叩く音が徐々に大きくなるようなリズムを体感するようなもので、
必ず一発ツモするだろう、という超オカルト的なものを感じたし、
南4局での小川プロの曲芸のような七対子の一発ツモも、
ため息がでるくらい素晴らしい、と表現するくらいしか私には能がありません。


そして、5本場まで至る南4局において、猿川プロが繰り返した副露による速攻は、
多くの人が指摘するように、果たして焦りによるものなのか?

私は、そうでないと思う。

それは、最後の最後まで全力を尽くしてアガり切る猿川プロの積極性の表れで、
今までもずっとそうやって勝ちを積み上げてきたのではないだろうかと思っています。

私は当日、PC採譜を担当していたのですが、
PC採譜はものすごくエネルギーを消費する作業であり、あくまで黒子に徹して作業に集中し、
応援などの感情を入れないのが鉄則です。

しかしこの日は、体は疲弊しきっているのに、それぞれの対局者の素晴らしい闘牌に、

この半荘がいつまでも続けば良いのになぁ・・・

なんて思うほどまでに、タイトル戦決勝独特の世界に入り込んでしまっていました。



南4局5本場、またしても仕掛けて聴牌を入れる猿川プロに滝沢プロが追いつきリーチをかけた一発目。
当たり牌のをつかんだ猿川プロが一呼吸したうえで、「フッ・・・」と笑ったことが印象的です。
「これか・・・」、みたいな。

猿川プロの器の大きさを感じ、決して後付ではなく、
近い将来必ずタイトルを獲るだろうな、と思った瞬間でした。

そして、全て納得済みのように猿川プロは河にその牌を置いて、
割れるような拍手の中、第33期王位戦は幕を閉じました。

滝沢和典プロが、再び頂きに立った瞬間でした。





早いもので、あの王位戦から一年が経とうとしています。
今年もベスト16に残った俊英たちが熱き闘いを繰り広げることでしょう。

滝沢現王位も、このベスト16から始動します。
前人未到の三連覇は成るのでしょうか。
それとも、新しい台頭があるのでしょうか。




準決勝、及び決勝は11月22日(土)、23日(日)と新橋「じゃん亭Nobu」にて行われます。
※詳細は開催概要をご覧下さい。

また決勝戦に関しては、麻雀界初の試みとして、4人分の牌姿がリアルタイムに表示されるモニターによる観戦システム導入が予定されています。
未だかつてない、迫力ある決勝戦観戦が可能になるわけです。
観戦はルールを守っていただくことを条件に自由ですので、興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

また今回、王位戦に参加されて惜しくも敗退された方も、参加されなかった方も、
来年ぜひ王位戦に参加してみてください。

日常ではなかなか味わえない独特の緊張感と素晴らしい対局者による麻雀が、そこに待っていることでしょう。








文責:西川 淳(執筆:2008年11月20日)

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